0日目 |
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宇都宮 −東北新幹線→ 東京 |
2019/04/25 |
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今年は最悪の業務状況のままGWを迎えようとしている。連休明けにも山場があるので気を抜けない状態である。世間より1日早くGWを迎える作戦で行く。高松から始めて、計画の初日に五色台を上って西へ向かうことを考えたが、五色台、荘内半島、こんぴらさんなど逃せないポイントを回っていると、どうにも進まない。そこで、荷物を付ける前に五色台をこなして行くことで計画が楽になることに気付いた。初日から寝不足だと走れないので、最終日の仕事の後で東京に1泊して十分に寝ておいてから始発で四国へ向かう計画にする。
いつも通りに盤石の準備を済ませ、自宅で輪行してからシャワーを浴びてタクシーを呼ぶ。東京に行って寝るだけという展開を狙う。タクシーを待っていると雨が降ってくるが、無事に新幹線に乗り込み宇都宮を出発する。東京駅から徒歩3分のホテルとは言え、輪行状態の自転車を持って歩くとなると、かなり肩に重くのしかかり痛い。12時前にホテルにチェックインして眠りにつく。 |
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0日目 |
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東京 −東海道・山陽新幹線→ 岡山
-瀬戸大橋線・快速マリンライナー → 坂出 |
2019/04/26 |
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坂出 → 五色台 → 高松 |
46.98 km |
朝は無事に早起きして、昨夜よりはサクサク歩いて東京駅へたどり着き、昨夜のうちに買っておいた切符でホームに入る。仕事の段取りは悪いが旅の段取りは基本的に良い。始発の新幹線へ乗り込む。まだビジネスライクな空気が流れてGWの混雑とは無縁の状態で快適だ。自由席の最後尾の席でシートを完全に倒して眠りにつく。ホテルに泊まれたとは言え寝不足という状態ではあるので移動中の睡眠でどこまで回復するかがポイントになってくる。
爆睡しているうちに名古屋、新大阪と過ぎて、いよいよ新神戸を過ぎたところで目が覚めた。というより、これ以上寝ると岡山で降り過ごすリスクがある。車内販売も空いてるので回ってきた。アイスコーヒーを買ってカフェインを注入する。疲れがたまって眠いのはいつものことだが、まあいつも通りといえる状態まで回復した。
岡山にたどり着いて新幹線を降りる。段取り良く瀬戸大橋経由のホームに行き、電車に乗り込む。少し時間があったので、岡山名物のきび団子を買っていく。パッケージがなかなかかわいい。ほんのりと甘い柔らかな餅は俺の日常生活に足りない感覚だが、旅に来れば初日からある。いつ見ても島が多い瀬戸内海や鷲羽山の不思議な地形を見ながら進む電車は四国へと突入する。そんなにのんびりはしていられず、坂出で降りる準備をする。
坂出駅に降りて、自転車を組み立てる。これも慣れた作業だが、有休で繋いだ連休の初日の11時前に坂出に来れて、しかも寝不足感もないのはありがたいことだ。慣れた手つきで自転車を組み立てて輪行袋をフロントキャリアに付けて走れる状態になる。まずは向かい側のイオンでマップをしまっておくためのジップロックを買い、日記とスタンプのためのノートも買う。初日の流儀みたいなものになっている。これを終えたら、昼ご飯だ。当然、うどん それ以外は有り得ない。マップに載ってる有名店へ自転車を走らせる。やや道に迷いながらも野生の勘とマップで見た方向だけを頼りに進むと店は見つかった。有名店だけあってとんでもない行列が見えてきた。うどんだから回転は早いのだろうけど、今日は山岳ルートを超えて高松に行こうとしてるので、時間のロスは避けたい。 諦めて他の店を探しに駅前に戻ろうとしたところで、日本庭園が見えてきた。せっかくなので立ち寄っていく。焼杉の板が良い風情を出していて、きれいな池に映えている。なかなかの見ごたえを楽しんでいく。どこかのモデル?か何かが撮影していて自分のペースで写真も撮れず、カットインするわけにもいかず観光が捗らない。 |

朝飯は東京の駅弁 深川めし
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快速マリンライナー

四国各方面へ向かう特急
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岡山名物 きびだんご
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坂出駅を出発
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中身も可愛いパッケージ
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坂出 香風園
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駅前を通り過ぎてうどん屋を探していると、無事に見つかる。大きくこぎれいな店からは旨そうなムードが漂っている。いりこ出汁の香りを楽しみながらセルフのうどんを注文する。セルフうどんは讃岐ならではと言われていて初めての時は戸惑ったが、香川のうどんも通算20杯は食べているし、最近はテボで温める店以外のタイプのセルフなら全国的にもなってきているので戸惑いはない。それでも地元の人の場慣れ感は、丸亀製麺やはなまるうどんユーザーの俺でも追いつけるものではない。うどんは物凄く美味しい。なめらかだが、こしもあって柔らかい。小麦のいい香りが漂いながら、いりこの香りと合う。余韻まで楽しめるレベルで美味しいうどんに満足していく。
うどんを満喫したら本気の走りが始まる。まずは坂出の市街地から高松方面へ走っていく。足の疲労もまだなく荷物は無いので軽快な走りを楽しめる。五色台へのルートは2種類ある。岬の先端まで走って海から登って最高地点まで登り切る前に高松方面へ下るアプローチと、内陸から上がって最高地点を超えて海へと下るアプローチがある。もともとは計画段階から初日から走ることを足労働組合は反対していたが、睡眠をしっかり取る前提で何とかしようという落としどころを見つけているので、最高地点を超えるコースを選ぶ。
登り始めの道を探しつつ走りやっと見つけたが、その前に飲み物が尽きている。さすがに飲み物も無しに400m近い上り坂にトライするのは良くない。少し遠回りして自販機で500mlの水分を2本確保して登り始める。荷物無の初日ということで登り始めの調子は良いかと思ったが、標高100mもいかないうちにへばり始めてきた。だが、振り返れば瀬戸大橋が見渡せて、見下ろせば2014年の旅で走った道も見える。2014年はその道から振り返ると瀬戸大橋の向こうに沈む夕日が見えて感動した道でもある。景色を楽しみながら山を徐々に登っていく。
標高200mの白峰まで登ったところで休憩する。今回の旅の前にSPDシューズを新調し、グローブも一新している。グローブは手にフィットするが、SPDは右足のクリートのポジションが合わず違和感を感じる。足の先で踏んでいるような感覚なので、修正してみる。俺の足は敏感なのか左足と2mmほどのポジションの違いを感じ取っているようだ。修正を完了して景色も満喫したところで続きの上りを始める。ここから一気に傾斜が厳しくなっていく。
初日からタフな道に飛び込んでいくドMな自分を笑いながらも、五色台への上り坂を満喫していく。急な坂を上り詰めて行くと、上に見えるものが徐々になくなってきた。そろそろ猪尻山の頂上に近いと思いつつも頑張るが、なかなか終わらない。460m近い標高まで登るので一筋縄ではいかないと思いつつも、自衛隊のレーダーが見えてから頂上までたどり着けず疲労も限界近くなってくる。ここがピークかと思う坂道の頂上で写真を撮っていく。 |

室町うどん
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ぶっかけうどん
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五色台への快適な上り坂
下にはさぬき浜街道
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白峰山
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徐々に抜けが良くなる眺め
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白峰展望台からの眺め
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五色台 猪尻山 頂上
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今回から導入のスタンド
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峠を越えたら本格的な下り坂が始まった。右には高松の市街地が広がっている。その前には海、島、回り込む角度によっては瀬戸大橋も見えたりで変化の楽しめる景色と迫力のある下り坂が楽しい。考えてみたら、26HEランドナーで空荷の状態で走りこんでいないので素性に気付かなかったが、小径の低重心で安定性は非常に良い。GW前にブレーキレバーのポジションも直してブレーキも掛けやすくなったので安定して下っていける。
下り坂の向こうにも海が見えて気持ちのいい道を下ると、博物館が見えてきた。17時閉館だが16時40分。ギリギリだが突入し、巻きで見学していく。無料とは思えないクオリティの建物と展示物を満喫していく。瀬戸内海の産業の歴史を学んで、また下っていく。下り切ったところの岬から高松へ海沿いの道を進む。五色台で足は使い果たしたので、ちょっとのアップダウンで足がしんどい。初日から無茶しすぎたと反省しつつも楽しめた五色台に感謝しながら高松へ向かう。途中で2014年にも走った道に合流し、安心感は出てきた。
すっかり日が暮れた18時半に高松駅まで走り終えた。駅で情報収集してからホテルへ向かう。チェックインを済ませて自転車をホテルの裏に駐輪し、部屋で荷物を開梱する。今までは荷物はバラバラのまま箱に詰めて送っていたが、今回からはサイドバッグやザックに詰めてパッキングするだけの状態で梱包した。それが功を奏したか、開梱作業がいつもより楽に終わる。 |

