旅記録

2004 GW 房総半島
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1日目 宇都宮 → 益子 → 笠間 → 水戸 → 大洗 104.65km
2004/04/29
 いつものように徹夜で準備して会社に行ってと言う流れを作れなかった。普通に19時まで仕事をこなして、プチサービス残業の後に帰宅して準備。今回は疲れのせいか準備もはかどらずテンションも上がらない。悪い傾向だ。何とか明け方に洗濯を済ませてコインランドリーで乾燥機をかけて準備完了した頃には5:00。
 そこからランドナーに荷物をパッキングしていると、新聞配達員が来たので明日からの新聞を止めてすべての段取りが完了。6:00にサラリーマンツーリング初の自走出発だ。いつもの通勤路を走って向かっていく。何となく出勤しているようでイヤな気分だ。会社へ曲がる道を過ぎるとその思いは無くなった。
 8:00には益子に着いた。ここから県道の峠を越えると茨城県だ。日が昇って本格的に昼になると暑い。Tシャツ一枚で峠を登っていく。坂は緩い。のどかな景色と明るい日差し、新調したオークリーのサングラスの視界は鮮やかだ。何の変哲のない田舎の風景を満喫し、峠を越えて茨城県突入。
 8:30には笠間に下ってしまった。出発が早かったので走りがはかどってしょうがない。ペース的にも快調だ。まずは笠間で観光といきたい。コンビニで長い休憩をして、笠間の市街地へ行く。笠間稲荷と笠間焼の陶器市で観光できそうだ。まずは笠間稲荷。雲一つ無い空に照らされた境内、なかなか立派な神社。藤の花が満開で気持ちいい。稲荷の前の松緑の地酒試飲の文字に惹かれて入店。もはや長い一日なので朝という気分ではないが、朝っぱらから飲酒。辛口でコクがあってうまい。造り酒屋の風情もあっていい。
 ややほろ酔いで水戸に向かうわけにもいかないので、陶炎祭で笠間焼きの陶器市を見物しながら酔いを覚ます。なんか明確な特徴の見られない陶器だが、祭りの規模はかなりでかい。そろそろ自炊に向けて食器を集めてもいいかと思ったが、何も持って帰れないのであきらめた。

出発! 自宅前


笠間稲荷


晴天の笠間稲荷と藤の花


笠間稲荷前の造り酒屋

 国道50号で一気に水戸を目指す。あまりに単調な道に眠気すら出る。この辺から向かい風になってきた。そろそろ疲れてきた足、眠気と戦って水戸に到着。せっかくなので何か名物をということで納豆料理を探す。ちょっと迷ったが、るるぶにも載ってる店に入ってみた。愛想も悪い、料金もえれぇ高い。さすが水戸で納豆を使った料理もいくつかある。納豆の天ぷら、みそ汁、納豆醤油を頼んだ。有名店の割に納豆の味もどこかイマイチ。前に電車旅をしたときに持ち帰った土産のワラ納豆を食べたときほどの衝撃はなかった。
 街宣車と抜きつ抜かれつで大洗を目指して走る。眠気も疲れもピークに達してきた。集中力も落ちてきた。自分にむち打ち意識をはっきりさせながら走る。とはいえ、午後イチから20km程度と少ないので、あっという間に大洗駅に到着。ベンチに座ると、ついつい寝てしまった。寒さで目が覚めてキャンプ場と風呂を探しに行く。人でごった返している大洗の海岸を流しながら海浜公園でのキャンプをねらったが、どうも管理が厳しそうだ。
 大洗海岸の南端にキャンプ場を見つけた。なんとテント1張り2000円。高い高すぎる。自転車の小さいテントで場所もほとんど取らないのに、この値段かと尋ねるとあっさり500円になった。テントサイトの広さが俺のテント10張り以上分。レギュラーで2000円という値段に納得。
 テントを張って、夕食の買い出しに出かける。せっかくなので地の物で攻めたい。ハマグリを買っていき、米をといで水を張って風呂に行く。やはり走りの後は温泉に限る。キャンプ場に戻り、ハマグリのみそ汁を作る。なかなか均一に火が通らない。めったに自炊しないので難しいもんだ。ご飯は、チタンコッフェルを焦がした教訓を生かして米の下にアルミを敷いて熱が均一に伝わるようにして成功。チタンコッフェルで初めて焦がさずに炊けた。しかし、今の俺の胃には炊きすぎだ。ハマグリのみそ汁は出汁も貝もうまい。大満足のオーシャンビューのサイトで眠りについた。

