旅記録
2007 夏 裏磐梯
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0日目 宇都宮 −東北新幹線→ 郡山 −磐越西線→ 猪苗代
2007/07/28 猪苗代市内 13.05 km
 天気予報は微妙で、やや腰も重く直前まで行き先が決まっていない状態だった。ただ、今季は装備や走り方の検証を行うためのプレツーリングをしないわけにはいかない。ハンドル周りの輪行形態変更、新テントの試し張りと検証したい内容は多い。輪行とキャンプは必須項目である。何とか晴れてテントを張れる場所を選ぶ必要がある。3連休の初日の午前中にショップで買い物をして、そのまま午後から旅立つ。
 自宅でパッキングし、灼熱の太陽の下を宇都宮駅に行き輪行する。狙い通りハンドル周りの折りたたみは上手くいく。大量の荷物と輪行袋を抱えて東北新幹線のホームへと向かう。蒸し暑さに汗だくになりながら新幹線を待ち、乗り込む。ケータイでBLOGを書きながら北へ向かうとあっという間に3駅目の郡山にたどり着いた。ここからは磐越西線に乗り換える。若い頃は自転車と全部のキャンプ道具を持って東京駅3分乗り換えとか黒磯駅5分乗り換えできていたが、今じゃそんな体力は到底ない。えっちらおっちらと3回に分けて荷物を運んでホームへ向かう。
 赤べこデザインの旗が多い磐越西線で会津方面へと向かう。地元っぽい人たちで やや混んでいる電車は単線をのんびりと走っていく。磐梯熱海の温泉を抜けてトンネルを越えると猪苗代湖が見えてきた。そろそろ降りるべき猪苗代駅が近付いてきた。田舎の駅で停車時間は短そうなので気合いを入れて荷物を持って降りる準備をする。
 スイッチを押してドアを開けて急いで荷物をホームへ引きずり出す。何とか無事にホームへ降り立ち荷物を持って改札を出る。これも1回では改札を通りきらないので3回に分ける。やはり初日は荷物が発送できると楽だ。夏休みの本番は確実に荷物を送り出せるように準備をしようと改めて思ったわけである。もう10日後である。
 駅前で自転車を組んで、ケータイで風呂とキャンプ場を探す。あまり近所には無いようで少し遠くの6km先まで行く必要がありそうだ。キャンプ場や公園は全く見つからない。猪苗代湖の湖畔のどこかにありそうなものだが、それもないようだ。出るのが遅かったからかすっかり夕暮れになってきた猪苗代の田舎道を走り風呂と寝床を探す。もはやまともに探すとなると 野口英世記念館の近くでゲリラキャンプして、その少し先の西久保温泉に行くしかなさそうだ。

猪苗代駅を出発

 夕日に照らされる磐梯山を現実逃避気味に眺めながら西へ進み、野口英世記念館まで来たが、とてもゲリラでもキャンプできそうな雰囲気ではない。いくら走っても猪苗代湖畔ではキャンプできそうな感じでもない。風呂も西久保温泉を見つけたが日帰り入浴ではなく宿泊しかできなさそうだ。すっかり日が暮れて探すのも面倒になったので宿泊と言うことにした。
 細かいお金がないので、一旦 コンビニへ行き、夕食とビールを買って崩して宿賃を払って夕食にする。日が暮れると、そこら中に羽根虫が大量発生していて、顔に腕に当たりまくる。苦戦しながら買い物をし、まず夕食にコンビニ弁当のパスタを食べて、温泉に入る。決して華やかな露天風呂などがあるようなお風呂ではないが、明日からの走りに向けて温泉で鋭気を養う。部屋に戻ってビールを飲みながら少し情報収集して眠りについた。

