0日目 |
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宇都宮 → 羽田空港 |
2022/08/10 |
GWで最後になるかと思ったら1回分は延命された。秋からは中国への海外赴任の予定なので、5年は活動休止して仕事に集中することになる。中国で同じようなツーリングが出来るかというと、さすがに厳しそうだ。会社の活動で海外にいる以上はリスキーな行動は自己責任では済まされない。一時帰国にツーリングをねじ込めるかというと現実的では無い。悔いの無い走りをこの夏もしてこよう。
今回の旅のコンセプトはGeneral&Maniacということで、北海道を旅してれば誰でも行くところは漏らさず押さえておき、マニアックなところにも行くということでコースを考える。そういうことを考えて思い浮かんだエリアは礼文島だ。8時間コースを自分で歩こうとしたが強烈に腹を壊して諦めたので、そのリベンジと、噂に聞いていた桃岩荘YHへ行きたい。今年はGWに日本最南端を色々と制したので、それと対になる最北端も制しておきたい。桃岩荘の予約が取れるかどうかが今回の旅の生命線と言えるところだが、電話したら確保できた。お盆のど真ん中だが何とかなった。同時にフェリーも予約を取った。自転車なら飛び乗っても渡れるに決まっているが、確実に事を進めておきたい。そこまで段取りできれば準備は慣れたもので、荷物をまとめて稚内のホテルへ送る。何故か稚内のホテルが軒並み満室で高いところしか取れない。それでも予約はしておかない訳にはいかない。旅の初期の段取りは完璧に組み上げた。
仕事を終えて自宅で輪行し車に積み込む。シャワーを浴びて寝る準備を整えた状態で、羽田空港に向けて運転する。今回はツーリングマップルをしっかりフロントバッグに入れていく。沖縄はツーリングマップルよりガイドブックの巻頭の地図の方が使いやすかったが北海道はそうはいかない。道北から札幌まで誰も行かないようなマニアックな場所まで網羅してる地図はツーリングマップルしかない。スマホだと圏外も十分にあるような秘境もある。出発がずれ込んだ分だけ到着が遅くなった。夜中の1時過ぎに羽田空港の駐車場に到着する。今回は行きはANA、帰りがJALなのでターミナルが逆でターミナルに近い駐車場をどこを選ぶかもややこしい。帰りのJALに近い方に駐車していく。止めた場所の失念パターンが過去最大にやばいので駐車枠の写真、駐車場で配ってる場所を覚えておくためのカードなど備忘対策を万全にする。
タクシーを拾ってホテルへ行き眠る。この流れも予約するホテルも慣れたものだ。 |
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1日目 |
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羽田 -ANA→ 稚内 |
2022/08/11 |
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稚内空港 → 稚内公園 → 稚内 |
23.21 km |
飛行機は10時なので朝はそんなに急ぐ必要はないが、混雑は予想できるので7時過ぎにはホテルを出る。ちょうどシャトルバスが出て行った後だったので、京急で羽田空港に行く。まず、駐車場に輪行状態の自転車を取りに行く。ここで忘れずにSPDサンダルに履き替える。長期の駐車なのでETCカードも引き抜いて、サングラスを送り忘れた可能性があるので車の中にある運転中に使うオークリーのサングラスを持って行く。
駐車場からカートで荷物を運んでいき、シャトルバスの時間を見ると待ち時間が長そうなので歩いて第2ターミナルまで行く。地下の連絡通路でカートを押して歩いて行く。大昔に同じように移動した記憶はあるが、以前より縦移動が少なくなった気がする。荷物を窓口で預ける。相変わらず自動機でやれと言いたくなるような客が特殊手荷物のコーナーにずらっと並んでいる。本当に迷惑だ。荷物を預けると穏やかでは無いことを言っている。稚内空港が強風で欠航か引き返す可能性があるとのことだ。昨夜は宗谷地方で大きい地震があったようだし波乱の予感がする。
朝飯を済ませてセキュリティチェックをして搭乗口に行く。バスで飛行機まで行くスタイルだ。出発時刻が刻一刻と遅れていく。機材都合とのことだが、ANAの北海道便は時間通りに飛んだことが無いに等しい。何度も機材都合の遅延で迷惑を被ってるし、前の3時間遅延で完全に頭にきたのでマイレージカードは既に解約して捨ててJAL派になった。JALの飛行機は未だに遅延に巻き込まれた記憶は無く、俺の中では有意差有りという状態だ。今回も遅れまくる上に行けるか分からないということでイラつきすら感じる。稚内まで飛べないなら新千歳か旭川など北海道内まで行くとかの条件付き運航に出来ない物か。とりあえずバスに乗って飛行機へ行き、乗り込んだあとで、またフライトが遅延する。
飛んでしまえばこちらとしては何も出来ることはないので、稚内へ着陸してくれることを願うばかりである。睡眠時間を取り返すべく徹底的に寝る。稚内への着陸態勢に入っている。無事に稚内に着陸して一安心する。小さな空港だが東京から稚内まで直行便があるので道北スタートの時は重宝する。荷物の受け取りを待っていると荷室内で荷物からスマホが脱落して持ち主を探している。駄目だと書いてあるリチウムイオンを含むスマホを預ける上に梱包不十分で脱落とか説教物だが何度も声かけして探している。馬鹿にはもっと厳しい国になっても良いと思うが、それを甘やかすことをサービスと勘違いしているように思える。
空港の外は強風が吹いていてフレーム保護のパッドが飛ばされないようにしながら自転車を組むのが大変な状態である。建物で囲まれて風が来にくい場所で作業する。慣れた作業で自転車を組み上げて出発する。荷物はホテルに送ってるのでフロントバッグと輪行袋だけが自転車に取りついている身軽な状態だ。稚内方面に追い風で気持ちよく走って行く。今日は25℃なので本州よりは圧倒的に涼しいものの道北にしては蒸し暑い印象である。 |

羽田から稚内へ出発
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無事に稚内空港に到着
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強風の稚内空港を出発
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稚内空港を引きで見る
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道北らしい広々と辺鄙な道を稚内市街地へ向かっていく。青空は見えているが日差しは厳しくなく走りやすい状況だ。2020年と2021年で2年ほど東北ばかり行ったので3年ぶりの北海道ということで道幅や周りなど本州では感じられない広さを早速味わう。本州は辺鄙なところに行くと険しさに似た狭さを感じるが、北海道は辺鄙なところで広さを感じる。市街地に入る手前にある回転寿司で遅めの昼飯にする。昔から定評はあったしYoutubeで見て決めていた感はある。回転寿司と言っても回っているものはないので注文で握ってもらう。北海道の海鮮は美味しいし、鮭のあら汁が、あらではなく身で大盤振る舞いな感じが気持ちよい。
国道沿いにある日本最北端のマクドナルドに寄ってモニュメントの写真を撮っていく。これでGWの日本最南端のファーストフード(A&W石垣店)と日本最北端を制した。続いて、すぐ近くにあるスルーしがちだった南稚内駅に立ち寄っていく。駅前は稚内駅前より充実しているような気がする。いつも稚内で泊まると飲みに行ったりするのに困ってる印象があるが、もしかして市街地は南稚内の方だろうか。最近、Youtubeで天北線や羽幌線など北海道の廃線跡を巡ってたり廃線前の映像を見ることにハマっているので南稚内は気になる駅であった。そんなマニアックな廃線跡をメインにすることはないと思うが途中で立ち寄ることはしてみたい。南稚内駅に模型が置いてあって、かつての南稚内と稚内の駅と樺太に渡る連絡船も再現されていた。ここで樺太への興味が湧いてきた。 |

北海道らしく美味しい回転寿司
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あらではなく身が多い あら汁
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南稚内駅の展示
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開業100周年
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既にお盆に入っているので、北海道の名産を実家と弟に送るのも急ぐ。明日からは礼文島・利尻島を回って本土に戻るのは4日後になる。稚内港の商業施設に立ち寄る。ここには温泉、産直、樺太記念館がある。温泉は稚内市内から近くて快適だったが閉業してしまっている。非常に残念だ。樺太記念館を見ていく。樺太にあるかつての国境線の石碑や連絡船の模型や樺太出身力士の大鵬の資料を見ることが出来る。大鵬は現役を見ている世代ではないが、なかなか見応えのある資料館である。俺の世代で言うと千代の富士や大乃国あたりからだ。資料館を見終えて産直で買い物をする。自分用にも昆布などを買い、発送用の買い物も終える。これで一つ肩の荷が下りた。
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かつての稚内港 樺太への連絡船
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樺太 北緯50度線にあった
国境標石 日本側
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国境標石 ロシア側
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樺太出身の大横綱 大鵬
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稚内の産直
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続いて稚内駅とドーム型堤防に行く。前はキャンプで賑わっていたドーム型堤防はキャンプ禁止になって閑散としている。わざわざ禁止しなくても良いような気がするがマナーが低下して容認できなくなったのだろうか。だが、道路と駐車場には車中泊のキャンピングカーやミニバンが滞在している。禁止する意味が本当にあったのか疑問ではある。最近の北海道はゴミも捨てる場所がなかったりで旅人を受け入れる余裕が全くない地に思える。あれも駄目 これも駄目ばかりだ。観光産業における北海道は何を目指しているのか全く理解できない。目指すことは観光産業の衰退だろうか。自分が5年間中国に行ってる間に日本は色んな産業で深いドン底を経験すると思っている。ドン底からどう立ち直るのか、もう2度と来る価値のない場所になっているのかは北海道がどう進むか次第だ。とはいえ、4日後に利尻島から帰ってきたらドーム型堤防でキャンプすれば良いと思っていたので、宿を考えないといけない。
稚内公園に行く。稚内と言えば宗谷岬の次の次ぐらいに名所だ。過去に稚内には4回来ているが一度も訪れたことはない。稚内市街地から急な坂を上っていく。これは未踏のままで良かったのではないかと思うほどの坂だ。今日は空荷だから何とかなってるがフル装備だとインナーローでグイグイ踏み込んでも上がらない気がするほどの傾斜が続く。ヘトヘトになりながら氷雪の門にたどり着く。戦時中の悲劇に対する慰霊のための物なのでテンションが上がる系ではない。天気が良ければ氷雪の門から樺太を見通すことが出来るのだろうが、今日は見える天気ではない。よく考えると稚内や礼文・利尻には5回来て数日は滞在しているが樺太は一度も見えたことがない。そういう意味では天気運は良いとは言えない道北である。
さらに坂道を進んで行くと、南極探検のタロジロで有名な樺太犬の銅像がある。南極探検前の訓練をやった場所が稚内公園である。さらに進むと傾斜は緩んできた。キャンプ場と開基百年記念塔の分岐でエゾシカの群れを見る。東北のあたりではシカが増えているとのことだが、北海道のエゾシカも同じだろうか。かなり大規模な群れがキャンプ場にいる。ちなみに、稚内公園のキャンプ場は日本最北端のキャンプ場なので、GWに前を通過した西表島の南風見田(はえみだ)キャンプ場に続いて最南端と最北端を制した。こんな坂をフル装備で上ってキャンプする気はないので、たぶんここに泊まることは無いだろう。
開基百年記念塔まで登り切った。馬鹿と煙は高いところが好きなので塔のてっぺんまでエレベーターで上がる。天気がイマイチなので樺太が見えないのは当然で、礼文島や利尻島も全く見えない。それでも、人が入った気配の少ない森と木が生えない原野の眺めは北海道らしくて気持ちが良い。塔の1Fにある北方資料館を見ていく。ここも樺太に関係する展示がほとんどである。樺太が島であることであることを発見した間宮林蔵や戦時中の悲劇に関する展示が多い。見応えのある資料館を見終えて今日で樺太への理解を深めた。 |