大洗 無駄に広い一枠



   出発(栃木県宇都宮市)から 104.65 km

2日目 大洗 → 涸沼 → 玉造 → 佐原 92.46km
2004/04/30
 昨日の疲れもすっかり抜けた。天気は最高。荷物をたたんで走り出す。いきなり道を間違えて涸沼方面に行きそびれたが、野生の感だけで軌道修正。ゴルフ場の脇を通り抜けると、突然ダートになった。ダートの先には涸沼が見えている。方向性は悪くなかったようだ。
 涸沼沿いを気持ちよく走り抜け、霞ヶ浦方面へ曲がっていく。曲がってすぐのところで休憩して買い物すると、商店のおばちゃんがお菓子とお茶を出してくれた。1時間ほど話し込んで休憩して出発。道も教えてもらって安心だ。

涸沼へ向かうダート道

 しかし、教えてもらった道は分かりそうで分からず、迷ってしまった。どのみち地図を見てても迷うだろうというぐらいわかりにくいコースだ。野生の感だけで霞ヶ浦を目指すがなかなか思うように霞ヶ浦沿いをにおわせる場所にたどり着かない。昼過ぎにようやく霞ヶ浦沿いの玉造町に着いた。
 霞ヶ浦沿いにでると、気持ちの良いサイクリングロードが続いている。追い風に煽られながら改走。ただ、湖自体はあんまり水がきれいそうじゃなく残念だ。霞ヶ浦大橋のたもとの道の駅で休憩。タワーにかかっている鯉のぼりが見事だ。風も強く元気よく泳いでいる。休憩しながらフリーマーケットの店のおじさんと話す。また、気持ちの良いサイクリングロードを南下する。途中でダートがあったりで楽しい。霞ヶ浦も終わりかけたころに、公園があり、また見事な鯉のぼりが湖面をバックに泳いでいる。
 そんな追い風の道も終わり、佐原に向かう道は強烈な向かい風だ。距離は短いとは言え、足に力も入らず進まない。何とか車に追い風を作ってもらいながら進み、16:00には佐原駅に到着。今日の寝床を探さなければならない。街の中をさまよい、無駄に坂を上らされたりで、さんざんな目にあいながら駅の前の公園でゲリラキャンプならできそうだ。街をさまよっていると、川沿いの道がいかにも水郷の街という雰囲気でいい。倉敷を思わせるものがある。
 ちょっとだけ観光して風呂に入りに行く。わかりにくい道を行ったり来たりで何度も通り過ぎながらやっと発見。風呂の後は飯だ。今日はゲリラキャンプなので、あまりまじめに自炊はできない。せっかく水郷と霞ヶ浦の街なので川魚料理なんて食べてみたい。探してみると鰻とドジョウの柳川が食べれそうな店を見つけたので入った。やはり名物攻めと決め込みたいところだ。ドジョウなんて10年ぶりぐらいだが、大満足。ほろ酔い気味でさっき見つけた公園に戻り、テントを張って眠りについた。

