0日目 |
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宇都宮 −東北新幹線→ 東京 −山手線→ 浜松町
−モノレール→ 羽田空港 |
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羽田 → 稚内 |
2003/08/09 |
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宇都宮市内・稚内空港 → 稚内市内 |
27.51km |
今年も仕事→徹夜→出発 という手番に変わりはない。台風10号がすぐそこまで来ている。関西で大暴れしている朝、早朝の宇都宮駅で自転車をばらす。「飛行機は飛べるのだろうか・・・」そんな不安にかられながら輪行する。昼の飛行機だが早朝から羽田入りをしたい。 |
帰省ラッシュと逆方向の東北新幹線で東京に降り立つと、交通は大荒れ。駅員と客がもめているのを横目に見ながら、山手線を乗り継ぎ、浜松町からモノレールで羽田空港に向かう。さすがに混んでいる。やっぱり宇都宮→羽田は乗り換えとか混雑を考えると高速バスが楽だ。俺の乗る飛行機は当初の予約の都合で12:10発
稚内行きだったが、朝9時の羽田空港で 9:30発 稚内行きに空席有り。ここはギリギリだが決断の時だ。昼になって台風が東京近辺に来て欠航になる可能性もある。速攻で変更・搭乗手続き・手回り品預け
を済ませて飛行機に乗り込む。 |

飛行機からの利尻島
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くそ暑い東京を離れ、速攻で眠りにつく。あっという間に稚内への着陸態勢に入った。窓から利尻山が見えてきた。通路側の席なのだが興奮して写真を撮りまくる。窓側の席のお姉さんは呆れてしまった。
稚内空港に降り立つと、若いカップルチャリダーと普通のサラリーマンっぽいチャリダーといぶし銀な雰囲気のおじさんと俺が自転車を待っていた。なんとカップルチャリダーと思っていたのが高校生の兄妹でいぶし銀のおじさんは親だった。
稚内空港は東京とは桁違いの寒さだった。ただ、天気はよい。最初に組み立てて出発したのは俺だった。追い風にあおられてあっという間に稚内市内に到着し、昼食だ。魚のうまそうな定食屋に入ってみたが失敗。
初日なので買い出しをしていると、さっきの飛行機の窓側の席のお姉さんと再会してしまった。世の中狭い。稚内市内の市場のような店でカニを買い、親に送ってやることにした。
稚内の港のわきの巨大なドーム型防波堤の下にテントを張っていると、チャリダーやライダーが集まり始めた。市内のキャンプの名所となっている。雨風はしのげるし港も街も近い一等地だ。テントを張っていると電話がかかってきて会社の同期のライダーが合流しそうな勢い。俺より4日早く夏休みに突入して稚内に来たようだ。 |
折りたたみ式のバーベキューコンロを持っているので海鮮バーベキュー大会といくことにした。稚内内で買い出しをする。意外と海鮮モノが手に入らなくて困ったが、さっきの市場で活きタラバガニを購入。目玉はそろった。
俺が昔 屈斜路湖でキャンプをしていた頃に 焼きタラバを差し入れしてくれた
地元のおじさんの人情が心に沁みて とうとう自分で焼きガニを食えるまでになったと感慨深いモノがある。さすがにカニの味が濃くてうまい。ホッケも本州のものとは桁が違う。
徹夜明けの日だというのにすっかり飲みまくり、眠りについた。朝イチか朝二のフェリーで利尻に渡りたいモノだが。 |

焼きガニ
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1日目 |
