0日目 |
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宇都宮 → 羽田空港駐車場 |
2018/08/8 |
今年のコースは悩ましい。昨年の北海道で不完全燃焼だったリベンジをしたいと思う気持ちもあるが、新鮮みのあるコースを組めないという悩みもある。ツーリングマップルを見ては悩む日々が続く。気になっている場所で言うと、北海道一周の未踏区間である門別〜苫小牧、岩内〜黒松内の海岸線、旭岳への道、北見峠、日高の山を抜けるところ、帯広の西側と言ったところだろう。あと、行ったことはあるが新たに言われている観光地である美瑛から十勝岳に上がる途中にある青い池 これは俺が行った当時は無かったようだ。また、自称 北海道フリークでありながら、『北の国から』のロケ地である麓郷に行ったことが無い。というか『北の国から』を見てない。実は見たことが無い札幌のクラーク像 Boys be ambicious. などもある。ツーリングマップルを眺めていて、もう一つ気づいたことがある。さすがに全ページ走っただろうと思ったら、1ページだけ走っていない道を見つけた。
悩んだ結果、オホーツク海の紋別からスタートして、遠軽の方へ走ることで未踏のページを制覇する。白滝シリーズの廃駅跡を抜けて北見峠を越える。旭川へと降りたら、前に行きそびれた夜の旭山動物園へ行き、旭岳にアタックする。美瑛に下ってから青い池へ上がり、富良野を抜けて麓郷へ行く。見てないけど北の国からのロケ地を訪れる。ここから太平洋側へ行って門別から苫小牧の未踏区間を埋める。3回目の走行にはなるが、苫小牧から室蘭へ行く。コースのプランは決まった。
去年は半休を使って夜のうちに札幌へ飛んだが、今年はその作戦は使わず羽田まっで行っておいて、午前中の飛行機で紋別へ飛ぶ。だが、穏やかでは無い天気予報が出ている。出発前夜から明け方か午前中にかけて関東に台風が直撃する。どうなるのかを天気予報をネットで見まくりながら心配する。空の便もだが地上の交通機関も大混乱することを予想した。今回は、羽田空港まで車で向かう作戦を取る。飛行機は11時だが電車が止まってたどり着けないといった結論を恐れている。タクシーに乗ろうとしたら長蛇の列… どうせ災害に弱い東京だとこういうことが起きるだろうと予想している。どんなに待たされても自分の車なら快適に待てるだろう。
夜10時過ぎになって自宅で輪行して、車に積み込む。激しさが増してくる雨と風を感じながら車で東京へ向かう。高速道路は思ったほど混雑していない。東北道も首都高も空いていた。特に通行止めなどもなく羽田に到着する。まずは駐車場に車を置いていく。朝になってからだと嫌な予感がしている。駐車した場所を覚えておいて空港からタクシーで予約しておいたホテルへ向かう。強い風で運転席からドアを自動で閉められないというハプニングはあったが自分で閉めればOKだったので特に何事も無くホテルへとたどり着いた。夜のうちにシャワーを浴びて眠りにつく。 |
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0日目 |
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羽田 -ANA→ オホーツク紋別 |
2018/08/9 |
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オホーツク紋別空港 → 紋別 |
7.79 km |
出来るだけ早朝から判断できるように状況を確認する。ニュースで見ると台風は東京をかすめて銚子沖ぐらいまで進んでいる。窓の外を見ると台風が過ぎて晴れ間すら見えている。ホテルからのシャトルバスで空港へ行く。駐車場へ行って自転車や荷物を下ろして、チェックインカウンターへ行く。本当に朝が早い便は欠航となっているが、朝の8時以降の飛行機は台風が直撃する場所に行く便を除いて飛んでいるようだ。紋別は台風の直撃はなさそうなので問題ないだろう。最悪の想定は杞憂に終わった。
かなり早い時間にチェックインを済ませて、朝飯を食べて、展望デッキで飛行機を眺める。台風など何事も無かったかのように飛行機が活発に飛んでいく。11時の紋別行きは全く問題なく飛ぶだろう。安心したところで、搭乗口へ向かう。搭乗口のベンチで多少なりとも仮眠を取る作戦に出る。2時間近い待ち時間で体力回復を図る。仮眠を取っていると、徐々に紋別へ向かう客で混み始めてきた。
いよいよ飛行機への搭乗が始まる。飛行機に乗ったら、すぐに寝る。飛んでる間も集中して寝る。無事にオホーツク紋別空港へ着陸に入る。無事に着陸すると一安心である。紋別までの飛行機が駄目なら千歳に飛んでレンタカーで紋別とかきついプランも考えていたので、本当に一安心した。ちょっとした道の駅ぐらいの大きさの小さい空港は地面を歩いて到着ロビーへ行く。荷物を受け取って、表に出ると1日1便の飛行機から降りてきた客でごった返している。
空港の外で自転車を組み立てようとして異変に気づいた。輪行袋のどこを見ても泥よけがない。自転車として最低限の機能は果たす状態ではあるものの雨の人かオフロードになると泥よけは欠かせないアイテムだ。家で輪行すると、こういうことが起きる。駅で輪行すると忘れ物が残ってるともの凄く目立つが俺の家の場合は目立たない。まあ、雨降らなきゃ泥よけはいらないだろう と口走ったのが、これから大きな波乱を呼ぶことになる。泥よけがなく違和感のある自転車が組み上がった。
既に霧雨が降っていて路面はウェットである。オホーツク紋別空港から7kmほどの紋別市街地を目指す。空荷なので軽快に走っていき、あっという間に港の道の駅まで来た。ここでは前に来たときに遊んでいるのでスルーしていこうとしたら本格的に雨が降ってきた。泥よけのない効果で跳ね上げた泥が背中について冷たく感じる。早速、泥よけの神様の怒りが降りかかってきたようだ。 |

台風が過ぎた羽田空港
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紋別空港に着陸した飛行機
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ヒグマがお出迎え
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小さな空港
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あざらしの剥製
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紋別空港を出発
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やっちまった・・・
泥よけを家に忘れてきたらしい
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雨の中で港沿いの道を進んで、魚介類の直売所に着く。まずは昼飯にする。せっかくの紋別ということで海鮮丼とホタテのバター焼きを食う。味が濃厚で美味しい。北海道の海産物を存分に味わっていく。初日に湧別まで走ったら終盤までずっと内陸になるので、海の幸は貴重だ。オホーツク海は今年の旅では戻ってくることが無いのだ。直売で実家に鮭やイクラやほっけを送る。お盆には目に入れても痛くないほど可愛い姪っ子&ツインズが実家に来てるので、美味しい物で手巻き寿司でも楽しんで欲しいところだ。
相変わらず降り続く雨の中をホテルへ行く。自転車を置いてチェックインする。フロントの横に段ボール箱が3つ置いてある。俺の荷物が無事に届いてると安心し、送っておいた荷物を持っていきたいと言うとフロントのお姉さん(年下)は荷物を探し始めた。目の前の段ボールが堂々としすぎてこれだと思えなかったのだろう。台車に乗せて部屋に持って行き開梱する。日が暮れる前にキャリアを取り付ける。荷物をサイドバッグとフロントバッグとザックに振り分けて完了したところで、風呂に入る。温泉付きのホテルなので快適な入浴だ。
風呂から出たら紋別の街へ夕飯に出かける。前に行った提灯がともってる はまなす通りがよかった。だが、開いている店が少ない。少しジャンクな店に入り、お通しが鬼のように出てくるのでお腹いっぱいになりつつビールを楽しむ。紋タレを使った焼きそばで締めて初日の晩酌は終わった。 |
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ホタテのバター焼き
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海鮮丼とかに汁
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紋たれ焼きそば
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ジャンクな雰囲気が楽しい居酒屋
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お通しセット
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1日目 |
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紋別 → 湧別 → 遠軽 → 丸瀬布 |
82.27 km |
2018/08/10 |
朝は雨がやんでいる。パッキングしてホテルを出発する。すぐ近くにあったコンビニで朝飯を食べていると、チャリダーが来た。話していると、ちょうど紋別で日本一周を達成したとのことで非常にめでたい。気が抜けた状態でどうしようかと話しつつも、気を抜いたままでもやることを探している様子が楽しそうだ。日本一周と考えると、三陸の南半分から大洗までの区間、三浦半島、内房、北海道一周の未踏区間、四国北部、北九州〜国東半島、熊本〜大牟田〜長崎が残っている。まだまだである。
昨日走ってきた道をオホーツク紋別空港へ向けて走る。前に寄った花畑を見ると全く咲いていないのでスルーし、空港近くの海を眺める公園に行くも木が邪魔であまり見えない。不完全燃焼な観光をしながら空港前を通り過ぎてからは緩いアップダウンをこなしながら湧別へ向かっていく。数年前にも走ったがオホーツク海は思ったほど見えないし、草地の丘が海に向かって続いていて風景は単調だ。だが、追い風というラッキーなアドバンテージをもらって昼前には湧別にたどり着く順調なペースで進んでいく。湧別に着いたら、遠軽に寄らない可能性も考慮して、湧別で買い出しをする。スーパーに売ってる湧別産の鮭を買う。ホイル焼きに使えそうだ。ふと自転車を見ると昨夜の雨で濡れた路面からはねた泥がフレームやクランクに付きまくっている。泥よけのありがたさを思い知る。 |

紋別を出発
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泥よけのありがたさを感じる汚れっぷり
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道の駅にも立ち寄るが、前に食べた湧別牛のステーキはなく、その先にあったチューリップ園も前は夏にはひまわり畑にしていたが、今年は何も植えていない。立ち寄ろうと思っていた場所はことごとくスルーとなる。湧別からじりじりと上っている道ではあるが、そのまま順調に走って行き遠軽まで行く。去年の夏に輪行で特急に乗った時にスイッチバックしている駅で印象に残っていたが、思っていた以上に都会だ。こぎれいな店もいっぱい並んでいる。
遠軽の駅で休憩していく。ここの駅そばが有名らしいので、食べていく。鴨そばを頼んでみる。立ち食いそばの割に麺の味もあり食感がいい。出汁も美味しい。構内にあるカーリングの顔ハメで遊んでいく。去年も銅メダルに輝く前にLS北見の応援コーナーを道の駅で見て以来だが、今年はオホーツクエリアのスーパースターになっている。日本勢初のメダルという結果も素晴らしいが、全員が地元出身というのが大きい。 |