気持ちの良い下り坂の向こうに海
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瀬戸内海歴史民俗資料館
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かつて本州と四国を結んだ
本誌連絡船の模型
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瀬戸内海歴史民俗資料館からの眺め
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瀬戸大橋方面を眺める
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ホテルの温泉で入浴を済ませて、飲みに出かける。金曜の夜だからか居酒屋は混雑していて屋台のような店に落ち着く。骨付き鳥の有名店なので骨付き鳥を楽しんでいく。この時期の旬といえば空豆なので、それも焼いてもらう。茹でるよりうま味が逃げずビールのつまみとして最高だ。香川の郷土料理 てっぱいも酢で締めた野菜にみそ味が利いてて美味しい。骨付き鳥は親とひながあり、親の方が歯ごたえがありうま味も濃く、大人の味だ。コショウのきいたスパイシーな味付けにゴリゴリと歯ごたえがあり酒に合う。ひなの方は万人受けの柔らかい歯ごたえでジューシーだ。女子供にもうけるような味だが、おっさんの俺には親鳥の方が好みだ。
すっかり満足してホテルに戻ろうとしたら土砂降りの雨が降ってきた。屋根付きのアーケードから走って交差点を渡りホテルに戻り力尽きた。 |

旅の始まりに乾杯
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この雰囲気が良い
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この時期が旬 香川の空豆
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骨付き鶏(親鳥)
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香川の郷土料理てっぱい
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1日目 |
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高松 → 琴平 → 善通寺 → 丸亀 |
50.58 km |
2019/04/27 |
昨夜の雨は上がって晴れている。自転車にキャリアを付けて、昨夜のうちに開梱しておいた荷物を自転車にパッキングして出発準備は整った。昨日から五色台を上ったりで旅は始まっているが、やはり荷物満載になってこそ旅のスタートという感覚である。出発して早々に朝飯を食う。やっぱり、うどんでしょう。朝から開いている店があまり無く待たされるのばかりだが、1軒は見つけた。ここでも うどんを満足していく。
昨日の疲れも引きずりながら高松から琴平を目指して走っていく。ほぼ平地でありながらもアップダウンがあり、今の俺は足の疲れで上り坂は捗らない。讃岐うどん発祥の地と言われている綾川に立ち寄りつつも集中して走っていく。やや遅い時間で14時になって琴平まで走り切る。 |

一福の醤油ぶっかけ
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琴平駅前の駐輪場に自転車を置いて、こんぴらさんへ歩く。前は預かってくれる土産屋があって預けたら土産を買わされたので、そういう罠は避ける。参道の石段を上る前に昼飯にする。当然、うどんだ。バランスを考えて、うどん お稲荷さん じゃこ天 にする。野菜がない。冷やしぶっかけも美味しいし、じゃこ天との相性はいい。1997年の春以来ということで22年ぶり(←こういう数字がいちいちデカい)のこんぴらさんへ登り始める。今回は、杖を100円で借りていく。2歩前ぐらいに突いて後ろに押し出すようにして、足にかかる負担を減らしていく。これが馬鹿にならないほど楽で、500段を超える石段も楽に登っていく。
若いときはおそらくスルーした宝物館にも寄っていく。また続きを上ると、割とあっという間に本殿までたどり着く。行列に並んでお祈りを済ませて景色を眺める。奥社まで行くか迷ったが、行くことにした。杖を活用しながらグイグイ登っていく。最後まできれいに整備された石段を上り、1700段以上もの階段を乗り越えて奥社にたどり着く。本殿ほどの大きさや立派さではないが、上り切った達成感は強い。景色もさらに上から見ているので、本殿の展望台より広がりがある。
この時点で16時なので、下り切って善通寺へ寄って丸亀まで行くとナイトランはほぼ確実な状態である。慌てて下ると危ないので慎重に行くが下りの杖は本当に楽だ。22年前は若い俺でも膝が大爆笑だったのだが、まったく問題ない。杖を突いて膝にかかる負担を抑えていく。あっという間に本殿へ下り、海にまつわる物がお供えしていあるのを見ていく。
下り切ったらさすがに疲れたので、アイスとレモネードを買っていく。アイスは和三盆のソフトクリームにカラフルなおいりが振ってある。インスタしないがインスタ映えである。疲れた体にレモンの酸っぱさも効く。だが、本格的に体が寒くもなってきた。 |

琴電 琴平駅
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こんぴらうどん
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参道を見下ろす
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金刀比羅宮の山門
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山門の前で売られているべっこう飴屋さん
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神馬
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宝物殿
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旭殿
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奥社からの眺め
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金刀比羅宮 奥社まで歩ききる
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金刀比羅宮 奥社
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奥社 烏天狗と天狗
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山桜が満開
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金刀比羅宮 本殿
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海に関連する物が供えられている
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レモネード 蜂蜜とレモンが美味しい
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おいりソフトクリーム
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途中の店で瀬戸内海の藻塩と粗塩も買っていく。着々と旅の体勢が整いつつある。下り切ったところで少し休憩していると風が強く寒い。今年のGWは始まって以来
全体的に寒い。俺としては暑い方が調子が出るのだが、どうも本調子になれない。
夕暮れ迫る中、自転車に乗って善通寺へと向かう。ほぼ平地を淡々と走っていく。参拝客もまばらな時間帯に善通寺を見ていく。五重塔が立派で、楠がとにかく見事だ。見れたのはほんの一部で時間帯が早ければ、もっと大きなお寺を楽しめたようだ。今回は残念だが、また来ることがあるだろう。少しずつでも宿題を残しておくのが良い。
丸亀に向かう道は幹線国道のやや下り坂なので苦労することなく走っていくが、既に日が暮れた。寝床を求めて運動公園を彷徨うが、整備されすぎていて見つからない。まずは温泉へ行って、そこから考えようと思ったら温泉のすぐ隣に公園がある。時間が遅いので無理はしない。買い出しも出来そうだが自炊するためのガスなどもまだ買ってないし、今夜は外食にする。温泉で体の疲れを取って、居酒屋へ行く。今夜も骨付き鳥の親鳥を満喫する。鶏油におにぎりを付けて締めにしていく。
風呂に行く前に見つけておいた公園でテントを張って眠りにつくが、夜中も意外と人通りが多い。場所選びに失敗した感はあるが仕方ない。 |

善通寺 五重塔
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善通寺
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立派な御神木の楠
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善通寺の門
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今夜もビール
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骨付き鶏
鶏油におにぎりを浸けてシメに
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2日目 |
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丸亀 → 荘内半島 → 観音寺 |
64.92 km |
2019/04/28 |
今年から新調したテントは歴代使っていたテントと同じダンロップで、安定の強さと快適さである。前モデルより底も耐風性も強化されている。朝は早めに起きてテントを撤収する。朝から寒い中で自転車を走らせ、丸亀城の前を通り過ぎて西へ向かう。天守閣には2015年に行ったのでスルーしていくが、立派な石垣の上にちょこんと乗っている城の姿とアンバランスさが良い。
丸亀は早朝から開いてるうどん屋が多いはずなのだが、走りながら見つけられない。そのうち見つかるだろうと西へ向かっていると見つからないまま丸亀市を出てしまう。このままでは朝飯抜きになりそうなので、スマホで探して500mほど引き返して、うどん屋に立ち寄っていく。熱々の釜玉うどんを満喫していく。うどんの麺の香りと出汁の香りと卵が絡んで熱々のうどんが美味しい。念願の朝うどんに辿り着けて一安心である。
海沿いを走っていると海岸寺という寺にたどり着く。八十八箇所ではないが立派な寺である。本当の目的はトイレなのだが、和式しかない。足が痛いので洋式を探すが見つからず、近くの喫茶店ならあるだろうと寄ってみたが和式。仕方なく足の痛みに耐えて和式で済ませて、コーヒーを飲んで話をして夏みかんをもらっていく。 |

今年から新調したテント
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朝の丸亀城
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釜玉うどんとおでん
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海岸寺
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ここから荘内半島へと入っていく。ロードやミニベロなど自転車の数もどんどん増えてきた。ほどほどにアップダウンしながら走っていく道からは瀬戸内海を満喫できる。島が点在する静かな海を見ながら走っていくと、浦島フラワーパークに着く。見るからにマーガレットが満開で見事なので立ち寄っていく。色がパッと明るいきんせんかや白やピンクの花とその向こうに見える瀬戸内海と島々は見事な景色だ。
半島の先端に向かうほどアップダウンが険しくなっていくのを実感する。半島らしい地形ではあるので、仕方ないと割り切りながら進んでいく。辺鄙な場所なのか車の数はGWにしては少なく快適に走っていける。先端から一番近い回れる道に行く前にビジターセンターへ立ち寄っていく。浦島太郎伝説のある荘内半島で、最も話としてクライマックスというかオチというか玉手箱を開けたといわれる 箱 という地名の場所に来る。今になって考えてみたら亀を助けてあげたのに、なんで箱を開けるだけでお爺さんになるという罰を受けるのかよく分からないし、開けてはいけない箱をなぜ渡したのかもよく分からないものだ。竜宮城に連れていかれたのはお礼ではなく何かの罠や戒めだとしたら、酷い話である。 |