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稚内 −フェリー→ 利尻島・鴛泊 |
2003/08/10 |
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鴛泊 → オタトマリ沼 → 沓形 |
56.65km |
乗り込む予定だったフェリーの出発の汽笛の音で目が覚めた。二人とも寝坊したようだ。そこからテントを撤収して朝食と非常食の買い出し、金をおろして、フェリーに乗り込む。期待で胸一杯で利尻に向かう。
フェリーで爆睡していると利尻に到着。とりあえずフェリーを降りたとこで同期とはお別れで、キャンプ場で集合だ。まず鴛泊を出て、左折
つまりは左側通行で海側を一周しようというわけだ。一周50km強というとこだが午後だけで何とかこなせるだろう。GWの伊豆大島の時も行けたので大丈夫だろうと見積もった。海沿いを走り始めると、姫沼にあがる道があったので右折。14%となかなかパンチの効いた上り坂を進み、ペシ岬と海を眺める展望台を過ぎ、沼に到着。まあ何の変哲もない沼だ。本来は利尻富士がバックに見えるんだろうけど、天気が悪くそれはない。先ほどの道を下ると、自転車道へ曲がるところがあった。細い道、ときどき海が見える何とも気持ちのいい自転車道だ。
車道に戻ると、何もない道、色の暗めな海、冷たい空気 まさに北海道の海岸線と言った感じだ。島の割にアップダウンもさほどない。快調にとばすが、腹が減った。昼飯を食いたい・・・しかし店がない。とにかくない。あっても休業。半周ほど何も食わずに回ったとこの灯台の下で非常食のメロンパンを食う。なんでここまで来て メロンパン・・?と納得いかないものの仕方がない。 |
途中、雨にも降られながら島の北から南まで半周ほど回ったところで、オタトマリ沼で休憩。ようやく観光地らしく売店と食い物がある。そこで同期のライダーと再び会った。4/5周ほど回ったとこの沓形岬キャンプ場でテントを張ったとのこと、北海道のオアシスであるオレンジの看板のセイコーマートも近所にあり、風呂もありそうな雰囲気(俺に言わせればチェックが甘いが)とのこと。
売店でウニの寿司3カン(1000円)を食い、「白い恋人」のカンの写真(オタトマリ沼から利尻富士を眺めた方向の写真)と同じ写真を撮り、再出発。ただし、天気が悪くて山は写っていない。もう10kmほど走ると最南端の岬に着いた。そこも観光地っぽい雰囲気だが何もない。アザラシを3匹飼育しているの以外は見所もないが、アザラシの泳ぎの速さに驚いた。
沓形岬まであと15kmほど残したところで、足の疲労がきた。2週間前にきつい山岳コースを4日ほど走ってるからトレーニングは十分なはずだが、体が言うことをきかない。このあたりから俺の体に異変が始まっていた。日暮れが迫ってきた道を進み、何とか沓形岬に到着。テントを張っていると、同期も帰ってきた。
とりあえず疲れたので買い出しと風呂に行こうとしたら、俺の背後から真っ赤な光が差してきた。風呂入ってる場合ではない・・・夕陽を見に海岸へ走った。日本海に沈む夕陽だ。海岸で眺めていると観光客がドヤドヤとやってきた。やっぱメジャーなスポットで眺めるのはだめだ。景色には感動しつつ
やや納得いかない足取りでテントに戻り 再び 風呂と買い出しに出る。
風呂から上がったころには すでに真っ暗。そこから炭を起こし海鮮バーベキュー第2弾だ。ホタテとツブ貝がうまい。しかし、若干ビールが飲みづらくなったのを感じながら、眠りについた。 |

白い恋人の箱の風景・・・
(何も見えねぇ〜!!)