湧別でアイス 牛乳のうま味
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遠軽駅
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ロコソラーレ北見の顔はめ
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遠軽駅の立ち食いそば
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遠軽駅の鴨そば
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ここからは少し本気の走りが始まる。明日の北見峠までひたすら上り坂が続くが、今日の目的地である丸瀬布までも上り坂である。遠軽からは無料の高速道路が出来ているので一般道側への交通量はもの凄く少ないので快適に走れる。山深いルートをひたすら黙々と上っていくような道で単調であり刺激も少ない。上り坂で初日の割には走りは順調で、丸瀬布まで想定より早く着いた。キャンプ場と温泉へは山を7kmほど登るのだが、一度分岐を通り過ぎて道の駅へ行きスタンプなどの用事をこなしておく。ここまで来ると、さすがに疲れてきた。
山へと上がる分岐に入り、川沿いを上っていく。傾斜はそうでもないが坂が長く感じる。段々と日が暮れて道が暗くなってくると、本当にこの先にキャンプ場だの温泉だのがあるのか不安にもなってくる。野生動物の出現も怖いところだ。明るい時間なら発見は早いが暗くなると発見しづらい。本気を出されたらヒグマは瞬殺されるし、エゾシカでも勝てる自信はない。1カ所だけダムの横は登りに苦しんだが、何とか向こうに温泉の明かりが見えてきた。まずは営業時間を確認しに行く。 温泉の営業時間は21時までなので、まずはテントを張りに行く。川を渡ると線路を渡る。公園を囲むように鉄道が走っているスケールの大きな公園とキャンプ場である。受付を済ませてテントを張る。砂利と土でペグも打ち込みやすい。グランドシートの上にテントを張りペグをしっかり打っておく。荷物をテントに放り込んだら温泉へ歩いて行く。 |
快適な風呂を済ませて、キャンプ場へ戻り夕飯にする。まずは飯を炊いて、次にフライパンへモヤシや野菜を敷き詰めて鮭をのせる。塩こしょうとマヨネーズで味をつけてホイルをかぶせる。すると、ぽつぽつと雨が降ってきた。おいおいおいと慌ててBBQコーナーの屋根の下に逃げ込む。屋根が三角形にしてあるので横殴り系の雨も少ないスペースで防いでくれると期待した。しかし、よく見ると三角形の頂点は屋根が開いている。雨が防げていない。風向きと屋根の向きを見て雨が当たらない位置を探して、夕飯の続きをやる。夕飯時の一番無防備な時に雨が来るときつい。ご飯は安定のJALファーストクラス御用達
伊万里のお米で、鮭は地元湧別の物だ。我ながら蒸し加減が絶妙で身の柔らかさと歯ごたえを両立している。香りも味もすばらしい。
貴重なオホーツクの海の幸を満喫し、雨が小降りになった隙に片付けて眠りについた。 |

オホーツクの恵み
湧別産サケのホイル焼き
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2日目 |
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丸瀬布 → 白滝 → 北見峠 → 上川 |
77.05 km |
2018/08/11 |
今日は序盤でありながら勝負日である。最初の山場である北見峠を越えながらも上川まで80km近い道のりを走る。昨日も80km走った上に登りだったので疲れがたまっているし体もできていない。朝には雨はやんでいるので気持ちよくテントを片付けてパッキングしていく。キャンプ場を出発しようとしたら、ちょうど線路上に雨宮21号がスタンバイしている。火入れしてチェックしているのだろうか。蒸気を出しながら出番を待っている。山奥の公園の周りを鉄道が走る こんなスケールの公園とキャンプ場はそうそう無いだろう。
思わず見入ってしまって徐々に出発が遅れていく。昨日上ってきた川沿いの道を下って国道へ戻るのも何故か走りが捗らない。国道に戻ってきたところにあるセイコマで朝飯を食べる。ほっとシェフの美味しい弁当に満足し、出発する。 |

雨上がりのキャンプ場
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公園を囲むように線路があり
SLが走る。スケールがでかい。
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丸瀬布 雨宮号
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上り坂を進めるにつれて徐々に傾斜が増してくる。車はほとんど来ないので快適だが、鉄道の駅が次々と廃止されるぐらい辺鄙な白滝を進んでいく。併走する川も徐々に流れの激しい渓流のような見た目になっていく。
白滝まで上ると、博物館があったので寄っていく。白滝の黒曜石や地質についての展示が充実している。白滝も日本ジオパークに認定されている珍しい地質を楽しめる場所だ。最近、ブラタモリを見ていると、こういうのに興味がわいてくる。これを過ぎると、また辺鄙な場所になっていく。傾斜が徐々にましてペースも落ちてくる。高速道路PAと道の駅が併設された奥白滝を目指していくが、昼を過ぎてまだ着かない。奥白滝は峠の始まりでしか無いのに、そこにすらたどり着けない焦りが出てくる。
国道から左に少し入ったところに白滝高原、奥白滝へと向かう道が出てくる。道の駅への寄り道にしては坂が本格的にきつい。ひーひー言いながら坂を上って暑さで汗だくになりながら、道の駅 白滝高原にたどり着く。ここでやっと昼飯になったが、時間は既に午後3時だ。北見の名物を使ったカツカレーを選ぶ。北見の豚とタマネギを使い、付け合わせのタマネギサラダも美味しい。
遅かった昼飯に力をもらい、本格的に北見峠へと登っていく。かつて幹線国道だった道は今ではその役目を高速道路に譲っているのだが、幹線国道らしく道はゆったりと登坂車線があり路肩も広い。カーブもゆるめに作られている。上りやすい道ではあるが車はほとんど来ない。たまに見かける車はロードスターやスイフトスポーツなど車が好きで運転が好きな人だと見て分かるような車だけだ。思った以上の快適さで上っていると、雨がぱらついてきた。レインウェアを着るほどの雨では無いが、ここに来てペースが乱れるのは嫌なものだ。 雨がやむと、向こうの山に虹が架かっている。しかも近場と遠くで二重に見える。興奮して写真を撮るが、これは上手く写っている自信がない。うっすらではあるが豪快な虹に満足し、後押しされながら厳しい峠を登っていく。基本的には道が緩く、白樺の森が続く北海道らしい峠である。奥白滝からはきつめの坂でグイグイ上ってきたが、そもそも湧別から80km近い距離をじりじりと上ってきてる峠なので長い。北海道にはこういう緩く長い峠が多いのでその典型ともいえるだろう。
もうそろそろ峠だろうと思ったら、右に「北見峠」と書かれた大きな木の看板が出てきた。800mを越える峠なので、かなりタフな道ではあったが上りやすさは日本屈指だろう。これで旭川から道東・道北へアクセスする峠3つ(石北峠、三国峠、北見峠)を全て制したので大きな達成感と長年くすぶっていた未達感の解消ができた。 |

白滝の地名の由来になっている
滝がある川だが雨上がりで濁る
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黒曜石
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道の駅 しらたき カレー
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よく整備されている峠だが車が皆無
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空に虹が架かる
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峠付近は白樺の森
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北見峠(標高 857m)を踏破
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日没が迫ってきているので、喜びに浸りすぎることなく下っていく。行く車も来る車も少ないので下りも快適だ。だが、白滝側より旭川側の方が急な坂道に思える。少しテクニカルな下り坂を楽しめる。北海道は片方が80km近くダラダラ上ると思ったら、急な坂が逆側にあるような地形は多い。上りの苦労を下りを楽しむことで打ち消す。 |
坂を下りきってICまで着いたところで日が暮れて暗くなり、大粒の雨が降ってきた。たまらずレインウェアを着込んでライトを点灯する。片方が切れているので慌てて電池を交換する。相変わらずの高速道路併走なので、車は来ない。上川まで下り基調の快適な道でスピードを乗せて下っていく。直線的な道で下りなので、ペースは上がる。道は真っ暗ではあるが2つあるヘッドライトで頼れる状態である。完全に真っ暗な道を淡々と走っていく。ナイトランは無の境地になるので走りが捗る。
併走している高速道路と交わって突き当たりまで来ると安心する。オートキャンプ場にたどり着いて受付を済ませる。遅い時間ではあったが受付はしてもらえた。俺の後でテントも持たない学生も来たが無事に寝床を得たようだ。なかなか早い時間帯に着けないのも体力的な課題である。とはいえ、序盤の山場を無事に越えて明日は安息日なので一安心である。屋根のあるカーポートの下にテントを張るのをしきりに勧めて来る人がいるが、既に3組ぐらいが張ってて干渉も嫌なので一人で芝生に張る。ただ、雨が降ってもすぐに逃げ込めるよう炊事場の近くにする。炊事場自体はプレハブでドアも閉めれる構造なので快適だろう。
テントを張り終えたら、キャンプ場内のシャワーで体を洗う。次に上川の市街地へ買い出しに行く。今日みたいな日は外食するかコンビニのジンギスカンなんかが良さそうだ。セイコマでジンギスカンとモヤシを買って行く。キャンプ場へ戻って、夕飯にする。コンビニでジンギスカンを売っているのも驚きだが、これが意外と美味い。フライパンで肉と野菜を焼きながらビールを飲む。疲れた体に染み入るような感覚である。 |

北海道限定ビール サッポロクラシック
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セイコマのジンギスカン
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3日目 |
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上川 → 当麻 → 旭川 → 東川 |
71.68 km |
2018/08/12 |
さすがに疲れが隠せず遅い起床となる。計画上はそれも読み通りで、今日は走りが少なめの設定だ。朝からすっきり晴れている。ぬれたテントを乾かしつつ片付けて11時頃に出発する。一度、上川の駅の方へ出る。今は高梨沙羅
一色となっている。峠を越える前はカーリングだったが、こっちはスキージャンプだ。学生時代に来たときは、原田雅彦 一色だったのだが冬季競技のスターが輩出される街は盛り上がりがありそうだ。
前にも行ったが、上川のドラインブインに寄っていく。ヒグマ牧場と-40℃を体験できる施設に食事をするところがある。昼飯がてら見ていくのが良いだろう。自転車を置いて、まずあヒグマ牧場へ行く。野生の物を見かけたらひとたまりもないが、ここでは無邪気な姿で餌をねだっている。自然で餌をあげることは絶対に駄目だが、ここでは許される。餌を買って俺も投げてみる。投げてみると面白いことに、直接口でキャッチする子もいる。そのあたりには野生の本能が残っているのだろう。-40℃を体験できるところでは防寒着は貸してくれる。だがパーカーなので足下までは防いでいない。暖めると消えるペンで塗り絵をして、ストーブで暖めて一度消して冷やすと絵が復活するお楽しみもある。久しぶりというか何十年ぶりかに塗り絵をして、入っていく。基本的には-20℃に冷やしてある。そこをしばらく歩いて行く。上だけは羽織る防寒着は借りたが足下は短パンとサンダルなのでもの凄く寒い。そっちのケアは何もないので厳しいものがある。ゾーンの一角に-40℃を体験できる場所がある。スイッチを押すと、もの凄く冷たい風が直接吹き付ける。防寒着と毛のない頭のてっぺんや足が冷えまくる。氷の彫刻が置いてあったり見応えは非常にある場所だ。
熊と低温を楽しんだら、昼飯にする。ここでも地元の豚(渓谷美豚:けいこくびとん)にこだわった豚丼を満喫する。これも北海道らしい元気の出るメニューだ。味がしっかりついても豚肉の美味さと合わさるので美味しい。 |

雨上がりの上川オートキャンプ場
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ヒグマ牧場
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アイスパビリオン
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ストレッチしてるヒグマ
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氷の柱
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氷にプロジェクタで映す
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アイヌの家の中
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豚丼
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ここから当麻までは何度も走ったことがあるルートなので走り方も知り尽くしている。川沿いに気持ちよく下っていく道なので平地のようでペースが上がる。車は多くなってくるが、割と単調な道を走って、あっという間に当麻の道の駅まで来た。ここに来ると楽しみは、当麻の名物であるでんすけスイカである。1個まるごとは買っていけないので売っているカットすいかを期待するが、売り切れている。というか今年は不作で店頭に並んでいないとのことだった。仕方なく、スイカソフトで満喫しようと思ったが、ミルクの方が勝ってしまっている。そのほかの農産物を買っていく。
当麻からは南にずれて東川を目指す。旭川の中心地を大きく避けて行くルートになる。少しずつ登り始めている。16時ぐらいに旭山動物園の近くまで来たが、夜の動物園は今回はスルーとして東川を目指す。明日の旭岳への上りに向けて出来るだけ旭岳に近いキャンプ場を目指しておく。南へ向かう道に折れると完全に上り坂が始まる。それでもジリジリと上って行く坂は苦手なので、見た目が平地なのにペースの上がらない強い向かい風みたいなじれったい道が続く。これまで山奥ばかり走っていたのだが、ようやく北海道らしい農場が広がる平原になってきたという面もあり、北海道らしい景色を満喫できるようになってきた。
まっすぐな道で遠くの景色が見えすぎる。見えている景色にたどり着けないのもストレスがたまる。今日の目的地である東川の市街地まで走り切ったところで道の駅に立ち寄る。ここで産直の野菜を買って、スマホで情報収集をする。キャンプ場の候補は2つあり1つは風呂も近くて坂がない。そっちに本決まりだ。
買い物を済ませてキャンプ場へ向かって走って行くと日が暮れてきた。18時半頃にキャンプ場へたどり着いたが受付は閉まっており警備員室で聞いても拒否された。お盆で混んでいるので話にならない。北海道のキャンプ場は好きに使って好きに出て行くのが普通なのだが、最近はやりづらいことが多い。仕方なく風呂だけ入っていこうとしたら、こっちは急な上り坂の上にある。混んでるキャンプ場のすぐ近くなので芋洗い状態かと想像したが、意外と快適に風呂を済ませる。高台なので遠く旭川の夜景も見えて現実は忘れられる。
来た道を東川の市街地へ戻り、公園を探す。こんなことなら公園を明るいうちに見ておけば良かったが、意外と寝床探しに苦戦する。キャンプ場で自炊する気満々で生鮮食品を買いまくってるので、自炊できないとまずい。何とか見つけて、まずは夕飯を作る。パスタを茹でて、地元のトマトジュースとソーセージでトマトソース的なものを作る。そこにチーズとスイスチャードを入れて仕上げる。ソーセージだけで食べても美味いしトマトジュースも濃厚で美味しい。それをスイスチャードの色とりどりの葉としゃきっとした味で締めてくれる。夕飯に満足し、テントを張って眠りにつく。安息日の割に意外と体力を消耗した1日になった。 |