浦島フラワーパーク
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箱から峠を越えると浦島太郎が生まれた場所に下る。これを過ぎるとアップダウンがより一層強烈になって襲い掛かる。瀬戸内海へ突き出ている半島の北側と南側で景色は一変する。北は島がいっぱいあるが、南は少し雄大さも出てくる。海の向こうには半島の根元の四国と石鎚山がそびえたつ。そんな雰囲気を楽しみながら進んでいくと、初代ランドナーから通算した走行距離が59,999kmに達した。あと1kmで60,000kmとなる。この瞬間を見逃してはいけないとばかりゆっくり進む。下り坂の途中でメーターが59,999から60,000に切り替わった。オドメーターが何kmになろうとも通過点でしかない。次は66,666kmを迎えるまで走り、その次は70,000qを目指して走りたい。
途中、紫雲出山に上る道がある。季節によっては桜も満開で絶景なのだが、今日は進捗も思わしくなく遠景は望め無さそうなのでスルーしていく。浦島太郎伝説の亀を助けた海岸の前の展望台で海や島を見ながら休んでいると、愛媛側から車で来たご夫婦に話しかけられ、私を見かけたからということでパンと紅茶を買ってきていただく。どちらも旅が好きな方なので話は盛り上がる。今日は朝ががっつりだったもののお昼を食べ損ねているので、ありがたい事である。
アップダウンもひと段落したところで、日本のウユニ塩湖ということで潮だまりに映り込む姿の写真とかがインスタ映えするという海岸に立ち寄る。買ったばかりのSPDシューズで塩が入る砂浜を歩くのは少しためらうが、歩いていくと小さな潮だまりがある。みんなジャンプしながら写真を撮って反射と浮遊感の表現をしている。正直、そこまでのことかと思いながら海岸を後にし、靴を脱いで底を水道で洗ってついでに未だにピシッと決まらない右足のクリートの位置を修正する。 ここからは、ほぼ平らな道をテンポよく走って明るいうちに観音寺までたどり着く。今日の最低限のノルマといったところだ。観音寺の寛永通宝を砂で作った公園とか1997年の旅でも来てるが、今回も寄っていく。確か、宿も風呂も何とかなったはずだ。まず、道の駅でスタンプをこなしてお金の資料館を見ていく。世界のお金や古銭が展示されている。閉館時間ぎりぎりなので時短で見物を済ませていく。出ようとしたらグローブが片方見つからない。どうしたものかと探していると通りすがりのロード乗りの集団に拾ってもらえた。 |

荘内半島の西側
遠くに石鎚山も眺める
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通算60,000kmを達成
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アップダウンの多い荘内半島
山道のような雰囲気
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亀を助けた海岸
干潮時のみ歩いて渡れる
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父母ヶ浜
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まずは銭形が上から見える展望台に向かって走って行く。一方通行で入っていける小高い丘に登る。'97年の旅でも上ったはずだが、あり得ないぐらいの急な坂が続いている。足を止めれば自転車も止まって後ろに下がるぐらいの坂をグイグイ上っていく。頂上は駐車場になっていて展望台がある。展望台に大きな岩があって、そこに上ればさらに展望が開ける。馬鹿と煙は高いところが好きなので、当然上る。今日は曇りだからか夕刻だからか銭形の立体感やエッジ感が薄く期待するほどの眺めにはなっていない。それでもせっかく上ってきたので砂で作られた古銭と海の眺めを楽しんでいく。
下りも恐怖感があるほどの傾斜とカーブで走って行く。公園内をゆっくり走っていると、おそらく'97の旅でテントを張った東屋があったが、イベントの準備ということで占有されている。今日は雨が降るかもしれないしピンチかと思ったら、大きな広場の隅に大きめの東屋がある。これで宿は決まった。日没後からの行動ということで、買い出しに出かける。昨日までは自炊もせず骨付き鶏中心の食生活だったので、今日こそは瀬戸内海の美味しい魚を自炊で食べたい。今は便利なものでスマホでスーパーを探して目指していく。1つめのところはイマイチだったので何も買わずにスルーして、線路を渡って少し遠いスーパーまで走る。もっと早く来てれば生け簀の魚をその場で三枚おろしにしてもらえる最高のコースだったのだが、切り身のサワラを買っていく。
戻る途中で温泉にも入っていく。長いGWということもあって混んでいるが、海の見える快適な風呂ですっきりして、目をつけていた東屋へ行く。人影は全くなく駐車場を兼ねた広場に車は1台もいない。まずはアスパラと空豆をゆでる。GWの時期は空豆が旬だし地元産の空豆をあちこちで見かける。瀬戸内海の藻塩と粗塩だけでシンプルにつまみながらビールを飲む。サワラの切り身から刺身を作ろうとするが、身が割れやすく苦戦する。どうしても皮が引けなくて身が崩れる。仕方なく皮ごと切って食うが、皮が固く食べづらい。味は抜群にうまいのだが、捌く能力が不足している。普段は自炊しなくなったので魚を3枚に下ろす技術に自信がない。やはり、こういうのは身につけていかないと旅の楽しみは広がっていかないものだ。刺身のうち半分は醤油と酒に漬けて、ご飯にのせて食べる。贅沢な夕飯を終えて片付けて眠りにつく。何もないはずだが、たまに車が来ては出て行く。やがて気にならなくなり熟睡する。 |

観音寺 銭形
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身が柔らかく捌きづらいサワラ
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地元の野菜を瀬戸内海の藻塩とあら塩で
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刺身の半分は漬けに
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3日目 |
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観音寺 → 四国中央 → 別子銅山 → 新居浜 → 西条 |
86.74 km |
2019/04/29 |
今日は香川県最後だ。観音寺を抜けると愛媛県に入る。五色台や荘内半島や金比羅さんや善通寺を満喫し尽くした香川県の最後の朝は当然うどんだ。昨日の丸亀ほど早朝から開いてる店はない。だが、香川県で何度か見たチェーン店のうどんを楽しんでいく。温かいかけうどんで炒り子出汁との相性を楽しんでいく。名物とは言えレベルの高いうどんを毎日楽しめた香川県の美食に改めて感謝である。
いつから雨が降るんだろうという恐怖感を持って西へ向かい、県境にある道の駅を超えたところで香川県から愛媛県に突入した。しばらく走り、川之江のコンビニでお城を眺めながら休憩する。今にも雨が降りそうな空に映えるお城を楽しんで、また西へ向かう。幹線国道を淡々と走っているのでプレジャーは少ないが、別子銅山を見たいので我慢の走りだ。車から追い風をもらいながら走っていく。
四国の北側は人も車も家も店もある町が続いていく。四国中央市に入り、住宅地の向こうに川之江城があり、我々を見下ろしている。最近は城の天守閣に上がるこtが多いが、今日は別子銅山まで行くのを含めて距離があるのでスルーしていく。
そろそろ標高差100m強ではあるが峠の登りに入るところで昼飯にする。昼はどこでもよかったのだが、信号でたまたま引っかかった交差点の右側にある店がどうにも気になった。なまこ壁の風情のある店構えに、むぎとろ と書いてある。野生の勘であり旅人の嗅覚が働いたので、ここは野生の勘に従ってみる。店の中も古民家風で風情があり、麦飯と出汁で伸ばしても粘りの強いとろろが香りもよくて最高に美味しい。鹿児島から車で旅をして回っている人と話したりして旅の醍醐味を味わい切った昼食を済ませて走り出す。 |

雨を想定したが降らずに持ちこたえる
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香川県最後の朝飯もうどん
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愛媛県に突入
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川之江城
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渋い建物
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むぎとろ
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たっぷりのとろろ
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古民家風の内装
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店主
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大した標高差の峠ではないが、登り切る前に雨が降ってきた。レインウェアは着ないと駄目なレベルの強さで降ってきた。雨粒に手先は冷え切っていく。峠を越えた下りもウェットな路面の上に交通量が多く緊張感のある走りが続いていく。新居浜の市街地には寄らずに別子銅山を目指していく。山の途中にある道の駅マイントピア別子と手前にある資料館の両方に行こうとしつつ、資料館の手前のコンビニで休憩する。本格的な土砂降りなので雨宿りしつつ情報収集したい。Googleで資料館を調べると何と休館日。暖かいコーヒーで体を温めたら、マイントピアに向かって走って行く。
ここから急な上り坂が続いていく。それでも高低差は100m強なので不可能ではない。右に渓流を見ながらカーブをグイグイ曲がって上っていく。寒さも雨もピークになってきたところでマイントピアについた。倉庫の裏の軒先に自転車を置いて雨を防いで見学にいく。レインウェアは着たままのびしょ濡れの体でうろうろするのも何だか心苦しい。トロッコ列車に乗って道の駅から洞窟入り口まで行く。徒歩10分程度の距離だが、何だか気分が盛り上がる。洞内は作業の様子とか銅山の歴史が見れる博物館になっている。掘削機の振動や1000mまで降りるエレベーターなど色んな体験を楽しめる。
見終わった後は歩いて戻ってもよかったのだが雨が厳しいのでトロッコで戻る。本当はもっと遠くに銅山跡があるのだが、そこまで行く元気はないし片道20km近くあるので計画的にやらないと駄目だ。道の駅に戻ってきたところで、ソフトクリームの割引券があるのでソフトクリームを買う。閉店間際で嫌そうな店員に割引分のお釣りが無いと言い返された。割引券付きのチケットなのでもったいないが「じゃあ良いです」って言うと、それはそれで困ると言い出す。だったら最初からまともに相手しろと言いたいところだが、いつもの田舎の壁で混雑になれて無くてイライラしていて客にぶつけてくるタイプだ。
いよかんの味が濃厚なソフトクリームを白い息を吐きながら食べていると小さい子供に話しかけられる。おじさん、寒いのに何でアイス食べてん? → 正論。おじさんの頭つんつるてん → 子供は正直です。おじさんはニコニコして相手するしかないですが、「いろいろ絡んできてすいません」と親に謝られながら雨の中で駐車場内に連れて行かれる。 |