氷雪の門
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南極探検の樺太犬
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開基百年記念塔
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間宮林蔵 後ろ姿
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間宮林蔵の銅像
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伊能忠敬 北海道地図
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塔から稚内の眺め
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稚内公園と稚内港を見下ろす
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山を下りようとしたら日が暮れてきた。氷雪の門はライトアップされている。この時間から12km近く走って日本最北端の温泉である稚内温泉 童夢へ行くのは諦めた。利尻島から帰った日に回すことにする。降りてきたところのホームセンターに立ち寄る。ホーマックニコット稚内宝来店が日本最北端のホームセンターである。GWに行った日本最南端のホームセンター メイクマン石垣店に続いて南北制覇である。消耗品や食品を中心に買い物をして行く。
市街地へ戻り、稚内駅を見ていく。日本の鉄道網の最北端は何度来ても印象深く感慨深い。道の駅も併設していて、もちろん道の駅としても日本最北端である。これは既に4極コンプリート済みだしGWは道の駅すらない宮古島と八重山だったので南北制覇としての感動は無い。予約済みのホテルは稚内駅のすぐ側にあり、ホテルへ行く。まずは荷物を受け取り自転車を止める場所を聞く。ホテルの建て屋内の駐車場管理の管理人室に置かせてもらう。先客が1台置いているので90度ずれた位置に置かせてもらう。新人の女性が今日は駐車場の管理をしている。管理人が勤務している間にキャリアを付けさせてもらう。それを過ぎると施錠される。ホテルの部屋に荷物をあげて急いで開梱してキャリアを取り出す。さっきの部屋に持って行き取り付ける。作業しながら管理している女性と雑談で盛り上がる。栃木の隣の福島県出身で明日の列車で帰ろうとしているが、今日の時点では大雨災害による運休が続いていた。どうなるのか心配だ。何だかんだ言って若い女性と喋っていてるとニコニコして作業が進む。 キャリアを付け終えたら、部屋に戻って荷物を開梱する。一部の荷物は宿に預けることが出来るのでフルにパッキングせず宿で使うものは預けることにする。いつもと違う形で準備を済ませて、シャワーを浴びると22時を過ぎた。夕飯を食べようにも店はどこも開いていない。セイコーマートしかないが駅の中と駅から少し離れたホットシェフ付きがあり、ホットシェフ付きの方に行くと閉店していた。仕方なく駅に戻って弁当を買って夕飯を手に入れる。店の前は札幌行きの夜行バス待ちで賑わっている。弁当は何とか手に入れて駅の中のベンチとテーブルで食べようとしたら閉館時間が来て追い出される。仕方なく駅の外の壁に寄りかかって地べたに座って食べていく。思い通りに行かない稚内滞在となる。
フェリーは朝早いのでホテルに戻ってすぐに眠りについた。 |

ライトアップされた氷雪の門
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日本最北端のホームセンター
ホーマックニコット稚内宝来店
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日本最北端の道の駅
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日本最北端 稚内駅
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2日目 |
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稚内 -ハートランドフェリー→ 礼文島・香深 |
2023/08/12 |
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稚内市内・香深→知床→金田岬→スコトン岬→桃岩荘 |
76.77 km |
朝5時に出発する。駐車場の管理人室から自転車を出して駐車場の裏に持って行き壁に立てかけてパッキングする。6時前にはホテルを出発する。まずはセイコーマートで朝飯として、おにぎりとポテトサラダとソフトカツゲンを買い込む。荷物を手にぶら下げてフェリーターミナルへ行き、乗船手続きを済ませる。車両用の待合場に自転車で行って乗船を待つ。このあたりの航路は車がバックで入船するのが印象的である。係員の案内に従いフェリーに自転車で乗り込んで行く。今回は事前に予約して1等船室なので快適な座席がある。しかも指定席なので確実に座れる。デッキで出発する稚内港を見たら船室に戻って朝食を取る。ホットシェフの暖かく柔らかいおにぎりと芋の旨さを感じるポテトサラダで腹を満たす。ご当地乳酸菌飲料のソフトカツゲンで腸の調子を整える(特に荒れてたわけではないが)。 少し眠って睡眠不足を取り戻していると礼文島の香深に到着する。桃岩荘YHにはフェリーの時間を事前に伝えないといけなくて昨日のうちに電話で伝えて、今日も港に着いたら待合をしている車のところに一度行かなくてはいけない。だが、荷物を預けて少しだけ身軽にして走れるのでメリットはある。背負っていたザックとリアサイドに付けているトレッキングシューズを入れた袋を預けていく。さすがに全部を預けるのは申し訳ないし、再びパッキングする面倒さを考えると宿で使う物だけに絞った。ペアレントや常連の方たちに付いていき、礼文島から稚内に帰る人の見送りをする。桃岩荘の名物と聞いていたが噂以上である。船と陸の間で大声で 行ってらっしゃーい また来るよ と言い合っている。桃岩荘の旗を振って見送る。今日から宿に泊まる人にもお帰りなさい と言ってもらえる。 |

稚内のホテルを出発
宿に預ける荷物は積んでない
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乗客を待つフェリー
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天気が良さそうな朝
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フェリーに乗り込む
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セコマの朝飯
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天使のはしごが見える利尻水道
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盛大なお見送り
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防波堤を越えるまで見送る
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儀式を終えたら礼文島の南の端へ行く。今日のうちに南と北は極めてから桃岩荘に行く作戦である。礼文島の海岸は平らな道が多く向かい風だが苦労すること無く南へ進む。礼文島の最南端の知床まで走ると、途中からはダートになっている。桃岩の方に回れるのかどうかは分からないが、フル装備で先がつながってるか不明なダートに入っていくのは嫌なので、ここで引き返す。戻っていく途中で少し内側の丘を登る。礼文島や道北らしい笹だけで木の生えていない滑らかな丘が続いている。標高0mから森林限界ということだろう。古い小学校を模擬した建物が見えてきた。映画のロケ地が公園になっている。映画のセットが資料館になっているので見ていく。この映画そのものは見ていないが、吉永小百合主演の見応えのありそうなストーリーである。教室はプロジェクションで吉永小百合が出てくる仕掛けになっていて驚く。映画の資料を見たら、学校と利尻富士を眺めるカフェでアイスを食べていく。豊富産の牛乳を使ったソフトクリームとあんこと白玉に最中がのっている。眠気を覚ますためのアイスコーヒーも飲んでいく。今日は利尻島の天気がいまいちで利尻富士だけは雲に隠れている。 |

礼文島の南端 知床
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北のカナリア 旧学校と利尻島
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北のカナリア 校舎内
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プロジェクションで浮かび上がる吉永小百合
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北のカナリアソフトソフト
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きれいに残してある学校跡ロケ地
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北のカナリアを満喫したら礼文島の東側の海岸を北上していく。というか、礼文島は自転車で走れるのは東側だけで西側は歩きしか不可能で、それ以外は礼文林道のダートのみだ。礼文林道は前回に来た時に走ったので今日は走行距離重視で行く。風は南から吹いているので北上はスムーズに進んで行く。自分の実力を過信してしまうほどのペースで走って行く。だが、他の旅人にはペースで勝ててないので順調に老化と劣化をしているのは確かだ。礼文島の北の方はカニをほじるフォークのように二又に分かれている。西側は最北端のスコトン岬になっていて、東側はあまり名前を知られていない金田岬がある。二又に分かれるところで右側からフォークの先っぽをまたいで真ん中に行けるし、そっちは走ったことがあるのだが、今回はフォークの右側をトレースしていく。ここから一気に辺鄙な道になってくる。その辺鄙さがピークになったところで礼文空港へと曲がる分岐を進む。何もない笹の原で坂道を上っていくと滑走路を囲むようにフェンスがある。空港の前には広い駐車場のような場所があり、ターミナルの建物がある。航空施設なので当然ながらフェンスと鉄条網で囲まれている。飛行機は運航していないので廃墟感が漂っている。それでも日本最北端の空港には訪れておくべきなので立ち寄った価値はある。
空港の見物を終えて東側の海岸に戻って北上すると、すぐに突端まで走りきった。ちょうど突端に食事処があるので、ここで昼飯にする。礼文島ではウニ丼で有名なお店である。礼文島や利尻島は昆布やウニの産地で、昔は産地価格で安かった時代はあるが、今は観光地や東京とさほど変わらない。不漁ということもあって、ウニ丼は提供されず量が減らされている三色丼のみとなっている。それでも礼文島のウニを食べられるのであれば十分過ぎるので三色丼にする。ホッケの干物も美味しそうなので頼んでみる。バフンウニは濃厚で美味しく、ホッケは臭みがなくうまみと塩加減が絶妙だ。北海道のホッケを食べると、本州でそこらの居酒屋で食べられなくなるぐらい差を感じる。 |

日本最北端の空港 礼文空港
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使われた感がない滑走路
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三色丼
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ウニ100%とはいかず
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ホッケの開き
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金田岬を越えると今までの追い風が向かい風として襲いかかる。美食の罰が当たったのだろうか。俺の実力を勘違いさせるほどの風なので、厳しい抵抗力となってくる。九種湖で休憩しつつ湖の眺めとその向こうの礼文島らしい山々を見ていく。ここが日本で最北端の湖でありキャンプ場である。日本最南端の南風見田(はえみだ)キャンプ場に続いての日本最北端を制覇した。このキャンプ場には過去に泊まったこともあるので訪れるのは2回目となる。
九種湖を過ぎてカニほじりフォークの左側に入ると、襲いかかる風が向かい風や横風で変化しながら来る。向かい風一辺倒だと対処のしようがないが、少しでも角度が付いてれば体に角度を付けたりで変化を付けながら耐えていく。
向かい風に体力を削られながら、スコトン岬まで走りきる。通算では既に達成したが、礼文島縦断を果たした。終盤の苦戦でヘトヘトだが、日本最北限と書かれた看板を見ると達成感が出てくる。そもそも、最北限って何だよということは言わないことにしよう。ここから地獄の戻りが始まる。南から吹いてる風が全区間向かい風として襲いかかる。こういうのは耐えていくしかない。少しでもカーブで方向が変化したら風を逃がしながら走って行く。九種湖まで戻ってきたら、カニほじりフォークをショートカットする道を走る。向かい風で上り坂である。若い頃は何とも思わずに走り抜いてたが、今はめちゃくちゃきつく感じる。ペースが落ちるとメクラアブが襲いかかってくる。北海道の特に道北のメクラアブはしつこくてアブ除けのためのハッカ油がほとんど効かない。スピードを上げてちぎっていくしかない。 |