スイカソフト
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遠くに天使のはしご
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ソーセージを茹でる
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東川のトマトジュース
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トマトジュース、ソーセージでナポリタン風
チーズとスイスチャードを散らしたパスタ
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4日目 |
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東川 → 旭岳温泉 |
36.10 km |
2018/08/13 |
勝負の朝は早い。テントを撤収して6時台に出発する。薄曇りの空の中を走り出す。上っている間に上が晴れることを願うばかりである。旭川からジリジリ上っていた道は徐々に傾斜が増してくるが直線的な上り坂が続いていく。1日かけて上りきれば良いので焦らないことが大事である。
一度、道が曲がり始めてダムに向かうまでも徐々に傾斜がましてストレスがたまる坂道が続く。ダムを上りきったあたりで本格的にへばってきたが、大きなダム湖の向こうに大雪山が見えてきた。山の雄大さや壮大さは伝わる形ではあるが、いかんせん山の上の方が雲に覆われている。これがどいてくれれば最高なのだが、上りきるまでの数時間の間にどう転ぶかである。それでも水面に映る大雪山は美しい。 ダム沿いになると道は平坦になり、しばらくの休息ともいえる走りが続く。ダムの上流まで走り切ると、天人峡へ行く分岐に来たが上りに集中して天人峡は明日の下りの途中に寄ることにする。だが、すぐ近くに旭岳源水がある。1.5Lペットボトルの水も500ml程度を飲み干してるし、500mlペットボトルは既に空になっている。行ってみると水を汲みに来た車が駐車場を埋めている。大量のポリタンクに汲んでいく人がいる。小さいボトルにさっと汲んで飲んでみると自然の冷たさもあり純粋ですっきりしている。水源まで歩いていけるようなので、駐車場から歩いてみる。きれいな水が流れる小川を原生林が包む。上流まで歩くとわき出してくる豊かな水が川の流れを作っている。大雪山の偉大さを水という面でも感じられる。駐車場に戻ったら2L分のボトルを全て旭岳源水の水に入れ替える。 |

旭岳へ上る勝負日の朝
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大雪ダムから旭岳の眺め
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名水 旭岳源水
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水を1.5L + 0.5L補給
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豊富な水量が湧いて流れる
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旭岳源水
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ここから本格的な旭岳へのアタックが始まる。現時点で11時過ぎなので、ペース配分としては決して悪くは無い。残り600mを日没18時までと考えても7時間で上れば良いので不可能では無いペースになっている。あまり時間のことは考えないで、集中して上って行くしかないような道だ。一気に森の深い道を走っていく。道の両側は木々に囲まれている。傾斜はかなり厳しいが、序盤はセンターギアでグイグイ踏み込んでいく。ひたすら無心に坂道を上っていく。
途中、昼飯を食べるところはどこにもないので手持ちのパンで済ませることにする。ガードレールに自転車を立てかけて立ったままでサイドバッグからパンと魚肉ソーセージを出す。パンを頬張りながら森の中を見ると目立つ動物はいないが鳥が時々 飛んできては去って行くのが見える。飯の後でしばらく走って足を着いた時に、左側に見慣れない鳥が見えた。茶色い体に黒や白の斑がついている。飛ぶこと無く走って藪の中に逃げていった。フクロウが出てくる時間帯でもないし、飛ばずに逃げていく見慣れない鳥だ。カメラが間に合わず写真には残せなかったが、あれは何だったんだろう。標高が上がってくると、霧が徐々に立ちこめてくる。やはり今日は天気は期待できないだろうか。ここ最近の峠での天気運の無さがここでも発揮しているようだ。
標高が800mを越えると雨が降ってきた。レインウェア無しで自己発熱と雨による冷却でバランスを取ろうとしたが、どう考えても雨の方が強くなってきた。レインウェアを着込んで雨モードの走りに変わる。これと同時に体も冷え始め疲れにも気付き始めたら、なかなかシャキシャキとは上っていけなくなる。そうは言っても残りは300mほどだし時間的にも日没まで十分に残っている。手応えは感じながらも疲れや寒さと戦いながら坂をひたすら粘り強く上る。
もう疲れも限界に近くなってきたところで標高1000mの目印を過ぎ、いよいよ旭岳温泉も近いだろう。だが、目前には温泉街のようなものが見えてくる気配は無い。ようやく1軒目のホテルが見えてきたところで終わりが近づいてることを実感する。ここで傾斜もいくらか緩んできたが、体力も限界に近い。へろへろになりながら最後の力を振り絞っていると、すれ違う車の外国人の方にHello, Will you go to camp site? it's more 3 minutes! と声をかけられた。最近は外資系と仕事しているので英語は少しは話せるのだが、体力限界状態でも英語がいけるのであれば、いよいよツーリングの海外進出という新たなステージも見えてくるだろうか。気をよくして一頑張り走ると右にホテルとキャンプ場が見えてきた。 |

トンボがマップの上で休憩
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深い森の中を上って行く
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途中から雨が降ってきた
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一度、キャンプ場へ行って受付だけを済ませてから、頂上を目指すことにする。もう残りはごくわずかだろう。受付の前で待っていると雨が強くなってきた。建物の中でしのぎたいが前の客の受付が終わらない。これまた別の外国人の方だ。俺が通訳して手続きしたくなるところだが待っていると、順番が回ってきた。キャンプ場の受付の方からは Hello と言われかけたが 「日本の方ですか?」と聞かれ、YES と答えそうだが 「ああ はい」と答え向こうも安心したようだ。俺の方はサクサクと手続きを済ませて自転車に戻る。
気合いを入れて出発しようとしたら、さっき話しかけてくれた外国人夫婦が戻ってきた。さっき声かけてくれたおかげで活力を得たので "Hello again!"と声かけて話をする。大雪山を登山しに来たとのことだ。もし視界がありそうだったら、ロープウェイに乗ってみようと思ってるとか明日の予定なんかを英語で話して出発する。頭が英語から自転車に乗る現実へと変わる。強く降り注ぐ雨の中で最後の力を振り絞っていく。傾斜は緩く温泉宿やホテルが並ぶアウトドア的ではなく浮ついた空気感の場所だが、俺だけは一人で坂と格闘している。
もう目の前に頂上であるロープウェイ乗り場が見えているところでビジターセンターに立ち寄っていく。旅先のスタンプ集めが密かな趣味になりつつある俺としては逃せない。付近の自然や野生動物に関する情報を見ていると、さっき見かけた謎の鳥が分かった。思わず「ああ、これだ!」と独り言が出てしまう。謎の鳥の正体はエゾライチョウだ。色や形や大きさは特徴が一致しているし何より飛べないという点が確実だ。そんなに標高が上がってきた場所では無いが、立山や北アルプスなど高山や秘境のイメージが強い鳥を見かけるとは思わなかった。相変わらずの野生動物目撃運の良さに気をよくして見学していると閉館時間が迫ってきた。冷え切った体も少し温まり休憩にもなり鳥の正体も分かり満足感が大きい。 |
ちょこっとした坂に全力を注いで登り切り、ロープウェイ乗り場まで来た。1100mの山道を見事に制した。前々からずっと気になっていて上りたいルートでもあったので思い入れは強い道である。これで俺が知っている限りでオフロードや林道を除いて北海道の1000mを越える道路は全て走ったはずだ。もちろん上っていない道がまだ残っていれば挑戦しなければならないが、大きな達成感に包まれる。ロープウェイ乗り場で情報収集しながら明日のプランを少し考える。天気がスッキリするのは絶望だが、視界次第ではロープウェイで上がって駅の近くの池を巡る遊歩道をトレッキングするのもありだろう。ここは大雪山系の縦走路の入口ではあるが、手軽に回れる場所もあるようだ。
売店で夕飯の食材を物色したが、これと言って良い物は見つからない。暖かいコーヒーで疲れを癒やしてから、すぐ近くの温泉へ行く。日帰り入浴をやっているホテルもすぐ側にある。お盆時だと宿泊者のみと言う場合もあるので一抹の不安はあったが問題はなさそうだ。降り注ぐ雨の中、出来るだけ荷物を濡らさないように着替えを取り出して風呂に行こうとしたらホテルのスタッフの方が屋根の下のバックヤードに自転車を置かせてくれた。今日みたいな日は非常に助かる。雰囲気の良いリゾートホテルできれいな風呂で旭岳温泉の湯を大満喫し、冷え切った体の底から暖まる。
夕飯用に魚の甘露煮とビールと地酒を買ってキャンプ場へ戻る。料理を作るだけの野菜や肉など生鮮食品は手に入らなかったが、プレミアムなご当地レトルトカレーもあるので不満はない。キャンプ場に戻ったら炊事場の軒下に自転車を置いて、夕飯を作る。テントは雨が小降りになった瞬間を狙って張る作戦とする。雨が降ってないときに水路や水たまりを見極めるのが苦手な俺だが、これだけ雨がしっかり土砂降りで降ってれば水たまりがある場所と無い場所は一目瞭然なので逆に考えやすい。まずはご飯を炊きながら、甘露煮をコッフェルのふたに出し、ビールと日本酒で一人で乾杯だ。今日みたいなタフな走りをした日は飲んでおきたいところだ。ご飯が炊きあがったらレトルトのカレーを温める。紋別で買ってきたカレーを温める。暖まったところでご飯をフライパンに出してルー多めでカレーを楽しむ。ホタテの出汁がカレーに出ていて美味しい。ちょっと前は非常食と言えばスーパーで売ってるカレーだったが、今はどこに行ってもご当地のプレミアムなカレーがある。ひょっとすると、これを色々と試すだけでも一つの食マニアとしてのジャンルを確立できてしまうのではないかとも思える。これからは、積極的非常食ということでご当地プレミアムカレーを色々と楽しんでいくことにしよう。満腹になり酒も良い感じに回ってきた。山のキャンプ場なので上流でばっさり電源を切って消灯されてしまうはずが、気を遣ってくれてか消えない。
好意に甘え続けるわけにもいかないので、雨は小降りでは無いが意を決してテントを張る。張り始めてしまえば山岳用テントなのでササッと張れてしまうものだ。炊事場のテーブルの下に渇かす荷物は残して、それ以外のものはテントに入れる。土砂降りの雨の中で無駄な動きはせず、テントに入ったらさっさと眠りにつく。 |