トロッコ列車で坑道へ向かう
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SLの形で牽引するトロッコ列車
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銅山の坑道へ入っていく
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洞窟の中に資料館がある
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当時の様子をジオラマで
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銅の採掘作業
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掘削機の振動を体験
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1000mの地下へ下るエレベータ
芸がなかなか細かい
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マインとピア別子の名物
いよかんソフト
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やや緊張しながら寒い下り坂を新居浜の市街地へと引き返していく。明日以降の流れを考えると西条までは距離を稼いでおきたい。夕方の良い時間にもなってきたし寒さも出てきたが、駅で少し休憩したら西条へ向かう。ここからも本格的に土砂降りになってきた。完全に暗くなった産業道路で西条まで10km強を走って行く。交通量も多いし水たまりも深くなってきたし雨で視界も悪く緊張感がある。
西条に入ったところで市街地に行く前に温泉と運動公園が近接してコインランドリーもありそうな場所があるので状況を見ていくが、雨をしのげない。テントは雨ざらしでも荷さばきや飯ぐらいは屋根の下に入りたいところだ。仕方なくスルーして市街地へ向かう。いくつかの公園をスマホの地図で探すが、あまり良さそうなところがない。1カ所だけ候補地を見つけたが、最低限のテントにしておかないとまずそうだ。
ほかに候補はなさそうなので、コインランドリーの位置を確認してから風呂に入りに行く。ここでやっと生き返る。温かい風呂で体を洗って温めたところで夕飯にする。さすがに自炊は面倒になってきた。歩ける範囲になか卯がある。おなかを満たしたところでコインランドリーへ行く。チャリダーの大学生が何組かいるので宿の競争が激しそうだ。洗濯と乾燥を済ませた時点で24時に近い。目をつけておいた公園に行き、テントを張る。住宅街のど真ん中だし、ちょっとセレブ感がある家が多いので物音を立てずにテントを張る。東屋にすっぽり収めて雨をしのいで眠りにつく。 |
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5日目 |
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西条 → 湯ノ浦温泉 → 今治 → 北条 |
73.60 km |
2019/04/30 |
朝になって雨はやんだ。東屋内で干しておいた荷物にテントやシュラフを収める。とにかくテントだけは早めに撤収を心がける。雨はやんでも天気はすっきりせず、どこか霞んで湿気が多い中を走って行く。海沿いではあるが海は全く見えない田園地帯の道を淡々と走って行く。今治に向けてはアップダウンもなく平地を淡々と走って行ける。
あっという間に湯ノ浦温泉まで走る。リゾート地でもあり父の納骨の時にもレンタカーで来た懐かしい場所でもある。温泉の蒸気が出るモニュメントのある道の駅に立ち寄って地元産のミカンを買っていく。これが愛媛県の旅の楽しみの1つである。
湯ノ浦温泉から幹線国道沿いを走っていくと、今治へと近づいていく。愛媛に来た回数は少ないが、自分のルーツがある場所なのでどこか懐かしさや思い入れのようなものが出てくる。今回は今治城と今治名物の焼豚玉子飯が目当てだ。順番はどちらでも良いので、美味しそうな店があれば寄りたいし、城が先なら城を見ていきたい。昼飯の候補が1軒あったが、何だかものすごく並んでいる。昼飯には少し早いしスルーしていく。
結果、城の方に先にたどり着いた。自転車を置いて固定して見学に行く。海と繋がっているお堀にはボラや黒鯛など海の魚が泳いでいるのが見える。立派な石垣と天守閣があって城の見物を楽しめる。天守閣の最上階からは瀬戸内海や今治の街や来島海峡大橋も見える。春霞ということもありすっきりはしないが、よく見えて気持ちが良い。お堀は湧き水で淡水がわいてるので生態系が海水と淡水で分かれていて生物学的にも面白い。 すっかり遅くなって腹が減った。城の外側の写真を撮りながら昼飯を探す。焼豚玉子飯の最有名店はとんでもなく並んでるのでスルーして行く。北条へ向かう道の途中にも店があり立ち寄っていく。元々は中華料理のまかないで始まったのでラーメン屋や中華料理屋が出してることが多い。ラーメンも美味しそうな店だが焼豚玉子飯を頼んでみる。甘辛いタレに焼き豚と卵ののったご飯がよく合う。お客様を知るという目的の会社の自己啓発活動でB-1グランプリの上位を当てるという活動をした時に美味しかった記憶があり楽しみにしていたのだが現地での作りたては、そのとき以上のものだ。ていうか、全然B級ではない味だ。 |

明るくなってから見ると立派な庭園
早く撤収する。
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湯ノ浦温泉
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湯ノ浦温泉で買った なつみ
ご当地柑橘を買うのが楽しみ
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築城の名手 藤堂高虎像
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今治城 天守閣
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今治城 天守閣から来島海峡の眺め
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今治城の石垣
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お堀と天守閣と自転車
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海水の混じる今治城のお堀
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焼き豚玉子飯のあるラーメン屋
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甘塩っぱいタレと焼豚と卵が絶妙
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計画から少しショートカットしたので、次に野間馬(のまうま)を見に行く。愛媛で飼育されていた在来馬で日本最小の種にあたる。少し傾斜を持たせた牧場で飼われていて人なつっこくてフェンスの際まで寄ってくる。少しちんちくりんな感じが可愛く癒やされる。SPDのビンディングがカチカチ地面で鳴るので驚かないか心配だったが問題なかった。
馬に癒やされて走っていると、今日も強烈に雨が降ってきた。平成最後の日の旅は内容は濃かったが天気はすっきりしない。レインウェアを着込んで走っていると海沿いに出る。レンタカーで運転したことのある道だが、天気よかったら気持ちがいい。しかしながら鉛色の空と海だ。今日は我慢の日となるので仕方が無いだろう。
道の駅で休憩して北条の市街地へ向かう。今日も屋根を意識した寝床探しをしなければならない。なかなか候補地が無かったが何とか見つける。買い出しは大幅に戻った場所のスーパーしかないが仕方ない。じゃこ天、鯛の切り身、ビールを買ってから風呂に入りに行く。自転車置き場になってる軒下は雨がしのげるのは助かるが猫が集まってるので荷物は厳重にしまい込む。風呂の入り口には「浴場でみかんを食べないでください」と書いてある。さすが愛媛県だ。 |

愛媛の馬 野間馬
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小柄な野間馬
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白馬もいる
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夢中で牧草を頬張る白馬
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寄ってきた人懐っこい馬
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愛媛県ならではの注意書き
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風呂で暖まって目をつけていた公園へ戻る。隠密行動で夕飯の準備をする。まずは、じゃこ天とスナップエンドウを炒めた炒め物でビールを飲む。平成最後の夜は雨をしのぐキャンプで過ごす。自分らしい改元を過ごせることに感謝である。いよいよ念願の鯛飯を作る。米を研いで切り身を入れて、味が濃くなり過ぎないように味付けをする。鯛から少し水分が出るのを見越して水を少なめにし、慎重に慎重を重ねて炊く。ちゃんと吹いてきたので問題なくいつも通りに鯛飯を仕上げる。最後に骨を身から抜き取ってほぐして完成だ。日本人に生まれてきてよかったと思えるほどの旨味がある。米には鯛の出汁がしみこみ、鯛の身はふわっと柔らかく鯛の旨さがしっかり残っている。
平成から令和へ改元の時を旅の空の下で迎える幸福を満喫する夜だ。思えば昭和の終わりは俺の12歳の誕生日で国民が大きなものを失うのと同時に新しい時代を迎えた平成と違い世間で言うハッピーリタイヤで新たな時代を迎える令和。今の時代にはそれが合っていると思う。キャンプで迎えても不謹慎と言われることも無く幸せを噛みしめられるのは良いことだ。自分のスマホはワンセグでテレビを見れるのかと思ったらアンテナを繋がないと駄目とわかり当然アンテナなんて持ってきて無くてテレビは見れなかったが、夕飯の片付けも終えてテントの中で0時を迎えて令和へと移り変わった。新しい時代も自分らしくやっていきたい。 |

