0日目 |
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宇都宮 −東北新幹線・山形新幹線→ 新庄 |
2020/08/05 |
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新庄市内 |
0.38 km |
何から何まで初めて尽くしの2020年の日本。新型コロナウィルスの感染拡大状況は日に日に悪化し、仕事にも生活にも大きく影響が出てきた。そんな中で緊急事態宣言ということでGWの旅は中止となった。その後は技術の仕事もトラブルが続いたものの何とか踏ん張って夏を迎える。
本当に行けるのか懐疑的な状況で計画を組み、4年ぶりの東北に旅を展開すべく段取りを進めていく。1年間の流れとしてGWで体が動いて夏を迎えるが、全くそれがないまま夏を迎える。今年は東北ということで東北新幹線の移動圏内なので旅の開始は比較的楽な反面、仕事の後で夜のうちに現地入りしたくなって欲張ってしまうという課題もある。 連休前の最後の仕事をテレワークで終える。Skypeで打ち合わせしているものの集中力はそこにない。19時にピシッと仕事を終えて、予約しておいたタクシーに輪行済みの自転車ごと乗り込んで駅に向かう。時間的にはギリギリである。
予約しておいた山形新幹線に乗り込んだものの、貸し切り状態に近いぐらい空いている。夜の東北地方の車窓は真っ暗で落ち着いた空気の中、新幹線は新庄へと向かっていく。終点が山形だったら最終電車は遅くまであるが、新庄まで行ける列車は終電が早い。東北新幹線圏内は近い物で、あっという間に新庄にたどり着く。最終列車でありコロナの影響もあり平日ということもあって、降りる人も駅前の人も少ない。真夜中のような気分になってくる。
新庄駅前で自転車を組み立てて、ホテルに向かう頃には日付が変わりそうな時間帯になってきた。スポークのテンションを高めたからか少し硬くなった乗り心地のランドナーに乗ってホテルへ向かう。駅のすぐ近くなので、すぐにホテルに着いてチェックインする。ホテルに送っておいた荷物を開梱する。何回か前のツーリングからサイドバッグやザックに中身をパッキング済みで送るようにしたので取り出して寝るだけだ。本当は温泉大浴場付きのホテルだったが、時間が遅く終わってしまいシャワーを浴びて寝る。 |

最終の新幹線で新庄駅
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新庄まつり
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最終の新幹線で新庄到着
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1日目 |
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新庄 → 湯沢 → 小安峡 |
79.85 km |
2020/08/06 |
やはり疲れは隠しきれないまま朝を迎える。荷物はまとまっているのでさっと出発できる。ホテルの裏の駐車場でランドナーにキャリアを取り付ける。メンテナンスは万全な状態だしスポークテンションもきちんと合わせて安心感のある自転車になっている。パッキングを終えてホテルを出発する。スポークテンションが上がったことで乗り心地が硬くなるのが心配どころだが、荷物満載でもその心配は無いようだ。
朝飯は何も食べてないので、新庄市内で済ませる。朝からやってるラーメン屋にトライしてみる。煮干しの効いたラーメンは美味しく、いかにも東北らしい味だ。早朝から暑いがパワーをもらって北へと走り出す。早速の上り坂に差し掛かる前に日が昇るにつれて徐々に暑くなる。ここ数日は栃木も暑さに容赦がない。テレワーク中はエアコンを使ってるのでエアコンに慣れた体に夏の暑さが効く。
秋田県境に近づくと上り坂が徐々に急になってきた。曇りとは言え湿気のある夏の暑さに汗が止まらないし、足も切れが無く動かない。体のだめっぷりと暑さの組み合わせに体調を保つのがやっとな状況だ。坂道を上るにつれて太ももの後ろ側に痛みが出始める。足を止めてはストレッチして走り出すというのを繰り返すが、一時的には解決するものの痛みが出る。熱中症で足がつってる状態だろう。水分の消費も激しく1.5Lのボトルを最初の20kmで飲み干しそうな勢いだ。
峠に向けて最後の上り坂の手前の商店で休憩し、水道を借りて水を満タンにする。やはり熱中症とか脱水症状は怖い。’98年夏に浜松から自走で長野方面に向かった際に当時は日本一の暑さを争っていた佐久間の猛暑にやられた恐怖を思い出す。木陰で体温を下げつつ水分をしっかり補給し、借りた水道で頭から水をかぶる。熱を帯びてる太ももにも水をかける。水分を蒸発させて太ももの熱を気化熱で奪うイメージだ。
峠のトンネルを越えて秋田県に入り、下り坂になると少し体調は回復してきた。しかし、時間は予定よりだいぶ遅くなっている。17時までの受付が必要なキャンプ場にはどう考えても間に合わない。全体の予定を考えると、小安峡のキャンプ場まで走っておきたいし、たどり着けないとしても間にちょうど良い宿泊地がない。まずは秋田の湯沢に向けて峠を下っていく。
下りきったところに道の駅があった記憶はあるし、地図で見てもその通りだが手前の食事処に立ち寄って昼飯にする。湯沢と言えば稲庭うどんを外せない。冷たい稲庭うどんで腹を満たしていく。つるっとした涼やかさと天ぷらで元気をもらって走って行く。 |

新庄市内ホテルから出発
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朝からラーメン
煮干しの香りが濃厚
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ジリジリと登る坂と熱中症に苦戦
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山形県から秋田県へ突入
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秋田県湯沢市といえば稲庭うどん
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夏野菜の天ぷら
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坂を下るとすぐに道の駅に着いた。ここで買い出しを済ませて、せっかくの秋田ということでババヘラアイスを買う。ババヘラアイスといえば秋田の路上でおばさんがパラソルの下で売ってる販売形態だが、近年の猛暑だとそうも行かないのか見かける頻度が少なくなったようにも思える。その場でバラの形を作ってくれたり秋田の夏の風物詩ともいえる。甘いシャーベットが夏のほてった体にはうれしい。懸案の宿についてはキャンプ場に電話して次の朝に精算することになった。
あとは気合いを入れて坂を上っていくだけだ。前半の山形県から秋田県に抜けたのと同じぐらいの規模で上り坂を越える。しかし、気温はまだまだ下がる感じがない。西日が鋭く刺さっているイメージだ。夏の西日は容赦なくサングラス越しでもまぶしい。車通りの少ない辺鄙な道を走って、また暑さでぶっ倒れて商店の日陰で休む。今日はグロッキーな1日だ。
国道に合流したら川沿いの上り坂が始まる。川に沿ってればえげつない傾斜を上らされるケースは少ないが、じりじりと上がっていく坂と下がらない気温に参る。坂の向こうの山々を見ながら気持ちよく走って行きたいところだが疲れの方が勝っている。予想通りだがキャンプ場にたどり着くこともなく日が暮れてしまった。日没と同時に一気に暗くなってきた。さすがにナイトランになれば涼しくなってきた。残りの距離が1桁kmになっても数字が減るのが遅い。日が暮れて雑念が無くなって集中力は上がったがペースは上がらない。
19時にはキャンプ場まで行きたいところだが、小安峡温泉に着いた時点で20時だ。キャンプ場に掛け流しの温泉があるという情報は得ていたというか、それが目当てだったのだが今の時間帯に風呂に入れるか不明だ。スマホの地図を見ながら温泉郷沿いの道を走って行き風呂を捜す。明るければ簡単に見つかりそうな風呂が見つからない。やっと見つけたら、今度は小銭がない。1万円札を崩す店もなく近くの宿に頼んで両替してもらう。やっと入浴料が手に入ったので風呂に入っていく。露天でもないシンプルな風呂だが掛け流しの温泉は気持ちが良い。暑い夜に熱い湯に入るのも悪くは無い。湯上がりに温泉の主に冷たい水をもらって体温を下げる。
最後のひと踏ん張りで坂道を上って、21時にやっとキャンプ場入りだ。初日から80km以上走って獲得標高も600m近いのでタフな旅の始まりではある。しかし、明日は川原毛地獄に行って明後日は栗駒峠へのアタックもある。全体計画を考えると、この日に小安峡まで走りきっておくことの意味は大きい。禁止されている発電機のエンジンを一晩中回して音楽を鳴らしてプロジェクタでアニメを流している外国人キャンパーを横目に俺もテントを張る。テントの前のテーブルで夕飯を作る。湯沢で買ってきた佐藤養助の稲庭うどんが夕飯だ。昼も食べたが夜もゴマだれにしたりで味の変化もつけて飽きない。試しに温泉に行ってみたら24時間入り放題だったので、無理して日帰り入浴に行く必要は無かったが、2カ所の風呂を体感しておくのも貴重だから良いだろう。完全に疲れ切った体はテントの中で倒れて隣のキャンパーの喧噪など耳に入ることもなく眠りについた。 |