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利尻島・沓形の夕日
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2日目 |
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沓形 → 鴛泊 → 沓形 |
41.16km |
2003/08/11 |
何となく腹の調子の悪さを感じながら朝を迎えた。礼文島に渡る同期と別れ、俺だけは鴛泊へと進んで島一周を決めようとしていた。自転車道と車道を行ったり来たりしながら進み、利尻名物のオリジナル乳酸菌飲料のミルピスで休憩。腹が弱ってるから乳酸菌はありがたい。カルピスよりあっさりしていて飲みやすい飲料だがちょっと高い。しかも粗相でこぼしてしまったので もう1杯行って700円。雰囲気と味はいい。
隣のテーブルに居た女子高生のレンタサイクルを追い越し、俺が自転車道に入って遊んでいる間に また抜かれ、車道で抜き返し。。。を繰り返していた。自転車道はカモメの国となっていた。カモメの群れのテリトリーの中に道がある。何とも不思議な世界だった。鴛泊の近くには 大きい岩、と草原の豪快な風景だ。北海道の海岸線の岩場らしい風景。 |

ミルピス前
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そして鴛泊の港に到着。そこで昼飯だが、なんか食欲がない。とにかく重いものは入らない。利尻昆布のとろろ昆布ラーメンですます。本当はうどんがよかったのだが、ないものは仕方ない。ボリュームもないし、さほどうまいものでもない。せっかくだから少しはうまいものをと、港のわきで 活きウニを食う。ムラサキウニを割っただけでまだ動いている。それを箸でつついて中の身を食う。味は最高。港で、昨夜のキャンプ場で一緒だったチャリダーの夫婦と会った。俺と同じくサラリーマンだった。 |
港のわきにペシ岬という山があり、自転車を置いて上ることにした。上ると海が270度広がっている。ペシ岬の灯台も雰囲気が渋くていい。ただ、天気が悪い。急な崖で下を見ると玉袋が縮みあがる感じだ。再び、下界に降りて、自転車で沓形岬に戻ることにした。今夜は沓形岬で花火大会だ。胸を躍らせながら戻るものの、向かい風がきつく
全く前に進まない。今までの実績、2週間前の走りを考えると、こんなに体に力が入らないのはおかしいのだが、10kmを1時間半かけて戻る。
キャンプ場に戻ると、天気も悪いのでテントを張って買い出しに行く。すっかり日が暮れた。セイコーマートの弁当を買い、テントの前で平らげて夕飯をすます。今日は海鮮モノは何となく受け付けない腹具合だ。うまいもの食い過ぎておなかがびっくりしたのでコンビニ弁当ぐらいがありがたい。 |

ペシ岬
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風呂に入り、戻ると隣のテントにルイガノのMTBが帰ってきていた。テントから顔をのぞかせている人がいたので「こんばんわ」と挨拶をすると、女の子の声が返ってきた。「おっ ラッキー♪」
洗濯と充電をしながら、花火を待った。なにげに忙しいキャンプである。すると花火が始まった。キャンプ場内にあるコインランドリーの前で花火鑑賞とすることにした。隣のテントのチャリダーも洗濯をしにきた。会話が盛り上がりながら、花火も盛り上がっていく。田舎の花火大会の割に、細工も満載でいい。近くで打ち上げていて高度も低く迫力満点。時々空がガスっていて、何となくぼやけた感じになるのもまたロマンチック。
今年が初チャリダーとして小樽から北上してここまで来たとのことで、ある意味怖いもの知らずで、ある意味初々しいし、21歳という若さだ。そこらのチャリダーより心がけがよい。いろいろ語りながら俺の9年間に渡るノウハウを語り尽くした。乾燥機が電気式で全然乾かないので時間もいっぱいで盛り上がった。 |
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3日目 |
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利尻島・沓形 −フェリー→ 礼文島・香深 |
2003/08/12 |
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香深 → 礼文林道 → スコトン岬 → 久種湖 |
52.40km |
朝、天気は晴れていた。俺の気分も晴れていた。利尻島に渡って初めて利尻富士が見えた。今日から利尻一周するべく先に出発した昨夜の娘を見送り、利尻富士をバックに写真を撮り、俺も撤収。40分後の10km先の鴛泊発礼文行きのフェリーを狙って出発。しかし向かい風が激しく体力的に挫折。昼イチの沓形発のフェリーに変更。泣く泣く引き返す。昼まで暇だし体調もさえないので休憩小屋で休むことにした。2日間の付き合いだったキャンパー達に別れを告げ、港へ向かった。
このキャンプ場を離れるのは本当に寂しいものだった。別れ際に皮肉なほどよく見える美しい利尻富士を眺めながら、ギリギリまで乗船させてくれないフェリーを待つ。そこにいたライダーと話しながら待っていると、車から先に乗船し始めた。小さいフェリーで出入り口が片方しかないのでバックで入庫である。「じゃあ、我々もバックで行きますか・・・」俺のノリには全く付いてこなかった。イマイチか。 |

さらば利尻島!