愛媛名物 じゃこ天
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じゃこ天とスナップエンドウの炒め物
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贅沢に鯛を入れた鯛飯
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平成最後の飯は鯛飯
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6日目 |
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北条 → 松山 → 伊予 → 犬寄峠 → 内子 |
70.98 km |
2019/05/01 |
今日も雨はやんでいる朝だがスッキリはしないし湿度の多い朝を迎えた。北条を出て南下していく。まずは松山観光港を目指していく。広島や九州から船が来るターミナルに旅のわくわく感を感じる。伊予鉄も港まで来てるので船と鉄道でわくわく感が加速する。
そのまま海沿いを走っていくと松山港に着く。これで四国の海沿いトレースの履歴として、ほぼ四国一周を達成したことになる。ここで左足のクリートの位置を再調整する。SPDの新しい靴がイマイチ体に馴染んで来ない。
一昨年も松山港から八幡浜へ向かう時に走った松山空港近くの道を南下して伊予へと向かう。近い過去に走った道は勝手も分かっていて気楽だ。淡々と走って行く。
伊予まで走ったところで昼飯にする。伊予市駅前に産直がある。ここで買い物しつつ飯を探す。お総菜も美味しそうだし、自家製のカレーも美味しそうだ。今日の目的地の内子にはキャンプ場があるようなのでためらいも無く生鮮食品を買う。香川県産の養殖サーモンとタコを買う。暑くはないGWの日差しなら冷蔵庫代わりにもなる保冷バッグに詰めて行く。
昼飯は地元野菜のカレーにする。フルーティーなルーとグリルした地元の野菜が合う。愛媛の名物であるサヨリとおからの寿司も買ってつまんでみるが残念ながら口に合わない。酢とおからがどうも苦手だ。
昼飯で元気をもらって峠に入る。一応、今回の旅ではフル装備での最大高低差で290m近く上る。空荷なら500mの山道も登ったし今までの実績からして登れないとは思えないが苦戦する。'97年には逆から越えてきた峠だが当時は記憶にも記録にも残ってないほど楽々と越えたと思うと過去の自分は恐ろしい。特に眺めもない犬寄(いぬよせ)峠を2時間ほどで制して下っていく。
下り坂の途中にある道の駅なかやまに立ち寄っていく。峠を越えたので体は熱いが、下りで冷え始めていて俺自身が寒いのか暑いのかよく分からないがアイスを買う。地元名産の栗が入ってるアイスはまったりした甘さの中に栗の粒が入っていて美味しい。大阪から車で旅している夫婦や地元のロード乗りとも話ができた。どうも、明日行こうとしている大洲から八幡浜の道は鬼門らしい。狭いトンネルにトラックがいっぱい通るので地元の人は避けているようだが、避けるルートは600m近い峠なのでベテランらしい走りでトンネルを抜けたいところだが、どうなのだろうか。一応GWなので物流系の交通量が少ないことを期待したい。 内子へ向かって峠を下っていく。登り返しとかアップダウンが多いのかと想像していたが純粋な下り坂がずっと続く。交通量が多い緊張感はあるが、タイトなカーブがあるわけでもなく快適な走りで進んでいく。傾斜が落ち着いたと思ったら、内子の道の駅へ到着した。もう今日は走りきったようなものだ。道の駅で肉と野菜を買っていく。さっき買ってきた魚介とカルパッチョにするイメージが固まった。生鮮食品から加工食品までありイートインも酒も充実していて楽しくなってくる道の駅だ。 |

激しい雨の後
令和の初日
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野菜カレー
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丸寿司 さよりとおから
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道の駅なかやま 栗のジェラート
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犬寄峠(いぬよせとうげ)
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道の駅 内子
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道の駅に近い川原のキャンプ場でテントを張る。まだ明るい時間だし空いている。愛媛県の松山の天気予報では今日は雨と言われていたが、犬寄峠より南は松山と違い晴れとなっていてそれが当たった形だ。これで3連敗を阻止したし、この後の予報は四国も九州も晴れが続きそうだ。空は晴れ間が出てきている。
ほぼ空っぽのランドナーで風呂に入りに行く。風呂は丘の上にあるようでICから坂道を上っていく。フル装備で来なくてよかったと心から思える坂道を上っていくと、てっぺんに売店と竹林や花で彩られたオーヴェルジュがある。一応、オーヴェルジュが日帰り入浴をやっている形なのだが、明らかにドレスコードが場違いである。Tシャツとレーパンで風呂道具と着替えだけ持って「ちーっす 風呂入りにきました」って感じではない。表に日帰り入浴とも書いてない。不安な心持ちでオーヴェルジュの竹林とガラス張りのおしゃれな建物の方へ入っていく。フロントでおそるおそる日帰り入浴って言ってみたら普通に入れた。だが、設備や風情はオーヴェルジュそのもので、とにかくしゃれている。次は泊まってみたいと思わせる内容だった。
真っ暗な坂道を下ってキャンプ場へ戻る。とにかく今日はオーヴェルジュ感のある夕飯を目指したい。道の駅で買ったアイスプラントと新タマネギとプチトマトを切ってサラダ状にする。地元のレモン、不知火、なつみを手で絞って和える。そこにオリーブオイルとコショウを入れて混ぜてドレッシングを作る。香川県産養殖サーモンを刺身にしてサラダにのせる。そこにドレッシングをかけて完成だ。アイスプラントのうっすらした塩味と魚がよく合う。甘酸っぱいドレッシングと脂のとろけるサーモンがよく合う。タコも塩とレモンで満喫する。地元産の豚肉もソテーにしてニンニクと合わせてメインディッシュとなる。肉は軟らかくて味がしっかりして美味しい。3品で力尽きたがオーヴェルジュ的なキャンプとなった。令和の初日も旅に走りにキャンプに充実した1日となった。 |

オーヴェルジュで日帰り入浴
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カルパッチョ
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豚肉のソテー
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7日目 |
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内子 → 大洲 → 八幡浜 ・ 別府市内 |
40.41 km |
2019/05/02 |
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八幡浜 → 別府 |
今日は朝からスッキリと晴れて青空が見えている。だらだらと撤収してたら暑くなってきた。こういう朝を待っていた。
今日は内子の街を楽しんで、大洲へ行って峠を越えて八幡浜へ行き、夕方のフェリーで別府に渡るので四国としては最終日となる。感慨深くテントを片付けて出発する。まずは内子の街を楽しむために市街地を抜けて駅へ行く。情報収集してから街をぶらぶらと自転車で流す。古くからある劇場である内子座を見ていく。落語や劇をやる舞台とこの字に囲む観客席で伝統も感じるし臨場感もある。舞台や奈落も見学できて充実の見学となった。
内子は町並みは古いが、富を得ていたところもあり洋風の古い建物もある。旧市役所の前でパンを頬張りながら地図を見て町並みへと向かう。
薬問屋を資料館にしたところが面白く蝋人形で仕事してるところや食事しているところを表現しているのだが、いちいち会話が多く通りがかる度にセンサで反応して長めの会話をしている。
内子の冨の象徴である木蝋を作って売っていた旧家 木蝋資料館 上芳我邸も見れる。途中で建設する方針を変えたので柱が途中で終わってたれてる不思議な光景である。屋根裏の小屋組まで見れて、木蝋の博物館も見れて充実である。はぜの実からロウが出来るまでの工程や栄えた歴史も興味深い。
内子の町並みを流しながら道の駅に戻り、アイスを食べる。内子の名産であるじゃばらのアイスを楽しむ。鮮烈な酸味と香りが甘酸っぱいアイスの中から立ち上がる。じゃばらというと和歌山県の飛び地で有名な北山村のイメージがあるが、ここでも味わえるのは嬉しい。クリーミーにまとめたアイス、徹底的にさっぱりしたシャーベット、はったいこ(大麦をきな粉風にしたもの)で酸味と甘みのバランスをまとめる。
休憩して出発する。大洲までは20kmもないぐらいの距離なので淡々と走って行く。ありがたいことに天気は良いのだが、本格的に暑い。坂道らしい坂道もなく大洲まで20km弱の道を進んでいく。今日は八幡浜に行く交通量の多いトンネルを抜けるところ以外は安足日と言えるほど楽な道だ。大洲までの距離はぐんぐん減っていく。 |

この旅で初めての青空の朝
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内子駅前
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内子の劇場 内子座
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内子座の舞台を見る
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内子座の表
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内子の町並み
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内子の町並み
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内子・歴史民俗資料館、商いと暮らし博物館
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この人形たちがとにかくよく喋る
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この人も喋る
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木蝋資料館 上芳我邸
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木蝋資料館 上芳我邸
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迫力のある小屋組
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上からの柱が途中で終わっている
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木蝋の原料 はぜの実
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はったいこ、じゃばら、
じゃばらシャーベット
トリプルのアイス
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暑さに耐えながら大洲まで走り、まずは城を見に行く。大きな城ではないが、見下ろす大洲の街や盆地と川の眺めが気持ちいい城だ。天守閣から見える大洲富士はてっぺんがツツジの花で彩られていて満開になると雪をかぶった富士山のような2色になる。城から降りてきて大洲の古い町並みを自転車で流す。内子と比べると少し作った感があり見劣りは避けられない。東京ラブストーリーで手紙を出したポストの写真を撮っていく。ドラマ見てないから知らないけど。
産直のジャンクフードといよかんジュースで昼飯を済ませて、いよいよ最後の峠を越えに行く。時間帯としては夕方のフェリーに間に合うか微妙なところだ。最終の20時半は楽勝だが、到着も遅くなるので避けたいところだ。
愛媛の西側を縦断する幹線国道は交通量が多い。峠は八幡浜方面だが車は多い。よく整備された国道は登坂車線があるので精神的には楽な登りが続く。だが、愛媛の県民性が出ているのだろうか、ほぼ全ての車が登坂車線にいちいち車線変更して走り抜けていく。関東だと自らが遅いと認めた車だけが左に来るのだが感覚が逆だ。2車線なのに自分に近いところを車が何台も通り過ぎていき、登坂車線があるのに気が抜けない。 |