旭岳ロープウェイ乗り場
標高1,100m
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旭岳の地ビール 旭岳麦酒
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東川の地酒
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紋別で買ってきた 帆立カレー
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5日目 |
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旭岳温泉 → 天人峡→美瑛 |
60.60 km |
2018/08/14 |
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旭岳、天人峡 |
朝、雨は止んでいるが空はどんよりと曇っている。だが、昨日と比べて雲は高い。これは、ロープウェイに行くしかないだろう。炊事場の壁に自転車を立てかけてパッキングする。GW後にテントのフライシートに撥水スプレーをかけまくったが、あまり効果は無くしみこんでいる部分も多い。そろそろテントの寿命が来ているのだろう。思えば10年で200泊近くしているので、仕方ないだろう。よくもってくれたものと思い、次のテントを考える時期だろう。荷物を片付けて、炊事場で朝飯を食べている外国人の方に挨拶して出発する。日本観光もだんだんマニアックになってきてるのか、このキャンプ場で日本人は俺だけだった。誰もが知ってる東京だの京都だのだけでなく、自然の良さを認めてくれ俺の好きな北海道を理解してくれる旅人が世界中で増えてくるのは嬉しいことでもある。
昨日の疲れは隠しきれない状態で坂を登ってロープウェイの駅へ行く。雨をしのげそうな軒下に自転車を置いて鍵をかけていく。ロープウェイのチケットを買い、乗り場へ行く。上の方を見ると霧の中に向こうがあるようで上の方の景色は期待できなさそうだ。それでも奇跡を信じるか、霧なら霧で見応えがあるのか期待をしつつも行く。ロープウェイに乗り込んで上がっていくと、濃い霧の中へと吸い込まれていき真っ白な無の世界に入っていく。本来は景色を楽しむために上に行くのだが、無の世界に入っていく感覚もそれはそれで楽しいものだ。 山頂の駅に着くとレンジャーから登山やトレッキングに対する注意事項の説明がある。そこまでのことなのかと緊張感を持ちながら聞く。1時間も歩かないぐらいの周回コースか池までの往復かそのあたりが現実的だろう。しかしながら、視界は100mもないぐらいの霧なのでどこまで楽しめるかは疑問だ。このとき、他の観光客の発した言葉が胸に刺さるといほどではないが頭に強く残った。「まあ雰囲気だけでも楽しんで行こう」。この状況で今の俺に出来ることがまさにこれだ。何も見えないかもしれないが周回コースを歩いてみることにした。 |

旭岳のキャンプ場 雨の中で撤収
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ロープウェイに乗ってみる
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予想通り霧に入っていく
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石がごろごろした登山道だが俺の足はトレッキングシューズなどではなくSPDサンダルだ。自転車用なのでタイトな作りにはなっているがつま先は出ている。10年以上使っているのでストラップもどこか緩慢で強度が落ちている。歩くときにブチッといかないか心配ではある。地面を真っ直ぐ踏み下ろすことを意識しながら歩いて行く。遠くは見えないが高山植物の花が咲き誇る原野は見える。天候が悪い時は花を楽しむというプレジャーもある。花の名前は一つも分からないが、低地では見かけない花が次々と現れる。それを見つけるのも楽しい。花の名前が分かるようになれば、そういう楽しみはより増すのだろう。目線の近くで花をじっくり見ることもできれば、複雑な地形の表面にいっぱい咲いているのも楽しめる。天気が悪いなりに楽しめている。
小さい子供連れの家族と同じぐらいのペースでのんびり歩いて池まで辿り着く。晴れてれば水面に旭岳が映り込んだりの絶景が楽しめるのだろうけど、どんより曇った空でそれは期待できない。だが、池の畔には残雪があったり非日常な感覚は十分に楽しめる。さらに、噴泉の湯煙を見てから歩こうとすると視界が一気に開けてきた。上は相変わらず見えないが下界が見えてきた。昨日走った大雪ダムの湖面がはっきり見下ろせる。そこまで続く複雑な地形も見えて気持ちがいい。 |

夏だが雪が残る姿見の池
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噴泉が湧いている
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ここで引き返すか少し遠回りするかを当初は迷っていたのだが今は迷う余地などどこにもない。旭岳の北側斜面を見下ろしながら下り気味に歩いて行く。左右には花が咲き誇る原野が広がり下界の眺めも開けて本当に気持ちの良いルートを歩いて行く。山岳トレッキングは自転車とはまた別の世界観を楽しめるので、これをハイブリッドした旅は理想的だ。旭岳のトレッキングを楽しみながら進んでいくと、夫婦池が見えてきた。ここが感動するレベルに景色が良い。右に見える池は広がりがあり、紫の花々の向こうに池と下界へ広がる稜線が楽しめる。左は深いすり鉢の下に小さな池があり畔には雪が残っている。趣の違う2つの池を道から同時に楽しめる。こんな贅沢なものはないだろう。
完全に満喫して、もう1つ池を眺めて下界を眺めながら歩くと駅へと戻り着く。ロープウェイを待つ間に旭岳の名水で淹れたコーヒーを飲む。歩いてないと寒いデッキのテーブルで池を眺めながら満喫する。贅沢な時間を過ごして楽しみ尽くしてロープウェイに乗り込む。帰りの方は視界が開けていて楽しめる。運良く前の方に乗れたので満喫していく。今年の旅では初めてエゾシカもロープウェイの真下で目撃できた。 |
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左がすり鉢池、右が鏡池で夫婦池
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万年雪が多く残るすり鉢池
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まん丸な満月池
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見えてきたロープウェイの駅
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旭岳源水で入れたコーヒー
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霧が晴れて下界の眺めが良い
ロープウェイの窓から
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旭岳温泉へ降りてきたところで昼飯にする。ロープウェイの駅にある食事処で済ませていく。東川町の野菜をふんだんに使ったカレーが美味しそうだ。自然も農作物も水も豊かなこの町での最後の飯はこれに限るだろう。ローストした野菜は甘みが濃くカレーとよく合う。別載せにしてくれているのが粋である。
昼飯を満喫したら、上ってきた旭岳温泉までの道を楽しく下る。しばらく雨が止んでいたので路面もドライになりつつある。楽しく大胆なライン取りで走って行く。基本的に森の中を抜けるルートで下界の眺めはあまりないが、下りの迫力を楽しむ。昨日は1日近くかけて上ったのに1時間ほどで下りきってしまう寂しさである。
本当は下りきったら天人峡をちらっと見てから峠を越えて美瑛の青池を見て上富良野へ行こうと思っていたが、そんな体力はない。少しずつ計画が崩れつつある。ここで5kmほど上り返す天人峡をスルーして行っても楽しくないので、日程を遅らせる前提で天人峡へ向かう。地形上は川を上っていくルートなので上り坂を覚悟したが、大きく上ることなくほぼ平らな道を上っていける。苦労することなく天人峡まで走りきると、川の向こうに鋭く立った岩がどんどんどんと並んでいて迫力がありながら神秘的でもある。スケールが大きく写真に収めるのが大変なぐらいの岩を見ていく。しばらく進むと天人峡温泉に突き当たる。
足湯の建物の裏に自転車を置いて羽衣の滝まで歩いて行く。数年前に崩れた遊歩道が今年復旧したとのことで今年の旅で天人峡を入れたのはナイス判断だ。温泉旅館沿いに歩くと川の向こうにはつるっとした一枚岩の涙岩が見える。さっきの角張った大きな岩たちと雰囲気が違い楽しい。さらに進むと遊歩道だが、崩れた分だけ逆に道がきれいに整備されていて歩きやすい。午前中に旭岳を歩いてるので整備された午後の道はトレッキングという感覚すらなくお散歩だ。奥まで進むと川の左に滝が見えてきた。さすがに北海道で最高落差ということもあり長く降り注ぐ姿が見事だ。雨のおかげで迫力も割り増しになっている。深い森と滝と柱状節理の大きな岩で何とも言えない景色を楽しませてくれる。
トレッキングを楽しんで足湯へと戻ってきたところで、既に15時を過ぎている状況だ。峠3本を越えて上富良野に行くのは現時的ではない。自転車のフロントバッグ上に鎮座しているツーリングマップルを取り出して足湯に浸かりながら地図を見て作戦を考える。今年の旅は終盤に苫小牧から室蘭へ行くところで遠回りで支笏湖と洞爺湖を回るルートを入れている。ショートカットすれば1日分はマージンが取れる年齢と体力を考慮した計画になっている。この1日を削れば、今日予定していた峠3本のうち2本を明日に回せる。そこから少しずつ到着地点をずらしたり伸ばしたりして、何とか日程に収まる計画案は頭の中にできた。今日は美瑛へ下って休むだけということにする。
先ほど上ってきた川沿いを下りながらも、また振り返って迫力ある岩を楽しむ。気持ちの良い傾斜ですーっと下っていく。旭岳へ上っていく分岐で一度は旭岳側に曲がる。昨日水を汲んだ旭岳源水へ再び寄っていきたい。1.5Lペットボトルに湧き水を再び入れる。すっと入ってくる美味しい水で喉も潤していく。 |

東川産野菜のグリルとカレーライス
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不思議な地形の天人峡
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圧倒される岩の迫力
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柱状節理が並ぶ断崖
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天人峡 羽衣の滝
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興奮が冷めやらず下りも写真を撮る
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昨日上ってきたダム沿いの上り坂を走ると気持ちの良い下り坂が続いている。ペダルでアシストしながら、まるで俺がすごく強いサイクリストになったかと錯覚するぐらいの目で傾斜は見えないが確実に速く走れるルートである。上ってきた者にだけ与えられるご褒美はしっかり受け取りたい。ダム湖の下流まで下りきったところで振り返ったが旭岳は雲の中のままだ。たぶん山の全容が見えると絶景のはずだ。さらに来た道を下ると、東川へ戻る昨日来た道と美瑛へ抜ける上り坂1本行く分岐に出る。美瑛の方へ向かうと車通りは全く無い。昨日の登りで体も鍛えられて来たからかあっさりと越えた。
ここを越えると、またとんでもなく気持ちの良い下り坂が続く。北海道の山岳ルートは一度頑張って上るとものすごく長い下り坂でご褒美をくれる。本州と比べて下り坂の余韻が長い。どこまでも続く下り坂と北海道らしい広い畑や牧場の景色を眺めながら走り、もう少しで美瑛というところまで来る。17時という時間帯なので、まだ2時間ほど残業して走るという手もあるが、次の目的地は山奥に上るルートなので今日は早めに終了することに改めて決める。
美瑛に着いたら18時だが、天気が悪いからか既に暗い。美瑛の駅前にある観光案内所で情報収集をしながら休憩し、まずは銭湯へ向かう。以前は複数軒あった銭湯も今は1軒のみとなった。ライダーハウスも兼ねたような大きな銭湯で入浴を済ませる。温泉天国の北海道の旅にしては温泉ではないのが寂しいところだが、今日も冷えた体を温めて疲れを癒やす。 |
風呂から上がって買い出しに行こうとすると雨がパラパラ降ってきた。レインウェアを着ること無くスーパーへ駆け込む。メニューは俺の頭の中で既に決まっている。今日は豚丼だ。旭岳源水でJALファーストクラスの伊万里米を炊いて、そこに庶民の味方であるソラチの豚丼のたれで肉と米の相性を楽しむ。美瑛の美味しい肉や野菜が手に入れば御の字だ。期待してスーパーで見ると豚肉は地元の物が手に入り、ピーマンとマイタケも北海道産のを手に入れる。見つけておいた公園へ行き、まずは夕飯を作る。まずご飯を炊く。せっかくの旭岳源水なので失敗はしたくない。手順や水の量や火加減を間違いなくこなしていく。米が炊けたら豚肉を焼く。ここは失敗しようがないがフライパンで焼いて、ソラチの豚丼のたれをかける。味が濃くなりすぎない程度にまとめあげる。具を載せる前にご飯を食べてみるが、これがとんでもなく美味しい。米粒がぴしっと立ってて食感もあるし、甘みも強い。天然水のご飯は美味しい。そこに豚肉とピーマンとマイタケの具を載せてタレをかけて完成だ。渾然一体となるという表現が合うような美味しさだ。安い肉でも高級な味になるという評判だが、タレの味は絶妙だ。これから荷物が増えてしまうが、それに耐えてでも食べる価値のある味だ。
夕飯を食べ終えたら食器を片付けてテントを張る。東屋の軒下に間口を持ってきて雨に打たれずに出入り出来るようにして、テントに入る。テントの半分は雨に打たれている状態で、テントの中でスマホを見て天気予報などを見る。明日以降も雨が続きそうだ。明日の予定ルートの距離を調べてみると、なんと85km以上もあるし峠も3本越える。明日の目的地の富良野でキャンプできそうな公園の当たりはついているが雨を防げる場所があった記憶が無い。風呂とか洗濯とかも考えないといけない。北見峠、旭岳と連発した山岳コースの疲れも思ったほど取れてない。お盆だから厳しいかと思いながら宿を調べてみる。楽天やじゃらんはどこも満室のようだ。海外系のアプリで調べると旅館が何部屋かは見つかった。素泊まり1万円と安くは無いが予約する。明日は走りに集中できるだろう。 |