夕暮れの磐梯山



   出発(福島県猪苗代市)から 13.05 km

1日目 猪苗代 → レイクライン → 檜原湖一周 → 檜原湖畔 68.89 km
2007/07/29
 荷物をささっとまとめて宿を後にする。宿主の子供が遊ぶそばでパッキングをして宿を出て、すぐそばのコンビニで朝食を摂る。早いところ標高の高い裏磐梯へ上がってしまわないと暑くて大変そうだ。そんな感じもする日差しを浴びる。
 猪苗代から徐々に道は上っていく。真夏の日差しを浴びつつレイクラインの東側の起点へ向かって、キレがあるような無いような そんな状態の体であがっていく。
 背中から照りつける夏の太陽を避けるため、時々 木陰に入りつつ森の中を貫く上り坂を登ると、意外と余力を残してレイクラインの入り口へと向かう分岐にたどり着いた。
 しばらくは、ほぼ平らな道が続いて、森と川に沿って走っていく。ある意味では単調、ある意味ではいきなりガンガン登りまくりでなくてほっとしたという感じではある。しかし、徐々に道は上り始めた。福島県の山岳有料道路、磐梯吾妻スカイライン、磐梯山ゴールドライン、西吾妻スカイバレーに続く道としてらしくなってきた。登ったら楽しめるだろう眺望を楽しみにして、上がっていく。
 今年はキレが無いと思っていたものの、調子はまずまずである。いや、むしろ調子良く登れていく。ヒルクライムをすると腰が痛くなる症状も出ないし、力強くペダルを踏み込めている。森の中をじりじりと登って行くに連れて、徐々に空は曇り始めてきた。なかなか裏磐梯では天気に恵まれないのかと思う。徐々に湿気も増してきたので、日差しが弱まる涼しさより不快指数が上がってきた。徐々に傾斜も厳しくなってきた。登ったり下ったりを繰り返しながら、進んでいくとドライブインが見えてきたのでひとまず休憩だ。
 この時点では展望台などもなく、単なる休憩スポットにしかなっていないが、ここからアップダウンが激しさを増してくる。ただ、湖の展望が開け始めてくるのもこのあたりからだ。
 展望台からは秋元湖から檜原湖と数々の小さな湖と連なる丘が見える。なかなか見事な景色が続いている。これは登ってきて眺める甲斐が十分にある眺望だ。しばらく展望台で景色を楽しんで、下り坂を楽しみに行く。高低差はさほど無いが直線的でスピードも十分、カーブもゆるく曲がりやすい。下りの途中で料金所がある。そこで金を払って料金所のおじさんと少し話して、また下る。

レイクライン


レイクラインの豪快な下りと登り


レイクラインからの眺め

 下りきると、五色沼の街にたどり着く。ちょうど昼時なので昼食といきたい。何となく、このあたりで言うと山菜と蕎麦あたりが食べたくなる。よさげな店を探していると、ぽつぽつと雨が降ってきた。どうも裏磐梯では天気に嫌われているようだ。荷物を軽く防水して、そば屋で飯を食う。山菜蕎麦とキノコの炊き込み御飯で山の幸満載という感じである。しゃきっと冷たく仕上げた蕎麦にナメコなどのキノコと山菜が合う。
 満足して店を出る頃には雨も少し強くなってきた。キャンプを検証しないと来た意味がないので、宿はあえて取らずキャンプ場を探す。近くにはキャンプ場はいっぱいありそうだ。風呂も近くに温泉が見つかった。案内地図通りに行き、キャンプ場を見てそこに決める。

山菜そばとキノコ御飯
 檜原湖周りの小さな湖が続くリゾート地を逆時計回りに進んでいく。雨も少し強くなってきた。前に走った時もこんな天気だったことを考えると、同じ場所で2連敗してしまう裏磐梯での天気運の悪さを呪うばかりである。小さな湖がいくつも連なる檜原湖の東南岸は走っていると楽しみはあるのだが、もう少し上から眺める場所がないかと思ってしまうが、これだけ雨が降ってしまうと、寄り道をする精神的な余裕もない。ややアップダウンのある湖畔の道をトレースしながら北へと向かっていく。南北に少し長い湖は奥行きを感じる。4分の1周ほどしたところで雨も止んだ。レインウェアを脱いで荷物にくくりつけて、ついでに写真を撮って また走り出す。
 衰えの見える30歳の体でも檜原湖の半周はあっという間に終わり、白布峠へ向かう分岐まで来たが、今日は白布峠(スカイバレー)のヒルクライムに挑むほどの元気はなく通過だ。
 徐々に晴れてきた湖畔を走っていると陸上部が練習している。こんな広い湖を一周走ってしまうのか!?と思ってしまうが、陸上部ともなるとそんなもんだろうか。いくつかの集団を自転車で追い越しながら進んでいると、さすが高校の体育会系 ぜんいん大声で挨拶してくる。俺も社会人としては返すしか無いだろう。ややこっぱずかしいような…。
 湖の西側に入ると、開放的に湖が見えているような東側と違って森が続く。アップダウンも徐々に激しさを増していく。そして雨も復活。回復方向に向かっているのかと思っていただけにがっかりである。雨の中でキャンプするのはイヤだが、せっかくの新テント 持ってきたのに張らないのも何だかイヤだ。やはり晴れてテントを張るのが平和的な解決である。
 檜原湖を4分の3周ほど回ったところにある道の駅へ立ち寄り雨宿りがてら休憩する。地場産品を売ってる店やら土産やら見ながら雨が落ち着くまで時間をつぶす。そこで見かけたソフトクリームが気になった。そばソフト 蕎麦の色が色濃くついていて、チョコがトッピングしてある。雨で寒いが御当地ソフトクリームは欠かせない俺としてはスルーできない。クリームの中から立ち上る強めの蕎麦の香り。蕎麦の微妙な香りはこれぐらい強く上がってこないと…と思うほどの出来映え。散らしてあるチョコとよく合う。これはなかなかの絶品ソフトと思われる。
 雨の中だが体に鞭を入れて出発する。まだまだ収まる気配もない。残りの4分の1周は激しいアップダウンというより峠が1つという雰囲気だ。激しい上り坂を登って行く。発熱と放熱が雨で釣り合っていて正直 ちょうど良い感じでもある。そして登り切ると急激に下る。明日、登る予定であるこの坂を下る。雨なので攻めることはできず、明日登るのに…と若干ブルーになりながら森の中を下っていく。カーブも急なので油断はできないし楽しめる感じではない。

