旅記録

2004 夏 奥鬼怒・奥日光
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1日目 宇都宮→日光→霧降高原道路→川俣温泉 90km
2004/07/23
 今日は仕事後に徹夜で準備する元気はなかった。自然就寝自然起床で早く起きて準備をして出発。8月の走りを乗り切るためには とにかく頑張らねばならない。プレツーリングとは言え真剣そのものだ。それに今年はGW含めてヒルクライムはほとんどトレーニングしていないので微妙だ。
 いつものように国道119号を日光に向かう。高速のICまではバイパスができた分、車の量は減った気がする。それに平日だ。結構、遠いと思っていた宇都宮IC前もあっという間に通過。今年の調子の良さを垣間見せる。
 やがて道は杉並木に。今回は思い切って杉並木をすべて走ってみる。日光の杉並木は何がすごいって杉の木がみんな立派な古木だ。すぐ脇の国道119号の喧噪が嘘のように静かな道だ。同じジリジリUPなら楽しく日陰がいい。立派な古木は真夏の日差しを完全に遮ってくれる。
 観光客向けなのでちょっと高いが、天ざる蕎麦と生湯葉を食う。日光の生湯葉は、あっさりしてうまい。結構、大盛りのざる蕎麦が来た。しばらくすると、「あーごめんなさい、注文は大盛りでしたね」と言ってきた。これで普通盛りかよ!とつっこみを入れたくなる量だ。気さくな店の主と、隣の席の常連とおぼしき老夫婦と意気投合してしまった。見た目は普通じゃなくても一般人に可愛がられるサイクリストであり続ける精神は忘れずにいたいものだ。
 飯も食って満足したところで、霧降高原道路へアタック開始。微妙に天気が悪いが、景色は近場だからいつでも楽しみにこれる。そう割り切って上れる。それにしても坂が半端じゃなくきつい。トレーニング不足、荷物の重さ、すべてが俺の足にのしかかる。それに微妙に太ももに力が入りきらないままペダリングの周期が終わってしまっていて、あまり筋肉のついていないケツの筋肉をやたら使わされてる雰囲気だ。変だ。
 霧降の滝の展望台に到着。高原有料道路はまだ始まっていない。つまりゲートインすらしていないが、体力の限界を感じた。仕事でたまった疲れもある。テンションがあがらないまま滝をみて、完全にへたり込んでしまった。
 時間だけ稼いで、また登り始める。それにしてもペースがのびない。ペダルを踏み続けられない。まずは尻の筋肉の違和感を取りたい。これはポジションが合っていないからだと感じた。途中のチロリン村で勝手に休憩してサドル高を思い切って4mmあげてみた。ライディングポジションなんてものは体調、時期によって変わるものだ。
 4mmあげてみると一気に楽になった。走りに躍動感が出てきた。これだ。10%近くある傾斜も何とか踏める。今日は曇っていて景色らしきものは一切ない。車も平日だからかまばらだ。ある意味快適な登りではある。
 半分程度上ったあたりで、脚力がでなくなってきた。ここはトレーニング不足だ。まあ、今回はトレーニングをするための旅でもあるので、内容度外視だ。「内容が良い=完走した」と考えればよい。なんだかんだで4時間近くかかって、ようやく頂上に到着。XX峠とか一切書いてないし最高地点とか書いてないのでなんか盛り上がらないし、もしかしてまた上らされるのかとも思ってしまう。