庶民の味方 ソラチ豚丼のたれ
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自家製豚丼
マイタケとピーマンを添えて
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6日目 |
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美瑛→青い池→上富良野→麓郷→富良野 |
86.92 km |
2018/08/15 |
朝からしっかり雨が降り注いでいる。昨日は奇跡的に雨から逃げ切ったのだが、今日は負け確定で3勝4敗と負け越している。やはり、泥よけの神様の怒りは凄まじく、忘れてきた上に晴れれば要らないなどと口走ってしまったことを後悔させられる。テントを片付けて出発する。美瑛を出発して十勝岳へ登る途中にある最近話題の観光地 青い池へ向かって行く。 |
まずは、十勝岳へ登っていく道を走る。あっという間に観光地らしく浮ついた雰囲気はなく寂れた道になっていくが、上り坂は緩い。以前の旅で十勝岳温泉まで上ったことがあるが、途中にそんな池があったような記憶は無い。途中までダラダラ上って途中から急な坂になった記憶はあるので、たぶん急な坂が始まるかどうかというタイミングではないかと予想しながら走って行く。
まだお盆だから交通量は多く俺を追い越していく車も多いし大型バスも何台も来る。やや緊張感のある走りを強いられつつ冷たい雨にも打たれつつ上っていく。そろそろ青い池に近いと思われるところに道の駅がある。だが地図には載っていない。立ち寄ってはみるが雨をしのげる軒下もなく何となく居心地の悪い場所である。情報収集をしつつ天気予報を見ていると、前線が北海道に横たわり低気圧が次々に西から来るような気圧配置になっている。素人の俺が見ても晴れる気が全くしない。泥よけの神様の怒りのすさまじさを改めて感じていく。
相変わらず降る土砂降りの雨の中をまた上っていく。しばらく上ると青い池の駐車場へ入る道に来た。水たまりができまくっているダートをバシャバシャ言わせながら走るが、あくまでも慎重に行く。泥よけが無い状態で泥が溜まった水たまりを走るのは苦痛そのものだ。無くて分かる泥よけのありがたさに感謝していく。観光客でごった返している駐車場と遊歩道を歩いて青い池を見に行く。観光客の波はあるが遊歩道を埋め尽くすほどまではいかないので池はしっかり見える。向こう側には人が居ない配置なので、不思議な青い水の上に立ち枯れした木とその向こうに白樺の森が見える不思議な世界観は人が多くても楽しめるレイアウトになっている。池の方を見て集中力を研ぎ澄ませば楽しめるし、写真上は混んでることなど分からない。晴れてないと青くないのかと思ってたが、雨でもきちんと青い水が見える。池そのものは人工的に堰き止めたことで出来たものだが、水に含まれる成分は十勝岳の火山活動で生まれたものによって作られている。自然の不思議さは十分に楽しめる景色だ。池を眺めながら畔を歩いていくと近くの川も見えるが、水は同じ色をしている。
青い池の観光を楽しんで、また自転車に乗って戻る。道の駅に一度立ち寄って昼飯にしようかと思ったが、ハンバーガー屋しかなく しかも注文はオープンテラスに並ばないといけない。並んだところで座る場所もなさそうだ。新しいのに作りがダメすぎて話にならない。スルーして上富良野へ向かうことにした。 |

雨でも不思議な青い池を楽しめる
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対岸の立ち枯れした木と青い池
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人工的にせき止めた池が青い池
向こうを流れる川も青い
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おそらく十勝岳から下りてくるように続いてる稜線の尾根が峠になっている。結構な急坂を上って越えていく。これを越えると上富良野までは楽なはずなので我慢できる。思ったより体にキレのある走りを感じながら坂を越えると急な下りの後に、上富良野へとゆっくり下る北海道的な峠の下りが訪れる。昨日の下りと雰囲気が似ていて快適ではある。雨にバシバシ打たれているので下りとは言え体力の消耗は昨日より激しいが、距離は順調に進むので気持ちは良い。上富良野に近づくとパッチワークになってる丘がいくつも目の前に見えてくる。いかにも美瑛・富良野らしい景色に満足するが雨なので楽しみ半減ではある。
やや遅めの昼ご飯を食べるべく上富良野駅へ行き周辺の店とか情報収集する。雨が止んだと思って喜び勇んでレインウェアを脱いで情報収集し、昼飯に行こうとしたら降ってくる。今日はダメだ。駅の近くで蕎麦と豚丼がセットになったものを食べていく。豚丼は豚トロのこりこりした肉で食感と味が楽しめる。蕎麦も美味しい。北海道の大地の味を満喫する。 ここからは少し気合いの入った走りが必要になる。富良野までを少し大回りして山道も登って麓郷(ろくごう)へ行く。土砂降りの雨の中を真っ直ぐだが徐々に上っていく道を走る。地面は水たまりが出来てタイヤの跳ね上げた水が降りかかる。フレームに跳ねていた砂や泥が洗われるぐらいの水が跳ねてくる。俺も降り注ぐ雨に打たれて体中が冷えていく。夏の自転車旅は発熱と放熱のバランスが疲れに大きく影響する。放熱できないとバテるし、冷えると筋肉疲労がたまっていく。バランスが良いと疲れにくいし疲れも残りにくい。理想的な状態にはほど遠い。 |

かろうじて富良野らしい景色
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そばと豚丼
豚トロを使ってるので歯ごたえが良い
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体が冷えてきたせいかお腹が催してきた。この辺りはコンビニなどの店も何もない。緩くアップダウンする農地の直線路がひたすら続く。ちょうどピンチになってきたときにゲートボール場になってる公園のトイレを発見した。急いで駆け込み間に合う。泥よけの神様には怒られ続けているが、トイレの神様には怒られていないようだ。
15kmほど上富良野から走り抜いたら麓郷への上り坂が始まる。寒さで足の力が入りにくくなっているが冷え続ける体に鞭を打って上っていく。麓郷に何を見に行くかというとドラマ「北の国」からのロケ地である。だが、俺はそもそも「北の国から」を見ていない。それほどモチベーションも湧かない中だし、上り始めの時点で16時を過ぎている。スルーして富良野市街地に行ってしまおうかという思いが何度も頭をよぎるが坂を登っていく。高低差200m近い坂を雨の中で何のために上るんだろう…という空しさは今回だけは感じる。
だが坂を登っていくと広い牧場が見えてきたり、いかにも富良野らしい景色が広がり始めてきた。ロケ地の家とか何とかはストーリーを知らないと楽しみがないが、映画に使うほどの牧草地とかは他の北海道の地域を見て回っても見られないだろう。そういう意味では来た価値はあったかもしれない。そろそろ今日の体力も限界に近づいてきているので休み休み景色を見ながら進んでいく。
大きな牧場を上り詰めると緩やかな下り坂が始まる。徐々に薄暗くなってきた道を走ると麓郷という地名が見えてきた。ようやく、あの「北の国から」の舞台に近づいてきた。時間は既に17時半 少し嫌な予感は否めない。下りで調子が上がってきた体で飛ばしていき、ついに北の国からの拾ってきた家の前まで辿り着いた。門はしっかり閉ざされている。いつでも好きに見れるわけでは無く、公開時間が決まっているようだ。そのほかのロケ地も見学できるようだが、ルール的には同じだろう。「北の国から」を全く見ていないのに聖地巡礼をしている俺、しかも開館時間に辿り着けず見学できない… だが、不思議とネガティブな感情が起きること無く、麓郷を後にする。 |

牧場の広がる麓郷
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麓郷の牧場と1本の木
北の国からに出てきそうな景色
(見てないけど)
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広がりのある牧場の景色
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北の国からロケ地 既に閉館・・・。
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この奥に「拾ってきた家」があるらしい
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麓郷からは淡々と下っていく坂を満喫する。疲れも溜まってきたし体も冷えてるので上ってきたのだから当たり前と言えば当たり前だが下り坂はありがたい。土砂降りの雨も一段落し道路もきれいに整備されているので走りやすさで助かる面がある。下ってきた道で国道にぶつかった後、明日のルートでは南下する予定だが、逆走して富良野の市街地へ向かう。今日は宿を押さえているので、宿の快適さで疲労回復を狙いたい。すっかり日が暮れた国道を北上していると、疲れと冷えでヘトヘトになってきた。夕方頃から風が強くなってきて追い風なのだが、5kmの道のりが遠くに感じる。あと2kmほどで富良野駅前というところで一旦コンビニに寄って休憩する。とにかく体が温まらない。少し回復した体力で市街地を走り抜けて宿を探す。目立つ感じのホテルとかではないので探すのに苦戦する。さらに強い雨と風に翻弄される。 |
何とか宿を見つけて無事に今日の走りを終えた。だが、俺にはこなさなければならない現実が今日はたくさんある。まずはずぶ濡れの体で宿の中をウロウロするのも良くないし、外に止めておく自転車もカバーなどしておきたい。さらに今日は洗濯もしないといけないし、体も芯まで冷え切っている。宿の女将さんが親切で現実は次々と片付く。玄関先でタオルを借りて、雨具を干してもらって、自転車も玄関先に荷物ごと入れてもらえた。水滴が落ちない程度に体を拭いたところで、早速 風呂で体を洗って温める。大きな湯船に胸まで浸かっても暖まる気がしないほど冷え込んでいる。口が沈まないギリギリまで湯船に体を入れて暖まる。お湯で体が温まるにつれて深刻な疲労も徐々に回復する。
次は洗濯だ。近くのコインランドリーを聞くと徒歩20分ほどはかかりそうだ。洗濯物もたまりきって重いし、重い腰を上げて歩こうとしたら車で送ってもらえることになった。タフなコンディションの日に親切な女将さんには本当に助かる。コインランドリーの前に下ろしてもらって、汚れ物を洗濯機に放り込む。臭くなりがちなサンダルもシューズ用洗濯機に入れて洗う。洗濯が終わるまでの間はテレビを見ながら日記を書き進める。
乾燥まで終えたところで21時半。富良野の町は飲食店が閉まり始めて寂しげになりつつあるが、一軒の居酒屋を見つけて入り込む。美味しそうな食材が並ぶカウンターで北海道の大地の味を次々に満喫する。紋別から始まって北見峠、旭岳を走って中締めとしては良いタイミングだろう。色んな北海道を満喫して宿に戻ろうとしたら雨が降ってきた。徒歩でもそんなに遠くないだろうが道を調べててくてく歩くのも面倒になってきたのでタクシーを拾って宿へ戻る。あっという間についてしまったが、疲れ切った体で眠ったタイミングを覚えてないほどすぐに眠りにつく。 |