日本最北の湖 九種湖の眺め
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スコトン岬へ向かう道
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礼文島縦断を完走
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最北○のスコトン岬
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澄み切った北の海
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なだらかな丘を見渡す
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坂の頂上まで来たらアブから逃げるために一呼吸置かずに下り坂に入る。坂を下りきると海沿いの道になり、ここからは向かい風との戦いが厳しくなってくる。右側が山なので少し風を遮ってくれてる感はあるが直撃している。黙々と走り続ける道を礼文岳の登山口まで戻ってきたところで、一度 ぶっ倒れる。向かい風に苦戦して足が動かなくなってきた。駐車場の隅のコンクリートブロックの上に仰向けでぶっ倒れて急速充電する。15分ほどぶっ倒れておいたら回復してきた。
17時頃になってやって香深まで戻ってきた。桃岩荘の風呂は混むので香深で入っておいた方が良いという情報もあったので、温泉に入りに行く。ここで荷物から着替えから出すと衝撃の事実に気づく。Tシャツの枚数が全然足りない。パンツやタオルは5日分あるが、Tシャツだけ3日分しかない。自転車で汗だくになるので着替えは毎日したいので痛恨である。温泉で売っている記念Tシャツを意地でも買う。まずは1枚は調達してから風呂に入る。さっぱりしたところで夕飯を買うか食うか考えていると、店がどこにもない。仕方なく北に戻ったところにあるセイコーマートに行く。ここで急いで弁当を食べる。この時点で19時前になってきた。
完全に日が暮れてから桃岩荘に向かう。レクリエーションが19時40分からと言ってたのでなんとか間に合うだろう。しかし、ここからがかなりきつい。香深から坂道を上ってトンネルへと入っていく。今はきれいで広いトンネルになっているが、昔はこのトンネルで羞恥心と知性と知恵を捨てて桃岩荘へ行くと言われていた。最初から1つか2つぐらい欠けているような気がするが捨てていく。トンネルを抜けて、その先に何かがあるような気配が全くない道に入っていく。もう真っ暗闇の海沿いの道である。ここから坂道がきつくなる。ナイトランだと傾斜が見えないので大丈夫説も徐々に崩れるほどに厳しい。ヘトヘトになって駐車場と展望台があるところまで来た。本当にこの先に桃岩荘があるのか疑問になる道を進んでいく、明かりが見えてきた。しかし下り坂は大きな石がゴロゴロしているダートだ。一歩間違えると落車しそうな坂道だ。サドルからケツを引いて後輪のブレーキでコントロールしていく。あまり速度が落ちすぎると石の上に乗ると横にずれて転びそうになる。ライトで丁寧に走りやすいルートを見つけながら下っていく。坂を下りきると桃岩荘にたどり着いた。 19時40分というのは桃岩時間という現実社会とずれた時間のことでミーティングは既に始まっていた。せっかく入った風呂も俺の体は既に汗だくになっている。何とかチェックインしてミーティングに合流する。コロナの影響で2020年、2021年と2年間は開いてなかったYHということで、当時の雰囲気を感染症対策しながらも取り戻す工夫が感じられる。一部の人だけでもコスプレさせられたり歌ったり踊ったりという図式に、かつての桃岩荘はこうだったのかと思わされる。広々とした旧ニシン番屋の建物は良い雰囲気を出している。 |
誰でも参加できるようにビンゴで景品を配っている。礼文島ビンゴということで番号ごとに島の名所が割り当てられている。来年の無料宿泊券がA3サイズの段ボールになっていて折り曲げ無効とかどこかクセのある景品が続く。桃岩荘オリジナルソングのUSBメモリーや歌集などマニア向けの景品が続く。終盤にビンゴとじゃんけんで勝って歌集を手に入れる。
ミーティングが終わったら明日の8時間コースについての説明が始まる。残念ながら大雨による崩落で4時間コースに短縮されている。それでも雰囲気だけでも楽しめるなら良い。説明を受けてベッドに戻り明日の準備をする。ザックに必要な物だけを詰めていく。今回の旅から導入するトレッキングポールも2本準備していく。消灯の合図である音楽が鳴り始めて22時で消灯される。明日は朝が早いので、消灯直後に眠りについた。 |

ビンゴで手に入れた歌集
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3日目 |
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澄海岬 → ゴロタ岬 → スコトン岬 |
2022/08/13 |
朝の5時に目覚ましを仕掛けてすぐに起きる。いつまでもスヌーズすると周りに迷惑なので速攻で起きる。昨日のうちに買っておいたパンで朝飯を済ませて、名物の圧縮弁当を受け取る。昨日の夜は全く見えなかった桃岩や日本海の見事な眺めを楽しみながら出発を待つ。オーナーの運転するマイクロバスで4時間コースの起点まで行く。途中でコンビニにも寄ってもらえるのでカフェインも注入して目を覚ます。
澄海岬から歩き出す。澄海岬は前に来たときに自転車で立ち寄った覚えはある。朝で太陽が昇っていないと澄海感はなく色鮮やかさはまだ出ていない。トレッキングポール2本の使いこなしがイマイチできないまま歩いて行く。何度も来ている人からアドバイスをもらいつつ進む。さっさと歩いて行きたいメンバーと和気藹々と歩きたいメンバーで温度差が徐々に出てくる。コミュニケーション能力は低いので、割と黙々と歩いて楽しみたいタイプなので早く歩いては花や景色を楽しんで追いつくのを待ってというペースを前半は繰り返す。
穴空き貝が拾える海岸に来ると驚くほどに貝殻に穴が空いている。むしろ無事な貝が少ない。機械で空けたかのように丸く空いてるが、貝に寄生する寄生虫が溶かして空けたというので驚く。この海岸ぐらいから歩くペースの差が開いていく。ゴロタ岬へと上るあたりから俺の足が動かなくなってきた。昨日の自転車がちょうど疲れとして残っている。ツーリングで言うと最もキレがないタイミングだし登山の脚力は無い。しかし、このペースダウンがあって多少は会話に参加していく。ゴロタ岬からの眺めと斜面に咲き誇る花は、これだけを見に来る価値があるほど美しい。メンバーの一人が体調不良で顔色が悪いので、トレッキングポールを1本貸して上げることにした。そのおかげか体調が回復してペースが戻ってきた。ちょっとしたトレッキングレベルしか歩かない俺だと1本で十分だった。だが、余った1本が役に立って良かったとも思う。 |

桃岩荘YH
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桃岩
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秘境感のある場所に佇むYH
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向かう途中で見る利尻富士
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澄海岬からスタート
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無事な貝殻が少ない穴空き貝
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穴空き貝を拾える海岸
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終盤はバスの時間までにたどり着ける安心感で気楽に景色を楽しみながら歩いて行く。バスの時間まで1時間近く残してゴールのスコトン岬にたどり着いた。昨日も来ているが、昨日以上に晴れて鮮やかなスコトン岬の海が楽しめる。昨日より達成感があるようにも思える。そんな体力が本当にあるのか分からないところだが、スコトン岬出発で桃岩荘まで歩く8時間コースに次回は挑戦したいとも思えるゴールである。
割り勘でウニ寿司を買い地ビールを飲む。この時点で午後はグダグダモード確定だ。ムラサキウニとバフンウニの食べ比べになっている。あっさりした甘みのムラサキウニと濃厚の磯の香りのバフンウニが美味しい。そこに歩いて汗かいた体にビールが染み渡る。午前中から飲む背徳感がたまらない。昆布ソフトクリームも楽しんで行く。そんなに昆布昆布させないのが味のポイントだと言うとおり、わずかに感じられるかどうかの昆布でほぼミルクの味である。 |
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ゴロタ岬
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ゴロタ岬からスコトン岬への下り
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スコトン岬と沖に見るトド島
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今日も来た 日本最北○スコトン岬
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ウニ寿司
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昆布ソフトクリーム
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バスの中でグループLINEを作って写真を共有する。私以外は人を入れて撮ったり自撮りが上手い。ここ最近、自分を入れる写真を撮っていないし人を撮ることも少ないので実感する。昨日走った海沿いの道をバスは戻っていく。途中、アザラシの群れが海岸にいるのが見える。昨日もいたけど見逃していただけなのか・・・ 野生のアザラシを見るのは初めてなので感動する。
バスで香深に戻ったら、メンバーで昼飯を食べに行く。ちゃんちゃん焼きの名店に並んで待つ。店の子供に遊んでもらいながら待っていると順番が来た。炭火の熱を顔に浴びて暑い。いや熱い。熱さにたえながらホタテやホッケを焼いていく。味噌やネギのタレを絡めたホッケが美味しい。汗だくになりながら食べるだけの価値がある美味しさだ。ちゃんちゃん焼きを満喫したら、温泉に入りに行く。体は汗だくだったが着替えは持ってきていない。さっきまで着てた服をもう1回着るのは微妙だが温泉は気持ち良い。コインロッカーを開けると明らかに魚臭い。もう笑うしかない。魚と汗のにおいの染みついたシャツを再び着る。 今日で利尻島に渡るメンバーを見送って宿の車で桃岩荘に戻る。まず、桃岩荘のTシャツを買う。在庫が少なくなってきていたが、何とか確保できた。まずベッドに戻って桃岩荘Tシャツに着替える。汚れ物を洗濯機に突っ込んで洗濯する。ここは洗濯機も乾燥機もあるので、明日以降に着る物は確保できた。秘境の北海道で洗濯頻度が多いと何かときついが、安心だ。 |