秋田名物 ババヘラアイス
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夕暮れの坂道を黙々と登る
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湯上がり娘
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佐藤養助 稲庭うどん
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2日目 |
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小安峡 → 川原毛地獄 → 小安峡 |
25.15 km |
2020/08/07 |
夜中にトイレのために目が覚めたが、夜中もずっとズンチャカやっている。17時までにキャンプ場に辿り着けない俺より遙かに罪は重いと思う。キャンプブームだが量の増加は質の低下に繋がっているようだ。朝飯には秋田名物のバター餅を買ってきておいた。これを食べてみると油のしつこさはないが、バターの風味と甘みが美味しい。しっかり腹にたまってくれる。朝飯を食って出かけようとしたら雨が降ってきた。高低差700mぐらいの坂ではあるが荷物はできる限り置いて行く。雨具も置いて行きたいところだが、着ていくしか無いようだ。料金を支払ってキャンプ場を出て行く。
夜にはわからなかった温泉街の雰囲気を味わいながら昨夜走ってきた道を2kmほど下流側に戻る。途中の橋の上から小安峡を眺めると谷底から湯煙がもくもくと立ち上っていて小安峡の峡谷と相まって風情がある。神秘的でもある。谷底にも行けそうだが川原毛から帰ってきてからか明日の朝にでも行ってみたい。
国道から県道に曲がって坂道を上り始める。まずは桁倉沼のある木地山高原を目指して行く。どの程度の高低差はわからないが、結構な急坂が続いていく。荷物をキャンプ場に軟弱なインチキをしてきて正解だったと思えるような坂道だ。昨日は初日から無理したので空荷で走っても辛い。雨で濡れながら坂道を上っていくと徐々に視界が開けてきた。景色の抜けが少し良くなってきたところで、やっと桁倉沼が見えてきた。天気が悪いので写真を撮るのも面倒でサクサクと通り過ぎていく。
ここまで来たところでスマホを出して標高や残りの高低差を見る。びっくりするほど上ってなくてへこむし、この先の傾斜もかなり厳しそうだ。気合いを入れて上り始める。ここからは道も一気に狭くなり傾斜もきつくなる。さらに雨足が激しくなってきた。深い森の中を黙々と走って坂を上っていくと、意外と早く泥湯温泉にたどり着く。一時的な下り坂を激しく下ると湯煙の出てる岩が見えてきて何軒かの温泉宿もある。ここで昼飯を食える店なんかがあると理想だと思って走っていると、日帰り温泉の向かい側に1軒あった。まだ開いてるので入ってみる。秋田の地元の食材を使ったガレットとカレーで腹を満たす。デザートのリンゴジュースも満喫する。秋田は農作物も米も魚も全て美味しい。本当に良いところだが、今年の旅では小安峡の1カ所しか寄らないのが、とてももったいなく感じる。
昼飯を終えたら再び川原毛地獄を目指して走る。ナビタイムで見る限りは平均10%の坂が高低差200m近く続く。距離の短さと高低差がすごい。これまでとはレベルの違う坂道が続く。計画検討中はフル装備で鳴子温泉側から30km走った後に逆側から上って来ようと思っていたのだが、今になって考えると厳しそうだ。荷物を載せてないのにギアをインナーに入れてグイグイ踏み込まないと上っていかない。ここまでの坂はあまりない。
何とか坂を上り終えると駐車場と抜けの良い景色の向こうに草一本生えてない岩山が見えてきた。やっと川原毛地獄に着いた。駐車場のトイレの裏に自転車を止めて雨が降って掛かりまくらないよう軒下に入れる。雨は一時的にやんでるがレインウェアを着てペットボトルの水を持って歩いて行く。錆びきった道路沿いのガードロープが自然の厳しさを物語っているし、地獄という名にふさわしいほど生命の気配を感じない景色と火山や温泉の噴煙が不気味な雰囲気を出している。遊歩道を歩いて下りながら地獄を満喫していく。人も少ないし、俺の歩くペースが遅いからか自然の中に一人取り残された世界観を味わえる。しばらく歩くと駐車場にたどり着く。川原毛地獄は上からも下からも道路でアクセスできるが、下側は通行止めなので人も車もいない。駐車場からは森の中を歩いて行く道が続く。後で上ることを考えると億劫になるほど下ると滝が見えてきた。今回の目的地の大湯滝だ。家族連れが水着で遊んでいる。俺も脱衣所でTシャツを脱いで短パンだけ履いて滝に行く。ちょうど家族連れも居なくなって一人で滝を満喫する。水とお湯が混じって落ちてくる滝で滝壺あたりは温度がちょうど良い。温水プールより少し暖かいぐらいのお湯に浸かりながら気持ち良くワイルドな入浴を楽しむ。
脱衣所で服を着て、また山を登って自転車へと戻っていく。さすがに足の疲れが出て戻りは物凄く歩くペースが遅い。夕方も良い時間になってきたので人とすれ違うこともなく一人で地獄の世界観を満喫していく。 |

秋田のソウルフード?
バター餅
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小安峡を見下ろす眺め
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地元の野菜と皆瀬牛のガレット
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川原毛地獄に到着
錆びきったガードロープ
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この世界観はまさに地獄
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下から見上げると地獄の底の気分
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地蔵菩薩
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川原毛 大湯滝
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この時点では雨はやんでいるのでフロントバッグに雨具も全て突っ込んで坂を下っていく。急な上に荷物がなく軽いため安定感はない。さらに路面はウェットなので慎重に下っていく。スピードが上がりすぎないように注意しながらコントロールして泥湯まで下ってきた。ここで水をくんで下っていこうとする。途中で土砂降りの雨が再び降ってきた。レインウェアを着てさらに下っていく。登りの途中で面倒だったから写真を撮らなかった桁倉沼を下りでもスルーしていく。沼を過ぎると傾斜も緩くなって雨もやんだ。多少は気持ちよくスピードを上げて下れるようになり、遠くまで見渡せて広くなった道を気持ちよく下っていく。
坂を下りきって国道に合流する。昨夜、苦戦した上り坂も今日は空荷なので楽々と登っていく。小安峡温泉に戻ってきたところで、谷底の噴泉を見たり買い出ししたりしたいところだ。温泉街を一通り走ってみたが商店が1軒あるだけで本格的な買い物ができそうな場所はなさそうだ。営業時間が終わりそうな雰囲気を感じたので買い物を済ませる。生鮮食品は手に入らないのでレトルトのカレーと缶詰を手に入れるだけにとどまった。買い出しを済ませたら谷底へと歩き出す。そろそろ日が暮れて暗くなりかけだし、観光客は誰もいない深い谷底へ階段を下る。高低差が100m弱はあるので、膝が笑いそうな歩きになる。谷底の川沿いに遊歩道があり、左は温泉が流れている。湿気が多いからか湯気が視界を塞ぐほど出てくる。岩から吹き出る温泉を見つつ右に清流を見つつの不思議な場所だ。誰も居ない時間帯に来たのも正解だったようだ。石段を登って道路まで戻ろうとすると、自転車でのヒルクライムと川原毛地獄のトレッキングで疲れた足は重い。失敗したことにアブよけを自転車に置いてきた。階段の上りで歩きが鈍ってる間にメクラアブが襲いかかってくる。夏の東北や北海道ではよくあるのだが、しつこいのでストレスになる。ハッカ油の匂いをさせておくだけで近寄らないのだが、忘れてきたのは痛恨のミスだ。ペースを上げて登って戻る。
自転車まで戻ったら、すっかり日が暮れていた。キャンプ場に向けて坂を登ってテントの前まで戻ってきた。うるさい外国人キャンパーは相変わらずだ。キャンプ場の管理人の方で何とかして欲しいものだ。テントの前室に荷物を置いてキャンプ場内の露天風呂へ行く。源泉掛け流しで3段もの湯船になみなみとお湯がたまっている。キャンプしてれば無料なので、なんとも贅沢だ。露天風呂で疲れを落とし、満喫する。今日は温泉三昧だ。
夕飯は天然水で炊いたご飯とレトルトのカレーと缶詰で済ませる。どうも今年は天気がさえないし、疲れも大きいので連泊したくなるところだが、明日は勝負日であり旅の前半の山場である栗駒峠へのアタックだが、やや不安な状況で夜を迎えた。 |

泥湯温泉 奥山旅館の湧き水
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小安峡の流れ
朝は赤い橋から見下ろした
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岩を流れる温泉
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きれいな川と湯煙
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迫力の噴泉
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3日目 |
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小安峡 → 大湯温泉 → 栗駒峠 |
20.60 km |
2020/08/08 |
朝から雨が降っている。少し小ぶりになった隙を狙って荷物を炊事場の軒下に持っていきテントをたたむ。炊事場で朝食を食べていたサイクルツーリストの外国人と話したが、今日は停滞にするようだ。俺は雨だが体調は大丈夫そうなので栗駒峠を目指すことにした。高低差が800m近くある峠で、実績からすれば登り切れるとは思うが、朝は早くから行きたいところが体が付いてこない。9時に出発して行く。
小安峡の温泉街を抜けると坂が徐々に急になってきた。それでもセンターギアでグイグイと上れていく。途中にひなびた温泉郷があったりで楽しみの多い道ではある。通行止めになるようなリスクもないだろう雨を浴びながら坂道を我慢強く登っていく。進捗は正確にはわからないが、国道から県道に入る分岐まで登り切ったところで昼食にする。店などは無く雨が降りしきる中でサイドバッグからパンを出してかじるのみだ。今日は辺鄙な場所を走り続ける1日なので仕方ない。
県道に入ると下界の眺めも少し出てきた。山にたなびく雲と雨に濡れて濃くなった緑が雨の峠道らしく、すっきりとしないが眺めを楽しめる。グイグイ登るまっすぐな道と鋭いカーブを繰り返しながら標高を上げていく。峠道の進捗は分かりにくいところだが、地図を見てるとカーブと走ってる方向から分かりやすい道である。登るほどに雨が強くなってきたが、今日は少し体を冷やしてくれる方が快適である。
上り坂の途中でおなかの調子が悪くなってきた。標高900mぐらいまで登った須川湖あたりまでは途中にトイレなど無いだろうしと不安になりながら登っていく。すると道路の補修工事の現場があり、警備している方に声をかけてトイレを借りれた。普通だとこんなところにトイレは無いのだが助かった。不安が解消したら力も増してきた。雨の中を我慢強く登るしかないだけの1日ではあるが、地図で見る進捗と時間帯を見るとペース配分は決して悪くは無い。坂を登り切ったところに温泉もキャンプ場もあるので、とにかく何も余計なことを考えずに登れば良いだけだ。そういう意味では日没ぴったりまでに登り切れば良いということでもある。19時到着がリミットといったところだろう。それより遅いと真っ暗闇を登っていくことになるので、避けたい。
16時頃には標高900mを越えたと思われる須川湖に着く。山の上なのに大きな湖がある不思議な光景だ。一応、ここにもキャンプ場があるのだが温泉まで標高100m以上登る必要がある。テントを張って荷物を下ろして風呂だけ入って戻ってくると言う作戦もあるのだが、100m分の高低差を2回登るのが何かもったいない。頂上にもキャンプ場はあるので、とにかくそのまま走る。ここからは一気に抜けの良い景色が広がる。高層湿原を見ながら坂を上り、上には温泉ホテルも見えてくる。峠の最後が栄えているのはありがたい。もう峠に着くのも時間の問題という感じになってきた。最後の力を振り絞って坂を登り切ると、大日湯にたどり着いて栗駒峠を登り切った。これだけ疲れもたまった旅の前半にしては、よく上れたと我ながら思うし走り自体は悪くない。勝負日に体が合わせて来る感覚は今年も健在だ。 |