日光街道(旧道) 杉並木


霧降の滝


霧降高原の上り坂


六方沢橋

 頂上は深い谷にかかる橋だ。下をのぞくと、股間が縮み上がるような恐怖がある。あまり楽しんでる余裕もないので、さっさと下った。さすが高級有料道路。路面はきれいで攻めやすい。下りはあっという間に終わりゲートアウトだ。しっかり100円取られた。閉園しかかりの大笹牧場レストハウスで休憩し、川俣温泉目指して走る。あと25km近くあるが、すでに5時過ぎ。ちょっとしたピンチだ。しかし、下りはまだまだ続く。というか霧降高原有料道路より傾斜も遙かに急でカーブもどぎつい。道も狭い。ある意味、下りの醍醐味を味わえる坂だ。
 とうとう下りきると鬼怒川に突き当たった。ここからは川沿いに川俣温泉まで300mUPだ。霧降高原で使い切った足に重くのしかかるマイナーな上り坂。途中にオートキャンプ場などもあるが、今日は借金作って明日に回したくないので頑張ることにした。夕方6時から、200m近く上る峠にアタック。もう日没も近く薄暗くなってきた。日が沈む前に川俣温泉のキャンプ場に到達したい。
 疲れ切った足にむち打ち坂を上り6:30から下り。川俣温泉の5km手前の川俣湖温泉に着いた。キャンプ場はまだ5km先の川俣温泉と思っていたので、日帰り温泉もあったが通過。
 かなり薄暗くなってきた。狭く路面も悪く曲がりくねった道を進むと、ようやく川俣温泉のひなびた街が見えてきた。1軒だけ商店があったので買い出しがてらキャンプ場の場所を聞いてみる。衝撃の返答が「ない」。観光マップを受け取るとキャンプ場は5km手前の川俣湖温泉のところだった。情報によると川縁でキャンプしている人たちはいつもいるとのこと。完全に日が沈んで真っ暗な道を探してみたが、できそうなところはない。
 どうにか公民館の軒下に張れそうな雰囲気はある。次は風呂だ。これが、日帰りできそうなところはどこにもない。かなり川俣湖側に戻ったところで急な坂の下に1軒あったと思ったので行ってみた。すると電気も消えているし閉まっている。
 この時点で、キャンプはあきらめた。不運にもライトの電池も切れた。真っ暗な中で交換。そして疲れた体にむち打って坂を上り戻る。何とか見つけた民宿に駆け込み、泊めてもらえた。
 ようやく風呂にも入れるし飯も食える。そして布団で寝れる。この際、3万円ぼったくられても泊まりたい。そんな気分だった。ややぬめっとした感じの温泉で疲れを癒し、ちょっと遅い夕食だ。これまたボリュームがすごい。おひつに2.5杯分のご飯、煮物に岩魚の塩焼きに・・・最後は山菜の天ざる蕎麦。比較的、大食いな俺でも満腹。無理して作ってもらったから、残さず全部食うのが礼儀だという気持ちで食いきった。結構、家庭料理な雰囲気があるおいしい料理だった。
 すっかり安心して部屋でテレビを見ていたら眠りに落ちた。畳がひんやりして気持ちいい。しかし、2時頃寒さで目が覚めた。布団を敷いて寝直す。