霞ヶ浦サイクリングロード


道の駅 玉造 鯉のぼり


霞ヶ浦沿いの鯉のぼり


水郷の街 佐原



   出発(栃木県宇都宮市)から 197.11 km

3日目 佐原 → 潮来 → 鹿嶋 → 銚子 → 犬吠埼 → 銚子 90.73km
2004/05/01
 今日も朝から好天。ただし風は強い。テントをたたんで、なぜかここに来てジャンクフードが恋しくなりマクドナルドの朝食セットを食って出発。いきなり潮来に向かう道は、強い向かい風。のどかな田園風景と、向かい風と格闘しながら走る俺、このコントラストがサイクリストだ。ただ、今日の予定では距離は短いので精神的に余裕はある。
 前に電車で来た水郷の街、やはり霞ヶ関から流れ出る川と水路の風景が何とも趣深い潮来に到着。水郷フェチな俺は楽しみにしていた景色だ。こういう水郷の雰囲気とランドナーは似合う。
 軽く休憩して鹿嶋へ向かう。道路は連休らしく混んできた。車に向かい風を切ってもらいながら、快適に進む。あっという間に鹿島神宮に到着。青い空に映える立派な神社とうっそうと茂る杉の木が何とも言えない荘厳な雰囲気を醸し出しているが、木陰が気持ちいい。鹿島のお巫女さんは美人揃いなのは以前と変わらない。保険証のケースに入れていた鹿島の御守りを奉納して、新たに御守りを買った。神とか霊とかUFOとか信じない人だが、保険証の守り神のおかげで、長年にわたって怪我も病気もせずに居られたのかと思う。境内を進むと、雰囲気が変わった。なんか物々しい雰囲気で立ち入り禁止と書いたロープがある。向こうから人がまたがった馬が走ってきた。直線ダート1000m 馬場:良 って感じだが、何があるんだろう。もう1騎来たが、なんと走り抜ける馬にまたがったまま、矢を放っている。どうやら流鏑馬の練習のようだ。あと3時間後に始まるようだが、残念ながら待つわけにはいかない。とりあえず撃つ瞬間の写真だけは収めたい。デジカメの処理の遅れを読み切って、写真を撮る。

潮来 水郷の街


鹿島神宮 流鏑馬(練習)

 蕎麦屋で昼飯を食って、出発。走る向きが変わったので風が追い風になってきた。バイパスを一気に駆け抜けて、利根川沿いに下り、銚子大橋まであっという間にたどり着いた。今日中に犬吠埼へ観光に行く余裕がありそうだ。
 車では何度か来たこともある銚子市内で寝床もあっさり見つかった。観光モードだ。犬吠埼へ向かう道の途中に煎餅屋があった。当然、立ち寄る。焼いて醤油を塗ったばかりの「濡れ煎餅」が、めちゃめちゃうまい。煎餅の常識を覆す味だ。醤油の香ばしさと煎餅のパリパリ感と濡れ煎餅特有のもっちりした感触。試食が豊富ですばらしい。
 すっかり元気をもらって、銚子半島一週道路をガンガン進む。海沿いの軽いアップダウンもこなして、向こうに灯台が見えてきた。目標が見えればあとは行くのみだ。何の記念でも無いが、到着すると何故か達成感が出てきた。ちょっとした「端っこ」だからだろうか。灯台と鯉のぼりをバックを写真を撮り、灯台に上る。灯台の上から見る景色は、ひたすら広い海。月並みだが地球の丸さを実感するような水平線。ただ、俺の体重でも吹き飛ばされそうな強風、ぶっちゃけた話で高いところが苦手な俺、若干 居心地が悪くなってきたので、やるべきことだけはやって灯台を降りた。

犬吠埼灯台

 「端っこ」に別れを告げて、さらに標高の高い「地球の丸く見える丘」の展望台に行く。えっちらおっちらと坂を上り、展望台に上る。まさに屏風のような屏風ヶ浦と雲の切れ間から海に差している光線、向こうに見える水平線。なんか神秘的な眺めでもある。雄大さと箱庭のような美しさの両方を持ち合わせた景色は好きだ。
 キャベツ畑と海岸を眺めながらすすみ(というより道に迷った)、若干 遠回りをして、ちょっとだけ疲れて銚子駅へ戻った。日が傾いてくると寒くなってきた。ていうか、今日は寒い。銚子に戻ると、飯を食うところを探して決めておいて、風呂に入りに行った。銭湯で冷えた体を温めて、スッキリしたところでコインランドリーで洗濯物を洗いながら、夕食へ行く。せっかく銚子まで来たので寿司を食いたい。1Fが居酒屋、2Fが寿司屋になってるところへ。どのネタを攻めても新鮮でうまい。酒も進む。内陸には絶対に無い味というものがあるものだ。完全に満喫して、コインランドリーへ戻り、乾燥機を動かしながら、るるぶを読む。外房の海も気持ちよく眺めながら走れそうだ。明日の走りに胸を躍らせながら、夕食の余韻に浸りながら、寒い銚子の街でキャンプだ。