北緯39度線を南下する
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栗駒峠への登りの途中
この辺までは下界の視界が見事
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標高が上がると雲が下界に広がる
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晴れてれば雄大な眺めがありそう
雲に隠れた無の世界が広がる
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標高900m 須川湖
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栗駒峠の高層湿原
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風呂の営業時間を確認する。夜までやってるので問題ない。キャンプ場もあったので様子を見てみる。今日は大荒れの天気だが、何とかなりそうだ。ホテルが何軒かあるが売店は開いてなさそうだ。状況把握ができたところで大日湯で入浴する。今日は寒いので掛け流しの暖かい温泉が心から快適だ。エメラルドグリーンというか淡い青というか不思議な色のお湯に岩山の景色がまた楽しい。すっかり体を温めて疲れから回復した。
また降ってきた雨と強い風の中、キャンプ場の炊事場に行く。屋根の下で一安心だし風よけの木が生えて囲まれているので快適に過ごせる。湯沢の道の駅で買ってきたトマトとニンニクを生かしてパスタを作る。物凄く大きな粒のニンニクを細かく刻んでオリーブオイルで炒めて香りを出しつつ大きさを生かして大粒のままで火を通したニンニクと合わせ技にする。だが、火を通す順序を明らかに間違えた。大きい方から火にかけないと焦げてしまう。香りは良く出たが焦げでしまった。パスタのゆで汁と混ぜて乳化させてパスタソースはできた。そこにフレッシュトマトを乗せてニンニクとトマトのパスタとなる。少しの失敗はあったがニンニクとトマトの素性の良さで美味しいパスタになった。寒いので汁物が欲しくなってきたので、缶詰のナメコを汁にする。缶詰とは言え小安峡のある皆瀬産のものだ。これにめんつゆを入れて煮ただけだが、ナメコの味と香りが効いて美味しい。
飯を食い終えると雨と風が激しくなってきた。誰も居ないし誰も来ないので炊事場の隅で雨風をよけながらシュラフで寝ることにする。落ち着かない夜で、さらに天気が悪くなってきたので屋根の下にテントを張って寝直す。 |

標高1125m 栗駒峠 須川温泉
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人がいない隙に撮影
不思議なお湯の色と岩
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缶詰だからと侮れない
皆瀬産のなめこ
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意外と立派なナメコで
暖まるナメコ汁
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秋田県産 巨大ニンニク
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巨大ニンニクとミニトマトのパスタ
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4日目 |
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栗駒峠 → 厳美渓 → 平泉 → 一関 |
66.25 km |
2020/08/09 |
朝は早く目覚めた。雨と風は朝にはマシになって、雨だが降り注いでいる状態になった。早々にテントを片付けて買ってきておいたパンと魚肉ソーセージを頬張って撤収する。キャンプ場を後にしてホテルへ行くと売店が開いていたので買い物をする。地元のお土産のような物ばかりを買っていく。
ブレーキをチェックしたら坂を下っていく。うっそうとしたブナの森の中を下っていく。今まで下り坂の27〜30km/hあたりでステアリングに振動を感じていたのだが、それが全くない。スポークテンションを上げた効果で前輪周りの剛性が上がって共振周波数が上に変わったのだろう。より安心感の増したステアリングを切り込んでワインディングを気持ちよく下る。時々見える下界を見ながら楽しんでいく。雨は相変わらずだが登ってきた甲斐はあった。
途中の湧き水をくんでいく。豊富な水量で水くみに来る車が頻繁に来る。柔らかな甘みを感じる水で美味しい。栗駒峠は皆瀬から上がってくるルート以外は全て湧き水スポットがある。途中で湧き水で水分補給をして天然水のご飯を頂上で炊くという理想的な走りとキャンプが楽しめる立地になっている。こっちから行けば温泉に入ってから皆瀬の方に下って湖畔でキャンプという流れになるので、逆方向に走る方が楽しみが多いような気がする。
さらに下っていくと気づいたが、左のブレーキレバーがハンドルの内側に倒れ気味で下ハンドルを握りづらい。指のリーチが少し足りてないので不安がある。次のメンテでブレーキレバーの位置を修正したい。場合によってはリーチが足りる形状のハンドルへの変更も検討したいところだ。そんなことを考えつつも安心感のある挙動で峠を下る。
山道から里に下りてきたところで休憩にする。道沿いにブルーベリーの直売所があったので立ち寄る。寒さを我慢するがブルーベリーのソフトクリームを食う。ソフトクリームに濃厚なブルーベリーソースが乗っていて美味しい。爽やかな甘酸っぱさとミルクの味が良く合う。ブルーベリーのサワーと合わせて満喫する。方言全開の会話を聞いてると東北らしさを感じる。
ここを出ると震災遺構として祭畤大橋(まつるべおおはし)が残されているのが見える。橋がぐにゃりと曲がって川に落ちている。被災当時の姿を残している。東北の地震というと東日本大震災だけが印象に残ってしまうが、岩手・宮城内陸地震も大きな被害を残している。2008年夏に行った三陸寄りの龍泉洞の中でも水が地震の影響で濁っていたりもしたので、東北全体の影響は大きくて震源近くの栗駒付近は甚大な被害だったようだ。
ここからは下り基調の道を気持ちよく走って行ける。昼頃になって、厳美渓まで来た。渓谷の眺めを楽しみに来たが、意外と周りは平らなところに渓谷があるものだ。普通は山奥の谷底というイメージだが、少し意外な地形との組み合わせだ。ゴツゴツした岩と増水しまくった水がド迫力だ。天気が良ければサラサラときれいな水が流れていて岩の美しさと合わせて見るのだろうが、茶色い水が轟音を立てて流れている渓谷もまた珍しいシチュエーションだ。渓谷を眺める公園と東屋があり、川の向こう側の団子屋さんとケーブルが繋がっている。桶にお金を入れて木の板を鳴らすと桶を回収して団子をのせて返してくれる。このあたりの名物のいつくし団子で、かっこう団子と言われて名物になっているようだ。ちょうど細かいお金がなかったので団子を飛ばしてもらうことは断念した。俺も団子は食べたいし昼飯にしたいので、自転車の置き場を案内してくれた店に歩いて行き、いつくし団子を食べる。みたらしや餡子やゴマなんかもあるが、クルミやずんだが東北らしい味わいだ。なめらかで柔らかい岩手の餅文化を満喫する。 |


ブナの恵み
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ブルーベリーソフトと
ブルーベリーサワー
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震災遺構 祭畤大橋
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ド迫力 厳美渓の流れ
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松の木と川の流れ
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いつくし団子
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かっこう団子
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昼食を終えたら自転車で川沿いを走り、渓谷を楽しんでいく。道の駅で情報収集したら、平泉に向けてちょっとした峠を越えていく。峠と言うほどの高低差は無いが少し上り坂を進む。越えると里山を下っていく。すると目の前に大きな寺が見えてきた。崖に張り付くような建物で素通りはできない。達谷窟(たっこくのいわや)と呼ばれているお堂が見事なので見ていく。お堂の中は疫病退散の守りが売られている。感染対策はされていてもコロナは怖いので買っていく。雨の中だが見事な庭やお堂を満喫していく。
そのまま進むと平泉に下りきる。まずは毛越寺に寄っていく。大学1年のツーリング以来なので25年ぶりということになる。そういう数字がいちいち大きい。あの当時は毛越寺がYHになっていて宿泊者は観光し放題だったが、日本庭園を楽しむ価値観もなくサイクリング部で楽しく過ごすことだけだったのだが、今や世界遺産に指定されている史跡となっている。YHは既に閉館となっているが懐かしい痕跡は残っていた。庭園をゆっくりと歩いて行く。広く静かな池に斜めに立つ岩と風情やわびさびがある。年をとると物の見方も変わってくるもので、絶妙に計算された景観を楽しんでいく。 |

達谷窟へと入って行く
高い杉の木が印象的な鳥居
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岩にへばりつく達谷窟 毘沙門堂
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蝦蟆ヶ池辨天堂
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岩面大佛(磨崖仏)
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岩の迫力と毘沙門堂が神々しい
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毛越寺
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毛越寺の庭園
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曲水の宴
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夏だが紅葉が色づいてる
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紅葉越しに見る池
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池にある岩が見事
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毛越寺を見終えたら、16時を過ぎたので観光はここまでで打ち止めだ。中尊寺金色堂とか博物館なども見たいところだが、金色堂はどうせ写真撮れないし建物の中に保存されてるので一度見れば十分という感じはある。博物館は見る時間を確保したかったが仕方ない。道の駅に行き、産直で買い物をする。事前に下調べして目的地の一関には温泉とキャンプできてしまいそうな公園が隣接している。野菜系の食材を買ってサイドバッグに詰めて一関に向かう。北上川を眺める地図にも載ってない道を進んでいく。車も来ないし気持ちよく走るところだが、雨が降りしきる。
一関の市内に入ると雨はさらにひどくなってきた。一度、一関駅に行って情報収集し、温泉とコインランドリーの場所を確認して、ケーズデンキの位置も確認する。まずはケーズデンキに行って充電器の電源ケーブルを買う。痛恨の発送忘れだが100Vからの充電ができない状況を解消する。すぐ近くの温泉へ行くと、痛恨の臨時休業だ。事前に調べたプランが全て崩れた。風呂を探して公園を探してという段取りが必要になるが、他の風呂は遠い。もうすっかり暗くなってきたし公園を新たに探すのも困る。面倒になったのでホテルを探すと予約できそうだ。そのまま予約した。 |
一ノ関駅前に再び戻る。ホテルに行くと屋根付きの駐輪場もあって、ホテル内にコインランドリーもあるし当然だが風呂もあるし寝れる。これで一安心し、サイドバッグ内の汚れ物を持ってホテルに入る。まずは大浴場で風呂に入りつつ洗濯する。天気予報だと明日からは晴れるようなので、ここで雨続きの旅の悪い流れをリセットしたい。一ノ関駅前の居酒屋へ行き、岩手の幸で酒を飲む。ホテルに戻ったら乾燥の終わった洗濯物を持って部屋に戻り、スマホやデジカメやモバイルバッテリーの充電をしつつ眠りにつく。 |