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さらば利尻島・・・ と45分の船旅があっという間に終わり、礼文に到着。数人のチャリダーとライダーとともにフェリーを飛び出した。あまり食欲がないが、昼飯を食えるところを探した。セイコーマートが1軒あると噂に聞いていたが見つからず、結局
食欲もあまりないので、食わずに礼文林道、桃岩展望台へ向かって坂を上っていった。
桃岩展望台への遊歩道の看板が見えてきた。かなり手前になるんだが、手持ちの地図ではそこより先に桃岩展望台に行ける道がありそうもない。往復1時間を見積もって歩き始めたら、猛烈な便意におそわれた。しかしトイレがない、トイレはあったが紙もない。何とかこらえて展望台へ。桃岩は見事だ。ただ、天気がイマイチで花も枯れているのが残念だ。さっき歩いた道を戻り、自転車に乗り換えた。 |
便意をこらえながら坂の続きを上っていく。林道に曲がるところがあった。いい感じに荒れていて、傾斜が急だ。これは
なかなか面白い走りになる予感。途中、ちょろちょろと歩いてる観光客も居るが、俺の装備を見て驚いている。オンロードタイプのチャリでよく上ってるもんだと自分でも思うが、やはりダートは楽しい。
頂上付近に上るとダイナミックの谷と海が見えてきた。海の向こうには雲に浮かぶ利尻富士が見える。途中、降りて登山道を上っていくと尾根沿いの登山道を境に、低い山が連なるなめらかな景色と、海の向こうの利尻富士という風景が同時に見える。やはり、人力で標高を稼いで景色を眺める。しかもダート。これがサイクルツーリングの醍醐味だ。途中、チャリダーやハイカーとすれ違いつつ慎重に林道を下る。 |

礼文林道
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林道を下りきり、今日の宿泊地候補のキャンプ場があったが、とりあえずスルーする。まずはスコトン岬を目指したい。明日はこのキャンプ場からバスでスコトン岬に行って そこからここまで歩くんだが、バスで行く前にスコトン岬に自転車で到達しておきたいという気分だった。
海沿いに北上すると向かい風、チャリダー1台を抜くほどの快走だったが、納得がいかない。もう少しで九種湖というとこで、上り坂・・・びっくりするぐらいトルクが細く足が踏ん張れない。上半身も力が入らずまっすぐ進まない。全くコントロールの利かない自分の体にとまどいつつ、まあ越えられないことはない峠を越えて、船泊の街へ。スーパーで一応買い出しを済ませて、食欲はないが、体に力が入らないことに危機を感じて、コーヒー牛乳とパンを食う。
そこから、スコトン岬への道をさらに進む。もうすぐ日暮れだ。何とか、走りきりたい。しかし、体に力が入らない上、腹痛も来た。しかも向かい風で寒い。徐々に暗くなる道を進み、へとへとの状態で
礼文島最北のスコトン岬に到着。軽く写真だけ撮って戻ることにしたが、そこから腹に激痛が来た。圧迫されてウェストバッグも付けてられないほど痛い。寒いし日も沈んで来たのでナイトランの様相を呈してきた。
すっかり日が暮れた頃、九種湖のキャンプ場へ右折し、受付より何よりトイレに直行だ。紙も大量にあり安心した。文章に表せない闘いを終えて、トイレに一番近いスペースにテントを張り、テントの口をトイレ方向に向けておいた。
もう食欲も風呂に入る元気もない。正露丸を4粒飲んでテントに入り、アンパンと6Pチーズで最低限の栄養を摂って眠りについた。あしたの8時間コースのトレッキングはあきらめることにした。こんな体調じゃどうしようもない。 |
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4日目 |
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久種湖 → スコトン岬 → 香深
稚内 → ノシャップ岬 → 稚内 |
56.45km |
2003/08/13 |
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礼文島・香深 → 稚内 |