炭火で待機。めちゃくちゃ暑い。
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ホッケのちゃんちゃん焼き
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焼けてきたら味噌を混ぜる
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ホタテも焼いて楽しむ
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すると海の方がオレンジ色に染まってきた。今日は空はすっきり晴れているわけでもないが、夕日が見えるのでは無いかという期待感がある空だ。すると雲の下に太陽が現れた。海面に沈む100%の夕日というわけではないが、海と桃岩荘を黄昏に染める力強さを感じる。するとペアレントやヘルパーや常連客の方がギターを持って宿の外の海が見えるところに出てきた。夕日を見てみんなで歌い始める。桃岩荘オリジナルソング落日や松山千春を歌う。これが桃岩荘だ。感染対策で歌ったり踊ったりは屋外かパーティションの中にしたり工夫して、桃岩荘の世界観を味わわせてもらえる。今まで数々の海に沈む夕日は見てきたが、ここまで感動する状況で夕日を見ることは無かった。 夕日を見終えて洗濯機から乾燥機に衣類を移したところで夕飯にする。朝もらった圧縮弁当をいただく。あれだけ歩き回って夜になっても偏ったりすることのない圧縮弁当を美味しくいただく。夕食を終えて片付けるとミーティングが始まった。今日はミニコンサートとのことだが、歌は数件しかなく ほぼネタ披露という感じである。スタッフも出る人も体を張っている。参加者とか常連の方たちを見ていると桃岩荘に来る人が世代交代している。親世代(私の少し上)ぐらいから、その子供が20歳ぐらいになってヘルパーになっていたり常連客になっていたりする。私の場合は旅先がどこかに落ち着くと言うより、色んなところにまだまだ行きたいので当てはまらないが、帰ってくる場所なのだろう。
ミーティングの後は自由時間だが、この空気感はあまり得意ではないので荷物の片付けと明日の準備をする。消灯時間まで30分ほど残したところで寝る準備をする。消灯時間で力尽きるように眠りについた。 |

賑やかなミーティングの会場になる広間
ニシン番屋の味のある構造
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ぎゅっと圧縮された弁当
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今日は駄目かと思ったが、雲の下に降りてきた
桃岩荘から見る日本海に沈む夕日
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4日目 |
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礼文島・香深 -ハートランドフェリー→ 利尻島・鴛泊 |
2022/08/14 |
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桃岩→香深・鴛泊→利尻島一周→鴛泊 |
67.83 km |
絶対に起きられるという音楽で目が覚めた。朝から大音量の演歌で起床する。就寝と起床の時間がきっちり決められてるのが昔ながらのYHだ。シーツや枕カバーを返して、出発の準備をする。話をしながら自転車に荷物をパッキングしていく。色んな趣味の人が集まる宿でもあるので自転車の話題も盛り上がる。宿の掃除をみんなでやって出発する。歩いて出発する人を見送る歌がある。それに続いて俺も出発する。1便目の稚内行きのフェリーに間に合うように向かいたいところだが、桃岩荘へ下ったダートは登りだともっと厳しい。傾斜というよりは漕いでも後輪が空転して進んでいかない。押して歩く足も滑るし自転車の重さと傾斜がきつい。俺宛ではないが背中から聞こえる歌を聴きながら坂を上って展望台に着いた。
展望台でしばらく景色を眺めていく。ここまで来れば下り基調なのでフェリーの時間には間に合う。というか俺が乗るフェリーではないので焦ってはいない。改めてみると桃岩荘のあたりの地形の険しさと海岸線の美しさは素晴らしい。稚内に帰る人と見送り組のバスに置いて行かれたが、自転車で追いかけていく。トンネルをくぐって香深へと降りていく。ちなみに、後で知ったが、このトンネルは日本最北端のトンネルである。GWに通った西表島の西表トンネルが日本最南端・最西端なので、トンネル部門も今年のGWと夏で南北制覇である。マニアック過ぎて情報が無いが、地図で探す限りでは、おそらく知床半島の相泊温泉に行く道の知円内トンネルが日本最東端なのでトンネルも4極制覇である。 香深の港に着いたら帰る人たちを見送る。今回は3年ぶりの開所でお盆ということで常連客も元ヘルパーだったり桃岩荘の歴史を作ってきた人たちが多いので、感動的な見送りの場面が多い。4時間コースを一緒に歩いたメンバーと一緒にカフェで時間を潰す。色んな話をしながら待って、利尻島に渡るメンバーはフェリーへと乗り込む。稚内行きほど派手な見送りはないが、関わった人が見送りに来てくれてターミナルはちょっとした出会いと別れの場になっている。フェリーに乗ったら「いってらっしゃい」「また来るよ」の応酬が始まる。久々に本気で馬鹿になって礼文島を後にする。 |

ようかんパン
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すっきりと澄み切った景色
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礼文島の西側は断崖絶壁が続く
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桃岩荘を振り返る
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島から出ていく人を見送り
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利尻へのフェリーへ乗り込む
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礼文島を出発
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フェリーからは本土の海岸線や利尻富士がよく見える。天気は礼文島にいる時も十分良かったが、日に日に良くなって眺めはすっきりしてくる。利尻島にたどり着いたら一緒に礼文島を出てきたメンバーに挨拶して、車両甲板に降りていく。ここからまた一人の旅路が始まる。港のすぐ側の店で夕食のための魚を買う。既に11時なので、店が開いてる時間に一周してここまで戻ってくる自信はない。保冷バッグに冷凍の魚や食材を入れていく。1日かけて解凍するぐらいでちょうど良いという読みだ。
ほぼ丸い利尻島の1時ぐらいの場所にある鴛泊(おしどまり)から逆時計回りに島を回る。まずは富士野園地で海岸とペシ岬を見ていく。礼文島とはまた違う趣の海岸が気持ちよい。NHKのグレートトラバース(日本百名山 人力一筆書き踏破)のゴールとなった場所とあって田中陽希の記念プレートが作られている。少し走ると夕日ヶ丘展望台がある。当然、まだ夕日の時間では無いが丘を昼間のうちに登っていく。高台から見下ろす富士野園地の海岸は気持ちが良い。西側を向いてるので向こうには礼文島が見える。内陸側は利尻富士だが雲がかかっている。ここに夕日が沈むのを見れたら最高だろう。ここで何とか日没までに一周出来ないかというチャレンジングな目標が頭をよぎった。 |

富士野園地から見る海と礼文島
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グレートトラバース 田中陽希
100名山踏破記念プレート
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まずは次の集落である沓形(くつがた)を目指して走る。利尻島一周は過去に走っているのでルートの具合は大体分かっているので構える姿勢はない。緩やかに続くアップダウンを楽しみながら走って行くと、ご当地乳酸菌飲料のミルピスを売っている店の前に来た。ここに来るのは二度目だし、前にプロフェッショナルか何かでデパートの凄腕バイヤーが買い付けに来ていたので今のミルピスを楽しんで行く。無人販売になっていて金を入れて冷蔵庫から取り出して自分で蓋を開けて飲むスタイルになっている。さっぱりした飲み口で美味しい。根拠はないが体に良いはずなのでパワーが付いた。
ミルピスから少し走ると沓形の集落に着いた。ここは利尻島で2番目の都市で礼文島へ渡るフェリーも出ている。温泉もあればホテルや店もある。キャンプ場があって2泊ほどしたこともある。キャンプしてるときに花火大会が見れたりして楽しかった思い出はある。沓形岬のキャンプ場を懐かしく偵察してフェリーターミナルでスタンプを押そうとしたら、4時間コースをご一緒した女性と再会した。同じフェリーで渡ってきて観光バスで島を回ろうとしている。依然として見えない利尻富士に期待を寄せながら走り出す。まずは沓形のセイコーマートで昼飯にする。昨日のミーティングの芸で紹介されていた鯖のおにぎりを買ってみる。ホットシェフおにぎりのランキングは、鮭、明太マヨネーズ、筋子、 だったが、鯖がやばいぐらい美味い。どこかに食い込んできそうだ。今回はちゃんとサラダも買えて満足の昼飯を終えた。 |

利尻島のご当地乳酸菌ドリンク
ミルピスの販売店
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ミルピス
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少し走ると幹線道路から海の方に降りる神居海岸に行く。火山地形だからか黒い岩と青い海が映えている。そこに青い空と礼文島の眺めも重なって気持ちが良い。ウニの殻剥き体験なども出来るので、ちょっとした観光スポットになって客が押し寄せている。ここから少し走ると名水100選の麗峰湧水が湧いている。ペットボトル1.5Lを満たしていく。何とか夜まで保たせて今日の夕飯を湧き水で炊きたい。その場でがぶ飲みしていく。すっきりした味わいで美味しい水だ。
続いて利尻町立博物館に寄っていく。利尻島の生活や漁や在来種・外来種の問題に触れている。利尻島はキタキツネとヒグマとエゾシカがいない。だが、たまに本土から泳いで渡ってくるヒグマがいるが繁殖できず定着には至っていない。そういう情報も展示してあって興味深い。意外と好調な走りで島の最南端まで回ったので1時から始まって逆時計回りで6時ぐらいまで来た。仙法志海岸で休憩していく。ここでやっと利尻富士の山頂まで見えてきた。2回来て2回目にしてやっと利尻富士を間近に見ることができた。海の方に降りるとアザラシが飼われている。餌を買うと餌付けが出来るので餌を買う。飼われてるとは思えないほど泳ぎは速い。写真を撮るのが困難だ。一人が餌をあげて一人が写真を撮るって感じで2名以上いないと難しい。一人で餌をあげて写真を撮るのにチャレンジしたが食べたらすぐに潜ってしまった。 |

神居海岸のゴツゴツした溶岩
礼文島とは大きく異なる景色
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湧き水を汲んでいく
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意外と見応えある利尻町立博物館
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なかなか山頂の見えない利尻富士
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アザラシを飼育
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餌を食べに来るアザラシ
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利尻富士はすっきり晴れる瞬間はなく常に山腹から山頂あたりに雲がある。課金すれば見えるなら課金したくなる状況だ。オタトマリ沼まで回ってきた。この時点で16時前でやや苦しいペースになってきている。沼に映る利尻富士が見たいところだが雲がどうしても消えない。名物のクマザサソフトクリームを食べながら待つもしつこく消えない。雲は流れているが、流れる側から風が山に当たった後で発生しているようにも感じる。オタトマリ沼から坂道を上って展望台へ行く。白い恋人のパッケージを撮影したと言われてる展望台でオタトマリ沼と利尻富士を見下ろせる。何でもかんでも色恋沙汰にしたがる観光地は鬱陶しいところだが、恋人の聖地扱いにしようと躍起なのが見て取れる。景色だけで言うと雲はさっきのオタトマリ沼より酷くなっている。だが、展望台の海側の眺めは本土のオロロンラインが一望できる。オトンルイの風力発電所から宗谷岬までを一望できる。白い恋人より、こっちの方が眺めが良いのでは無いかと思う。 |