金華サバと地酒
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5日目 |
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一関 → 猊鼻渓 → 水沢 |
50.76 km |
2020/08/10 |
朝からすっきりと晴れた。この旅では初日以来の青空を見る。しかし、その逆に暑い。昨日までは寒さも感じながらの走りだったのと対照的だ。湿気も帯びていてうだるような暑さだが夏らしい日差しは嬉しいものである。夏の旅は暑くて晴れてる方が良い。そのうち暑さに体が慣れることを期待しつつ走り出す。昨日の夕方に寝床を求めたあたりまで走り、北東へと向かっていく。
お盆だからか車が多くなっている。さらに、上り坂が始まる。目的地の猊鼻渓(げいびけい)までは1つちょっとした峠を越えると地図上でも読んでいたが、思いのほかきつい。暑さに体が慣れてないからかグロッキーになってきた。走りきることもなく上り坂の途中にある日陰で休む。水もどんどん消費していく。昨日が下り中心の安息日とは言え、連日のヒルクライムの疲れが残っているようにも思える。年齢からか安息日が複数ないと調子が戻らないようだ。思いのほかに長い上り坂で水を1.5L飲みきってしまいそうな状況で、残りわずかとなったが坂道が終わらない。やっと坂道の終わりが見えつつあるかというところで産直を発見したので再び休憩していく。たった15kmの道のりで2度も本休憩を取るほどの苦戦だ。産直で水道を借りてペットボトルを満タンにして自販機でスポーツドリンクを買う。 ここから少しだけ登ったところで下り坂を走ると猊鼻渓に着く。今日は天気が良いので猊鼻渓を船で巡る舟下りを楽しみにしていた。コロナの影響か空いている。並んだり待ったりする必要が無ければ良いのだがと思いながら、船着き場に向かって川沿いの道を走って行くと、衝撃の看板が目の前に現れた。「本日は増水のため舟下り欠航です」と赤文字で書かれている。よくよく考えたら、あれだけの大雨が続けば川が増水するのは当然だが調べてくれば良かったと後悔する。川面を見る限りでは流れが早いようには見えないが、欠航となると受付も閉まってて人も少ない。船着き場で戯れる魚を見てから、とりあえず昼食を食いながらこれからどうするか考えることにする。
さっき鮎らしき魚を見たばかりなので昼飯は鮎にする。船に乗らなくても景色を楽しむ手段がないか調べたが、どうやら無さそうだ。近くに幽玄洞という鍾乳洞があるようだ。鮎の塩焼きや蕎麦やしんじょを満喫したら、エアコンの涼しさの中で情報収集をする。2kmほど走ったところにあるようだし、幽玄洞を通って今日の目的地になる前沢・水沢・北上方面へ向かうことができそうなので、概ねのルートは見えてきた。 |

猊鼻渓の魚たち
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この奥に絶景の猊鼻渓
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衝撃の結末 猊鼻渓の舟下りは欠航
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昼飯 鮎の塩焼き
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鮎の塩焼き (拡大)
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残念な結果に終わった猊鼻渓を後にする。宿題を思いっきり残していくわけだが、宿題があれば再び来る理由が出来るということで前向きに捉えていく。暑さで汗が止まらない状況で幽玄洞にたどり着く。入場料を払って洞窟へと入っていく。すると、一気に涼しくなる。今日みたいな暑い日は地中の涼しさが良い。狛犬とか観音様とか少しスピリチュアルな見せ方をしていたり、鍾乳石にウミユリの化石がそのまま見えていたり、他の鍾乳洞と違って見所が明確なところが良い。地球の自然史をそのまま感じられるような場所である。
洞窟から出ると物凄く蒸し暑く感じる。このまま走り出すのも億劫になるような気温だ。この状態に体が慣れてこないといけない。幽玄洞からちょっとした峠越えをして水沢の方へ抜ける道を地図で見つけたので進み始める。傾きつつある西からの日差しにジリジリと炙られながらアップダウンしながら徐々に登っていく。午前中よりは状況がマシだが上り坂での対処はまだまだと言った印象だ。一応、栗駒峠や川原毛地獄とか難所を越えてきたはずなのだが小さい上り坂ではパフォーマンスが出ない。山場だと認識して走る峠と単なる移動の中にある峠だと心構えが違ってきてしまうのか、気持ちに体が付いていかないのかどちらなのかわからない。あわよくば前沢や水沢に降りるだけでなく北上や花巻まで距離を伸ばしたいと思っていたが、どう考えても無理そうだ
ようやく坂を越えて水沢の方へ下っていく。地図上では大した高低差では無かったが、眺めも良く傾斜も鋭い。それなりに厳しいところを走ってきて苦戦したと思うと少し安心するところがある。坂を下りきると大田園地帯でこれも東北らしい里の風景で好きだ。広い田んぼと北上川を渡り国道4号線に合流する。水沢まで10km弱ほどだが幹線国道は走る車から追い風をもらいながら行けるので、走りの面では楽だ。
日が傾いてきたころに水沢までたどり着いた。風呂とか考えると、ここで打ち止めにしておきたい。駅のすぐ近くに大きな公園があり、おそらく寝床は確定だろう。スーパーも何軒かある。温泉もある。まずは公園を見ていく。広い運動公園で候補地は何カ所か見つけた。これで問題ないだろう。一度スルーして温泉に向かいながらスーパーの場所もチェックできた。だんだん寂れて街から離れていくのに不安を感じる。大きな看板があるが真っ暗だ。休みか?と思ったら奥の方で薄暗く光っている。営業していた。心から安心して荷物から風呂セットと着替えを出して温泉に入る。
風呂から出てスーパーに寄っていく。待望の前沢牛は無かったが仙台和牛はあった。手持ちの野菜と合わせて炒めれば美味しそうだ。夕飯のプランも決まったところで狙いをつけていた寝床へ行く。テントを張る場所を決めたら夕飯を作る。牛肉の半分を炒め物にして、半分を醤油と酒で煮て牛丼にする。これでズッキーニとタマネギを消費して荷物が減った。さすがの仙台和牛は秋田のズッキーニともよく合う。夏場はズッキーニをよく見かけるのだが炒め物で美味しいというのは大きな発見だ。これから活用できそうだ。
夕飯を食い終わったが、今日は全く風がなく蒸し暑い。夕飯の間もうちわで仰ぎ続けてないと暑い。コンクリートの上にテントを張ってコンクリートの冷たさで体を冷まさないと眠れなさそうだ。今年の旅は何かと厳しい。 |

石筍で狛犬が出来ている
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鍾乳石での観音像
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夕方最後の糖分補給
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ズッキーニと仙台牛の炒め物
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6日目 |
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水沢 → 北上 → 花巻 |
63.10 km |
2020/08/11 |
今日も比較的負荷の少ない1日になる予定だが、朝からとんでもなく暑い。荷物をまとめて出発するも刺さるような日差しにやられる。今日は国道4号線沿いに花巻まで行くルートなので車の追い風をもらいつつ距離を稼ぎたい。暑さに苦しみながらも車からの追い風でペースは悪くなさそうだ。だが、寄り道らしい寄り道もなく変化もないので淡々と走るだけである。
10時過ぎには北上駅に到着する。それにしても暑かったと思いながら駅で休憩していたら出発する気がどんどん失せていく。休憩してスタンプを押していたが、新幹線ホームが在来線の入場券を買わないと辿り着けないようで入ってみる。しかし新幹線駅のスタンプが見つからない。駅や道の駅で押してるスタンプの数もなかなかのコレクションになりつつある。
そうこうしていたら11時半になってきたので北上で昼飯にする。駅から国道4号に戻る直前に店がありそうだ。行ってみるとアメリカの雰囲気を出してるショッピングモールがある。狙いはアメリカではなく郷土料理的なところで昼間はランチをやってて夜は居酒屋になっている店がある。夜だと演舞を見ながら酒を飲める店なのだが昼は映像が流れている。料理もなかなかの拘りで地元産の十割蕎麦を楽しめる。 北上からは距離も傾斜もたいしたことはない道で花巻を目指す。相変わらずの暑さでヘトヘトになりながら国道4号線で速度を上げて進めていく。淡々と走っていると行こうとしていた宮沢賢治記念館へと向かう分岐まで来た。ネットの地図で見て覚悟はしているのだが、物凄く急な坂の上にある。近づくほどに憂鬱な気分になりながら進んでいく。 |