大洲城
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大洲市内の眺め
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天守閣から大洲富士の眺め
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大洲の町並み
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東京ラブストーリーのポスト
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絞りたて いよかんジュース
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コカコーラご当地ボトル
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高低差100mあるかどうかぐらいの坂道なので足の疲労はたいしたことないがトンネルに入る。2km近いトンネルが2本連続で続く。トラックの交通量が多いと怖いところだが、今日は明らかに普通車ばかりである。トンネルに入ると緊張感が続く。やはり足は地面に着きたくないし、車に追い越されるときのふらつきは避けたい。ちょうど良いギアを選んでふらつかないように走る。ジリジリとトンネルの中で上る道に疲れが来る。追い越しとすれ違いのタイミングが合わないよう願いながら進んでいく。フロントはライト2つに反射テープ、リアはリフレクタライトに反射テープと存在アピールは充実しているので見落とされる心配は少ないが安全を相手に依存しているので緊張感は続く。
トンネルを抜けて八幡浜市に入ったところで左に寄せて一息つく。確かに鬼門だった。これで物流の多い平日や単なる週末だったら地獄だろう。
八幡浜の市街地と港に向けて坂を下っていく。傾斜は厳しめだが車に近いスピードで下るので追い越しがあまり発生しない。一昨年にも来たルートに合流した。実家に柑橘系のものでも送ろうと駅で情報収集する。港の真ん前に道の駅があるので、そこの産直がなんだかんだでよさそうだ。港に着いた時点で17時40分。フェリーは17時半なので間に合わなかった。道の駅の閉店も18時と迫っている。さっさと柑橘類を買い集めて発送の窓口へ行く。慌ただしいが愛媛の持ち味は十分に出せただろう。俺も高級なミカンジュースを買って一息つく。
フェリーターミナルで乗船手続きをする。すでに予約でいっぱいなのでキャンセル待ちとなった。車と違って隙間に入れるだけなので問題ないだろうとは思うが心配ではある。今日は別府でホテルを予約しているので渡れるか渡れないかの差は大きい。待ちの間にコインランドリーに行くか迷ったがキャンセル待ちなので場は離れないこととする。ターミナルがよく見えるところにある食事処で夕飯にする。八幡浜ちゃんぽんを食べに行く。魚介系の出汁なので九州のちゃんぽんよりはアッサリしている。じゃこ天も追加して四国の最後の飯を満喫する。20:30のフェリーに乗ると23:20までは飯にありつけないので、ここでの夕飯は正解だ。 ターミナルに戻ると、20:30に乗船できることが決定した。福岡からバイクで来て旅して来たというライダーさんと話をしながらフェリーを待ち、車より先に乗船となった。これで旅の日程が無事に繋がった。八幡浜から別府・臼杵に行く九州-四国の動脈とも言えるルートなので活気がある。満員のフェリーは八幡浜を後にする。右には佐田岬半島の家や道の明かりがぽつぽつと見える。いつまでも船と併走する半島を見て改めて長さを感じる。2年前に1日で先端の佐田岬まで行った時はハードだったことを思い出す。また来たいが次は自転車じゃ無くてもいいや。 |

四国脱出へ八幡浜市突入
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2kmのトンネルを2つ抜けて一安心
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八幡浜港 高級な柑橘ジュース
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八幡浜ちゃんぽん
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じゃこ天
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夕暮れの八幡浜港
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最終便の別府行フェリーに乗り込む
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四国を後にする
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隣は臼杵行フェリー
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フェリーの中で日記を書いているうちにフェリーは別府へと近づく。車両甲板に降りて準備していると目の前にいるトヨタイプサムに違和感を感じた。ボンネットとフェンダーの隙間が妙に大きい。ボンネットを閉めてあげた。給油口と間違えて開けたんだろう。フェリーから下りて別府に上陸する。もうどこにも寄らずホテルを目指す。海沿いにあるホテルを予約したので道は迷う余地もない。10分ほど走ったらたどり着いた。
汚れ物のたまった衣類を荷物から出して、着替えと風呂道具と充電器を持ってチェックインする。別府なのでホテル内に温泉があるのは当たり前だし、コインランドリーもある。まずは風呂に入って汚れと疲れを落とす。露天風呂まであって気持ちがいい。コインランドリーで洗濯し、乾燥まで済ませてから眠りにつく。 |

もうすぐ到着 深夜の別府港
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8日目 |
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別府 → 杵築 → 大分空港 → 国東 |
76.31 km |
2019/05/03 |
今日からは九州の旅となる。別府のホテルを出発し南へ進む。念願の国東半島へ向かっていく。2005年は福岡県の中津から別府に向かう際に国東半島はスルーしたので今回こそは満喫したい。しばらくは大分空港に向かう車と併走することになる。体としては旅モードになって乗ってきた感じはあるものの疲れも隠せない。やはり昨夜は遅くなったので寝不足という感覚は否めない。
今日も暑い日差しを浴びて焼かれながら国東半島を東へと進んでいく。海に近いところをトレースしても海は見えない道を進んで、杵築に着く。白壁の古い町並みを再現したところを見ながら自転車で流す。一通り見たところで休憩し、杵築産の紅茶
紅ふうきを使った臥牛(がぎゅう)ソフトを食べていく。紅茶の香りがふわっと来るソフトクリームはかなり美味しい。暑い今日にはぴったりだ。
杵築の町並みを戻って城を見ていく。そんなに高い場所にある城では無いが坂を上っているとゼッケンをつけた親子がいる。どうも今日はツールドくにさきというサイクリングイベントをやっているようだ。ゼッケンを多く見かけるようになってきた。城自体は小さいが小高い丘の上の天守閣からは町並みと川や河口の干潟を見下ろせて気持ちが良い。
しばらく頑張って走ろうかと思ったら海沿いの食堂で昼飯にする。いかにも産直感のある店だ。このあたりの名産であるハモを使ったはも重にする。淡泊な白身に蒲焼きのたれが合う。魚の旨さを満喫していく。駄目元で目的地にしているオートキャンプ場の予約状況を聞いてみる。あっさりと満員という回答を得る。 |

臥牛(がぎゅう)ソフト
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杵築の町並み
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杵築城 天守閣
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杵築城からの眺め
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南蛮漬け
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はも重と刺身
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早めの昼飯を終えて気合いを入れて走って行く。国東半島は意外と距離が長いし目標地点はまだまだ遠い。だんだんイベント参加者の自転車が多くなってきて対向車線から手を振られることが多くなってきた。挨拶されるのは嬉しいが自分の時間というかペースでいきたい。海は見えないが、ほどほどにアップダウンもあって楽しそうではある。大分空港で休憩しようとしたら自転車は向こうに止めろと追い出されたので、スタンプだけさっさと押して後にする。大会をやってると思ったら追い出す。自治体のスタンスがよく分からない。
大会参加者からの刺激か徐々にペースが上がって目標地点への到着にめどがついてきた。道の駅くにさきに立ち寄っていく。エイドステーションになっているのか入ろうとすると勝手に誘導される。邪魔なんだろうけど、俺は一般人。一般人に邪魔にならないように参加者を誘導するのがあなたの仕事だと思う。店で魚介類を買っていく。タコと車海老が美味しそうだ。塩とレモンとオリーブオイルとニンニクがあるのでイメージがわいた。
大会の時間が終わりになってきたのかサイクリストがだいぶ減ってきた。夕方からはようやく海沿いをトレースする道になってきたのでサイクリングロードに出られる公園に入る。するとまた大会関係者が「片付けの邪魔だから自転車を置くな」と指示してきた。俺は参加者じゃ無くて一般人だ。少なくとも指示される筋合いは無い。最近の自転車ブームは良いことだが、量の増加は質の低下を招く典型的な例になりつつある。大会の歴史が長い割になのか歴史が長いから最優先されるという驕りや勘違いなのかどちらかは分からないが運営が雑だ。大会と同じ日にツーリングしてしまった事が悪い面が目立ってしまったのは本当に同じ趣味をしている者として残念でならない。 |