利尻島の南から見る利尻富士
山頂が見えるまであと少しだが、
この あと少しが難しい。
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オタトマリ沼の向こうに利尻富士
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オタトマリ沼に映る空と雲
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沼の近くに住む 鵜
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熊笹ソフトクリーム
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白い恋人のパッケージ
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オタトマリ沼の逆で海側
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ここからは当初の目標の夕陽ヶ丘展望台から夕日を見る目標に向けてギアをあげる。過去に走ったことがあるルートなので勝手は分かっているつもりだったが、当時と体力が違うことに気付かされる。意外とアップダウンが多くなってくる利尻島の東側だが、坂道をグイグイ上ってアップダウンを克服しながら走って行く。西側と違って見所らしい見所は姫沼ぐらいしかないし、姫沼は明日に回すつもりでいけば走りに集中できる。徐々に日は傾いてきた。鴛泊までの距離は詰まっていく。完走だけなら何とかなりそうだが、時間との闘いはきついものがある。島の東側から見る利尻富士は西側とは違った表情で複雑な稜線を見せている。傾いた太陽から光を浴びて稜線の複雑さがよりくっきりしているようにも見える。
日没まで30分以上残して鴛泊に戻ってきた。まだ太陽は高い。夕陽ヶ丘展望台へと急ぐ。まだ日は沈んでいないが展望台の駐車場へとたどり着いた。自転車を置いて丘を駆け上がる。老体に鞭を打って最後の力を振り絞って歩く。やや人は多いが夕日を見える場所を確保できた。海の向こうの礼文島に沈む夕日を見ることができた。今日は西には雲一つない空なのでくっきりとした夕日を楽しめる。昨日までいた礼文島の向こうに沈む夕日は感慨深い。礼文島から見ると昨日以上だろうから盛り上がり具合が想像できる。グループLINEで夕日を共有しながら楽しんで行く。見ているのは一人だが一人で見ていないような気がする夕日はどこか感慨深い。利尻富士もちょうど雲がなくなって完全な姿が見えた。景色を完全な姿で満喫していく。 |

徐々に日が傾いてきて焦る
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やっと山頂までくっきり見える利尻富士
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礼文島へ沈む夕日
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夕陽ヶ丘展望台から鴛泊へと戻り、セイコーマートで買い物して行く。閉店間際に買い込んでいく。買い物を終えてキャンプ場への坂を上っていく。今日はキャンプ場と温泉が隣同士なので快適な一泊が期待できる。さすがに利尻島一周は足に効いて登りは捗らないが、キャンプ場には到着できた。まずは温泉の方へ行って閉館時間をチェックする。まだ大丈夫そうなのでキャンプ場でテントを張って着替えを出して温泉に行く。温泉で疲れと汚れを落としてキャンプ場に戻る。今日は贅沢に行く。まずは米を湧き水で炊き昆布も一緒に炊く。米に昆布の出汁を付ける高級料亭の真似事をする。買っておいた魚自体も昆布締めで売られているので魚も昆布のうまみを吸っている。ご飯と刺身で昆布締め海鮮丼にする。ソイとヒラメは昆布締めでタコとホタテは刺身になっている。丁寧に刻み海苔やワサビも添える。セイコーマートで買ったナメコと豆腐も昆布出汁の汁物にする。根昆布を具にしてみようと思ったが、さすがに堅すぎた。水で戻して刻んで初めて使えるものだった。だが、昆布出汁の汁物は美味しく利尻昆布三昧を満喫できた。今日は思えば実りの多い1日だったと振り返りつつ眠りにつく。 |

冷凍の昆布締め
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昆布とキノコと豆腐で汁物
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昆布締めをのせて海鮮丼に
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昆布を入れて飯を炊く
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5日目 |
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利尻島・鴛泊 -ハートランドフェリー→ 稚内 |
2022/08/15 |
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鴛泊→姫沼→鴛泊・稚内→稚内温泉→稚内 |
30.79 km |
朝から片付けていると雨が降ってきた。通り雨とは思うがやむのを待ちながら朝飯を作る。今日は姫沼に寄ってからフェリーに乗るだけなのでのんびりしている。しかもフェリーは12:05だし予約も済んでいる。普通だと朝は料理しないのだが、今日は朝からお湯を沸かして利尻昆布ラーメンを茹でて食べる。出汁が利いた塩スープで美味しい。 朝飯を終えると何だか謎の多そうなお姉さんが話しかけてきた。ほぼ1本まるごと余ってるOD缶のガスをもらって欲しいと言ってきた。俺はカセットコンロなので無理かと思って一度断ったが、よくよく考えると変換で使ってるので、試しにバーナーに合わせてみたら使えそうだ。今になって考えてみたらEPIのバーナーにEPIのガスなので当たり前なのだが、カセットコンロ用しか使ってないので元々の型式を忘れつつある。もっと謎なのが靴がガムテープで固められている。これはトレッキングの最中に壊れたとのことだ。あと手に怪我が多い。これはトレッキングして降りてきた舗装路で転んだとのこと。手を怪我して靴が壊れたままレンタサイクルで利尻島を1周したり変わった人だと思ったら、俺と1日違いで桃岩荘に泊まって4時間コースを歩いたようで、人のことは言えないが変わり者が多い。旅の割と初日に大きな石を拾って持ち歩いたり、面白い感覚の人だ。 |

利尻昆布ラーメン
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昆布出汁とトロロ昆布が効いてる
チャーシューはセコマ産
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朝からラーメン
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快適な利尻のキャンプ
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テントを片付けて俺も出発する。まずはサイクリングロードを通って姫沼に向かう。山奥を通るサイクリングロードは珍しいが傾斜を緩くしてくれている。その分、序盤の疲れがたまり気味の俺にはありがたい。途中で深い谷を渡ったり変化の多いサイクリングロードを楽しみながら走っていく。姫沼へ上る坂道にぶつかりサイクリングロードは一旦終わった。ここからは我慢の走りで坂道を上っていく。傾斜はきつめだが距離は短く姫沼の駐車場にたどり着いた。
自転車を駐車場に置いて姫沼をトレッキングする。木道が整備されて小さい沼を一周回るだけなので、トレッキングポールは出さず靴にも履き替えずSPDサンダルのまま歩いて行く。わずかに風が出ていて湖面はざわついているため利尻富士が映ることはないが、周りの森を映している。道は立ち枯れした木々やそれを越えて繁茂する木や花が見える。ウと思われる鳥も見かける。今日も気持ちの良い晴れた空の下でトレッキングを楽しめるのは嬉しいことだ。花の種類は多いが名前などはその場では分からない。後で調べようとして結局調べないところが駄目なところだろう。楽しんで回ってビジターセンターに行く。姫沼の写真が売られているので買っていく。ビジターセンターを出ようとしたらエゾシマリスが蝉を捕まえて食べている。過去に釧路のあたりで見たことがあったが、こんなに小さいリスだったかと思うが鮮やかな縞模様はエゾシマリスだ。通常は警戒心が強いので写真を撮ることは難しいが、怪我をしてビジターセンターの軒先が一番安全だと知っているのだろう。カメラを構えても逃げることはない。 |

姫沼越しの利尻富士
今日は利尻富士が雲に隠れる
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風が止むと姫沼の水面に
森と空が映る
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エゾシマリス
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怪我をしているので
ビジターセンターの軒先が拠点
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姫沼の自然を楽しんだ後に、鴛泊の港へと下っていく。気がついたらフェリーまでの時間がほとんどない。少なくとも食事処で注文して出てくるのを待つ時間はない。出来てる物をテイクアウトということで昆布塩ざんぎを買ってフェリーターミナルへ行ってフェリーに急いで乗り込む。楽しかった離島旅は終わりを告げて本土の旅へとステージを移す。ここからは札幌を目指す走りになるし距離は結構長くしっかり走るので気合いは必要だ。徐々に雲が多くなっていく空を見ながらフェリーは稚内へと帰っていく。
稚内港に着いたら、まず稚内駅に行き、端っことしての写真を撮りに行く。すると4時間コースを一緒に歩いた人と再会する。同じ日に泊まった親子とも会う。4人で写真を撮ったり旅の話をして時間を過ごして、それぞれの旅路に解散する。俺も稚内駅のホームで写真を撮ったり記念入場券を買ったりして鉄道の最果てを楽しむ。(もう4回目だけど) 稚内駅を満喫したらノシャップ岬へと向かう。夕日で有名なノシャップ岬の昼間の到達だ。写真を撮っていくが昨日までの晴天から曇りに変わっていく。ノシャップ岬の次に稚内温泉 童夢へ向かう。行こうとすると、凄い数のエゾシカがパークゴルフ場で草を食べている。整備を委託されいるのかと思うほど丁寧に草を刈っている。進んで行ってもエゾシカを見かける頻度が異常に多い。辺鄙な岬の道にしては大きな温泉が見えてきた。これが日本最北端の温泉である稚内温泉 童夢だ。他に温泉旅館とかが無いかGPSで確認しながら最北端を探していく。やはりこれが最北端である。宿泊も日帰り入浴も含めての最北端であることを確認して、温泉に入る。最北端の入湯証明書も自販機で売っているので手に入れる。そのほか最北端と書いたタオルもある。漏らさず手に入れる。露天風呂から外を見ていると大学生と思われるチャリダーが通っていく。最北端が近くなってくると同業者が多くなってくる。休憩室の窓からエゾシカを見ていると、そこは俺の場所だからどけと言ってくる地元のじいさんがいる。そもそもおまえの場所などない。休憩室のテーブルと椅子でたまった日記を書きながら時間を過ごし、夕日の時間まで潰す。 |

ペシ岬を眺めながら利尻島から撤収。
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楽しかった離島旅を終わった
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日本最北端の線路
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稚内駅
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日本最北端の駅 稚内
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ノシャップ岬灯台
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ノシャップ岬
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パークゴルフ場を草刈りするエゾシカ
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日本最北端の温泉 稚内童夢温泉
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入湯記念タオル
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入湯記念カード
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ノシャップ岬からの夕日とフェリー
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日没が近くなってきたら温泉を出てノシャップ岬に向かう。今日は夕日は無理だろうと思っているが、奇跡を狙う。雲の隙間から夕日ヶ見えた。通っていくフェリーと重なるように沈んでいく良い感じの写真を撮ることができた。利尻富士もこんなに天気が悪いのに良く見えている。夕日を見送ったところで稚内市街地へ戻る。だが、今日は南稚内駅の近くにホテルを予約した。稚内だといつも夕食難民になってるイメージが付いてきた。稚内駐屯地のフェンスの向こうにエゾシカがいる。写真は撮れなかったが、今や自衛隊にエゾシカを雇っているのか、自衛隊の鉄壁のガードをもってしてもエゾシカの侵入を防げなかったのか…。
南稚内駅前に着いたらホテルにチェックインする。建物の軒下に自転車を置いて洗濯物を取り出す。ホテルのすぐ隣がコインランドリーになっているので洗濯する。洗濯している間に、近くで夕飯を食べに行く。国道に出ればロードサイドのチェーン店がいくらでも見える。駅から国道と平行に走る道は居酒屋が何軒かある。魚が美味しそうな店に入り、道北の魚を満喫する。宗谷産のモズクやツブ貝やカレイの干物を満喫する。
コインランドリーに戻って洗濯物を乾燥し、作業を終えたらホテルの部屋に戻り、眠りについた。 |