檜原湖を眺める


檜原湖沿いに続く森の中の道


そばソフト

 1周走り終えて五色沼に戻ってきたところで、買い出しだ。一軒だけある商店で、食材と明日の朝食を買ってキャンプ場へと向かう。湖畔のキャンプ場へ自転車を止めてキャンプ場の受付をすると大型犬がしきりに吠えてくる。何とか和解できないものかと悩むところだ。
 ややぬかるんだ地面の上にテントを張ってみる。自宅で試し張りした時と同じぐらいスムーズに張れた。構造的にもシンプルなので張りやすい。入り口に蚊取り線香を炊いて荷物を放り込む。お風呂セットだけを持って温泉へ行く。露天風呂がないのが残念なところだが、窓から森を眺めて体を温める。温泉でビールを買ってキャンプ場に戻り、炊事場で料理する。山のナメコと豚肉、蕎麦と地元の清水で作った寄せ豆腐と地元の食材を満喫できるメニューを組み立てる。つゆにナメコと豚肉を入れて火を通す。豚肉の出汁とナメコの風味がつゆに移る。地元の蕎麦を茹でつつビールと冷や奴を楽しむ。醤油など邪魔に感じるほど豆腐が美味い。大豆の香りが漂ってくる感じである。すっかり得意技になりつつあるキャンピング・ざる蕎麦を披露しつつ、蕎麦が完成。豚肉とナメコの味のする濃厚なつゆに入れてすすると、挽きぐるみの地粉そばとよく合う。我ながら久々のヒット食に満足である。細かいことを言えば 天気が悪かったり色々あったが、それでもツーリング・プレジャーは存分にある一日で満足である。意外とキレていた体にも手応えを感じた一日であった。

新テントでの初キャンプ


地物の寄せ豆腐


ナメコと豚肉をつゆで煮込む

裏磐梯山の幸のつけ蕎麦


   出発(福島県猪苗代市)から 81.94 km

2日目 檜原湖畔 → 五色沼 → 喜多方 35.70 km
2007/07/30 喜多方 −磐越西線→ 会津若松 → 郡山 −東北新幹線→ 宇都宮
 夜中に雨が降ったり止んだりとあったものの、明け方には雨は上がった。キャンプ場を出てすぐ近くにある五色沼を散策する。前にも来たことはあったが、今日もコンディションは近い。色の変化がある沼を眺めながら森の中を歩いて行く。進むたびに沼の色は変わっているが、それぞれの色は前回来たときとさほど差を感じない。それでも水源をほぼ同じとするはずの沼が続いているのに不思議なモノだ。
 沼を巡る遊歩道の終点まで行ったところで昼食にする。今日も昼食は蕎麦だ。会津や裏磐梯は蕎麦が美味しいので、逃せないところである。すっかり満腹になって店を後にして、自転車を置いていた場所まで また五色沼沿いの遊歩道を戻っていく。
 戻り道の半分程度歩いたところで雷を伴って土砂降りの夕立が降ってきた。傘もカッパも持ってきていないので濡れ放題で雨をしのぎきれない。直で雨に打たれるよりはマシなので、そこに生えている木の下に入る。
 20分ほど耐えると雨は止んだ。そしてぬかるんだ遊歩道が終わりまで続いた。それを歩いて自転車まで戻ると足は泥まみれになってしまった。