北上アメリカンワールド
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北上産十割そば
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コンビニでの休憩を挟んで坂を上り始める。県道沿いの道はたいしたことなく緩く登っていくのだが、途中から壁のような坂が襲いかかる。坂の下に自転車を置いてエスカレーターで上がるという手もあるが、登り始めたので引き返したくは無い。容赦ない坂道を上りながら後悔し、足を着いては少し漕ぎというのを続けながら頂上まで何とか登り切る。
閉館まで1時間を残して何とか観光はできそうだ。あまりの暑さときつさで汗だくで顔も火照っている状態だ。今は新型コロナウイルスの対策のため入口で検温をしている。このまま行くと検温に引っかかってしまうのではないかというドキドキのもと、念のため体温計をウェストバッグに入れて入っていく。ここまで汗だくでも体温は普段通りの36℃程度だ。意外な結果に少し安心はしていく。もちろんコロナを匂わせる体調不良などは無いが体温に不安を感じる経験はそうそうないだろう。科学や農業や宗教など色んなバックグラウンドと宮沢賢治の広い世界観から来る作品の素晴らしさを感じられる記念館だ。文学に疎いのでもっと本を読まないと駄目だとも感じるものだ。記念館のデッキから花巻の盆地を見下ろせて、これも気持ちの良い景色だ。夕方で少しだけ涼しくなったデッキは心地よい。
落ちるような激坂を下って戻っていく。来た道を戻るという手もあるが逆に進んで新花巻駅に向かおうとする。ところが、道路の向かい側に童話村がある。17時を過ぎてるしどうせ入場できないだろうなと思いながらも様子を見に行くと、なんと入場可能だ。縁石にペダルを乗せて自転車を立てかけておいていく。ライトアップがあるとかで遅くまで開いている。さすがにライトアップを楽しめる時間まで居たら大変なことになるので、さっさと済ませるべく入っていく。森や池や木に宮沢賢治の世界観を模したモニュメントが並んでいる。不思議な光り方をするガラスや造形がある。ふわふわと浮いて光る石を模した明かりも不思議な雰囲気を出している。作品をほとんど読んでないが宮沢賢治の世界を味わえた。 駆け足で観光してライトアップを少し見たところで駐車場に戻ると自転車は倒れていた。倒れる向きから変速系や駆動系が壊れるとは思えないが、見た目に損傷がないか確認する。動き出そうとすると少しチェーンから異音がする時がある。何だろうと思いながら見るが原因が見当たらない。坂を下って新花巻駅に行く。盛岡の1つ手前の駅で釜石線と連絡する新幹線駅だが寂しい雰囲気だ。スタンプだけ押して花巻市内を目指す。 |

宮沢賢治記念館からの眺め
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宮沢賢治 童話村
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宮沢賢治 童話村
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公園内がライトアップ
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光る球が浮いている
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田園地帯を走って行く道だが市街地に向けて徐々に坂を登っていく。花巻温泉というのはさらに奥の山際にあるが遠い。市街地の中心地には風呂が無く少し離れたところにある。走ってるうちに日が暮れた。本当にあるのか不安になるほど寂れたところまで走って行くと、やっと見つけた。えらく遠くまで来たと思いながらも気持ちよく風呂に入り、相変わらず蒸し暑い夜の道を戻っていく。野球で有名になった花巻東高校の近くにある公園に行って見るも暗くて広くて逆に寝床を探しづらい。なんだか上手くいかない宿探しに苦戦しながら市街地の方へ戻っていく。今度は夕飯を食べる店が無くて苦戦する。だんだん勘がさえてきて地図を見なくても現在地が分かるようになってきたが、宿の見つからないっぷりに苦戦が続き飯も食えない。こういうときに限ってコンビニすらない。
やや苛つきながら花巻駅近くの線路をくぐって突き当たりを曲がると度肝を抜かれる景色が広がっている。大きな壁一面にブラックライトに反応する塗料で描いてあり浮かび上がる壁画がある。銀河鉄道の世界観を表している。しばらく絵を見入っていく。イライラを忘れたと思ったら思い出すのはすぐで相変わらず店が無い。駅前まで行ってもない。仕方なく幹線道路まで出ると、やっとインターネットカフェとファミレスが見つかる。ここしか無いだろうと腹を決めてファミレスで夕飯にする。22時過ぎという遅さで疲れたが生き返る。
思い通りに行かない日なので不安ではあったがネットカフェに飛び込んで見たら空室はあったようだ。これで一安心だ。充電セットを持って入る。持ち帰り仕事だったり資格に向けての勉強だったり、割とストイックなことに使ってて寝るイメージのないネットカフェだが、今回ばかりは本気で寝ないと明日以降の体力がやばい。ネットは使い放題だしドリンクは飲み放題で漫画も読み放題。もちろん空調も効いていて快適だが、とにかく寝ることに徹する。疲れて熟睡していると、いびきが大きいからかクレームを受けてしまったが何とか熟睡できた。 |

花巻 壁画
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7日目 |
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花巻市内 |
8.98 km |
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土沢 -釜石線→ 花巻 -東北本線→ 盛岡 |
2020/08/12 |
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盛岡 → 滝沢 → 姫神山 → 盛岡 |
朝は早めに出発する。幹線道路沿いで朝マックで朝食をとって、まずはイギリス海岸へ行く。北上川沿いに岩が露出している岸があるらしいのだが、増水していて露出している岩は全て水の中で普通の川だ。イギリス海岸などというネーミングはもちろん宮沢賢治だ。普通の川になってしまうとイギリス感がなくなってしまうが、俺自身もイギリスはヒースロー国際空港でトランジットしただけで空港から一歩も出ていないのでイギリス感というのはどういう物かは分からない。
昨日の夕方に宮沢賢治記念館から戻るときに来た道を進んでいく。こんなことなら遠野方面に昨日の夕方に走れば良かったと後悔しながら進んでいく。新渡戸稲造記念館もあってチケットはセット券として宮沢賢治記念館で買っていたが立ち寄るのが面倒になってスルーしていく。そこから上り坂が始まる。暑い中での坂道は一昨日の一関から猊鼻渓とも状況は似ているが、体調は少しマシなようだ。足はキビキビと動いている。
しかし、取り戻しつつある調子とは裏腹にチェーンが暴れるようになってきた。どうもペダルを止めると惰性で押されたチェーンが押し戻されて弛んでいるようだ。何だろうと首をかしげながら踏み込んでは足が止まっての繰り返しになる上り坂で走って行く。徐々にチェーンが暴れる頻度が上がってきた。完全に足を止めて様子を見るが異変がどこにあるのか分からない。
そのまま走っていると、とうとうチェーンの暴れ具合が走行不能レベルになってきた。どうも後輪のギアがチェーンに追従してないことが分かった。道の横の畑脇に自転車を入れて倒し、後輪を外してみる。ペダルで漕ぐ方向はロックされて逆方向はフリーになことで速度が上がってペダルを止めた時に自転車が転がっていくわけだが、ここがフリーになってないと車速を上回るペダリングを常にしてないといけない。過去に日本縦断中の山口県で出たことのある症状で、当時は後輪を外してギアを手で無理矢理回せば復帰した。同じようにやってみるが全く動かない。
1時間ほど試行錯誤したところで俺の中では完全に諦めた。2020年の夏の旅はここで終了となった。リタイヤでの終了は2000年以来なので20年ぶりとなった。残念な結果ではあるが、後輪駆動系周りは出発前にも入念なメンテをした場所なので後悔はない。最寄りの駅に歩いて行くか電話でタクシーを呼ぶかどっちかしかないかと思っていたら、1台の軽トラが止まってくれた。若い方が「大丈夫ですか?」と声をかけてくれた。自転車から荷物を外して荷台に載せさせてもらう。自転車本体も乗せて次の駅まで運んでいただく。車の中では一杯の牛乳をいただけたり話も盛り上がった。困ってる旅人に声をかけられる人間性が素晴らしい。
駅で降ろしてもらったところで、釜石線の花巻行きの時刻表を見る。30分でまとまれば盛岡まで一気に行ける快速に乗れるが間に合わなさそうだ。日陰に荷物と自転車を運んで輪行する。輪行自体は手慣れたものだが、時間もあるしモチベーションも低いし捗らない。ここ数年は旅の始まりも終わりも荷物は発送するのが当たり前になってきたのでフル装備での輪行は久しぶりだ。サイドバッグ2個とテント・シュラフが入ったバッグ、ザック、フロントバッグ、輪行袋にマットを入れるものの荷物の点数はすごい。
無人駅のホームなので花巻盛岡方面である向こう側のホームへ荷物を運んで置いておく。ワンマン車両なので小銭が必要なはずだが財布には万札しかない。あと15分ほどで列車が来るタイミングで買い物に行く。近くにスーパーがあるので飲み物を買ってお釣りを手に入れる。運転手さんに声をかけて荷物がいっぱいあるので待ってもらい無事に列車に乗り込む。なぜか運転手さんの横に警察官が乗っている緊張感ある車内で花巻へ向かう。新花巻の景色に昨日を思い出しつつ花巻へ向かっていく。 |