宗八ガレイの干物
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稚内産のモズク
少し磯の香りが強い
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刺身盛り合わせ
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ツブ貝
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6日目 |
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稚内 → 宗谷岬 → 猿払 |
62.22 km |
2022/08/16 |
朝から順調に雨が降り注いでいる。予報通りの天気である。窓の外の草や木を見てると嫌な傾向なのが、宗谷岬からこっちに向かって強風が吹いている。つまり、宗谷岬までは激しい向かい風ということである。朝からレインウェアを着て走り出す。まず、南稚内駅にほど近い緑湯(銭湯 兼 ライダーハウス)を探す。これが日本最北端の銭湯である。スマホで地図を見ながら走って見つける。今回は見るだけでスルーしていく。端っこ訪問履歴が1つ追加される。次にマクドナルドに寄って朝飯にする。日本最北端のファーストフードで飯を食うことで、今年1年で日本最南端と最北端の利用ということで制覇する。今回は飯を食べてるのでモニュメントの横に座って写真を撮る。(後の調査でロッテリアの方が、わずかに北にあることが分かりました)
お遊びはこのぐらいで本気の走りに入る。しゃれにならないほどの突風が吹き荒れている。とにかく漕いでも漕いでも進まない。平地なのに上り坂のような感覚で低いギアで踏み込んでいく。坂道は頑張れるが向かい風はイラつきしかない。雨と風で寒いし進まないし、かなり辛い走りが続いていく。ポジティブに言えば最果て感はあるし、荒れてる宗谷岬は初めての訪問になる。経験としては悪くはない。天気が悪い方が最果て感が出る体験は何度かしている。大雨の四国最東端 かもだ岬、九州最東端 鶴御崎なんかも行ったが、誰もいなくて荒れてる感じに最果て感は増す。今年はそういう体験をしに行こう。 |

日本最北端の銭湯 みどり湯
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宗谷岬へ向かう道
今日は向かい風が凄い
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日本最北端のマックを眺める
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日本最北端のマクドナルド
今度は日本最北端のファーストフードを
逃さず極めたい。
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稚内空港を過ぎてきついコンディションを粘り強く走るとセイコーマートが見えてきた。日本最北端のコンビニである。だが、ここは自転車を立てかけるな、ゴミは全部持って帰れだの客を鬱陶しいとしか思ってないようだ。買った客にまで「ゴミ捨てれないけど買いますか?」と聞いてくる。しかも今時ホットシェフもないし、このレベルでセイコーマートを名乗らないで欲しい。端っこである そこに立ち寄った それ以外の意味は何もない。
コンビニを過ぎて岬に近づくと遮る物がないからか風がもっと容赦なくなってくる。風にあおられて止まって転びそうなほどの強風になってきた。ギアもインナーまでいかないもののセンターのローギアか2枚目ぐらいを使っている。何度も足を着きながら目の前に見えている宗谷岬になかなかたどり着かない。 |

日本最北端のコンビニ
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宗谷岬園地の駐車場に入っても向かい風に苦戦しながら、日本最北端のモニュメントの前まで来た。通算4回目の日本最北端到達にテンションは上がる。日本縦断から自転車旅に深くはまって以来、25年も続けてきた旅とあって宗谷岬は原点のような場所なので感慨深い。モニュメントで写真を撮りたいところだが、観光客はまばらだし自転車が立てかけられないほど風が強い。ギリギリの安定を保ってる状態で写真を撮っていく。寒いし風も強いので、ふざけて最北端のさらに北の海に入る気にも自分を入れた写真を撮る気も起きず、さっさとモニュメントを後にする。 |

日本最北端 宗谷岬
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間宮林蔵の銅像
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来た人しか見れない
間宮林蔵の後ろ姿
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風が当たりにくいトイレの建物の陰に自転車を置いて売店へ行く。日本最北端 到達証明書を買って、-20℃を体験できる部屋へ入る。流氷と剥製で冬の宗谷岬を再現している。極寒体験あるあるになりつつあるが、レインウェアを着ているものの足下は短パンとサンダルなので寒さが直撃する。防寒着が借りれるのだが、足下だけは無防備なので、いつも寒い。
寒い夏の日に寒さを満喫したら、昼飯にする。日本最北端の食堂で塩ラーメンを食べる。熱々のラーメンが今日ほどありがたい夏の日はない。本土四極で4枚集めると1枚の絵になる到達証明書を何とか手に入れて、信号やバス停などGWに見た最南端と対極に当たる端っこを逃さず写真に収めて、宗谷岬を後にする。岬をオホーツク海側に回ると風向きは向かい風から追い風に変わる。走りとしては勢いに乗れる。このまま1日中向かい風かと思ったので助かった。今まで見てきたオホーツク海は静かで寂しい印象の海だが、今日は少し荒れた雰囲気である。 |

ここから-20℃に入る
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流氷と剥製。寒い。
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日本最北端の信号、横断歩道、
公衆トイレ、バス停、自販機、道路
自転車、食堂、宿がこの1枚に。
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暖かいホタテラーメン
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アップダウンは激しい地形ではあるが追い風で軽々と坂道を上って勢いに乗って下る。人も車もいない道で道北らしい低木の丘をこなしていく。しばらく進むと、ようやく雨がやんだ。岬を高巻きする山道を走っていると、足を怪我しているキタキツネが道路を渡りつつ近づいてくる。今年は野生生物の運に恵まれている。ゴマフアザラシ、エゾシマリス、エゾシカに続いてキタキツネと来た。やはり最後の大ボス 北海道の生態系の頂点に君臨するヒグマを見たい欲が増してくる。一時的に内陸で雨がやんで風を遮られたと思ったが、海沿いに戻るとまた激しい雨と風が遅いかかる。
今日はエサヌカ線の直線道路を満喫して浜頓別まで走りきる予定ではあったが、猿払まで来たところで続きを断念することにした。体力と時間は残されているし浜頓別はキャンプを2回ほどしていて勝手も知り尽くしているが、何よりこの天気でエサヌカ線に行っても楽しくない。16時過ぎに猿払のセイコーマートにたどり着いて休憩する。ついでに買い出しも済ませる。今日はお気に入りになりつつあるセイコーマートのジンギスカンと野菜を買っていく。猿払の市街地と思われる場所だが、店はこれだけで終わりだ。 相変わらずの激しい風と雨の中で道の駅 猿払に着いた。道の駅とキャンプ場と温泉が一体化した場所ということで、今日のゴールとなる。受付を済ませると、先客が話しかけてきた。人のことは言えないが、こんなコンディンションでキャンプする人がいるのも驚きだ。世話好きで話し好きな人で楽しくなりそうだ。キャンプ場はきれいな芝生のサイトで真ん中にステージがあって屋根がある。ステージ上への設営は禁止と書かれているので、それは予想通りなので諦めてステージの建物で風を遮ってもらえそうな位置にテントを張る。とにかく今日のテント張りは風との戦いだ。まずはグランドシートの真ん中にザックを置く。グランドシートの四隅をペグで固定する。次にテント本体を広げる。グランドシートをしっかり踏み込んで、テントのチャックを開けてテント内にザックを入れる。ポールを張ったらフライシートをかぶせてペグとロープで固定する。強風なのでテントを慎重に張り、荷物を全てテントに入れてウェイトを付けていく。着替えを出して温泉に行く。ついでに、まだ開いていた売店で買い物をする。 |

荒れ気味のオホーツク海
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道に現れたキタキツネ
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セイコーマートのジンギスカン
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今日は寒くて体が冷え切っているので温泉は非常に助かる。風呂で体を温めてテントに戻る。建物で風よけしつつ夕飯を作る。もう1人のキャンプ客と話をしながらご飯を炊いて、セイコーマートで買ってきたジンギスカンと野菜を焼く。こんな時にこんな場所でキャンプする変わり者同士なので話は盛り上がる。夜が更けて雨はやんだが風は強い。気温も夏とは思えない低さで水の冷たさに耐えながら食器を洗う。
道路の内陸側にある道の駅から海側にある駐車場まで地下道を歩いて行ける。地下道にブラックライトで浮かび上がる壁画が描かれているので見に行く。細長い道の両側にびっしりと描かれた絵は不思議な世界観を出している。海の方からはオホーツク海のイメージとは異なる音が未だに響いている。テントに戻って眠りにつく。 |

道の駅から海側につながるトンネル
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赤ベースの壁画
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なかなか繊細に書かれている
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7日目 |
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猿払 → エサヌカ線 → 浜頓別 → 中頓別 |
72.74 km |
2022/08/17 |
朝はすっきりと晴れている。日向で風を当てながらテントを乾かして荷物をまとめていく。昨夜に地下道から抜けた道路の向こうの海側に立ち寄っていく。太陽に照らされている海は波が高い。キャンピングカーで旅する人に写真を撮ってもらって話をしてから出発する。
海沿いを少し走ると、今回の旅の目玉の一つであるエサヌカ線へ入る分岐に出た。このルートは以前にも走ってるがスルーしていった。今になって考えてみると、国道で猿払から浜頓別に向かう中で並行に走ってるだけの絶景ロードなのに何故寄らなかったのか不明だが、それだけ行き急いでいたのだろう。海沿いに近づいて南へ向かうと気持ちの良いぐらいの直線ロードが続く。左に原生花園と海が見えて前方は遠くの山が見えている。100%の晴れでは無くちぎれたような雲がポツポツ浮いてるのが、また雄大さを引き立てている。道から外れて海まで歩いて見ると、もう1本ダートが海沿いに走っている。オンロードタイヤなのでいけないが、オフロードツーリングも憧れるところだが、さすがに動力が付いてないと厳しいか。原生花園沿いの真っ直ぐな道を走ると、一度クランクして牧場沿いに出る。同じような直線道路だが、原生花園と牧場で違いを楽しむ。作られたような圧倒的な真っ直ぐ感は牧場なので、一般的に映えるのは後半だろう。だが、俺はワイルドな前半の方が好きだ。 |

