旅記録

2003 夏 東北(裏磐梯)
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1日目 宇都宮 −東北新幹線 → 郡山 −磐越西線 → 磐梯町
2003/07/23 磐梯 → 磐梯山ゴールドライン→ 五色沼 29.29km
 天気予報は、明日から天気は回復。そう言い続けて1週間。結局、東北地方は梅雨は明けず。奇跡を起こせるか。期待に勝る不安を胸に出発。今日は珍しく、少し眠ってから朝イチの新幹線で輪行。郡山で磐越西線に乗り換えて、磐梯町へ。ローカルな駅に降り立ち、自転車を組み上げる。この時点では、まだ天気は良い。この調子で4日間もってくれ。
 走り出していきなり上り坂だ。アルツ磐梯スキー場へ上っていく。自転車の駆動系をリニューアルした影響か、走りが軽い。標高が上がるにつれて、天気が悪くなってきた。頂上に近くなると濃い霧が立ちこめてきたので、リフレクターを点滅させる。後ろの車の接近に神経をとがらせながら、あまり集中できない上り坂を耐える。
 とにかく走りは調子が良く、あっさりと八方台を越えた。軽く休憩して昼飯のパンをほおばって、五色沼と檜原湖に下る。途中で磐梯山が眺められる展望台があり、休憩。ただ、空は暗く立体感もない景色だ。
 あっさりと檜原湖に下り、五色沼を観光する。遊歩道を歩く前に宿を予約する。YHを予約しようと携帯を開くと、なんと圏外!どこに持って行っても圏外。携帯をあきらめて公衆電話で予約する。小銭がないので両替がてら蜂蜜飴を買った。宿も軽く予約は取れて飴もおいしい。疲れたときの糖分補給にはいいかもしれない。
 遊歩道を端から端まで往復だ。一部ぬかるんでるところもあり歩きにくい。いくつも小さい沼があり、すべての沼で色が違う。明らかに上流と下流という感じでつながっているのに色が違うのは不思議だ。
五色沼の片道を歩ききると雨が降ってきた。ガイドブックで片道30分と書いてあるところを15分で戻ってきた。降りしきる雨の中、YHに行く。雨の中宿を探すが、何回走り回っても見つからない。結局30分以上、坂を上り下りしてようやく見つけた。
天気も悪いしさんざんな旅になりそうだ。天気予報を見ると「明後日からは晴れ」と相変わらず言っている。

磐梯町駅


五色沼
雨でも湖面だけは美しい



   出発(福島県磐梯町)から 29.29 km

2日目 五色沼 → 西吾妻スカイバレー → 米沢 78.74km
2003/07/24
 起きたそばから土砂降りの雨だ。憂鬱な出発だ。何の期待もできずに、檜原湖沿いに北上する。静かな鉛色の湖面を見て通り過ぎる。五色沼みたいな小さい湖が転々とする道を走る。
 檜原湖を通り過ぎると、西吾妻スカイバレーの上り坂だ。標高が1000mを越えたあたりから雨と霧がひどくなってきた。本来は檜原湖が見渡せるのだろうが、全く展望はない。体力面だけは好調だが、寒さにやられ始めてきた。何も雑念が起こりようの無い道を集中して上る。ただ見えない道でもワインディングのすごさだけは実感できる。カーブは多いが傾斜は大したことがなく、あっさりと白布峠を越えた。達成感だけは得られた。
 霧の中、山形県側に下る。山形県側は、天気が良くは無いものの霧はない。山の向こうの方も多少は見渡せる。峠をすぎて1kmぐらいのところで猿の群れに遭遇した。しばらくすると谷の向こうに2筋の滝が見えてきた。雨なのでスピードも上げれず、寒くきつい下りになった。

標高1410m 白布峠

 下り坂の途中の白布温泉で昼食にする。もう夏だというのに暖かい蕎麦が恋しい。ずぶぬれの体をストーブで温めながら蕎麦をすする。多少、体が温まったところで店を出発。雨もちょうど止んだ。米沢に下ると路面も乾き始めてきた。ようやく下りらしい下りができると思ったら坂が終わってしまった。
 15:00頃、米沢駅に到着。今日の目標は一応達成した。これ以上、走りに行くのも面倒なので、軽く市内観光をしてキャンプする場所を探す。雨をしのげそうな場所は、結構やばそうな場所しかないので、夜間ゲリラキャンプしかなさそうだ。米沢駅の土産屋が結構充実しているので、米沢牛関係の土産をいろいろ買って行った。駅前で実家に、シーズン最後のサクランボを送り、今夜の米沢牛を食う場所を探した。こうも天気が悪いとグルメぐらいしか楽しみがない。
 見つけるべきものは見つけて、山形大の近くの銭湯に風呂に入りに行く。冷え切った体と雨と汗で汚れまくった体は温まりきれいになった。すっかり暗くなった米沢の街を走って米沢牛のステーキを食いに行く。肉は軟らかく、確かにおいしい。
 すっかり人のはけた公園にテントを張り眠りについた。