意外とツーリングで初の利用
インターネットカフェで一泊
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花巻 イギリス海岸
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2020年夏のツーリングは終了
軽トラに乗せてもらい駅まで来た
心から感謝。
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釜石線 土沢駅にて終了
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釜石線に乗って花巻に戻る
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花巻駅で降りたところでホームに荷物を置いたまま情報収集と昼飯を買う。スマホでレンタカーを調べると盛岡駅前で借りれそうだ。夏休みの最終日まで予約した。これで続きの旅に向けて移動手段を確保した。レンタカーでキャンプ旅という自転車でやってた旅の基本路線を継承するのが良いだろう。どうせなら徹底的に走り倒してキャンプしまくろう。
電車に乗って盛岡へと向かう。本来なら天気の良い日に遠野に向かっていたはずが、物寂しい移動になってしまった。あっという間に盛岡に着いた。久しぶりのフル装備輪行に体が付いていかないが、荷物を何度かに分けて改札まで運んで、改札から出していく。駅前にレンタカーの店があるとは言え荷物を全部持って行くのは厳しい。駐車場の隅に置いておけて店から見える場所を見つけて荷物を置く。
予約した時間になったら歩いて行き車を借りる。傷をチェックしてくださいと言われたが、見れば見るほど傷だらけだ。薄暗い駐車場でも傷をいっぱい見つける。出発し駐車場に行くと明るいところで見ても、傷だらけだ。荷物を車に積み込んだが、リアシートもカーゴルームも満杯で助手席の足下にもフロントバッグが鎮座する。マツダデミオが満杯になるほどの荷物を持って自転車で旅をしていると考えると、壮絶だ。我らがヴェゼルだったら余裕はあると思うが、この全てを運んでいて誰も入る余地のないパーソナル感もなんとなく楽しい。
盛岡の北の方に山奥のキャンプ場がありそうなので、それを目指しつつ温泉に寄る作戦で走り出す。デミオとは言えディーゼルなのでトルクが太い。下手なハイブリッドカーより太い。インテリアデザインも運転に没入できて、不自然なハイブリッドカーに乗り慣れてきた俺としては内燃機関だけの自然なフィーリングも却って楽しい。アクセルやブレーキの反応ってこうもリニアだったかと思い出すものがある。小回りが効いてキビキビ走れる中でエンジンのトルクは太く元気が良い。仕事で比較したことはあるものの学ぶところが全くない車だと思ったのだが、良い相棒になりそうな車だ。
車で温泉に乗り付けて風呂に入っていく。自転車の疲れが一切無い状態での温泉に有り難みが薄れるかと思ったら意外と気持ちよく楽しめている。温泉内の産直で野菜を買って自炊に備える。姫神山へ登る前のスーパーでマグロの刺身を買う。漬け丼にするために宮古の近海物のマグロが美味しそうだ。すっかり暗くなりかけた時間で夕暮れに浮かぶ岩手山の稜線を楽しむ。 |

今日から新たな相棒
MAZDA Demio Skyactive Diesel
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車が小さいからか荷物が多いからか
カーゴルームはパンパン
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リアシートも自転車とキャリアで満杯
助手席にはフロントバッグが鎮座し
乗車定員1名・・・
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Demioのコックピットから見る岩手山
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思わず車から降りて撮影 夕暮れの岩手山
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日が暮れた山道をグイグイと登っていく。自転車だったら半泣きしながらおしっこをチビリそうな山奥の道を車で走っていく。レンタカーのハロゲンヘッドライトの暗さに今時のLEDやHIDの有り難さを感じながらもディーゼルのトルクを手動変速しながら坂を登るがキャンプ場が見つからない。日没前に行っておけば良かったと後悔する。自転車のスピードならナイトランでもキャンプ場を見落とすことは無いというか、こんな山の上には来ないが車だと見つけきれない。
仕方なく山を下って他に良いところがないか考える。自転車なら日没後に公園に行って寝てしまうが、車だとそうはいかない。仕方なく盛岡まで戻ってホテルで一泊することにする。結局、温泉に入って岩手山を見に来ただけになった。ホテルで落ち着いてレンタカーを駐車場に入れて俺もチェックインする。マグロを冷蔵庫に入れて、風呂に入る。部屋でマグロとビールだけ飲むのもなんなので、近くのホルモン屋に行き夕飯にする。
痛恨のリタイヤという結果は残念に思うばかりだが、切り替えて次の旅を楽しむことにする。続きの旅に幸あれ。長い1日は終わった。 |

盛岡の夜
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8日目 |
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盛岡 → 種山高原 → 遠野 → 種山高原 |
2020/08/13 |
朝からマグロの刺身を食う。これが意外と美味しい。まさかビールを飲むわけに行かず、そのまま出発する。目をつけていたキャンプ場をまずは目指す。昨日みたいに日没後にキャンプ場を探す無計画な旅は車ではやらない。自転車と違ってナビに任せれば道を考える必要もない。野生の勘がどんどん失われるだろうが、もうそれは良い。ナビにキャンプ場を入れて出発する。
東北道を南下する。ここでスカイアクティブディーゼルエンジンの本領発揮だ。岩手県は120km/h制限なので気持ちいいぐらい飛ばしていける。高速道路の走りとレーンチェンジこそトルクの太いディーゼルが良い。ハイブリッドより自然な走りで楽しんでいく。途中から東の方へ入っていく高速に分かれて、その後は山道をひたすら走っていく。変速してエンジンを操りながら坂道をグイグイと登る快感がある。自転車はもっと好きだが、車の運転も好きだ。
峠の道の駅からさらに山に入って行くと種山高原にたどり着いた。宮沢賢治の風の又三郎の舞台にもなった場所と言われている。キャンプ場の名前も星座の森ということで星が楽しめる。しかも温泉も敷地内にある。至れり尽くせりだしサイトまで車で乗り付けることもできる。受付を済ませてテントを張る場所を決める。2泊なので良い場所を確保しておきたい。隅っこの木の下で涼しそうな場所を確保できた。
テントを張ったら山を下って遠野を目指す。順調に走っていれば遠野から荒川高原方面のヒルクライムに行ってるはずだが、おそらく遠野をのんびり観光する時間はないだろう。そんなわけでヒルクライムしてたら行かない遠野を車で回ることにする。山道の運転を楽しんだら昼前に遠野へたどり着いた。
どこで昼飯を食うか考えていたら、ちょうどジンギスカンの店があったので寄っていく。ジンギスカンと言えば北海道が真っ先に思い浮かぶところだが、岩手も隠れたジンギスカン王国だ。有名店だからか客は多い。少し並んで待つことにした。昼間からノンアルで乾杯しながらラム肉を焼いて、さっぱりと酸味のあるタレをつけて食べる。北海道のタレ漬けにしてあるジンギスカンも好きだがシンプルでさっぱり食えるチアプノジンギスカンも好きだ。肉屋と一体の店でジンギスカンの肉を買っていけるが、さすがに昼夜連続はないので諦めるが、キャンプするときに買って行けたら楽しそうだ。おそらく遠野には再び自転車で来るはずなので次回の楽しみにしておこう。 |

盛岡からひとっ走り
種山高原でテントをセットアップ
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タレ漬けではないジンギスカン
さっぱりと頂けて美味。
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遠野自体は観光したことがあってかっぱ淵とかは見たことがある。見たことが無くて早朝からヒルクライムしたら見られない場所に行ってみる。荒川高原に行く道の途中にある遠野ふるさと村へ行く。遠野あたりでは古民家に多い南部曲がり家がいくつか並んでいる。曲がり家自体は以前に遠野に来たときに寄ったことがあるが、何軒もあるのはここだけだ。しかもそのうち1軒は馬が飼われている。馬を飼うためのスペースと住むスペースが一体になってL字型になっているのだが馬が飼われていると実感がわく。広々とした庭と何軒もある曲がり家と馬を見てリタイヤの悔しさから癒やされていく。走っていたら出来なかった旅をきっちりとして満足していく。
遠野ふるさと村に行く途中にあった寺にも立ち寄っていく。入場料を少し多めに払えば山の上にある本堂まで車で入れる。法門山福泉寺と呼ぶらしいが入口は物々しい。急な坂を車で上がった先に本堂がある。遠野の盆地を眺められるが木々が多く抜けはあまり良くない。日本一の木彫り観音像があり、撮影は禁止なので迫力を伝えるのが難しいが、大仏を見てるような迫力があり厳かさもある。 今日は天気が良いしキャンプ場は西が開けてたので夕日が見えるのではないかと気づいて慌て始める。道の駅で夕飯の食材を買っていく。前に遠野に来た時に寄っていったときに試食した枝豆の漬物がやたら美味しかった記憶があるが売られてはいなかった。蕎麦と豆腐と枝豆を買っていく。 |

遠野を象徴する南部曲がり家
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白馬がお迎え
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人なつっこい白馬
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子供の相手をしている白馬
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家と馬小屋が繋がっているのが特徴的
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3mの高さがあるわら人形
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本堂の奥の白い建物の天井まで
観音様が立っている
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遠野の里を見下ろす
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高速道路と山道を登ってキャンプ場へ戻っていく。徐々に時間が押していって焦るがディーゼルの高いトルクでグイグイ登っていく。自転車と違って踏めば踏むだけ元気に登ってくれるので車の旅は楽だ。楽すぎて刺激がないようにも思えるが、運転もそれなりに楽しめる。何とか間に合う目処が付いてきたので最後の山道は慎重に登る。キャンプ場に乗り付けてテントの前に車を駐車する。
買ってきた荷物をテントに放り込んで、カメラを持って夕日を見に行く。期待通りに西側の景色は開けている。目の前は牧草地でその先には北上山地の山並みと盆地が見渡せる。内陸なので海が見えるわけではないが、山の向こうに広がる雲の上に太陽が降りてくる様子は日本海の夕日を見ているような壮大さはある。同じことを考えて夕日を見に来ている小さい子供がいる親子もすぐ側にいるので没入感とか一人で考えることは何もないのだが、GWに旅が出来なくて日本海側には行ってないので夕日を見ることもなく1年が終わるかと思ってしまったが、旅先の夕日を楽しむことが出来て安心したという感覚である。 |


種山高原からの夕日と北上山地の山並み
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日が沈むのを見て一度テントに戻る。次は風呂の準備をする。キャンプ場の受付に風呂がある。少し混んではいたが広い湯船が気持ちいい。風呂を終えてからテントに戻り、夕飯を作る。まずは枝豆を茹でてお湯を切り、次に蕎麦をゆでてザルでお湯を切る。大きなコッフェルとザルがいつも大活躍する。美味しい豆腐と枝豆でビールを飲む。日が暮れた後は星空がすごい。天の川もはっきり見えるし星の数が無数に見える。後に得た情報ではしし座流星群が見えて流れ星が何度も見える。美味しい食事に満天の星空と贅沢な夜である。 |