体は治った雰囲気だ。パスタを茹でて、具もよく火を通して食う。とにかく炭水化物が必要だ。全身で実感していた。昨日の利尻で会ったライダーと車旅の人と再会。意外と世の中狭いものだ。多少、体の回復が見られた。キャンプ場から澄海岬までの緩い傾斜なら上れた。昨日ほど体が言うことを聞かない状況ではない。 |
途中、4時間コースに挑戦中のファミリーと会って話したりでテンションもあがってきた。峠を1本越えて、澄海岬のパーキングに一気に下る。天気も体調もよくなってきた。海の透明度と色が違う。ようやくコントラストが戻ってきた感じだ。
岬から海を眺めているとカヌー乗りの集団が海面に見えた。カヌーには興味有りだ。ちょうど漁港に休憩に来たので話しかけてみることにした。大学のカヌーサークルらしく、カヌーもさほど高くなさそう・・・触手が動く。そこで大学生がジュースじゃんけんを始めると言い出した。俺も参戦だ。7人相手に負けてしまった。まあ社会人だしいいや。かなり面白い集団に見送られ、先ほど下ってきた坂を上り、スコトンを目指す。 それにしてもスコトン岬の尾根づたいの道はかなり気持ちいい。途中でゴロタ岬への遊歩道を歩く。女性が一人で歩いてるのを2人も見かけた。意外と居るもんだ。そりゃ現地調達で8時間コースを一緒に歩いて愛が生まれるって話も理解できなくもない感じだ。(しまった・・・)
岬の頂上からはエメラルドグリーンの海と花と草がかなりきれいだ。景色に感動。さあスコトン岬にもう1回行って、香深に戻って稚内に戻るぞーとばかり、気合いを入れてスコトン岬を目指した。昨日の夕方とは体力も体調も違う。向かい風をモノともせずに突き進む。
岬には最北限と書いてある。人によっては「ここが日本の最北端にふさわしい」とまで言うが
やっぱ宗谷岬の方が最果てムードはある気がした。ここまで見てきた景色にしては大したことはない。 |

カヌー乗りの人たち
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ゴロタ岬付近
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売店で飯も食えなさそうなので九種湖のところの街まで走ることにした。昼は過ぎているが食欲はなく腹は減っていない。ただ、食わないと走れなくなるのは分かっているので無理矢理でも多少は食っておきたいもんだ。九種湖まであっという間に戻り、途中でチャリダーも1台ちぎった。食堂を探していると、昨日 どこかで会ったファミリーに声をかけられた。なぜか昔からファミリーに可愛がられて仲良くなりやすい一匹チャリダーな俺である。 |
ざるそばだけで腹がいっぱいになり、さあ南下! 追い風にあおられて一気に香深へ着いた。礼文利尻の離島の旅の終わりを実感し寂しさをおぼえつつフェリーに乗り込む。名物の見送りもあった。今年の礼文は桃岩荘YHが休業なんだが、どこの宿の見送り団だろう?見送りに手を振る人間達をバックに記念写真を撮り、眠りについた。
いよいよ稚内到着。さらば利尻・礼文。リベンジを誓い、フェリーの車のところに降りた。すると利尻、礼文と2連続で同じキャンプ場だった車が居た。世の中狭いものだ。稚内に降りて、ドーム型堤防の下へ行くと、利尻で同じキャンプ場にいたチャリダーのおじさんも居た。なかなか世の中狭い。 日暮れに向かい風の中 ダッシュで夕陽の名所 ノシャップ岬へ行った。日本縦断の時は京都大学の女の子と二人で行ったものだが
今年は現地調達はならなかった。行ってみると観光客でごった返していて 昔のようなロマンチックな雰囲気はなかった。観光客は多かったが
それなりに二人の世界はあったような気がした。今年は一人だ。そんなもんかと
残念な気持ちで見るだけ見て市街地へ戻った。
利尻で一緒だったチャリダーのテントの横に俺も張らせてもらっていると、高校生のチャリダーも来た。しっかり社会のルールを教えてやった。「高校生はビールとチューハイまでしか飲んじゃいかん」稚内市街は盆踊りで今日もお祭りだ。
食事はそこで焼きそばでも食うことにした。しかも えれぇ安くて驚いた。なぜか疲れがたまっており、すぐ眠りについてしまった。 |

さらば礼文島!!