   出発(栃木県宇都宮市)から 90 km

2日目 川俣温泉→山王峠→戦場ヶ原→金精峠→日光湯元 40km
2003/04/27
 昨日の疲れは若干あるが、かなりスッキリと目覚めた。相変わらずボリューム満点の朝食を食べて、地元の納豆を食し、出発の準備。天気は最高にいい。これは峠の景色が期待できそうだ。今夜のキャンプも期待できそうだ。やや暑いが、上れば上るほど涼しくなるだろうし、悠々とした気持ちで、宿の主人やら婆さんに満面の笑みで挨拶をし雑談を交わして出発。またチャリで迷い込んだら、泊まりたい宿だ。
 ひなびた温泉街を眺めて、橋を渡って林道に入ると、いっきに山深くなってきた。林道も日向が少なく、涼しくて気持ちいい。傾斜がすごいことを忘れてしまう。 いきなり700m UPだが、何となく楽しめそうな感じだ。通る車やバイクもまばらだ。単調だが、グレイとサザンを聴きながら夏を楽しみながら進んでゆく。午前中に山王峠を越えられれば御の字だが、イマイチ進んでいるのかわからない。峠が田舎すぎて目印になるものがなく、地図をみても現在地がわからないのだ。
 3時間ほど上っていると、徐々に景色はひらけてきた。奥鬼怒の山々が、まさに目の前にそびえ立つという感じだ。天気がよいので山の稜線がくっきり見えて、きれいだ。
 とは言え、徐々に足の疲れが響くようになってきた。ここは無理せず、木陰でストレッチして景色を眺めて写真を撮って・・・という感じで楽しくじっくりと休憩。そうこうしてるうちに登り切れないまま昼になってしまった。そろそろ慌ててみたりする。まだまだ峠は先なのに道が下り始めた。こんなとこで貯金(上った分の高度)を使いたくないのだが、やはり絶景の中での下りは心地よい。しかし楽しい時間は短く、最後の追い込みの登りが始まった。地図でみても等高線を横切りまくっている。
 そんな坂を耐えて耐えて峠の直前で地元のおじさんと雑談をして、そこのカーブをちょいちょいって曲がったら峠だよ。と言われて、ラストスパートに入った。その走りは頭の中ではリシャール・ビランクを意識してダンシングしてグイグイ踏み込む。そして、両側にコンクリの壁が見えてきた。坂の向こうも空になっている。看板に「日光市」と書いてある。峠だ!! そしてついに登り切った。山王峠1700mだ。昨日から通算で2400m。夏休みは大丈夫だ。今日のキャンプ地にもたどり着けそうだ。そんな確信からか安心した。峠で記念写真を撮って、下り始めた。男体山の豪快な谷を見下ろしながら、しばらく続く尾根づたいの道を進んでいく。すると、微妙に上り始めた。あれ?まだ峠じゃないのかよ。
 ちょうどハイカーも行き交っているので、ここで休憩。すると旅をしているおばさん3人組が、弁当を食べ始めた。雑談していたら意気投合してしまったので、俺もここで昨日買ったパンを食うことにした。昼飯だ。するとボーイスカウトも大量に来た。こいつらもここで飯を食い始めた。間違いなく注目度はNo.1だ。
 それほど急な坂はもう無いが、ちょっと足に負荷をかけながら上ると、今度は登山道と合流していて、やはり坂のてっぺんのような地形だ。どうやらここが本当の公道的・山王峠のようだ。
 さほど長くは無かったはずだが、3時間ぐらいみておけば行けるだろうか。しかし、湯元をすぎて1kmほどで体力の限界が来てしまった。思い切って大休憩。ストレッチもばっちりこなして、再出発。何とか会社の同期がキャンプ場に着く前に上って下って風呂に入っておきたいものだ。そして、急な坂と緩い坂のコラボレーションになってる坂と坂の上に険しい山が見えている坂を耐える。足の疲労も限界に近い。たまに見える湯元の湖の眺めと山の眺めが癒す。

空へ上っていくような山王林道


かなり急な上り坂が続く


山王林道


峠を制覇! と思ったが…


山王峠(1700mぐらい) 昼飯の図

 最後のワインディングにして最大の山場。傾斜標識には14%とある。ここは踏ん張りどころ…を目の前にして思い切って休憩。排ガスをもくもくあげてカーブを曲がって上って行くバスと三菱デリカを見送り、俺も登り始めた。ちょっとした展望台に立ち寄ると、元サイクリストのおじさん率いるファミリーが話しかけてきた。俺は一般人に可愛がられるサイクリストである精神を忘れたくない。やはり、一人旅の楽しみとも言える。
 また、ファミリーに見送られながら最後の坂を攻める。体力、精神力どちらも生き返ってきた。いよいよトンネルの入り口が見えてきた。ここからは今は亡きマルコ・パンターニを意識してたちこぎでガンガン上っていく。
 そして16:00 ついに金精峠に到着。昨日から通算で2800m上ったことになる。もはや乗鞍は大丈夫だ。そう確信したと同時に、今回のプレツーリング最大の目標を達した喜びが突き上げる。この達成感が自転車の醍醐味であり、俺を前に進ませる力だ。