大分空港 足湯
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道の駅くにさきで買い物
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ようやく半島ツーリングらしくなってきた
海岸線の自転車道
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瀬戸内海の眺め
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夕方で人影のない自転車道
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遠くに見えるのは姫島
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買い物を済ませて日が傾いて来て、ようやく落ち着いた旅になってきた。ペースはぐんぐん上がって、権現崎へ着いた。道の駅はすでに閉店しているが、日没には間に合った。夏だけ営業しているキャンプ場と電話で聞いてみたら満員だったオートキャンプ場と公園がある。まあ、日没後に公園の隅っこでぱぱっとやってしまおうと思いながら公園の奥へと探索してみると、まだ奥にいけそうだ。いったん自転車を置いて歩いて入っていく。すると夏だけのキャンプ場にたどり着いたのだが、テントがいっぱい張られてステージがあってズンチャカ鳴っている。どっかのヤンキーかと思ったら野外フェスになっている。様子見しながら受付らしき場所に行ってみると、金を払えばテントも張れるしシャワーも使える。迷わず受付をする。これは楽しくなってきた。
自転車を取りに行き、ものすごい傾斜を無理矢理自転車で上ってキャンプ場に入る。さすがに混んでるがテントを張る場所を決めた。自転車を置いたまま、キャンプ場から海岸に降りる。ちょうど夕日が見えてきた。国東半島の突端からは夕日がよく見える。方向的には陸地だが海を照らす赤い光は美しい。その間を通って姫島へ行くフェリーも見える。姫島も楽しそうだが今回はスルーだ。国東半島の魅力は外周だけでは無いので、また来て次は姫島にも行ってみたい。そんな先の旅の思いを馳せながら夕日を眺めて子供をあやしつつテントを張る予定の場所に行く。 |

姫島へ向かうフェリーと夕日
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にじのこまつり
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まずは松林の中でテントを張る。近くの一般人に話しかけられながら楽しくテントを張って荷物を放り込む。着替えと風呂道具を持ってシャワーへ行き、温水シャワーで汚れを落とす。今日はタフな1日だったのでシャワーは欠かせない。最悪、公園で一泊だったら良からぬことも考えるぐらいだったが、助かった。ライブの生演奏を聴きながら、店で買い物をする。店も出し方は自由でテントやタープの下で勝手にやっている。カレーやバーなど色んな店が出ている。バーでビールを買って飲みながら音楽を楽しむ。ライブも緩い感じで演奏の途中で「すいません、この続き忘れちゃいました。もう1回!」とかやってるし楽しい。缶ビールを売ってる店があったので買っていく。
テントに戻ったら夕飯を作る。タコは1匹なので3つの料理に使う。姫島で養殖した車海老も冷凍で買ったのが良い感じに解けている。まずはタコを刻んでタコぶつをつまむ。塩とレモンで満喫する。車海老もそのまま殻をむいて塩とレモンで楽しむ。ぷりぷりの食感とエビの旨さがあふれてくる。つまみながらたこ飯を作る。これも何度もやってるのでなれたものだ。味が濃くなりすぎないようにしてご飯を炊く。タコの色と香りが出て最高の仕上がりになってきた。ご飯を蒸らしてる間にコッフェルの蓋にオリーブオイルとニンニクを入れて揚げ煮にして香りを引き出す。そこに車海老とタコを入れてアヒージョにする。オリーブオイルに出汁が出るという感覚ではないが、素材の良さがそのまま表れてニンニクの香りとオリーブオイルで出るコクが効いてくる。たこ飯は飯にタコの旨味がうつって美味しい。国東半島の美食を満喫した。
フェスなのでキャンパーも自由なもので深夜まで歌って踊っている。今日ばかりは五月蠅いとは感じず心地よいものだ。 |

タコとクルマエビの刺身
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タコ飯
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タコとクルマエビのアヒージョ
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9日目 |
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国東 → 豊後高田 → 宇佐 → 中津 |
68.08 km |
2019/05/04 |
まだまだ続く祭りの雰囲気を楽しみながらテントを片付ける。何のイベントなのかと思ったら「虹の子」と書いてある。後で調べると福岡のインディーズバンドが主催しているフェスだそうだ。道の駅に寄って朝飯を食べる。名物のたこ飯がテイクアウトで売られている。やはり自分の自炊とは違ってプロの味は違う。ぶつ切りのタコを突っ込んだだけのものと違って上品な味だ。
ここからは本格的に海沿いのアップダウンを楽しめる。やはり半島と言えば厳しい坂道が連発して海沿いを楽しむというのが醍醐味だ。今日も気持ちの良い晴れた空の下を気持ちよく走って行く。九州に入ってからは距離配分と日程の観点では気を抜けない走りが続くが、1日目である昨日をきっちり決めたのでゴールへの道筋は見えてきている。
途中の粟嶋神社へ寄っていく。きれいな海に面した神社と展望台がある。縁結びの神様ということで、そういうのを望む人が押し寄せている。走っている道は恋叶ロードと呼ばれている。自分の場合は良い仕事との縁が興味の対象なので寄っていく。海にハート型の岩とくぼみがあって4個の石を投げ入れるというのがあったのだが、やってみて4個とも外れてフォアボールということで縁がないようだ。 |

初のフェスキャンプ
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一部のテントは店になっている
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道の駅くにみ
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道の駅くにみ名物 タコ飯
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粟嶋の眺め
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国東半島 恋叶ロード |

粟嶋神社
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4球外してストレートのフォアボール
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出発がのんびりした上に寄り道したので遅めの昼飯を豊後高田で食べていく。昭和の町並みというのがあって歩いてみるが、町並みには食べるところがあまり無い。九州にしては珍しく蕎麦が名物なので十割蕎麦の店に並んでみたが20分経っても一人も進まないし見てるとテーブルにいる人に料理が提供されないまま20分経っている。人気と言うより段取りが悪いだけだと見切ってほかの店に行く。何とか蕎麦にありついた。少しもっちりした食感の蕎麦だ。
徐々に時間が押してきたが、豊後高田の隣にある宇佐にも寄っていく。これで国東半島からは脱した。海もきれいで見所が多い旅となった国東半島に感謝である。宇佐と言うことで今流行のUSAの看板の写真を撮って宇佐神宮へ行く。'05年の旅でも訪れているが早朝にぱぱっと見ただけなので、また寄っていく。厳かな境内と立派な本殿を楽しんでいく。2礼4拍手1礼でお祈りをし、立派な楠も見ていく。片参りは良くないので下宮の方にも行く。木の下をくぐると何か良いことがあるらしいパワースポット的なところ(正直、よく知らん)に行きパワーを得ていく。 宇佐神宮の見物も終えて福岡県へ向かう。現時点でのキャンプ経験が福岡にはないので、今回履歴を確保しておきたい。だが、宇佐から中津まで走ったところで完全に日が暮れてしまった。宇佐でキャンプの目処が着々と立っていくが、その先を目指すモチベーションは落ちていく。洗濯もしたいし唐揚げも食いたい。かろうじて県境を越えて福岡県に入ったところの公園に目をつけたが、イマイチなので中津に引き返す。遅くまでやってる唐揚げ屋を目指して往復10km近く走ったがGoogleの情報と合わず営業時間外。唐揚げはあきらめてスーパーで鶏肉を買う。 |

豊後高田の蕎麦
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USAに突入
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軽便鉄道のSL
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宇佐神宮の大鳥居
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宇佐神宮 上宮の勅使門
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上宮の御神木
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間をくぐると御利益のある?
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間から見上げた景色
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下宮
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中津市内で風呂と洗濯を済ませる。この時点で23時だが、テントを張って飯を作る。まずは鳥とシメジで炊き込みご飯を作る。いつものように沸騰して吹いてこないが、これ以上は強火でいっちゃいけないという勘で弱火にする。最後の着地も振動が全くないまま勘で火を止める。今日はガスを使い切らないといけないので、肉とネギを切って炒める。何とかガス欠までに火が通ったが、火力はもう出ない。全てぎりぎりであったが段取りはできた。炊き込みご飯の味の方も絶品でお焦げの具合も絶妙だ。炒め物も鶏肉には火がしっかり入って美味しくいただけた。大分は鶏飯が名物だし、唐揚げ王国の中津なので鶏は外せない。
最終日らしく消えかけの火でお湯を沸かし続けてガスを消費する。12時ぐらいまで掛かってやっとガス欠で火が消えるところまで来た。ガス缶に穴を空けて水を入れてガスを完全に抜く。
夕方明るいうちに当たりは付けておいたが、目の前は病院で24時間灯りがついている。なにげに目立つところを選んでしまったと後悔する。さすがの病院も夜になると人気はないので、仕方ないと割り切って12時過ぎにテントを張り終えて眠りについた。今回の旅のラストキャンプをびしっと締めることができた。 |

かしわ飯
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鶏とタマネギの炒め物
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10日目 |
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中津→行橋→新門司港→九州最北端 太刀浦→小倉 |
93.11 km |
2019/05/05 |
泣いても笑っても最終日だ。天気は良いが風が強く寒い。手の指先まで冷え切った状態でテントを片付ける。目立つ公園なのでテントを早めに撤収したい。だが最終日なのでしっかり乾かしてから収納したいところだ。
犬の散歩をしているお爺さんが来て話しながら荷物をまとめていく。賢くて可愛い柴犬に癒やされながら話をして出発する。福岡県のキャンプ経験値の獲得は諦めたが、中津を出発したら最後の県である福岡に突入した。
今日は何のプレジャーも無く淡々と走る日である。工業地帯なので海を見ることも無く山場もない。最後は本土十六極制覇という目標を達成するために、遅れなく走って行くことである。そういう日は走りとしては調子よくなることは多い。雑念が無く集中していく。朝は早めに出てるので、行橋も10時過ぎには通過した。立ち寄っては見たが旅人としても鉄道好きとしても、あまり萌えるものがない。筑豊へ向かう鉄道なんかもあるが、福岡県内の事だと旅という感覚もない。
そうこうしているうちに日産の工場横を抜けて北九州市に入り、ゴール予定地の市町村にあっさり入ってしまった。市町村合併というのもあるが九州最北端をぐるっと回るので1日の半分は北九州市を走ることになる。
昼飯は北九州らしく資(すけ)さんうどんで食べていく。もちっとして柔らかい麺、出汁に浸すとふよふよになりながらしゃきっとごぼ天、何故か好評のぼた餅。香川のうどんに始まり九州のうどんに終わる旅として、どちらも持ち味を出したのが良かったと思う。 |