(青いウェストバッグの男が俺です)
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ノシャップ岬 夕日
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5日目 |
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稚内 → 宗谷岬 → 浜頓別 |
102.92km |
2003/08/14 |
ドーム堤防の下でテントを撤収していると ついつい隣のテントのチャリダーと話し込んでしまい、出発は遅れた。ここからは体力でカバーするしかないが、価値観として走りまくることよりは旅人とのコミュニケーションに時間を費やすのもありだろう。何となく家のように親しんだ稚内市内を後にして、寂しさを覚えながら宗谷岬を目指す。向かい風ながらチャリダーを2組ちぎって好調な走りだ。
寒い宗谷岬に到着し、記念写真を撮っていると礼文で会ったファミリーと再会。こんなに出会いと別れと再会の多い旅も珍しいが楽しい。今年も日本縦断のスタートと同じように海に入り日本人最北を達成し、一人で来てる女性ライダーを捕まえて「北」の人文字を作った。見た目は若いが
ライダー9回目のベテランだった。見かけによらないものだ。 昼食タイムだが相変わらず食欲がなく、たこ焼きとコロッケで昼飯を済ませて浜頓別に向けて出発。行きは北風だったので、続きは南に向かうので追い風?と思ったが結局 また強烈な向かい風が続いた。ギアを落としてグイグイ漕ぐしかない状況だ。今日は苦しい走りを強いられている。オホーツク海を抜ける風は容赦なく俺の正面からぶつかって来る。そして気温も15度しかなく寒い。何とか猿払の道の駅とキャンプ場に着いたが、俺の目標はあくまでも 30km先の浜頓別。稚内から3日で旭川に行くためには今日 距離を妥協するわけにいかない。 |

最北端で北の字。
ご協力ありがとう!
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最北端、さらに北
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一発気合いを入れて再びペダルをこぎ出す。ここからは道がやや内陸に入り風がゆるんだ。この隙に一気に距離を稼いだ。しかし道が再び海に寄るにつれて向かい風は強くなってきた。俺の体力も限界に近くなってきた。腰痛、太ももの力、ハンドルを操る上半身・・・
日も暮れ始めた夕方6時半 ついに浜頓別の市街地に着いた。セイコーマートでプリンを食って最後に糖分を補給し、夕食用にパスタを買ってクッチャロ湖キャンプ場に向かった。まだ夕陽に間に合う!最後の力を振り絞り、湖に行き、カップルライダーに写真を撮ってもらおうとカメラを渡したところで夕陽は沈んだ。
大阪人の楽しいライダーと話した後、ライダーは20km先のライダーハウスへと行き、俺はテントを張る場所を探した。おじさんのチャリダーの向かいに張せてもらい、また俺の旅論を語る。すっかり日も暮れて真っ暗になったがテントはいっぱいでにぎやかである。そんな中
歩いて風呂へと行き、芋洗いの湯に耐えて遅い夕食を摂る。ライダーからもらったレトルトのハンバーグと、さっき買ったパスタを食う。相変わらず食欲は旺盛ではないが
腹に詰めた。 |
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6日目 |
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浜頓別 → 音威子府 → 美深 |
86.24km |
2003/08/15 |