遠野の蕎麦と豆腐と枝豆
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9日目 |
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種山高原 → 猊鼻渓 → 平泉 → 前沢 → 種山高原 |
2020/08/14 |
今日も車で出かけて帰ってくるプランで行く。ただ、夜は少し忙しく風呂は温泉に行ってコインランドリーで洗濯も済ませたいところだ。行きたいところは目星が付いている。朝飯はキャンプ場では食わずにさっさと出かける。山道を気持ちよく下っていき、増水で船に乗れなかった猊鼻渓を目指していく。途中の産直で朝飯を食べていく。
猊鼻渓に着いたら少し混んではいたが車を止める場所には特に困らずに済む。早速、乗り場の方へ行く。運航しているだけあって活気がある。しかし感染対策は徹底していて一生懸命に座布団をアルコール消毒してくれているし、明らかに普段より少なめの定員で出ているようだ。すぐに船には乗れた。そんなに激しく増水してなにのに欠航になってたのに疑問を感じていたが、この船は手こぎなのだ。確かに手こぎの船だと増水して流れが早いと難しいだろう。
船頭さんは色んな方がいるが、この船は若い女性である。話は面白いし歌もうまい。ガイドをしながら船は上流へと進んでいく。魚が見えたりカルガモが見えたり自然を楽しめる。岩と木の迫る渓谷の景色に圧倒されていく。人が立ち入るスペースもない切り立った崖が続いている。前を見ても後ろを見ても崖で岩と木に囲まれてゆったりと流れる水の流れを見るのみだ。時の流れに取り残された場所と船頭さんが言っていたが、その通りの表現が合うだろう。
奥まで行ったところで船を一度下りて、大猊鼻岩まで歩いて行く。きれいな水と岩を見ながらの散策も楽しい。岩に開いた穴に向けて運玉を投げられる。入れることができれば願いが叶うというものだが、俺もやってみる。何というか全く届かない。届かせようとして力を入れるとコントロールできない。こういうところに年を感じる。帰りは地元のTV局が同乗していてインタビューされる。どこから来たとか岩手の好きなところとか聞かれるが、返答に困りつつ当たり障りのない回答をしていく。正直、TVに映っても困る。船頭さんのげいび追分を聴きながら戻ってきた。 |

東北らしいおにぎりと汁物
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念願の猊鼻渓 舟下り
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カルガモもお出迎え
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猊鼻渓での飯は経験済みなので車で平泉へ向かう。世界遺産認定後に来たのは初なので資料館を見ておきたかったが、時間切れになっていた。峠越えに苦戦したルートも車だとあっという間に越える。平泉に近づくと雨が降ってきた。平泉で昼飯にしようと道の駅に寄ってみたが、既に終わっていた。中尊寺や毛越寺のあるエリアに向かっていると食事処があったので寄っていく。岩手といえば餅なので餅御膳にする。しょうが、ずんだ、あんこ、ゴマの他にお雑煮もある。お雑煮は正月というイメージなので、真夏にお雑煮というのは新感覚だ。柔らかい餅は米の香りも楽しめて美味しい。
平泉文化遺産センターに行って奥州藤原氏の歴史や世界遺産認定までの経緯を見学していく。見やすくまとまっていて歴史が苦手というか興味がない俺でも分かりやすかった。続いて前沢まで行って、牛の博物館を見ていく。前沢牛の歴史や牛の生態や世界での牛にまつわる文化など牛に関することは何でも楽しめる。ガラスから見る里の景色も見事で雨に濡れて緑が鮮やかになっている。
牛の博物館を見たからには今夜は前沢牛だ。スマホで精肉店を調べて向かう。キャンプ自炊史上最高額を更新するA5ランクの前沢牛ステーキ肉を買っていく。鮮度が落ちないように保冷バッグに慎重に入れて凍ってるペットボトルも一緒にして冷やしておく。 |

平泉 餅御膳
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前沢牛の剥製
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牛にまつわる祭り
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牛にまつわる世界の文化
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博物館から見る里の眺め
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肉のオガタ
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続いて温泉に行く。日帰り入浴で済ませて、ショッピングモール内にあるコインランドリーに行く。雨は降り続いているが車の中で待機できるので気楽だ。洗濯と乾燥をしながら日記を書き進める。買い物も済ませたところでコインランドリーを後にしてキャンプ場へ戻る。雨の中で峠を登っていく。登れば登るほど雨量は少なくなってきた。
キャンプ場に戻るとサイトはぬれている。昨夜と周りのテントや車の配置が変わったので、俺のテントの場所が分からなくなってきた。一度車から降りて歩いて探してから車で乗り付ける。地面はびしょ濡れだし雨がいつ降ってもおかしくないので食器が入ってるサイドバッグごと炊事場に持って行く。炊事場でフライパンを温めてステーキを焼き始める。同時にビールを飲む。だいぶ遅い時間になってきたので、片付けや歯磨きに来る人が多く話しかけられる。相当な良い肉を焼いてるので驚きの目で見られる。俺が楽しんでいるということは十分に周りに伝わるようだ。炊事場の隅で酒を飲みながら、今後のことなどを色々と考えては答えの無い状態を繰り返しながら時間が過ぎていく。明日は宿なのでキャンプは今日がラストになる。 |

前沢牛のサーロイン
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焼き上がったサーロインステーキ
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10日目 |
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種山高原 → 盛岡 → 小岩井農場 → 七時雨山 |
2020/08/15 |
テントを撤収する。キャンプは終わりなので日光で十分に乾かしてたたむ。時間を食ってしまって11時頃に撤収する。チェックアウトして楽しかった種山高原の2泊を振り返りつつ山を下りていく。今日は岩手の最北部に宿を取っているので、とにかく北を目指す。小岩井農場に寄ってから宿に行くのが理想的な流れだろう。
高速道路に乗って北上する。給油も必要そうだ。せっかくの120km/h制限区間だが雨天のため80km/h制限に下げられている。SAに立ち寄って給油する。ガソリンでは無く軽油を入れないといけないので、ボケないように気をつけながらディーゼル満タンを指定する。
盛岡で高速を降りて雫石の方へ向かう。雨の中を進むと小岩井農場に着く。こんなに観光地的な場所だったかなと自らの記憶と突き合わせるが、入場料を払って入って行く。まずは昼飯ということで農場内のレストランでオムライスとハンバーグを食う。さすが農場のレストランと思うほどに、どちらも美味しい。農場内を歩いて色々とみていくが景色がぱっとしない天気だ。前回に来た時も雨だったので小岩井農場での天気運が俺には無いようだ。羊の飼われてる牧草地を見てたら、空が晴れてきた。だが、岩手山だけはさすがに雲が残る。濃厚なチーズケーキとリンゴジュースを楽しんだら、ここでチーズとワインを買っていく。今夜は七時雨山と星空を見ながら飲むプランだ。 車に積み込んだら、小岩井農場から東へと抜けていく。自転車で走った記憶のある道を抜けていく。少し時間があるので、石川啄木記念館にも寄っていく。母校や住んでいた家が残っていて見応えがある。いかんせん読書不足で楽しみは教養のある人の5分の1ぐらいだろう。
石川啄木記念館を見終えたところで16時。そろそろ良い時間なので宿に向かうことにする。雨もすっかりやんで空も晴れ間が見えてきた。元々は星空を楽しみにして宿を押さえていたので、目的を達したい。田代高原の七時雨山荘を目指して車で上がっていく。田代高原を駆け抜ける道は気持ちの良いワインディングと時折見渡せる広い平原と周りを囲む山々が見える。これこそ自転車で走りたかった場所だ。まだまだ明るいうちに宿に到着し一安心する。 |

種山高原での楽しい2泊を終える
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まずは小岩井農場のランチ
オムライスとハンバーグが絶品
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雄大なひまわり畑
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のんびり草を食う羊に癒やされる
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羊の向こうに岩手山
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小岩井農場のチーズケーキとリンゴジュース
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石川啄木記念館
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行った人しか見れない
石川啄木 後ろ姿
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教室の跡
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オルガン
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荷物を車から取り出している間にも虫がいっぱいたかってくる。自然が豊かな場所であることが分かる。素朴な山荘にワクワクしながらチェックインの準備をする。荷物とワインとチーズを持って宿に入る。アットホームな雰囲気で小さな子供達に挨拶しながら部屋へと向かっていく。エアコンは不要なほど涼しいが、窓には網戸がない。窓を開けて外の風を入れたいところだが虫も入ってくる。窓の外で蚊取り線香を焚く作戦で様子を見ることにする。宿の前には広い草原が広がっている。ここにレジャーシートを広げて酒を飲みなあら星空を見れば最高だろう。本来だとキャンプするプランもあって受け付けているのだが、今年はコロナの影響でキャンプ場としては休業で宿のみの営業となっている。自転車で来てればキャンプしたいところだが、これだけ自由な草原なら宿に泊まってもキャンプと同じだけのプレジャーはあるだろうということで宿泊予約は自転車旅の計画の時点でしていた。広い草原と七時雨山に大きな木造の山荘と景色が良い。
風呂を済ませて宿の夕飯をいただきながら主人と話をする。俺が種山高原で星空を見た時もここでは鑑賞会があって流れ星が何度も見えたらしい。しし座流星群ということで流れ星がいっぱい流れる日だったようだ。夕飯を食べた後、部屋で少しのんびりする。窓際の蚊取り線香は効果が全く無く虫は部屋にどんどん入ってくる。諦めて窓を閉めると少し暑い。エアコンは無くても良いが網戸は欲しい。
部屋でチーズを切ってワインのボトルを開けた状態にして、レジャーシートを持って草原に出る。何も見えないほどに真っ暗だ。ライトの明かりを頼りに草原の真ん中まで歩いて行く。つまずく物は何もないので安心して歩いて行ける。
レジャーシートを広げて空を眺める。残念なほどに星が見える範囲が狭い。おそらく雲の切れ間からわずかに見えているだけだ。種山高原で見たような満天の星空とは程遠い。それでもワインを飲みながら、天候の回復を待つ。つまみの小岩井農場のチーズも美味しい。チーズをつまみながらワインを飲む。時間が経てば経つほど、わずかに見えていた星空が狭くなっていく。雲が広がっているのだろう。星空はやや残念な感じだが、非日常を満喫する。雲が完全に広がりきってきたころに、ライトを全部消した状態で目の前に一筋の光が揺れながら瞬きながら通り過ぎていく。目は既に暗順応して周りが見える状態ではあるが、何だ?と思ってライトをつけてみると1匹の蛍だ。この広い平原で水際でもないのに蛍が通り過ぎるところに何かメッセージ性や巡り会いを感じる。一筋の蛍の光は遠くの水辺へと消えていく。星は見えない残念な夜になったが、この一筋の蛍は奇跡的な旅の出会いといえるだろう。
ワインもチーズも途中だが星は全く見えなくなり、蛍を見るという奇跡を味わえたので宿に戻ることにする。TVも何もない部屋だし携帯電話をいじる気にもならず、残ったワインとチーズで晩酌して眠りにつく。 |