   出発(福島県磐梯町)から 108.03 km

3日目 米沢 → 福島 → 高湯温泉 59.05km
2003/07/25
 朝5時に起こされて追い出された。あほみたいに早く起こされたので早く出発しようと思ったが、面倒だし寒いので駅でのんびりして朝食を食べて出発。いきなり国道13号は、じりじりと登り始める。一番かったるいパターンの峠だ。こんな状況だったので足の疲労もたまってきた。今日は試練だ。上り坂で長いトンネル。死ぬかと思うほど恐ろしい。トラックが俺の真横を容赦なく通り過ぎる。トンネルに入ると傾斜があることも忘れ、夢中で前進。トンネルを越えると今度は下りのトンネル。ここでも車に煽られまくり死ぬ気の走行を余儀なくされる。
 峠を下る途中の定食屋で昼食にした。峠を下りきると桃園がそこら中にある盆地に出た。磐梯吾妻スカイラインの入り口の方へ曲がると、桃園がいっぱいの道だ。今日も天気は悪そうなので宿を予約する。磐梯吾妻スカイラインの入り口は福島から700mほど上ったところの高湯温泉だ。そこのYHをねらったが満室。もう安い宿で坂の上のはなさそうだ。ふつうの温泉旅館でもいいやという気分になり、花月ハイランドホテルの予約を取った。
 桃園いっぱいのフルーツラインから磐梯吾妻スカイラインへ曲がっていく。料金所までかなり上る。また、気合いの走りだが、急にトイレに行きたくなった。公衆便所付きの桃園があったのでトイレを借りて、ついでに桃を2個買っていった。甘くてうまそうだ。
 標高にして200m上ると福島市内が見下ろせるようになってきた。今日最後の景色だろう。予想通り、ここからは雨が降りしきる。傾斜もだんだんきつくなってきた。へとへとになりながら高湯のドライブインに駆け込んで休憩。最後の力を振り絞って、標高800mの高湯温泉の一番上に位置する花月ハイランドホテルに到着。あまりに汚さに宿泊客と思われなかったようだが、無事チェックイン。荷物も服も体もずぶぬれだ。すぐに風呂に入る。濁った露天風呂が疲れを癒す。
 夕食を済ませて部屋に戻ると大きくて長い地震が発生。この旅の荒れ具合を象徴するような感じだ。だが、ふと外を見ると福島市内の夜景を見下ろせた。少しは期待して良いのだろうか?天気予報は相変わらず 明後日から晴れとのこと。


   出発(福島県磐梯町)から 167.08 km

4日目 高湯温泉 → 磐梯吾妻スカイライン → 浄土平
→ 土湯峠 → 二本松
61.64km
2003/07/26 二本松 −東北本線→ 黒磯 → 宇都宮
 俺の期待を裏切り、今日も土砂降りの雨のスタート。もう今日は磐梯吾妻スカイラインを越えることだけを考えて、明日はなし。二本松か郡山に下って宇都宮に帰る決心をした。これ以上、どこか回っても楽しいはずがない。心が決まったのでゲートを越えてガンガン上っていく。純粋にきついということ以外に思うことはない。あまりの寒さと強風と雨と霧に参って標高1200m地点の不動沢橋のたもとで休憩。
 中でストーブに当たりながら体を温める。目標は昼に1600m浄土平に到着であり、高さ的には半分を1時間半程度で来たので順調である。地元のおじさんには昼までに浄土平なんて絶対無理だと言われたが、果たしてどんなもんなのだろうか。体が温まったところで、意を決して出発。燕谷をわたる橋は強風と霧に煽られていて怖すぎる。
 やがて右は山、左は谷という感じの場所に出たが、どちらも霧で隠れて詳細な景色はない。浄土平とかそんな地名に地獄とか天国を感じるが、この先の見えない風景を走ると、あの世ってこんな感じなのかなと思ってしまう。ひたすら上っていると、火山ガスのにおいが立ちこめるところに出てきた。もう浄土平は近いはずだ。景色も見ずに上り続けるだけだとホントに早い。
 ぎりぎり午前中に浄土平に到着。とにかく寒いのでドライブインに駆け込む。ぬれたサイクリンググローブが冷たい。気温は5℃しかない。ぬれた体を乾かしながら暖かい蕎麦をすすり、とにかく暖をとる。とにかく出かける気になれず、無料のつまみ放題の豆とホットのコーヒーでさらに暖をとる。
 もういつまで経ってもらちがあかないので意を決して出発。寒さと強風と雨と霧に耐えて出発。気合いの走りで最高地点に到達。淡々と写真撮影をこなす。もはや上りきった喜びすら薄い。  下りに入った。すると、ところどころ山から流れている水が川になって道路を横切っている。しかも、自転車ごと振り回されそうな突風が山から谷に向けて吹いている。姿勢を落としてブレーキをかけて慎重に下る。山の木々からは葉が飛びまくり道路に散乱している。
 そして地獄のような下りを耐えて、土湯峠のゲートに到達すると、入り口は閉鎖されていた。道理で車とすれ違わないわけだ。
 土湯峠も立っているのがやっとの突風が吹き荒れており、とにかく標高を下げるべく、下っていく。国道115号線に合流すると風はようやく止んだ。今日一日でブレーキシューが減りまくったのでワイヤを締め直す。緩すぎて全く効かなくなってきた。
 国道115号に合流して道の駅・土湯で休憩して459号で一気に二本松を目指した。下界に降りると雨も完全に止んだ。ようやく平常心で走れる。何はともあれ、今日決めたゴール二本松駅に到着。
 つらく達成感のみあるツーリングを振り返りながら自転車をばらした。昨日の地震は宮城では被害が大きいらしく東北本線のダイヤはあれまくっていた。とにかく目の前にやってくる電車に乗るだけだ。久々に晴れ間を見たのは電車の中、黒磯をすぎたあたりだった。
記録写真程度の写真しか残らない旅だった。

不動沢橋 標高1200m


浄土平 標高1600m


最高地点 標高1622.0m


土湯峠


何はともあれ完走。二本松駅



   出発(福島県磐梯町)から 228.72 km


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