昨夜話した老人チャリダーを見送り、俺もセイコーマートに寄って出発。セイコーマートで朝食を食っていると、昨日 稚内で会ったロードレーサー乗りのチャリダーが来た。稚内でチューブを買おうとしていて 俺が自転車屋の探し方をアドバイスしてやったやつだ。進む方向も一緒なので一緒に走ることにした。ロードレーサーの割の俺の走りのスピードに苦しんでいたようだ。俺も昨日の向かい風との激闘で疲れはたまっているが、今日の天気のよさに気持ちよく午前中は走りきった。
昼飯を奢ってやって、午後の走りに行こうとしたとこで、彼のタイヤから爆発音がして空気が抜けた。その場でパンク修理と行きたいところがスペアチューブの挿入にも失敗、穴あきチューブも穴の位置が悪く7気圧入れると抜けてしまう。こんなに苦しいパンク修理も珍しいんだが、結局
夕方5時までかかって駄目で、彼にはリタイアしてもらって旭川でもう一度仕切直せということにした。
俺が付いて居ながらパンクごときでリタイアさせてしまい気分が重い。彼は俺のこの先の道程を心配していたが、「俺の心配はしなくていいから、自分の心配をしろ」と言い残し出発。夕方5時から残り45km かなり苦しい走りだ。時速20km平均で行っても2時間強かかる。日没は確実に過ぎるだろう。しかも峠だ。 |

クッチャロ湖
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久々に人間ドラマ(無念・・・)
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しかし、ここはベテランの意地を見せる。峠を史上最速のペースで駆け上がり、下りも徹底的に攻めた。そして6時に峠を下りきり音威子府の道の駅で軽く休憩。
水分を補給して、続きを走る。ここから一気に疲れが来た。丘のアップダウンに苦しめられた。そして15kmを残して日が暮れた。容赦なく車が通りすぎる道をナイトランだ。時々
街灯もなく前が見づらい。集中力とともにペースもあがる。日没後を平均30km/hで走り抜けて、夕方8時
道の駅美深の森林公園キャンプ場に到着。最後の1mまで路面と右後方に神経をとがらせた。若手のアクシデントをカバーする走りを達成。満足感はなく悔しさだけは胸に残る。後から「あのときのトラブルさえなければ」と思いたくない。そのためには今日明日を走りきればいいのだ。まずは、満身創痍ながら今日のピンチを乗り切った。
真っ暗だがテントであふれたキャンプ場で管理棟の前に1張り分だけのスペースを見つけ、テントを張る。横にはチャリダーが居た。そして
すぐに風呂に入りに行き、何とか閉店前に済んだ。隣のテントのチャリダーと一緒に飯を作り、食事を済ませた。なかなか楽しみな若手だ。立命館大学のサークルらしいが、立命館大学は会うのが3人目だが、いずれもセンスと将来性を感じるチャリダーばかりだ。立命はいいチャリダーが育つ風土がある。 |
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7日目 |
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美深 → 塩狩峠 → 旭川 |
124.65km |
2003/08/16 |
昨日の悔しさを走りにぶつけるべく気合いは入っている。しかし、さすがに疲れが来ている。美深の道の駅でコロッケと羊のチーズと羊乳を朝食として食して出発。美深の市街地で飲み物を買って、一気に名寄のひまわり畑を目指す。それにしても体にキレがない。今日は道路標示でも115kmある。かなりハードだ。
午前中にやっと名寄に着いた。ひまわり畑を見て感動する。観光地には違いないが、昨日の出来事で心が痛んでいる時には沁みるもんがある。こんなスケールのでかい花畑は北海道ならではだろう。昼だというのに食欲はないので走りに集中したいところだが、足が重い。午後だけで90kmを残す大苦戦。 |

名寄 智恵文 ひまわり畑