地球の丸く見える丘から屏風ヶ浦を望む


   出発(栃木県宇都宮市)から 287.84 km

4日目 銚子 → 九十九里浜 → 太東埼 → 御宿 117.26km
2004/05/02
 今度は日に当たり暑さで目が覚める。公園を撤収しセブンイレブンで朝食を済まして、出発。若干、足に疲れがたまってきた。銚子市内のアップダウンでも結構堪えるもんがある。屏風ヶ浦の南端に刑部岬の展望台と灯台があるようなので、ここは急な坂を上ってでも楽しみたい。上ってみると、若干見づらい屏風ヶ浦を眺めていると、もっと近くまで行ってみたいという衝動にかられて、走り出した。いきなり、15%ぐらいあろうかという劇坂を下った。つまり戻らなければならないということだが、のどかな農村を下り、屏風ヶ浦の岩の間の海岸に出た。近くからだと意外と眺めにくかった。
 先ほど下った道を上り直し、また展望台へ。新宿区ナンバーの原付の女の子2人居たり、一般人に話しかけられたりで楽しく観光。海と屏風ヶ浦とかなり向こうまでつながっている九十九里浜の眺めがいい。これから走る九十九里浜に向けて坂を下り、国道に戻る。ここからはひたすらまっすぐで楽しい海岸線の道かと思うと楽しみだ。
屏風ヶ浦を九十九里浜側から

 しかし、意外と海が見えなくてつまらない海沿いの道に嫌気がさし、海岸に無理矢理出て自転車道を走る。追い風もあってかなり快走。時々、道にたむろしてるサーファーを交わし、時折積もっている砂で足を取られないよう慎重に踏み越えて行く。
 そんな楽しい海岸自転車道もあっという間に終わってしまった。ここからは海が全く見えない海沿いの道だ。そんな状況に耐えかねて時々、海の方にでてみても道はない。そうこうしてるうちに腹も減ってきた。魚を食えそうなところを見つけたので休憩。焼き魚定食と焼きハマグリだ。ハマグリの身は歯ごたえもあって、かなりうまい。磯の香りがする。
 昼食をすませて走り出すと、雲行きが徐々に怪しくなってきた。完全に曇った状態で、だんだん道も海岸から離れていく。走りだけは好調だが、天気も気分もいまいちで寒い。九十九里浜も完全に終わり、最後に太東岬への劇坂を上り、これにて九十九里浜を完走である。曇っていたが水平線と向こうまで見渡せる九十九里浜。これを走ってきたんだなと思うと達成感もある。そんな感覚に浸っていると、ファミリーに話しかけられたりで完走した喜びをいっそう盛り上げる。
 今日も走行距離は100kmを超えてきそうだが、御宿まで走って月の砂漠とか見物してキャンプしたいものだ。観光地だし公園もありそうだ。風呂ももちろんありそう。期待して最後の10kmを走る。あっという間に御宿に着いた。まずは今日の完走の喜びをかみしめて、観光案内所で情報収集する。キャンプ候補地も3カ所ほど見つかった。まず寝床を探しに行く。天気が悪いので屋根のあるところで泊まりたかったが、なさそうだ。御宿の街を探ったが、あまり良さそうな場所は見つからなかった。どうせキャンプしてるサーファーもいっぱいいるし海岸の砂浜で構えてしまうことにした。
 宿を決めたら、月の砂漠のモニュメントを見に行く。砂浜にラクダと旅をする人の像がたっているのだが、砂山の下のコンクリートが丸見えでがっかりな感じだ。砂浜のきれいさだけは認めるが、残念だ。

御宿 月の沙漠

 観光を終えて風呂に入りに行く。それにしても今日は混んでる。まさに芋洗い状態。何とか体を洗い終えて、今度は飯だ。うまそうなとこはすべて混んでいた。仕方なく…というわけでもないが、小さな居酒屋に入った。生ビールとさんが焼きと他魚系のものをつまみに飲んで店を出た。なんか、炭水化物系がない。つまり「飯」か「麺」でもいいのでほしいとこだ。戻り道の中華料理屋で担々麺を頼む。半端じゃなく辛かった。汗だくで食い終わり、店を出て海岸にもどる。サーファーの車中泊を割って入るようにチャリを止めて、テントを張った。波の音を聞きながら爆睡。