晴れると気持ちの良い猿払のキャンプ場
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少し穏やかになったオホーツク海
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エサヌカ線から見る原生花園
越しのオホーツク海
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エサヌカ線の真っ直ぐな道
両側は原生花園
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圧倒的に真っ直ぐ。青い空と緑が映える。
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エサヌカ線の豪快さを満喫して、浜頓別に着いたところで、ベニヤ原生花園にも立ち寄ってみる。今年はサイクリングとトレッキングのハイブリッドツーリングをテーマにしているのでトレッキングも楽しみたいところだが、花がピークでもないので歩きは諦める。浜頓別の市街地へと向かっていく。オホーツク海のルートでは比較的栄えている浜頓別なので美味しい店もあるかと道の駅に立ち寄ってみる。旅を始めたばかりの大学生と話す。急に思い立って日本縦断にトライしようとしているが、この無鉄砲な若さが微笑ましい。俺が日本縦断した時は計画段階から熟考して進めたので大きく異なる。
セイコーマートで昼飯を食べていく。中頓別鍾乳洞にも行きながらも17時にはピンネシリのキャンプ場に行きたいので急ぎ気味である。たまにはキビキビと足に力を入れて走り抜くのも良いだろう。まずは中頓別を目指していく。このルートを走るのは3回目なので道の感じもだいたい分かっている。徐々に登っていく道をグイグイと力強く走っていく。国道から少し外れて鍾乳洞の方へ近づくと傾斜は出てきたが距離は短く、ほぼ人影がない鍾乳洞へと向かっていく。
鍾乳洞自体は無料だがパンフレットや情報を見れる建て屋があって、自販機とゴミ箱もあるので、ちょうど良い水分補給の拠点でもある。公園内で熊が出るということで熊鈴を付けて歩いて行く。鍾乳洞の入口までも自然豊かな道を歩く。いくつかの入口がある鍾乳洞なので全部を見るか迷うところだが、一番大きいところから入っていく。中は狭く腰をかがめて入っていく。真っ白な鍾乳石というよりは少し黒みがかかっていて苔も生えている。不思議な鍾乳石の形を楽しみながら洞窟へと入っていく。そんなに長さのない洞窟を往復し、残りの入口は内部まで入れる洞窟では無く入口だけを見ていく。今年は石垣島の日本最南端の鍾乳洞に続いて、日本最北端である中頓別鍾乳洞も楽しめたので端っこを極める意味でも重要な洞窟探索となった。 中頓別鍾乳洞を出ると国道でピンネシリを目指す。キャンプ場の受付が17時までなので、そこに間に合わせたい。まあ、交渉の余地はいくらでもあるんだろうけど、時間を間に合わせることは重要だ。途中の買い出しもしたいところだが、道の駅だし温泉もあるし飯にはありつけるだろう。坂道をグイグイと走っていくと、時間は徐々に17時に迫っていくが、距離も詰めていく。 |
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日本最北端の鍾乳洞
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鍾乳石の白さは目立たず苔が生える
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17時に少し余裕を持って道の駅に着いた。前の人が受け付けしてる間に売店を見るが、産直的ではなく生鮮食品はない。辛うじて見つけたチーズを買い集めていく。キャンプ場の受付を済ませてアイスを買って一安心という感じである。中頓別産の牛乳とバニラを使ったシンプルなアイスに今日の疲れは癒やされる。道の駅が閉まった直後にライダーの方が受付しようとしたが窓口は無い。道の駅の裏口で受付を済ませていた。今日は俺も含めてライダーさんともう1組ぐらいしかいない。山奥の辺鄙なキャンプ場で客も少ない。
まだ明るい時間にテントを張る。性格的にはソロキャンプ好きなので、辺鄙なキャンプ場の辺鄙な場所にテントを張る。今日は空が晴れているのでピンネシリ岳の稜線がくっきりしている。テントを張って火器の準備をして着替えて洗濯と風呂に行く。道の駅にコインランドリーも併設されてるので、汚れ物を洗濯機に入れていく。今年は凡ミスでTシャツの枚数が足りないので洗濯できるときにしておく作戦である。このピンネシリに来たのは3回目で、1回目はロード乗りの人と来てパンク修理に苦戦して断念し、2回目は昼飯で立ち寄って、3回目で念願の入浴と宿泊ということで楽しみしていたピンネシリ温泉にテンションが上がる。
風呂上がりに洗濯物を乾燥機に移して、テントへと歩く。サイトの隅っこの方なので他のテントも無く真っ暗だ。炊事場の明かりがつくかと思ったら通電されていない。仕方なく真っ暗な中でヘッドランプだけで料理をする。料理と言っても今日は稚内で買ってきたお湯でパックごと温めるじゃがバターと道の駅で買ったチーズと猿払で買ったホタテのおつまみで夕飯を済ませる。芝生に敷いたレジャーシートに仰向けになりながら、星空を楽しむ。山の際と星空が見えて見事な空を楽しめる。このあたりは大きな街がなく辺鄙な場所なので星がよく見える。
星空を楽しんだら洗濯物を回収しに行く。キャンプと道の駅と温泉とコインランドリーが全部あるので山奥にして便利な場所である。荷物の整理も終えて眠りについた。 |

なかとんアイス
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敏音知岳
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国鉄天北線 敏音知駅跡
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レトルトのじゃがバターが美味しい
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売店で買ったカマンベールチーズ
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8日目 |
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中頓別 → 歌登 → 音威子府 → 美深 |
73.86 km |
2022/08/18 |
今日は美深が目的地だが、まっすぐ行けばすぐに着いてしまう。何があるのか特に詳しく知らないが、妙に名前だけ気になる歌登へ立ち寄ることにする。ピンネシリを出発して音威子府に向かう国道を走っていく。ちょうど峠になってるところまで登り切ると、歌登へと曲がる分岐をオホーツク外側へ走って行く。ほぼ車も人も見かけない辺鄙な道を下っていく。後で登ってこないといけないことは忘れて気持ちよく走って行く。
何に惹かれて歌登に行こうと思ったのかは俺もよく分からないが、何かあるのか何も無いことを楽しむのか分からないところである。道に咲いてる花や森を見ながら走って行くと、いきなり高原の街という感じで市街地が見えてきた。何かがあるかというと、予想通りに何も無い。とりあえずは昼飯と言うことで店を探す。数軒ある中で寿司とそばが楽しめる店に行く。ちらし寿司とそばのセットを頼んでみる。韃靼そばは少し黄色を帯びていて不思議な感覚だ。香りものどごしも良く美味しい。海鮮ちらし寿司はさすがの寿司屋さんでどれも新鮮で美味しい。歌登は何も無い場所かと思ったら美味しいそばと寿司を味わえる場所であった。 駅逓跡があるそうなので見に行く。最近、ハマっている北海道の鉄道廃線跡かと思ったら石碑があるだけだ。ピンネシリから音威子府を抜けて真っ直ぐと美深に行くより30kmの遠回りを楽しんで行くために、行きとは違うルートで峠を越えていく。さっきの寿司屋さんの大将が言うには山の中を抜けて美深の山奥へ行くのもあり、地図で見て魅力は感じていたが、いかんせん途中が辺鄙すぎて辿り着く自信が無かったので今回は見送りにした道である。今さらルートを変えることはできないので、音威子府へ向かう。 |

ぽつんとソロキャンプ
敏音知のキャンプ場
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美味しい韃靼そばとちらし寿司
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咲来峠(さっくるとうげ)は自転車旅で峠を越えまくってる俺としては急過ぎることはないが、北海道にしては傾斜は強めに感じる。冬場は過酷なルートなのか過積載注意の標識が何度も出てくる。確かに自転車も過積載には気をつけたい。山深い峠を越えて、音威子府に向かっても急な下り坂が続く。音威子府駅よりは少し美深寄りに降りてきてるので、音威子府に立ち寄ることはない。音威子府と言えば蕎麦の名産地だし、音威子府そばという色が濃い蕎麦も有名だ。記憶ではそれ以外は店らしい店もなかったので、スルーしていく。
もう4回目になる音威子府から美深への道を走る。小高い丘が連続していて意外とアップダウンは多いが、負荷はだいたい分かっているので気楽に走って行く。今日もキャンプ場のチェックイン時間を意識した走りをしていく。最後は少し飛ばし気味に走って行く。雄大な畑を見ながら進むと、道の駅へと到着した。 |

確かに過積載には気をつけないと
いけないと思います。
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咲来峠の真っ直ぐな坂道
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過積載気味の自転車に対する警告?
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道の駅と温泉とキャンプ場が併設されているので、ここで一泊とする。道の駅は産直が充実していて買い出しも出来る。野菜とチーズと羊のホゲット肉を買っていく。今日の夕飯は充実しそうだ。買い出しを済ませて、キャンプ場へ行く。昔 来た時は夜の20時過ぎに駆け込んで風呂もキャンプも使わせてもらったが、そのときと同じく人の良いオーナーに受付をしてもらう。今日も明るいうちにキャンプ場へ辿り着いたので、余裕を持ってテントを張る。夏休みとあって混雑気味であり、サイトは歳がいってる人が多い。隣もリタイヤされた女性が一人でキャンプをしている。テントを張っていたら飴をいただいて話をしていると、テントは自ら柱とシートで建てて、ステップワゴンがまるごと収まっている。テントも張られてテーブルもある。女性一人で立てているというパワフルさに驚く。ビルトインガレージ付きのテントは初めて見る。
キャンプの準備が出来たら、自転車の様子を見る。ペダルを踏み込むと異音が聞こえる。だが、荷物を下ろしてしまうと異音が再現しない。原因が分からず不安な状態である。自転車を置いて温泉に入りに行く。これで7日連続の温泉ということで北海道の奥深さを満喫していく。温泉を満喫したら夕飯を作る。フライパンで肉を焼きつつ野菜も焼く。産直で手に入れたナスやシシピーを焼きながら、この旅で初めてのキャンピングでのビールを飲む。羊のホゲットはラム肉の概念を覆す美味しさである。肉と野菜とチーズでお腹を満たして夜はふける。 |

ミルキーなソフトクリーム
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美深のナチュラルチーズ
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買い集めた夏野菜
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夏野菜も焼いて楽しむ
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牛肉のサーロインステーキ
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ホゲットを塩こしょうで焼く
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9日目 |
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美深 → 仁宇布 → 松山湿原 → 仁宇布 |
47.62 km |
2022/08/19 |
今日はタフな1日になる。美深から山へ入って、今年では最大の山場である松山湿原を目指す。早朝からテントを片付けていると、隣のテントの女性から暖かいカフェオレをごちそうになる。夏とは言え北海道の早朝は寒いので、体が温まって非常に助かる。借りた器を洗って返して、挨拶して出発する。美深には毎年来られてるようで、このあたりの山道は奥深いということで、また来たい場所である。
朝早く美深の市街地へ行き、美深駅へ立ち寄る。駅舎の2Fにある美幸線資料館を見ていく。職員が少し早めに出勤して開けてくれたようだ。昔の鉄道の資料を見ながら活発だった北海道の鉄路を思う。今日から上がっていこうとしている山には美幸線の跡地を活用したトロッコがあり、それに乗るのも目的の一つである。 |

美深温泉キャンプ場
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美深駅を後にして峠道を上り始める。途中までは美幸線が走っていた領域なので、傾斜は比較的緩い。じりじりと坂道を登っていく。徐々に森が深くなっていく景色を楽しみながら坂道を登る。左側に線路の折り返しが見えて、右には遠くに滝が見えるところまで来た。トロッコの終点が見えてきたので、最初の目的地である仁宇布(にうぷ)に近い。休憩していると鳥と衝突した車が寄ってきた。グリルに羽がついてて、無事なのか心配しているので、ボンネットを開けてグリルとラジエターのあたりをのぞいてみる。特に損傷はなく鳥も残ってないので走りに影響はなさそうだ。安心して車は戻っていった。
しばらくするとトロッコがやってきて折り返そうとしていた。俺も出発して走って行く。道路の左に見える線路にトロッコがゆっくり走っている。森の中を駆け抜けつつ川を橋で渡ったりで変化も多そうだ。上手くいけば松山湿原に行って夕方の便に乗りたいところだが、現実的には明日の朝の便だろう。
しばらく走ると仁宇布駅跡に着いた。まずは、キャンプ場の受付を済ませる。受付には人が居ないので電話で呼んで対応してもらう。何もないキャンプ場に3500円と破格の高さである。だが、美深まで下ってしまうと戻ってくるしかないし、今からトロッコに乗って帰ってから松山湿原に行くと日没までに降りてくる自信は無い。何もなさを3500円で楽しむのも有りだろうか。料金を払ってキャンプ場を使うことにした。トロッコの駅で明日の朝のトロッコを予約する。これで段取りは整った。トロッコの駅で昼飯を少し早いが食べていく。今日はレトルトのカレーしか夕飯で食べるものがないのに、ここでもカレーを食うという凡ミスをする。 |