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しかし、ここからが俺である。名寄市内に来て 一気にペースがあがってきた。微妙な向かい風もモノともせず和寒まで45kmを2時間半で走り抜く。ついに午後2時半の時点で残り45km。昨日よりはよっぽど楽だ。昨日のナイトランのおかげで変な自信がついてしまった。ナイトランを当てにするのはよくないが、今の俺でも不可能ではないことが分かった。とりあえず和寒で腹は減っていないが遅い昼飯を食うことにした。カボチャパイとカボチャソフトクリームとカボチャとチーズ
の団子で軽くすます。ていうかめちゃくちゃうまい。そして筋肉が暖まってるうちに続きの走りに出たが、そこから最後の峠
塩狩峠を越える。楽勝な峠なのだが、ダラダラと真っ直ぐ上っていく。
そして3時半に峠越え 残り25km。頭の中で「いける!」そう確信した。ペースも一気にあがってきた。メーターを見ると30kmを割ることが無い。チャリダーも2組ぶっちぎった。ついに数年間くすぶっていたツーリングに強い俺が戻ってきた。1日の走行距離100kmを越えて本領を発揮する俺の走りが戻ってきた。足もまだまだ動く。上半身も力がしっかり入る。そして
ついに旭川市 突入。
市街地に入ったコースも快調にとばし、PM5:30 旭川駅前の横断歩道を走り抜き、旭川までの完走を果たす!
終盤3日は 本当に苦しかったが、ベテランの意地を見せた。リタイアさせてしまった若手の分までしっかり走ってやった。今年はいろんな思いを背負った渾身のガッツポーズを見せて興奮をあらわにした。
旭川市内のキャンプならもう3回目だからなれたもんだ。市内の大きい公園でテント場を確保できる。風呂だけ観光案内所で探し、待合所で休憩がてら携帯電話を充電する。
市内で風呂に入り、挨拶すらしない学生チャリダーに腹を立てる。いい若手も居ればこんな旅人もいるものだ。所詮 富良野とかナンパな走りに行く素人の集まるところだ。稚内とかあの辺にいた人たちの人間性が懐かしい。
旭川市内で居酒屋で打ち上げだ。相変わらず食が細く酒も受け付けない体で残念だが満足である。昔はチャリダーでにぎわった公園も 今は こんなとこで張るヤツは俺だのようだ。割と目立たない場所を選んでテントを張り、考え事をした。スランプを抜け出せない仕事のこと、生き方のこと、今後の旅のこと・・・ チャリダーと語らいながらのキャンプもいいが、やはり一人旅の最後は一人で静かにキャンプするのが いいものだ。考えを巡らすうちに「引退」の2文字も見えたが、考えがまとまることはない眠りについた。 |
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8日目 |
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旭川市内 → 旭川空港 |
24.92km |
2003/08/17 |
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旭川 → 羽田 |
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羽田空港 −高速バス→ 宇都宮駅 |
とうとう旅も終わりだ。テントをたたんで、荷物を送りに郵便局に行く。荷物をまとめて宇都宮に送り返す。軽装になったチャリで土産を探して市内を巡る。あんまり見つからないので飯を食って空港に向かうことにした。
富良野へ向かう道を走り、途中で左折し空港へ・・・ 寂しさの中 自転車をばらし、搭乗手続きを済ます。飛行機は混んでいる。連休最終日の便だ。ロイズの生チョコと適当に菓子を買う。北海道土産選びも、食欲がないためかなれてしまったためか身が入らない感じだ。
そして飛行機に乗り、今年も北海道に別れを告げた。東京に降りて、高速バスで宇都宮に帰った。今年ほど旅の終わりが寂しいと思う年も無いが、完走した喜びは大きい。久々に自信を取り戻した旅でもあったが、いろいろ考えさせられる旅でもあった。 |

旭川空港
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