   出発(栃木県宇都宮市)から 405.10 km

5日目 御宿 → 鴨川 → 野島崎 → 洲崎 → 館山 114.33km
2004/05/03
 残すところ100km強だ。いよいよ最終日だろうか。今日、館山まで走り切ってしまえば終わりだ。そんな寂しさを象徴するかのように、あまり天気はよくない。
 気さくなサーファーと話しながら準備をして出発。今にも落ちてきそうな不安な空と海を眺めて、月の砂漠記念館に寄り道。ついでに、記念館の前で焼いてる鯵の干物で朝食。コンビニでおにぎりを買ってきて、ご飯と魚を堪能。
 意外と楽しかった御宿を出発し、国道沿いに南下。出発も遅くペースも伸びない。道も海に沿っていないので眺めがない。しかも車で混んでいる。何となく関東くさい雰囲気がいやだ。

御宿 テントから海を望む

 とうとう雨まで降ってきた。ちょうど雨が来たところで勝浦の朝市に寄り道する。海沿いの街の朝市なので海産物が多い上、人も車も多く雨まで降っているので、店には一つも立ち寄らずにスルーした。これで日本三大朝市も輪島、勝浦と制したので高山を残すのみとなった。
 雨の勝浦を出発。どうやら今日は雨が続きそうだ。どこまで走れるか、どうせ野島崎まで行くなら晴れてる日がいい。気分的には千倉あたりで一泊するか、野島崎をカットして館山まで行って一泊して、明日館山から野島崎を回るか。だんだん走る気が失せてきた。国道からは海は見えない。ひたすらアップダウンが多いだけでつまらない。しかもトンネルも多い。ふと左折して海岸に出れる道を見つけた。つまらない道に飽きたので回り道をしてみることにした。名もない海岸だが険しい崖の上の道で楽しい。海は曇り空の下で鉛色だが、がけの上から眺める景色はいい。
 トンネルを抜けると下り坂だ。坂を下りきるとお遍路さんのような格好をした人々がいっぱいいる。追い越す方向、すれ違う方向。そして右側に大きい寺が見えてきた。さらに進むと左に鯛ノ浦への遊覧船乗り場、右には誕生寺だ。せっかくなので通過せずに観光モードだ。割と大きなお寺だ。
 今日はあまり進めていないので、すぐに出発。せめて鴨川ぐらいまで行ってから昼飯にしたい。しばらく海沿いの広いバイパスを走り、激混みの鴨川シーワールドのわきを抜けて鴨川市内で昼食としたい。すると鴨川市内に道の駅があった。回転寿司屋もあったが、土砂降りの雨の中、そとまで列が続いている。当然、パスだ。探すのが面倒になったのでセブンイレブンに立ち寄り簡単に昼飯を済ませて再出発。

鴨川 誕生寺

 イヤになるほどの土砂降り雨、千倉ぐらいで終わりにしたい気分だ。ひたすらアップダウンと雨に耐えながら走り、丸山へ。丸山からは一応海沿いにサイクリングロードがあるのでそっちを走る。土砂降りの雨で人は誰もいない。波も高く荒れた海。ひたすら寂しい海岸を走る。
 微妙に時間はある。もうすぐ千倉という、この時点で夕方4時。中途半端といえば中途半端。足はまだ動く。というより、天気も悪いしさっさと今年の完走を決めてしまいたい気分になった。土砂降りの雨だが、北緯35度の最東端という中途半端なポイントを過ぎたあたりからテンションが上がってきた。 千倉の市街地を抜けて海岸沿いを一気に南下する。もはや土砂降り雨を吹っ飛ばすほどのテンションとモチベーションだ。何とか房総半島縦断(?)を決めてしまいたい。ちくらの道の駅で軽く休憩して、野島崎を目指して走り出す。アップダウンもなく、ひたすら海を眺めるだけの単調な道。風もない。人も車もない。雨だけだ。
 そして向こうに灯台が見えてきた瞬間、雨も上がった。西の方から晴れ間も見えてきた。その晴れ間は徐々に俺の方に広がってきた。海の向こうには雲の隙間から日が差している光線が見える。水平線も見え始めてきた。完全に雨もあがったところで、野島崎に到着。そんなに大きい目標だったわけでもないが、かなり嬉しい。灯台と海岸で写真を撮って出発。館山まで戻りたいが、日没も近い。傾いた日に照らされる野島崎灯台、海の道が何となくきれい。こんな決めるべきタイミングだけはしっかり晴れるところが、俺の恐ろしいまでの強運だ。奇跡としか言いようがない。最高の形で完走を決めた。
 館山までの道をひたすら走る。もはやのこの旅の完走は近い。夕日に照らされるまっすぐな海岸沿いの道が気持ちいい。余裕はないが少し遠回りして洲崎灯台の方へ行く。せっかくの夕日だ海沿いの道で眺めたい。房総フラワーラインが金色に照らされている。ひたすら夕日の気持ちよさ、雨で汚れた空気が洗い流された後の夕日の金色が鮮やかに道路を照らす。照らされた道路は金色に輝く。まぶしくはない優しい光だ。
 洲崎灯台近くの海岸で日没を見送って、ラストスパートだ。アップダウンが意外と多い道を気合いで進んでいく。そして完全に暗くなった。あと5kmほどで館山市内だ。19:00ついに館山駅到着。この旅も無事、そして最高の形で完走を決めた。何回やっても完走は嬉しい。
 館山駅前の交番で風呂の場所を聞いたが、日帰り温泉やってる旅館があるようだ。海岸近くにキャンプできそうな公園がありそうだ。サーファーが屋根の下にテントを張っている。俺もそこに割り込ませてもらって宿は確定。ただ、風呂はGWの繁忙期なので入らせてもらえないようだ。