富良野メロンサワー
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おしゃれな盛り付け
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7日目 |
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富良野→金山峠→占冠→日高峠→日高 |
66.44 km |
2018/08/16 |
10時のチェックアウトギリギリまで旅館にいると、カットメロンを振る舞ってくれた。甘みと香りがたまらない。荷物をサイドバッグへ詰め込みつつメーターの距離を見て驚く。ちょっとした山はあるものの距離は短めにしていて昨日は俺の中では安息日のつもりだったが87kmも走っている。どうも計画時に距離計算を間違えていたようだ。さらにメーター画面にはトランスミッタの電池消耗警告が表示されている。ややこしい状況だが、本体が乾いていて雨が降る前に電池交換した方が良さそうだ。
宿を後にして、すぐ近くにある大きな産直に寄っていく。買い物も食も充実している。思わず旭岳で使い果たした非常食のカレーを大量に買い込んだ。毎日カレーでも無くならないぐらいの量になってくる。富良野の野菜も美味しそうなので買っていく。ここで遅い朝飯を食べて、駐車場でメーターの電池を交換する。CATEYEのコードレス式全般にそうなのだがペアリングが非常にやりづらい。電池交換した後でメモリに残す機能を未だに持っていない。ID登録を済ませてメーターが動くようになった。
ほぼ昼というタイミングで富良野を出発する。強い横風にあおられながら苦戦する走りである。富良野から10kmもいかない布部で大粒の雨が降ってきた。予報通りではあるが、奇跡は起こらず未だに泥よけの神様の怒りにさらされている状況である。ちょうど見つけた商店の軒先に滑り込んでレインウェアを着ていると、商店の人に話しかけられ、追い越されていくサイクリング大会の下見と思われるスタッフたちにも声をかけられる。続く雨にイライラしそうだが何とか精神的に持ちこたえている。ここでスピーカーの電池も交換していく。
徐々に山が迫ってくる富良野の盆地も徐々に終わりが近づく。少し狭くなったところで北海道らしいヒマワリ畑も見えてきた。大雨の中だが景色は楽しんで行く。短めに見物したら走り出す。富良野の盆地を走り抜けて、いよいよ峠道の連発に入る。まず1本目は金山峠へのアタックだ。途中にあったトイレで休憩していると、ハイエースで車中泊している旅人にも話しかけられる。今日は比較的辺鄙な道を走っている割にコミュニケーションが豊富である。
本格的に始まった上り坂は北海道にしては珍しく鋭いカーブでグイグイとやや急な坂を上っていくタイプの坂道が続く。上り坂のタイプとしてはこっちの方が好きだが北海道らしくはない。目印になるものもないし、標高何mなのかよく分からないマイナーな峠なので進捗がつかめず、いつまで経っても終わらないという印象である。上に行けば行くほど雨が激しくなり、坂道を伝って水が流れ降りてくる。それに逆らうように上っていく。とにかく粘り強く坂を登っていくという感じだが、雨が返って俺の集中力をあげてくれているようにも思える。 |
 旅館でいただいたメロン
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カレーおにぎり
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ひまわり畑
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峠を登り終えて坂道を下る。これも北海道らしくないぐらい鋭く下っていく。路面は激しくウェットで降ってくる雨は容赦なく目に入ってくる。あまり下を見すぎると危ないぐらい坂もカーブも鋭い。占冠(しむかっぷ)に降りる坂の途中に温泉があり、そこに入って占冠に泊まるB案と、さらにもう一山越える当初案のA案がある。B案に行ってしまおうかと思うぐらいの寒さだったが、先のことを考え心を鬼にして通り過ぎる。
坂を下りきったところで占冠の道の駅で休もうかと思ったが、占冠駅と併設された土産物屋があったので立ち寄ってみる。土砂降りの雨で自転車の立て掛けに苦労しただけで何も得られるものがなかった。2kmほど走って道の駅に着いてやっと一息つきたいところだが、既に時間が17時になろうとしている。糖分を補給し温かい飲み物で体を温める。
体が休まる暇もなく、次の峠を目指す。今度は先ほどの金山峠ほど厳しい坂は無く始まる。今度は力強い踏み込みが出てきた。上り坂ではあるが淡々と走り続けていく印象だ。峠を登っているうちに完全に日が暮れた。山奥だし天気も悪いので暗くなるのは早い。だが、交通量もほとんどなく日没で雑念がないのか走りは捗る。大雨の中で18時半には日高峠に辿り着いた。今日の2大山場を両方とも制した喜びと安心がある。そして、今回の旅は紋別から始まって、北見峠、旭岳、美瑛から上富良野そして麓郷と続いて、金山峠と日高峠ということで内陸の峠を越えまくった道もいよいよ最後の峠が終わり下り基調と海岸線を残すのみとなってきた。内陸を斜めに貫く今年の旅も最後の山場を終えた安心感と達成感をここでは味わう。 |

日高峠
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完全に日が暮れた日高峠
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頼れるダブルのヘッドライトとテールライト、慣れてきた夜間の下り坂で万全の構えで下っていく。しかし、トラブルが連発である。ここ数日の雨でブレーキシューが減りまくっているのでブレーキレバーがハンドルに当たるまで引いても制動力が物足りない。慌てて傾斜の緩いところで止めてブレーキレバーについてる調整ネジでレバーの遊び分を引く。走り出そうとすると、さらに右のライトが切れて左のライトも電池切れが近いことを示す赤いLEDが光り始めている。目に見えて視界が暗い。土砂降りの雨なので電池交換はあまりしたくない。頭にヘッドランプを付けて視界を確保しようとしたら、そっちも電池切れが近い。
だが、俺の目がだんだん暗さに慣れてきた。ツーリングの終盤になると俺の中の野生がよみがえってくるので闇でも状況はつかめるしテントを張ったり料理をしたりなどという作業も出来るし自転車の運転も出来てしまう。わずかな光を頼りに野生の視野だけで下っていく。幸運にも傾斜もカーブもさほどきつくなく下っていける。慣れてくると谷の向こうにある日高の山々の稜線も見えてきた。俺の目は完全に野生動物と化している。 |
坂を下りきってコンビニやガソリンスタンドが見えてきた。何はともあれオレンジのオアシス セイコマに駆け込む。ここでやっと大きく一安心できる状態になった。雨を防げる軒下で電池を全て交換して視界を完全に確保する。道の駅にも立ち寄ってみるが、特に得られる情報も物もない。前に日勝峠へ登った時に立ち寄ったのでキャンプ場も温泉もあるのは知っている。思っている以上にキャンプ場へは道を下る。だが、何とか見つけて炊事場まで自転車を乗り付ける。
雨も小雨ながら降っているが風が強くなってきた。ライダーの夫婦と話をしながら荷物を自転車から降ろす。軒先で干すものとテントに入れる物を仕分けしつつ荷物をばらしてテントを張る。風が強いので油断が出来ないが四隅を一つずつ着実に固定して吹き飛ぶのを防ぐ。形が安定したところで荷物を放り込んで風呂へ行く。ここからは歩いて行くのが楽そうだ。ここで痛恨のミスをおかしてしまう。風呂の受付時間を2分過ぎてしまい入浴はできないこととなった。こういうときはテントより先に風呂が鉄則だったが、すっかり疲れとずぶ濡れの装備を何とかしたくて油断してしまった。冷え切った体を温めることもなくキャンプ場へ戻る。
汗と雨で濡れた服を着替えて、夕飯を作る。まずはお湯を沸かして富良野で買ってきたショコラホワイトという品種のトウモロコシをオホーツクの塩で茹でる。これは生でも食べられるぐらいの甘さなので軽く温めて甘みを活性化させて塩でアクセントを付けるぐらいの薄化粧が良い。トウモロコシをかじっては甘いツユが口いっぱいに広がり美味い美味いと言いまくりながら、続いて同じお湯でジャガイモを茹でる。富良野で買ってきたインカのめざめという品種の芋は色がやや黄色い。食感が少し残る程度にオホーツクの塩で茹でて水を捨ててからは空だきしながら水を飛ばし表面のホクホク感を出す。これはマヨネーズとキュウリで和えてポテトサラダにする。旅先の美味しいジャガイモをポテサラにするのも定番化してきている。野菜ばかりじゃつまらないので、セイコマで買ってきたジンギスカンで暖を取りながらビールを飲んでいるとライダーさんが使い捨てカイロを持ってきてくれた。末端から暖まれば寒さを忘れられるので助かる。自転車だとTシャツと短パンとサンダルで軽装なので、こういうトラブルの時は寒い。
出発の遅さが全ての原因を引き起こしているもののダメダメなタフな1日を終えて眠りにつく。 |

富良野産ショコラホワイト
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インカの目覚めポテトサラダ
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セイコマのジンギスカン |
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8日目 |
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日高 → 平取→富川→門別→富川 |
75.50 km |
2018/08/17 |
昨夜の間に吹き付けた風で荷物が概ね乾いている。9時には日も出てきた。ネットの天気予報を見るとついに晴れで降水確率が0%だ。日高の山々もよく見える。テントを片付けて出発する。だが、時間は既に遅くなっている。疲れが隠しきれない状況は変わらない。
まず道の駅 沙流川に立ち寄る。まずは遅めの朝飯として、蕎麦を食べていく。冷たいざる蕎麦より温かいかけそばの方が欲しくなる。沙流川で取れるやまべの天ぷらを添えた天ぷら蕎麦がたまらない。道の駅に併設されて日高山脈資料館が出来ていたので見ていく。日高山脈の奥深さは、NHK BSでやっているグレイトトラバースで見て登山道すらない秘境が日高にあるというので日高の自然には興味を持っている。北海道の自然科学は学べば学ぶほど面白い。
道の駅の売店でフルーツほおづきのアイスを買っていく。驚くほど甘いがさっぱりして美味しく食べられる。ほおづきを食べたことなどないので珍しい。アイスを食べながら見ていたのが日勝峠の損壊と復旧の状況だ。2016年の旅で東北地方を台風3連発が通り過ぎていった先には北海道があり日勝峠があった。20カ所以上にわたる壊滅的な被害でやっと今年になって復旧して開通したようだ。こうやって楽しんで走れるのも無事に走れるのも道路を維持する人たちの努力があってこそのことであり、当たり前のように走っているが感謝しなければならない。
ここからは太平洋まで下り基調の道を楽しんで行ける。過去に逆ルートを走ったことがあるので勝手もだいたい分かっている。久しぶりにサングラスも出してかけていく。川は昨夜まで続いた雨の影響で泥水が流れている。天気が良ければ清流の印象がある沙流川だが今は茶色く濁った水が水量を増して流れている。渓谷美を楽しめるルートではあるが、今日は迫力と美しさの両方と言ったところだ。
平取(びらとり)まで下ったところで休憩する。ここでも美味しそうなカレーとハヤシライスがあったので買っていく。すっかりご当地レトルトカレーマニアへの道を走り出しそうな勢いである。 |