五色沼の眺め@


五色沼の眺めA


五色沼の蕎麦

 雨の五色沼散策を終えて、喜多方へと向かう。昨日 下った峠を登り、檜原湖を眺めながら進んでいく。道の駅・裏磐梯で少し休憩し、喜多方へと最後の一山となる峠を越えていく。緩い坂を徐々に登って時折 振り返ると檜原湖が見渡せる。
 意外と短かった峠を越えると喜多方へ向かって一気に下り始めた。これは逆に登ってこなくて良かったと思う。雨が降った跡もなく乾いた路面で安心しながら、ややテクニカルかつ時に直線も長くスピードが出やすい下りを満喫する。そう考えると、レイクラインでだいぶ標高を稼いだようだ。
 楽しい下りを終えると、喜多方の町並みにたどり着いた。今日は祭りをやっているようで町中は雰囲気が変わっていた。旅先でまつりに出くわすのもラッキーなもので電車まで まだまだ時間はあるので祭りを楽しんでいく。レトロ横町と名付けられた通りには懐かしいモノや懐かしい車が並んでいる。いずれも古き良き時代を思わせる。特に車なんかで言えば、昔の車は工業製品としては不足かもしれないが、味やエンジニア達の魂がこめられているように思う。俺もモノを開発して作る仕事をしているので、何年後かに「あのころのエンジニアの熱気を感じる」と言われるような商品を出したいと、ふと真面目なことを思うわけで。まつりに喜多方の街の活気と古き良き時代を大事にする心を感じたところで撤収へ向かう。
 福島県は宇都宮からは近場といえば近場ながら土産を買いに喜多方プラザの方へ行く。時々、雨が降る不安定な天気の中で買い物を済ませて、また駅に戻って自転車をばらす。フロントバッグを支えるためのステイの収納を確かめながら輪行する。今日は花火大会があるようで多くの客でごった返している駅では注目を浴びながら自転車をばらしては大量の荷物を待合室の壁の方へ運び込む。

祭で賑わう喜多方の街


喜多方 レトロ横町
 輪行袋に収まった自転車と荷物を駅に置いたまま、駅前のラーメン屋へ喜多方ラーメンを食いに行く。喜多方に来ておいてラーメンを食わずに帰るのは野暮でしょう。以前は素朴な雰囲気な店であった丸見食堂は、すっかりこぎれいなラーメン屋に変わっていました。味は出汁のきいた醤油味のスープに太く縮れた麺で、なかなか美味いです。
 ラーメンを食ったら電車へ乗り込みます。花火大会で高校生がごった返しています。心を鬼にして気合いで乗り込まないと乗り込めそうもありません。列車が入ってきました。自転車と全ての荷物を放り込みながら、声を出して高校生を奥に押しやります。電車の乗り方が田舎なせいか出入り口の周りにたまって乗り込めません。何とか心を鬼にして荷物で押し込んで乗り込んで、無事 ドアが閉まりました。

喜多方ラーメン
 喜多方から2駅ぐらいまでは、満員状態だったが花火大会の会場を過ぎると一気に空いてきました。やっと落ち着いて帰路についたという感じでしょう。今年の俺は調子が良いのか悪いのか分からず、手応えもあったような無かったような 何だか微妙な感じでもある。ただ、どうも今年の自分は調子に波がありそうな感じはする。2日目は まあまあ調子良かったが、3日目である今日は走りにキレを感じない。悪いところで安定するよりはマシと思うモノの、不調な日は気をつけないとまずそうだ。
 会津若松の乗り換え時間は、わずか3分。荷物も一気には運びきれないため、予定通り乗り遅れた。また40分近く列車を待つ。渋いローカル線を感じさせるディーゼルの排気音をさせて列車は来た。すっかり夜になった磐越西線を駆け抜けて郡山で新幹線に乗り換える。宇都宮にたどり着いてひとまずは旅は終了した。来週に迫った旅の準備としては問題ないだろう。


   出発(福島県猪苗代市)から 117.64 km


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