最終日の朝 やや寒い。
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福岡県に突入
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資さんうどんの肉うどんとごぼ天
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資さんうどん名物のおはぎ
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昼飯に満足するとゴールに向けて集中するだけだ。九州の東側を最北端までトレースする道は工業地帯や住宅街が中心で田舎的な風情は無い。淡々と走って行く。途中、トイレも兼ねてフェリーターミナルへ寄っていく。長距離フェリーの拠点は奈良や京都の寺社を模した大きな建物で見てるだけでわくわくする。
これを過ぎると、いったん田舎的な雰囲気になる。牡蠣小屋が並ぶ海岸線を見てアップダウンを越えていく。九州最北端に向けて最後の上り坂と思ったところで、メーターの電池が限界を迎えた。明るさがふわふわと変動していて電池の限界と思ってたが、とうとう異常が出てきた。上り坂なのに10km/hを表示している。電池を買えるような場所では無いので、車の鍵から電池を取り出して交換する。去年の対馬でも同じことが起きている。懲りないやつだ。 電池を交換して上り坂の続きを走ると、相変わらず10km/hを表示している。本当にそれだけの速度を出せていたようだ。トンネルをくぐって道を下ると港の埋め立て地に突き当たった。ここでスマホを使って道を調べる。九州最北端と言っても埋め立て地のコンテナヤードの門なので観光的な要素はどこにもないし、九州最北端と書かれたモニュメントもない。もちろんそこへ行く案内標識などあるはずもない。GPSを頼りに九州最北端へ向かう。Google Street Viewでさんざん下見した通りの景色が見える。走りながらGPSを確かめる。どこかの物流会社の門の前にたどり着く。地図で見る限りでは最北端だ。これ以上は私有地なので入れない。ここで記念写真を撮っていく。最北端っぽいところは3カ所ほど見つけているので、記念写真は押さえる。何とも達成感のない本土16極制覇である。(本土16極: 北海道 最北端 宗谷岬、最南端 白神崎、最西端 尾花岬、最東端 納沙布岬 本州 最北端 大間崎、最南端 潮岬、最西端 毘沙の鼻、最東端 とどが崎、四国 最北端 竹居岬 最南端 足摺岬 最西端 佐田岬 最東端 蒲生田岬、九州 最北端 太刀浦埠頭 最南端 佐多岬 最西端 神崎鼻 最東端 鶴御崎)
順番的には最後に九州最北端を残したのは失敗だったと思いつつ進んでいくと、さらなる最北に釣りの車が入っていっていく。ついて行くとダントツで一番北のポイントに着いた。門の向こうは警備の車がいるので入れない。 |

新門司港フェリーターミナル
関西方面へ行ける
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今年もメーターの電池切れ…
車の鍵からCR2032を移植する
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この坂を越えると九州最北端
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九州最北端 太刀浦埠頭
本土16極で最も風情が無い
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怒られずに行ける限界最北端
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長年かけて走って来た本土16極の自走走破の喜びを噛みしめながら旅のゴールへと向かっていく。ウィニングランではあるが油断は禁物だ。めかり公園の麓で廃車になった列車でカフェになっているので寄っていく。サービスで柏餅をつけてくれたので、関門海峡と関門橋を見ながら頬張る。九州の玄関口である関門海峡にたどり着くことは九州人にとっては特別な思いがある。 夕暮れの門司港を自転車で流しながら写真を撮りつつ小倉を目指す。夕日が美しすぎて走りに集中できなくなってきたので、思い切って見ていく。門司港に着岸している客船や港を見ながら日が暮れるまで満喫する。すっかり慣れてしまったナイトランで小倉を目指す。集中力が増すのであっという間に距離を稼いでいく。 |

今日は端午の節句
柏餅のサービス
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すっかり真っ暗な19時半に小倉駅に到着した。60000km、令和への改元、16極制覇と実り多い2019年のGW旅を完走で締めくくった。予約しておいたホテルに行くと、駐車場の人から自転車は置く場所がないから駅前の駐輪場に持って行けと言われる。小倉のホテルは置き場がないのが多いらしい。二度と小倉でスタートとゴールにはしないだろう。荷物をホテルの前で下ろして部屋にあげて自転車置き場に持って行って、シャワーを浴びてから飲みに出かける。飲み屋も1人でぷらぷらしている俺を入れたくないのか、拒絶感が強い。ようやく見つけた居酒屋でようやく落ち着いた。小倉の名物であり父からよく聞いていた糠炊きを食べる。糠の効果か鰯は骨まで柔らかく、臭みが一切ない。むしろ糠から出てるのかコクがある。それだけでビールのお供になってしまった。日本酒を飲み始めたら、また欲しくなってきたので頼んでみると「ぬか炊き出してませんでしたっけ?」と店員さんが慌てたので「美味しかったんで、もう1回お願いします」といって追加してもらう。日本酒との相性も抜群だ。父が元気なうちに、この味を知っておきたかったと思いながらも小倉の味に満足して旅の打ち上げは終わった。 |

門司港の夕日
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完走 小倉駅に到着
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実り多い旅の完走
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小倉名物 いわしのぬか炊き
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10日目 |
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北九州市内 |
7.80 km |
2019/05/06 |
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小倉 -東海道・山陽新幹線→ 東京 -東北新幹線→ 宇都宮 |
自転車を持ってきてホテルの外でパッキングする。鍵の返却も対面では無いので、そのまま機械を通してチェックアウトして行く。まずはヤマトで荷物を発送するべく向かいつつ小倉城が見えるカフェのオープンテラスで朝飯にする。少し離れた港にあるヤマトの営業所で手早く箱詰めを済ませて、小倉駅の方へ戻る。身軽になると旅も終わりが近づいていることを実感する。
小倉の見所と言えば小倉城ぐらいかと思うが、まずは昼飯にする。焼きうどん発祥の店で食べてみる。腰が大きく曲がったお婆さんが一人で切り盛りしている店だが、何だか量が少ないし調理する手元も覚束ない。体力の限界を見ていて感じるもので、あまり満足はできなかった。(※後の情報で19年12月に亡くなられたそうで、本当に体力の限界まで店をやられてたのと思います。心からご冥福をお祈りいたします。)
旦過市場を歩いて流していく。昭和のまま時が止まったような雰囲気が良い。ぬか炊きのにおいがするというが、まさにその通りで古き良き市場という感じである。漬け物屋さんでぬか炊きは売られている。
昭和の風情を今に残す商店街と言う感じの場所を父も子供の頃に歩いたのだろうか。そういう思いを馳せながら北九州の雰囲気を楽しんでいく。 |

焼きうどん発祥の店
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だるま堂の元祖 焼きうどん
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小倉の台所 旦過市場
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独特の香りのするぬか炊き
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昭和の雰囲気を感じるアーケード
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ぬか炊きの香りが漂う
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続いて小倉城へ行く。まずは小倉城庭園を見ていく。新緑と花のきれいな庭園に満足し、ちょうどやっていた猫の絵の展示会を楽しんでいく。
続いて小倉城へ行く。エレベーターも整備されて近代的な城になっている。足がパンパンなのでエレベーターで上がって下りながら見学していく。広島とかと同じで都会の城の悲しさで周りの建物が大きくて城を見下ろされている形になっている。小倉城への愛情は伝わるが、頭一つ出られないので眺めが少ない。宮本武蔵関連の展示が多く見応えのある城ではある。
事前に予約しておいた新幹線の時間が迫ってきたので、小倉駅に戻って輪行する。もうちょっと早く動いてれば指定席が簡単に取れたのかもしれないが、グリーン車で予約する。小倉駅は博多から来た時点で満席になってるので、新横浜まで座れない。今はスマホで簡単に予約できるので便利になっている。グリーン車で快適に過ごしながら日記を書き進めていく。東京に着く頃には、ほぼ過去の遅れ分は取り戻した。東北新幹線に乗り換えて徐々に現実へと引き戻されていく。
宇都宮駅を降りたらタクシーで自宅に戻り輪行状態のままの自転車に鍵をかけて旅は終わった。 |

小倉城庭園
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小倉城
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小倉城からの眺め
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周りの建物の方が高い小倉城
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佐々木小次郎 vs 宮本武蔵
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宮本武蔵の後ろ姿
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折尾のかしわめし
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そぼろと錦糸卵の素朴な味
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