久しぶりにテントが日を浴びる
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やまべの唐揚げ
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やまべそば
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点があるところと写真の枚数が被害箇所
日勝峠の被害の大きさが分かる
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フルーツほおずきシャーベット
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下り坂なので順調に来ているが休憩して走り出す。少し走るとアイヌの資料館があるので寄っていく。沙流川に面した立派な博物館にはアイヌの伝統的な道具や儀式の情報が展示してある。展望テラスからは沙流川の眺めも楽しめる。下流に来て川幅が広がってきたからか泥流感はだいぶなくなってきた。
資料館を出て少し走ると左にハムやソーセージの工場直売店が見つかったので、何か本能的に惹かれて寄っていく。ソーセージとベーコンを買って保冷バッグに詰めていく。普通は下りきって寝床を見つけてから買い出しをする流れだが、下り基調で楽勝なので余裕かましている。
川沿いの道を河口付近まで走って富川まで走り抜くと17時だ。天気も良く日没はまだ待ってくれそうな状況ではある。買い出しできそうなセイコマで休憩し、歩ける範囲に公園があることも分かった。歩いて見に行くとテントを張る場所は何とかありそうだ。日没後にバサッと張ってしまえば大丈夫だろう。 以前の旅では門別あたりまで行ってから山に入った覚えがあるので、そこまでは行っておく。明日の進行方向とは逆に5km弱ほど襟裳岬方面へ海沿いに南下する。軽く丘を越える道を走っていると、前に内陸へ入った分岐を見つけた。坂の頂上に温泉がある。ここで入浴を済ませたはずなので、北海道一周で抜けていたルートを繋ぐ基点ができた。一度、門別の方へ下ると日が暮れた。日高門別駅で情報収集するも何も見つからない。 |

泥混じりの沙流川
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平取のアイヌ資料館
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また坂を登って温泉へ行く。今度は時間を調べておいたので楽勝だ。荷物から着替えを出して風呂に入って行く。今夜と明日以降のデザートにすべく売店でブルーベリーを買っていく。そこで見かけたヨーグルッペと書かれたドリンクがさっぱりした飲むヨーグルトで美味しい。
温泉の近くに良い感じの公園はあることはあるのだが、車の出入りが多く目立ちそうだ。やはり先ほどの富川へ戻る。夜風を涼しく浴びながら坂を下って、さきほどのセイコマで生クリームの代わりに牛乳を買っていく。
公園に着いたら、まず夕飯にする。オリーブオイルでニンニクを炒めて買ってきたベーコンを焼いて牛乳をかける。これを温めながらチーズを入れて溶かす。ソースを作っておいてパスタを茹でる。しかし、ここで痛恨のガス欠だ。キャンプは明日1日しかないのに今からガスを1本買うのか… 仕方なくコンビニへ歩いて行ってガスを1本買う。頼れる火力でお湯を沸かしてソーセージをボイルして茹で上がったら取り出して塩を溶かしてパスタを入れる。しっかりした火力でパスタをゆで上げて、先ほど作っておいたソースに和えて温める。ビールを飲みながら夕飯を満喫する。さすが肉屋さんのソーセージとベーコンは良い味が出ている。
余りまくっているガスでどういう料理をするか悩ましい状況になってきた。ここからの勝負の道筋はだいたい見えてきた。ゴールの室蘭までは120kmほどなので、明日90km走って虎杖浜まで行けば満額回答で御の字な計画になる。その手前の白老か苫小牧でも問題は無い。ここからは山らしい山もとくにないので平地で2日間を何kmずつ走るかの勝負になる。
明日以降の勝負感にワクワクしながら眠りについた。 |

日高のご当地 ヨーグルッペ
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平取で買ってきたハム
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ソーセージも美味しい。
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ベーコンとソーセージのクリームソースパスタ
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9日目 |
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富川 → 鵡川 → 苫小牧 → 白老 → 虎杖浜 |
90.64 km |
2018/08/18 |
朝は早めに目覚める。やっと朝から青空を見る。荷物をまとめて出発しコンビニに立ち寄る。朝飯を済ませてサングラスをかけて出発する。国道を淡々と鵡川・苫小牧に向かう道なので苦労はしないだろう。幸運にも追い風である。まだ続く競走馬を育成する牧場を見ながら気持ちよく北上していく。踏み込みも力強く紋別から斜めに貫いてきた自信が気持ちにも足にも見えてくる。
あっという間に鵡川まで走りきる。道の駅で休憩しつつ ものすごく緩いししゃもねこのグッズを物色し、道の駅を後にする。JR鵡川駅に立ち寄ってみると、鵡川から先が線路がなく代替バスになっている痛々しさを感じる。
真っ直ぐ苫小牧に向かっても良いのだが、厚真にある苫小牧東のフェリーターミナルに寄っていく。国道から急に寂れたルートに入っていく。ちょっとした工業団地はあるが北海道では数少ないサーフィンのメッカになっていてサーファーを何人か見かける。寂れた道の先にフェリーターミナルを見つけた。ここから敦賀や舞鶴や秋田や新潟へアクセスできる。鹿児島から奄美や沖縄、GWは対馬や五島へ行ったが島ではなく本土での長距離はなかなか自転車だと使わないので、長距離フェリーはワクワクする。だが、就航が夜なので昼間は売店なども含めて開いていない。
だんだん増えてくる交通量を横目に苫小牧を目指していく。少しアップダウンのある道を車から追い風をもらいながら走るので、力のかけ具合の快適さとバランスが取れてきた。高速道路のICを過ぎて、だんだん都会的になってくる道を走ると、2015年の旅で荷物を発送しに来たヤマトの営業所が見えて、フェリーターミナルが見えて徐々に市街地へ近づいてきた。
昼飯は港の市場で食べると決心しているが、途中で店が次々と現れて誘惑されていく。寶龍、セイコマホットシェフ、回転寿司… 「ここでいいんじゃないか」という声が聞こえてくるほど腹も減ってきた。見覚えのある港の市場に辿り着いた。自転車を置いて飯を食べに行く。ここに来たらホッキ貝は外せない。ホッキを含んでいる海鮮丼と刺身単品を付ける。甘みとこくの波が来る。苫小牧に来るまではホッキ貝の美味しさには気づいてなかったが、産地は違う。すっかり満足して遅めの昼飯を終えた。 |

意外と気に入ったゆるキャラ ししゃもねこ
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日高本線 浜厚真駅
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苫小牧の海の幸満載の海鮮丼
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ホッキ貝のバター焼き
濃厚なうま味がある
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ホッキ貝の刺身
爽やかな甘さがある
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苫小牧で泊まるか迷ったが時間は早い。もっと走っておくことにする。白老ならツーリングマップルに温泉マークがある。海沿いの国道は真っ直ぐで平らで今日は幸運にも追い風気味の風向きだ。3年前にも走った道を逆走しているので道の具合も全て分かっている。もう気分は楽で走りきれるかどうかというプレッシャーは皆無に近い。事故でもない限り走りきれるという自信はペダルを踏む力を増しているようにも感じる。あっという間に白老まで走りきる。この時点で16時半。働き方改革が叫ばれている昨今で残業せずに終わるにはちょうど良い場所だ。
だが、調べてみると白老の温泉は日帰り入浴をやっていない。走るしかないようだ。今日はガスを使い果たさないといけないという事情もあるので、夕飯作りはMUSTだ。スーパーで買い物をするが、今日のメニューは決まっている。ガスを大量に使うには煮込み料理が一番ということでスープカレーだ。ご飯は炊かないといけないし、大きな塊の肉をじっくり煮込む必要もある。ごろごろ入れる野菜も煮るとなるとガスが必要だ。ちょうど地元の豚バラブロックがあった。ジャガイモやにんじんやタマネギを買う。彩りの緑はアスパラを買う。
店の前で自転車趣味の人と話をして、最後の力を振り絞る…というほどではないが虎杖浜へ向けて出発する。3年前に泊まったのでテントを張れる場所も知ってるし、コンビニがるのも知ってるし、風呂があるのも知っている。走っているとだんだん暗くなってきた。明るいうちに辿り着けないのが年齢による衰えなのだろう。だが、タフコンディションやナイトランでの集中力はベテランらしさとは思っている。
何軒か見覚えのある日帰り入浴できる宿を反対車線に見たあと、見覚えのあるコンビニと隣に海産物の直売店がある場所に着いた。一安心だ。当時の記憶を辿りながら公園を見つけて風呂も見つける。まずは日帰り入浴で体を癒やそう。前回とは違う温泉に行こうと思ってこぎれいなホテルから入る。しかし敷地内を歩くと3年前に入った温泉と同じところに出てきた。中で繋がっていたようだ。それでも3年前に満足した温泉に今年も満足するわけで間違いのない選択でもある。
夏の終わりでやや寒くなってきた夜だが、湯上がりの涼しさを楽しみながら公園へ移動する。遊具の裏の目立ちにくいところにテントを張って夕飯を作ろうとしたが、油断して道路からよく見える場所で料理していたら近所の住民と目が合ってしまう。意外と人通りが多いので遊具の裏に移動して気配を殺しながら夕飯を作る。 |
まずは飯を炊く。これは無事に終わらせたら、ブロック肉の全部の面を焼いて水で茹でる。そこに皮付きのまま切れ目だけ入れたジャガイモを入れてにんじんを入れる。煮込み時間を頭では計算しつつガスの無駄遣いを心がけながらスープカレーの具を茹でていく。本当は圧力鍋でもあれば柔らかくなるのだろうけど見るからに堅そうなブロック肉になっている。ブロック肉を柔らかく煮るキャンプでの方法は調べておきたい。スープカレーの本場だけあってスパイスはちゃんと売っているのが北海道だ。煮えた具にスープカレーの素を入れて仕上げていく。スープを温めながらスプーンですくってご飯と一緒に食う。肉はスプーンで無理矢理崩しながら食う。柔らかくはないがスープを絡めながら食べると本当に美味しい。キャンプで手っ取り早くやろうと思ったら豚や牛よりは鶏の方が良いのかもしれないと今になって思うが、まあ良いだろう。
最後は水をひたすら湧かし続けてガスが切れるのを待つ。これがなかなか終わらず夜中の1時になってやっとガスがボボボボ ブフッと切れて終わった。これが旅の終わりを意味するところもあり寂しく感じるものである。ガス缶に穴を空けて水で満たしてガス抜きする。ここも手慣れたものである。90kmを走り抜いて明日に残すのは30km弱。もう完全にゴールが見えてきたと思える満足感と安心感を得て、荷物を片付けて眠りにつく。 |

最後のキャンプ飯はスープカレー
ガス消費重視で選んだが、結果として最高。
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10日目 |
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虎杖浜→登別→地球岬→室蘭 |
40.23 km |
2018/08/19 |
スッキリ晴れとはいかないが雨は降らずに逃げられそうな雲の高さだ。最終日としてはまずまずの天気だろう。だが1日でも雨が降れば、今回の旅の負け越しが決まってしまう。自称 晴れ男としては勝ち越して終わりたいところだ。さらに、テントを片付ける最中は蚊と謎の虫がつきまとう。虫除けを足に吹いても蚊では無い方の虫には効果が無い。蚊取り線香で追い払いながらパッキングを済ませる。しかし、刺された箇所は内出血が見えて気持ちが悪い。ネットで調べても何の虫だか分からない。見た目はブヨっぽいが刺されても痛みはないし痒みもない。そもそもこんな場所にいるような虫では無い。
公園を出発しコンビニで朝飯を食っていく。セイコマが近い寝床は快適である。虎杖浜からは上り坂が始まる。軽く越えると登別というのは分かっているので、のんびりと上って越えて下る。今日は時間もあるので、登別で寄り道をしていく。水族館とちょっとした遊園地がある。ご当地の水族館は外せない。お城みたいな建物で大きく立派なものなので観光客は押し寄せている。中国語を話す団体が俺のちょうど後ろに並んでいる。
開館するとチケットを買って一人の身軽さを生かして先行で入る。団体に追いつかれて巻き込まれると世界観がなくなってしまうので、とにかく千切ることが大事だ。北海道の水族館は食べ方について触れることを全くためらわない。生態と調理法と味が書いてあり、「美味しい水族館」と堂々と言ってしまっている。天然記念物で幻の魚とも言われるイトウも食べ方を書いている。ここで初めて知ったのだがイトウは養殖もされているようだ。だとしたら、北海道通としては一度は食べてみたいところだ。何とか世界観を保ちつつ見物を進めていく。北海道らしくも少しバブリーな印象を受けながら水族館を見終える。 |