野島崎灯台 雨も上がる


そろそろ日没の南房総


夕暮れ迫る道


館山 洲崎からの夕日

 やや汗くさい体で打ち上げに行く。せっかく館山なので魚介類がいい。当然寿司だ。店もあっさり見つけて落ち着いた。生ビールで乾杯。今年の完走を喜んだ。鯨のたれ焼きがうまい。ビールとよく合う。しかし、寿司はいっこうに出てこない。おまかせにしたのだが板さんは全く握る気配がない。あおっても後にしてくればかり。料理を頼んでも何も出てこない。そんな状況で50分。偉そうな板前が「今から握ります」と言ってきた。俺の我慢は限界を超えた。食った分だけの代金を払って店を出た。史上最低の打ち上げだ。何のために寿司屋のカウンターに座ったのかわからない。不愉快なまま、スーパーで総菜を買い、テントに戻って食う。うまくもないし楽しくもない。最低な気分で眠りについた。


   出発(栃木県宇都宮市)から 519.43 km

6日目 館山 −内房線・京葉線 特急しおさい → 東京
−東北新幹線 → 宇都宮
2004/05/04
 テントがばさばさと風に揺れている音で目が覚めた。海を眺め潮風に吹かれながら最終日の日記を書く。だんだん風が強くなってきた。そして時折突風にあおられて砂が飛んでくる。そしてテントの方を見ると荷物ごと風に吹かれてテントがずれていく。こりゃ駄目だと俺もテントに戻る。テントの側面は風で押しつぶされる。
 風がやや収まりかけたところで、荷物を撤収しテントも撤収。サーファーの家族に挨拶して館山駅に出発。館山駅で土産を買い集め、回転寿司屋で朝昼飯を食う。昨日、食いそびれたからカウンター攻めをしてしまおうかと思ったが、回転でもいいやという気分だった。たまたま居合わせたチャリダーと話をすると、定年して館山に家を建ててのんびり暮らすと言っていた。そんな姿が少しうらやましいし、俺も年を食ったらそういう生き方をしたい。あこがれの姿だ。
 夫婦のチャリダーと一緒に、俺も駅の前でチャリをばらし、ホームへ向かう。体のキレもよく荷物が軽く感じる。荷物も多いので特急に乗って東京まで一気に行くことにした。そして東京到着。すっかり忘れていた。京葉線のホームはめちゃめちゃ遠く、地下深い。つまり、この長い移動を荷物を持って頑張らなければならない。平面エスカレーターがあるとはいえ、かなり長い。しかも荷物も多い。こんな長い駅内を3往復して、東北新幹線へ。あっという間に現実の世界へと引き戻されていく。「今回も走ってよかった」そんな満足感と、若干の物足りなさを感じながら宇都宮に到着し旅は終わった。

館山駅・輪行



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