上り坂に手応え! 金精峠

 大満足で写真を撮り、登り切った自信と喜びを胸に下り始める。もはや、怖いものは何もない。今回も、攻めまくりながらダウンヒル。車に追いつかれる気配も一切ない。途中の道路の継ぎ目の鉄蓋だけに気をつけて徹底的に攻める… そこで異変が。時速45km/hをすぎたあたりでメーターが0km/hになる。何が原因かわからないが、とにかくだめだ。
 ちょっとだけ気分が幻滅だが、まだまだ楽しさが勝る。あっという間に日光湯元に下りきった。さっさとキャンプ場に行ってテントを張って風呂とソフトクリームだ。キャンプ場に行ってみると、すでに木陰は取られていた。ここは開放感重視で行くか。4張り分テントを張れそうな場所を探して俺のテントを張る。テントを張って荷物を放り込み、テントの表にグローブを干して、ストラップにリフレクタランプを取り付けて目印にして風呂へ出発。開放的な はるにれの湯でもよかったが、こぎれいなところを選んだ。
 風呂に行く途中の道に、最近どこの温泉地も流行のこぎれいな足湯ができていた。ここで30分ほど足を癒した。俺はのぼせるので長湯はできない。でも足だけ温泉に浸かって疲れを取りたい。そんなニーズに応えたのが足湯だ。かなり癒される。
 足だけさっぱりした感じを楽しんで、風呂へ移動し、微妙に開放感がないが、ひんやりと涼しい露天風呂を満喫した。汗も洗い落として、さっぱりしたら雨が降ってきたので急いでテントに戻った。テントに入ると蒸し暑いので、ロッジの軒下に移動だ。すると、会社の同期も到着したようだ。
 ここから長い夜の始まりだ。BBQを始めようとすると着火剤と炭が湿気ていて火がつかない。火のつかない着火剤というのも初めてだ。なんだかんだで火を付けると今度は雨だ。ロッジの軒下に移動だ。まさかこんなとこでBBQすることになるとは…。道具が壊れたり、犠牲の多いBBQになったが満喫。
 今度は、雨もやんで星が見えてきたのでテントの前に戻って暖を取るために炭を燃やして酒を飲む。いろいろ語り尽くして満天の星を眺めて流れ星も一つだけ見つけて、やはり湯元の空は凄いと満喫して眠りについた。

日光湯元・足湯
ヒルクライマーの疲れた足を癒す



   出発(栃木県宇都宮市)から 130 km

3日目 日光湯元→中禅寺湖→いろは坂→宇都宮 90km
2003/04/28
 蒸し出されて目が覚めたが、二日酔いで頭が痛い。そして眠い。ぼんやりしたまま朝飯を食い、テントを片づけた。会社の同期は温泉へ、俺は下りへ、と言いたいとこだが、二日酔いがひどいので足湯で足を洗いつつ癒して、湖の畔で仮眠を取ることにした。1時間ほど、風に吹かれて寝ると、多少はスッキリした。ここで昼食を食って、さあ下りだ。
 まずは、車の流れに乗りながら戦場ヶ原に下り、ちょっとだけネイチャーセンターで見学をして、また中禅寺湖へ下る。今度は、傾斜もカーブもそこそこで楽しめるが、すぐに傾斜は緩くなって車にあおられるようになってきたので、自転車らしくしおらしく左外を走る。
 中禅寺湖もあっという間にすぎ、いよいよ 最大の見せ場 いろは坂だ。いきなりセルシオをあおってあおってぶち抜く。車の群れをコーナーでガンガン交わして順位を上げていく。そのうち1台のエスティマが本気で追ってきた。ミニバンのくせに小癪なと思い、俺も本気で下った。コーナーの度に差が開いていく。そして、向こうもインをせめすぎてエアロを削ってしまった。ものすごい音が響いた。ざま見ろ。正直、あおり手が消えたとたんペースがあがってきた。ただ、いろはの下りは、若干逆バンク気味なので下りにくい。
 調子に乗ってパトカーを追い越したらスピーカーで怒られてしまった。だが、その前の車も抜いて差を付けてちぎった。悪いが1500m分の貯金は楽しませてもらいたいものだ。交通ルールがおかしい。追い越し禁止 ただし 4輪が2輪を追い越す場合を除く 下りの場合は速さの序列が逆だ。
 そんな楽しい いろは坂もあっという間に下りきった。日光の市内からは杉並木の裏道をまったりと下る。うっそうとした杉並木が風情を醸し出す。水路もわき水と思しききれいな水が流れている。
 今市もあっという間にすぎて、ついに宇都宮市に突入。すると土砂降りの夕立が降ってきたので慌ててカッパを着ると、今度は止んでしまった。下界は暑い。雨も降ってないのにカッパは着れない。すぐに脱いで走り出す。そして、4:00に自宅到着。
 家に帰るまでがツーリング。これで今年の熱いプレツーリングが終了した。連休の乗鞍を想定した2日間を乗り切った。もはや自信は確信になった。この疲労が筋力になって夏休みは走れるだろう。手応えも内容も十分の大満足のツーリングは終わった。


   出発(栃木県宇都宮市)から 220 km


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