ちょうどメンテの時間
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ペンギンに癒やされる
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ループの中をアザラシが泳ぐ
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イワシの生け簀 ぃゃ 水槽
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少しバブリーな作り
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登別を出てからも楽勝な道は続いていく。海を見ながら快適に走るわけでもなく、交通量の多い国道を淡々と走っている。室蘭の半島に入るまでは、こなし系になるのは覚悟はしていたが仕方ないだろう。それもあっという間に走ってしまい室蘭市街地が目の前になってきた。市の入口を認識できないまな、いつの間にか室蘭市に入っていた。テンションを上げられることなく東室蘭駅の近くまで来てしまう。東室蘭駅前に自転車を置いて軽く情報収集する。
駅から出てカレーラーメンを食べに動き出すが、駅前の店に落ち着く。カレーラーメンは出てきた。これがとんでもなく美味い。ラーメンもカレーも嫌いな人はいないだろう。同時に食べたいという欲望は当たり前だが、カレーとラーメンは別々で…と思いがちだが、そういう単純なものではない。麺はもちもちでカレーの強さとよく合う。カレーも単純では無くスパイスが層になって押し寄せてくる。これはハマってしまいそうな味だ。危ない。
カレーラーメンに満足したら、東室蘭駅の東口でやっているお祭りを見に行く。ちょうど眞鍋よし子のライブをやっていた。あの眞鍋よし子の生歌を聴けるということでワクワクして見つつ、「ていうか誰だっけ?」と調べると室蘭出身の演歌歌手とのことだ。本職の演歌歌手の歌は腹の底にずしっと響く。手拍子と拍手とスタンディングオベーション(というか座る場所がないのだが)でライブの終わりまで楽しんで行く。 |

室蘭名物カレーラーメン
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ふじ亭
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眞鍋よし子 『女の吊り橋』
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眞鍋よし子 『一期一会』
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室蘭に鳴き砂の砂浜があるというのをブラタモリで見たので行ってみる。東室蘭の街から海の方へ行きサーファーがいる海岸線に自転車を置いて歩いて見る。濡れてるせいか、いくら歩いても音が全然鳴らない。室蘭を構成する半島と沖の眺めは良いが砂浜はイマイチだ。隠せない疲れを隠しながら、次は地球岬を目指していく。半島内は湾側に工業団地が形成されている。その隙間を高速道路の室蘭新道と側道となっている。
母恋(ぼこい)まで走ったところで地球岬へ向けて海へ向かう。サイクルNAVITIMEでいくら調べても最短で行ける道を案内してくれないので自分で調べて行ってみる。サイクルNAVITIMEが案内してくれない理由が心から分かるほど坂道がすごい。きついのでは無くすごいというレベルだ。通り過ぎる車がみんな2速あたりでうんうん言いながら上っている。俺もインナーローに入れながらも全力で踏み込む。だがそうそう漕ぎ続けられない厳しい走りが続く。
坂を上り詰めると海側に金色に光る崖が見えてきた。地元では金屏風と呼んでいるようだ。単なる茶色ではなく、やや反射が見える。ここからは多少は傾斜が楽になって地球岬へ向かう。少し上ると地球岬の駐車場に辿り着いた。隅に自転車を置いて、岬へと歩いて行く。小高くなった岬からは遠くの海や渡島半島の方まで見渡せる。学生時代に来たときは雨で何も見えなかったが、今回も天気がスッキリしてないもののスカッと晴れてるときより複雑に変化に富んだ景色が見える。渡島半島の駒ヶ岳と噴火湾の眺めは本当に見事だ。室蘭というゴールを前に最後に良い物を見せてもらえた。室蘭市街地の細々した地形と白鳥大橋もよく見える。しばらく景色を岬から満喫していく。
完全に満足してゴールへ降りるだけだと思ったらフロントバッグをカラスに荒らされていた。器用に隙間にくちばしを突っ込んで中身を引きずり出して食べるものがないことを確認して放置されている。そのあたりのガードも今一度見直していかないといけないのだろう。においが出ているとしたら対策が必要と思われる。 |

鳴き砂があるイタンギ浜
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母恋駅
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地球岬に向けての坂を見下ろす
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金屏風
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上ってきた坂を見下ろす
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地球岬の灯台
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渡島半島が海の向こうに見える
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複雑な地形と海
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地球岬から室蘭市街地を見る
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地球岬に来た道へ戻らず室蘭市街地へ降りると思われる道へ進む。しかし、道に迷ってしまう。よく分からないが、俺の勘で下ると上ってきた母恋から少しだけ進んだところに降りてきた。そのまま国道を室蘭に向かって進み、ついに室蘭駅が見えてきた。半島に行く単線の終点だけあって駅は大きくない。ややこぎれいになっている白い小さなターミナル駅で今年の完走を果たした。地球岬でゴールした感があったので喜びを大爆発させることは無かったが、北海道を斜めに貫いてきた地図上での距離もそうだし、雨続きのタフな峠を何本も超えてきた走りにも達成感を感じかみしめる。
駅での情報収集を済ませ地元の人と話したらホテルへ向かう。事前に予約もしておいたので気は楽だ。チェックインを済ませると自転車を玄関先に入れさせてもらえた。部屋でシャワーを浴びて、ホテル内のコインランドリーで洗濯を済ませたら打ち上げに出かける。
室蘭と言えば焼鳥が名物ということで店を探すが日曜の夜なので開いている店がほとんどない。1軒見つけた有名店に入るが、とにかく在庫がなさすぎる。その割には次々と客は来る。店から帰れと言われてるような気がしたので、軽く食べたら長居することなく金だけ淡々と払って出て行く。開いてる店がほとんど無い中で、もう1軒
居酒屋を見つけて酒を飲み、ようやく完走の喜びをかみしめる打ち上げが出来た。室蘭は岬の先端寄りなので店が少ない。結果論だが、宿は昼飯を食べた東室蘭寄りに設定した方が良かったようだ。
ホテルへ戻って洗濯物を乾燥させてから眠りにつく。 |

完走! 室蘭駅へ到着
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完走の喜びをかみしめて乾杯
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とろっとしたタレと辛子が特徴
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ネギでは無くタマネギが肉の間にある
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11日目 |
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室蘭市内 |
13.55 km |
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室蘭-室蘭本線→東室蘭-特急スーパー北斗→南千歳
-千歳線→新千歳空港 |
2017/08/20 |
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新千歳 → 羽田 |
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羽田空港 → 宇都宮 |
ホテルをチェックアウトして、まずは室蘭駅へ向かう。室蘭名物の駅弁 母恋めしを食べに行く。ホッキ貝にホッキの身で包まれた炊き込みご飯のおにぎりが入っている。貝のしゃくっとした気持ちの良い食感と炊き込みご飯に染み渡る出汁が美味しい。
朝ご飯を満喫したら郵便局へ向かう。ヤマトの営業所は東室蘭の方にしかないが、そこまで行くのは面倒だ。郵便局へ向かう途中に、わかさいも本舗でお菓子を買っていく。郵便局で段ボールを買って、自転車に積んだ荷物を詰め込む。ヤマトの段ボールより小さいので4箱に分かれる。構えた向きが悪く南から日が照っていて暑い。日陰になる向きを選べば良かったと後悔しながらパッキングをする。リアキャリアも外してさっぱりした状態の自転車と積み上げられた段ボールを見て満足し、発送を済ませる。 |

室蘭名物の駅弁 母恋めし |

ホッキ貝の貝殻が添えられている
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ホッキ貝のおにぎりが入っている
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荷物が空になると走りは軽快だ。室蘭港のフェリーターミナルへ行き、最近就航したばかりの宮古-室蘭のフェリーを見て、港にいる帆船のような船を見たりで室蘭の港を楽しんで行く。それを終えると軽快な走りで岬の突端で白鳥大橋の方に向かう。道は平らなので何も苦労すること無く走って行く。橋のたもとまで来ると道の駅がある。そこに自転車を置いて歩き回る。
白鳥大橋の資料館、食事処、水族館がこの一角に集まっている。まずは屋台村と書いてあるところで昼飯にする。屋台村と言っても開いてる店は1軒しかない。ここでも名物のカレーラーメンと焼き鳥を楽しむ。昨日のカレーラーメンと違いスープはどろっとしている。味もさらにスパイシーだ。麺にしっかり絡めて食べると、昨日とは性格の違う旨さがある。上品すぎないところが好きだ。甘辛いあんかけのような焼き鳥はこっちでも昨日と同じだ。室蘭グルメを一気に味わい満足する。 |

室蘭港の眺め
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港に停泊する立派な帆船
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屋台村で昼飯
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今日もカレーラーメン
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焼き鳥
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飯を終えたら水族館へ向かう。妙な古さというか懐かしさを感じる水族館は北海道で最も古いものだ。手作り感がある展示方法に好感を持てる。だが、食べ方などの説明はなく真面目な展示である。ここでのスーパースターはトドで、ちょっと渋い。ショーの時間は逃してしまったが、水面から顔を出しているトドがなかなか可愛い。これからも水族館巡りは楽しんでいきたい。
道の駅の2Fにある白鳥大橋の資料館を見て室蘭駅へと向かう。途中にあった展望台に歩いて上って白鳥大橋とそれに上るループを見て行く。天然の良港に工業地帯が並び、それと北海道本土をショートカットで結ぶ橋があるのだが見事な眺めでもある。自然と言うよりは人の営みの見事さが見える。入り浸れないほど時間がなくなり、急いで降りてきて室蘭駅へ向かう。途中の旧室蘭駅舎の中に展示してある写真と建物を見る。 |

室蘭水族館
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展示方法が真面目
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タラバガニ 生け簀にしか見えない
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水族館のアイドル トド
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ペンギンたちには癒やされる
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白鳥大橋の眺め
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友達に頼まれていた豚丼のタレを近くのスーパーに行って急いで買って室蘭駅に到着。 急いで自転車をばらして普通電車に乗り込む。終わった!と感傷に浸る暇もない。単線を進む電車はあっという間に東室蘭駅に着いた。特急の乗り換えもあまり時間が無い。とにかく急いで特急スーパー北斗が来るホームへ移動する。フル装備の輪行ではないので、身軽に動いてホームに着き特急へ乗り換える。これであとは南千歳までのんびりできる。特急の中では、これも急ぎで日記を書き進める。揺れる電車の中で順調に日数を取り戻していく。
南千歳に着いたら、新千歳空港行きのエアポートに乗り換える。もう新千歳での撤収も慣れたものだ。新千歳空港に一駅で到着し、まずは自転車とフロントバッグを預ける。続いて土産屋へ行き、ばらまき系とか色々と買い込む。回り方もだいたい決まってきた。テレビで見た情報だと、新千歳の売店の魚屋で食べる寿司が美味しいというのがあったのだが既に閉店していた。頭が寿司になってるので、ちょっと高級な寿司に入りカウンターで楽しんで行く。
もう思い残すことは無いとばかり、出発ゲートへ入って行く。搭乗口の前のベンチでも日記をガリガリと書き進めていく。飛行機に乗っても日記を書き進めて、ドリンクとか機内サービスも断って執筆に集中する。日記がほぼ今の時間に追いついた時、羽田へ到着した。荷物を受け取って、今度は駐車場へ向かう。
駐車位置を覚えておいたVEZELに荷物を積み込んで、サンダルから靴へ履き替えて運転する。羽田から宇都宮までの運転なら慣れたもので、淡々と高速を飛ばしながら帰って行く。
車で自宅に到着し、旅は無事に終わった。 |

旧室蘭駅舎
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室蘭から撤収
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