七時雨山荘
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山荘の前に広がる草原と山
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七時雨山荘の夕飯
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小岩井農場のチーズとワイン
星を見ながら飲む
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11日目 |
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七時雨山 → 安比高原 → 花輪 → 十和田湖 → 八戸 |
2020/08/16 |
車の旅もいよいよ最後の日になる。今日は寄り道しまくって八戸まで行けば旅はゴールだ。自転車で来てれば80kmの下り基調でラストスパートになるはずだった。車で80kmはあっという間なので、どこまで遠回りしてプレジャーを追求できるかが重要だ。どうせなら自転車では回りきれないほど走り回りたいが、自転車で行く予定だったり今後の旅で宿題にしているところは避けたい。そんなことを思案しながら朝食を食べて、のんびりとチェックアウトしていく。
まずは田代高原を抜けて安比高原の方へ行く。過去に駅寝だけした記憶はあるが、見た記憶は無い。リゾートホテルが建ち並ぶ通りを越えて進んでいくと大きな公園に突き当たる。トレッキングとかも出来るが、車を降りて見える範囲だけで済ませる。自転車で遊びに来る感じの場所では無さそうだ。幹線道路に降りるついでに裏道に行ってみたら本格的なワインディングになって1車線の1本道になってきた。ディーゼルの楽しいエンジンフィールを満喫しながらワインディングをせめて下っていく。
鹿角の道の駅に降りてきたところで休憩と昼飯にする。花輪ばやしという祭りの屋台が展示されてる資料館を見ていく。東北の祭りは伝統と勇壮さがすごい。去年の秋に見た五所川原の立佞武多(たちねぷた)の博物館も圧巻だったが、ここも鮮やかで見応えがある。本来ならちょうど祭りが行われる時期だが、コロナで中止なので頭を無理矢理祭りに持って行く。思えば今年はどこに行っても盆踊りや祭りには遭遇しなかった。祭りを目当てに旅をすることは少ないのだが、偶然に遭遇する祭りを楽しんだものだが寂しい物である。見学を終えたら昼飯にする。地元の野菜と肉を使ったカレーを満喫する。デザートには桃のソフトクリームにするが、地元産の北限の桃をふんだんに使っていて味が濃厚だ。果実系のソフトクリームでは全国屈指な味だと思う。 |

アットホームな食堂
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美味しい朝食
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七時雨山荘を後にする
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花輪ばやし
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野菜のカレー
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立派な作りが印象的
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絶品・北限桃のソフトクリーム
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昼飯を終えたところで、鹿角から十和田湖を目指す。大学時代に走った道をなぞる形になるが、大湯の環状列石を見て行く。俺が行った頃よりきれいに整備されて博物館も出来ていて見応えがある。古代の日時計として使われていた目的などもはっきりしている。大学時代は集団での行動だったから見るところが全体的に薄かったが改めて来てみると奥が深い。
環状列石を楽しんだら、道の駅に寄ってから十和田湖の発荷峠を目指す。車で改めて走ってみると、結構な坂道が続いている。よく自転車で走ったなと思いながら思い出の道をなぞっていく。坂道を登り切ると展望台があって十和田湖を見渡せる。今になってみても見事な景色だ。だが、やはり自転車で来て味わいたいものだ。登った後の達成感があって景色の感動が増加するのだが車だと見たままの感動で増幅はない。十和田湖の景色を楽しんだら次の展望台を目指していく。昔と違って新しい道が出来たので展望台はトンネルを抜けたことで通り過ぎた。16年の旅で泊まったキャンプ場の前を抜けて旧道の坂道を車で上がっていく。坂を登り切ると瞰湖台(かんこだい)に着く。かつての展望スポットも観光客はほぼいない。湖面の小さな波立ちと西日に照らされた様子を見て十和田湖の美しさを満喫する。十和田湖ほど1周走るのが過酷な湖は日本に無いと思うが、その分だけ見下ろす眺めは見事だ。 |

大湯環状列石
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日時計の跡
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十和田湖 発荷峠からの眺め
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敢湖台からの眺め
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御蔵半島からの波紋が反射する
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太陽の光と湖面が美しい
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奥入瀬渓流を下っても良かったが、それこそ自転車や歩きで楽しみたいルートだ。夕方も良い時間になってきたので、まだ走ったことの無いおいらせバイパスで下ることにする。バイパスという割にバイパスの入口までは大型バスなどでは絶対に走れないほど狭くて鋭いカーブが続いている。道路を作る目的を果たしてるのか疑問ではあるが、バイパスは広くて緩いカーブで走りやすくなっている。
もう八戸を目指すだけだ。ホテルは予約済みだし何も考えずに運転するだけである。この車の旅で気づいたが、自転車の旅は徐々に体力が着いてきて疲労と鍛錬のバランスで成り立っている。鍛錬が効けば日本縦断だって出来るし何日でも何ヶ月でも走り続けることが出来る。車の旅は疲れていく一方で鍛錬されることはない。既に700km近く走っているので疲れが出てきた。やはり旅は自転車の方が良い。自転車の旅路には必ず帰ってきたい。
19時に八戸に到着した。予約しておいたホテルの駐車場に車を入れて、旅というモードは一区切りとなった。ホテルで風呂に入ってから夕飯を食べに行く。今日は祭りムードではあるが開いてる店は少ない。探すのに手間取ったが何とか一人で入れる居酒屋を見つけて晩酌にする。八戸の鯖を使った料理とせんべい汁を満喫する。ちょっと密な感じで近づきたくは無い祭りを遠目に見てホテルへと戻り旅の最後を締めくくった。 |

八戸 三社大祭 山車
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八戸 三社大祭 山車
東北の夏は祭りが良い
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八戸名産 しめさば
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南部せんべいと鯖の揚げ物
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せんべい汁
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12日目 |
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八戸市内 |
2020/08/17 |
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八戸 -東北新幹線→ 仙台 → 宇都宮 |
今日はタスクが明確だ。荷物を発送して車を返却して帰るだけだ。まずはヤマトの営業所へ車で行く。段ボールを3箱買って店の前で梱包する。今回は自転車を修理するまでは絶対に走ることがないので、ハンドルやフロントバッグも発送してしまう。いつもだとフロントバッグにつけたまま持って行く。その代わりにザックを空にしてザックだけ残す。いつもと違う梱包だが、サクッと済ませていく。
続いて八食センターへ行く。ここで実家や姪っ子&甥っ子に魚を送るか迷ったが、レンタカーになって資金不足だしコロナがまだまだ続いてる中で謹慎ムードなので今ひとつ選択に力が入らず諦めた。2008年の旅で八戸に来た時にも前を通ったが、16時頃と食事時でもなく閉店間際なのでスルーした。食材を買って炉端焼きにして自分で作って食べられるので楽しんでいける。鯖や貝を買って炉端焼きにする。まだ少し運転するのでノンアルでビール気分を楽しみながら美味しい魚を楽しんでいく。サバが絶妙な焼き加減で旅先でたまにやる炉端焼きを成功させた。 まだ少し時間があるので、蕪島の方へ向かう。蕪島を通って種差海岸を抜けて三陸の方に行ったことはあるが、今回は蕪島の先にある水産科学館マリエントを目指す。自転車だとあっという間に着いたイメージだが、ナビに従って車で行くと遠回りになったようだ。駐車場に車を置いたら建物を上がっていく。八戸の海に住む魚や蕪島のウミネコの生態や地球深部探索船ちきゅうの構造などが展示してあって、単なる水族館とは違う面白さがある。ここ数年の旅でハマっている地方の水族館を満喫していく。展望台からの眺めは曇り空ながらも気持ちがいい。
少し急ぎ気味にレンタカー屋へ戻る。もう八戸駅前に移動して旅は終わりに向かっていく。返す前に燃料を補給し走行距離を確認すると800kmを越えた。自転車で300km走って車でも800km走り、新幹線でも移動と移動距離が多い旅になった。車を返して、車から自転車を下ろして肩にかけて八戸駅に歩いていく。駅前にあるし荷物は最低限なので運んでいける。
八戸駅で土産を買いこむ。リンゴジュースや南部せんべいが美味しいところだ。新幹線へ乗り込んでいく。全車指定席のはやぶさを予約済みなので順調に乗り込んでいく。これで自転車に始まり車に終わった旅が終わりへと向かっていく。八戸駅で買った弁当を満喫しながら、盛岡を通り過ぎて仙台で降りる。仙台からは各駅停車のやまびこに乗って宇都宮へ向かう。出張で何度も乗ったルートなので慣れたものだ。徐々に非日常から日常へと引き戻されていく。
宇都宮駅に着いたらタクシーに乗って後席に輪行袋と一緒に乗り込み自宅へと帰り着く。自転車が途中でリタイヤになった悔しさはあるが、充実した旅に喜びを感じ自転車を直して復帰することを誓って旅は終わった。 |

牡蠣とホタテとサザエの炉端焼き
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絶妙な焼き加減 八戸の鯖
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ウミネコの営巣地 蕪島の眺め
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地球深部探索船
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ウミネコの巣を再現
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充実の旅を終えて
八戸を撤収
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八戸の駅弁
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