仁宇布駅に保存している車両
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中は寝台車の構造
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美幸線跡の線路
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昼飯はカレーとざる蕎麦
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仁宇布駅を過ぎると、一気に辺鄙な山奥へとなっていく。途中、キタキツネが併走して藪の方へと戻っていく。国道から外れて松山湿原へと向かう道に曲がる。ここからは容赦ない狭い坂道が始まる。覚悟はしていたが、坂道を耐えていく。標高700m程度まで上がるので、仁宇布駅前からでも400m近い標高差を上がることになる。時々、木々の隙間から下界を見下ろせる。周りの山も晴れてくっきり見えて気持ちが良い。車やバイクをほとんど見ること無く坂道を上り続けて、天竜沼の駐車場まで登り着いた。
ここでSPDサンダルからトレッキングシューズへと履き替える。サイドバッグからトレッキングポールを出す。格好から入っているタイプではあるが、登山モードに切り替える。入山届に名前を書いて登山道を歩いて行く。自転車での登坂で既に足がパンパンなので歩きは全く捗らない。登れば登るほど足下に花の種類が増えていき、楽しみはある。さらに下界の抜け感が広がってSUBARUのテストコースを眼下に見下ろせる。遠くの山も広がりが見える。コースタイムより大幅に時間をかけたが、松山湿原の平原に出た。湿原は木道が整備されている。広々とした草原に生き残ったわずかな低木が不思議な形をして立っている。この不思議な景色を眺めながら木道を回っていく。足下には高山植物が咲き誇っている。北海道三大秘境とも言われる松山湿原には人は誰もいない神秘的な光景が広がっている。木道を進んで行くと、いくつも沼が現れる。沼の中に生えてる植物がモダンアートのような模様で浮いている。自然の景色でここまで魅せるものがあるとは想像もしていなかった。変化に富んだ湿原を満喫しながら回って戻る頃に霧が立ちこめてきた。視界がなくなると不安なので、急ぎ気味に下り始める。少し標高が下がると霧は出なくなり一安心である。 |

坂道を途中まで上ったところ
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自転車で上れる限界の天竜沼
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道からかなり上ってきて眺めが良い
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北海道三大秘境 松山湿原
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厳しい自然で低い木しか生えない
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水草がモダンアートみたいな沼
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天竜沼に下ってきて、またトレッキングシューズからSPDサンダルに履き替えて坂を下る。ここで自転車に異変を感じる。どうも後輪がふらついている。一度、自転車を止めてスポークを触ってみると、何本か緩いものがある。本来はピシッと張ってないといけない。見た目に振れてるわけではないがテンションが下がってきている。ここでは直しようがないので、慎重に下っていく。速度が上がるとブレが大きくなるので恐怖感が出てくる。速度は上げすぎずに行く。途中の分岐でダート往復して滝を見ようと思っていたのは諦めることにする。沖縄本島の旅でリムが破損して、ホイールを作っていたが、GWの旅に間に合わず暫定で既製品のを買って、宮古島と八重山諸島では無事に走れたので、このホイールのまま来たが、やはりツーリングのようなヘビーデューティに耐える代物では無かった。
坂道を下ってきて、分岐で記念撮影をして、仁宇布へと戻っていく。さすがに、最終便には間に合わずキャンプ場へ行く。ここには風呂も何もないので寝るだけだ。キャンプ場は羊が飼われているので、せっかくだから放し飼いしてるスペースのすぐ側にテントを張る。テントに荷物を放り込んで、一度空荷にする。自転車を逆さにしてホイールを空転できるようにする。そこでスポークを触りながら張りが無いものをニップルを締めて張りを取り戻す。だが、闇雲に締めていくと振れが出るので、ブレーキを目印に振れ取りを軽くやりながらテンションを締めていく。全てのスポークが手で触って張りを感じる程度に仕上げて作業を完了とする。 |

天竜沼
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帰りは霧が出てきた
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無事に下山
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戻ってきての秘境への入口
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手を洗って米をといで、コッフェルに水を汲んでくる。さすがに水道はある。米を炊いて、フライパンでSPAMとシシピーを焼く。SPAMはGWの沖縄で買ったきり料理せずに持っていたものだが、やっと荷物の中のスペースと重さを開放してくれた。次にコッフェルでレトルトのカレーを温める。SPAMを食べたフライパンでカレーライスにする。稚内と猿払で買ってきたカレーはシーフードの出汁とカレーのスパイスで美味しい。
日が暮れると真っ暗になるキャンプ場には羊の息づかいと鳴き声が聞こえるだけの静かな場所である。利尻島でもらったガス缶をやっと使い切ったところで、確実にガス缶を捨てられるキャンプ場を士別に予約した。今日は雲が出てきて星は見えないので、早めに眠りについた。 |

何もないことを楽しむキャンプ場
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羊のすぐそばでキャンプ
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シシピーとスパムの炒め物
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稚内で買ったタコカレー
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10日目 |
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仁宇布 → 名寄 → 士別 |
72.78 km |
2022/08/20 |
朝は早めに目が覚める。誰も居ないキャンプ場で強めの風にあおられてはいたが、静かな夜を過ごした。そして誰も居ない朝は静かだ。このキャンプ場は雨をしのぐ場所がないので、雨が降る前に急いでテントを撤収する。昨夜は簡単な料理しかしてないので、大きく散らかることは無くシンプルに撤収は終わる。キャンプ場を後にして、すぐ目の前にある仁宇布(にうぷ)駅跡のトロッコ乗り場へ行くと、ちょうど雨が降ってきた。公衆トイレの軒下に自転車を置いて、レインウェアを着る。
雨でも運転可能なトロッコの説明を聞き、2番手としてトロッコに乗り込む。1組1台なので、自分で運転が楽しめる。50ccのエンジンをかけてもらい、アクセルとブレーキを教わる。シフトとステアは無い。車を開発している人からするとステアリングが無いことに違和感と不安しかないが、レールの上を走るので当然と言えば当然だ。1番の人が走り出して姿が見えないぐらいの車間距離になったら俺も走り出す。開放的なトロッコの上で、きれいに整備された旧美幸線の鉄路を走る。線路の継ぎ目や踏切でガタンガタンと音が鳴る感触は鉄道そのものだ。景色は白樺の森と川を見ながら走るので変化もあり、森の気持ちよさもある。旧踏切は今は鉄道優先ではないので、基本は道路優先であるが、車や人が来ることは無い。どのぐらいのブレーキで止まれるのか感触を確かめつつ、踏切では指さし確認をしながら走る。アクセルもブレーキも足で操作だし、ステアリングは無いので、両手は空いている。カメラで周りを撮りながらでも良い。鉄道の運転士の気分を味わい、周りを撮る気楽さも味わい、最新のハンズオフレーンキープシステムも楽しめる。
たっぷりな距離を味わって折り返し地点まで着く。昨日、休憩に立ち寄った場所である。帰りもたっぷり楽しめると思うとワクワクする。俺の後ろに結構な台数のトロッコが来た。説明を聞いてた時は1組しかいなかったが、賑わってるようで何よりだ。雨に降られること無く走って行くが、自転車を漕がずに風に当たるので寒さも感じるのでレインウェアを着ておいたのは正解だった。帰りは行きでコースを把握したので、写真を撮りたいところでスピードを落としたり、考えながら走って行く。途中でエゾシカが線路の横に現れた。JR北海道でもエゾシカが線路を渡って列車が止まる事があるので、これがリアルな北海道だろう。良く考えると、ヒグマが出ると前進しか出来ないし線路上だし30km/hしか出ないので逃げ切れない。考えたら恐ろしい。帰りも満喫しながら仁宇布駅まで戻ってきた。 |

雨が降る前に撤収
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ちゃんとした整備基地がある
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美幸線 旧仁宇布駅の記念碑
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廃線跡の線路に向けて出発
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本物の国鉄時代の線路を走る
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両サイドの木々が気持ち良い
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折り返し地点
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鉄道運転士になった気分
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川も渡る。柵がない端の上
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結構な広さの川を渡る
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こんな車両で走る
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開放的な眺めと線路
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大満足のトロッコ運転体験を満喫し、古い寝台列車跡を見て、出発する。序盤は下り坂なので気楽である。10時からのトロッコと良い勝負で坂道を下っていく。折り返し地点までは俺の方がやや早く着いた。下りとは言え調子は良さそうだ。最大の山場を昨日に終えて、ここからは走り勝負になってくるので、走れる事も大事だ。折り返し地点を過ぎたら雨が降ってきた。予報では朝から雨だったが、トロッコ運転中は降らずに済んだし十分だろう。美深市街地まで下っても良かったが、少し辺鄙な道から智恵文(ちえぶん)のひまわり畑を目指す。
智恵文沼の眺めや丘に広がる畑の眺めを楽しんでいく。雨と風の中を耐えながら走って行くと、ひまわり畑が見えてきた。だが、何度も行ってる智恵文のひまわり畑にしてはスケールが小さくなったように感じる。休憩しつつネットで調べてみたが、今やひまわり畑と言えば智恵文 智恵文と言えばひまわり畑というわけでもなく、名寄のサンピラーパークが主流になったようだ。それでも本州で見かけることの無いひまわりには元気をもらっていく。智恵文から名寄までは、また辺鄙な天塩川沿いの道を走っていく。車と遭遇することもない道で天塩川を眺めながら走って行く。名寄市街地に近づくと遮るものの無い向かい風に苦戦する。
サンピラーパークに近づいたところで昼時だが、市街地を回避した位置を走ってるので店がない。サンピラーパーク直前にテイクアウト専門の店があったので、ここで足を止められて昼飯にする。元々はソフトクリームが美味そうと思ってしまったのだが、バーガーもある。バーガーが出来るまで寒さに耐えながらソフトクリームを食べる。濃厚な抹茶とミルクの味を満喫する。しばらくすると、もみじバーガーとぼっこのジンギスカンと呼んでる棒状の春巻きのような生地にジンギスカンとチーズが入っている。もみじバーガーはエゾシカのパティが照り焼きソースで彩られている。前にエゾシカのジンギスカンを食べたときは臭みに辟易した記憶があったが、これは臭みは全くなく、あっさりしている。 |

智恵文から美深方面の眺め
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智恵文沼
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ジンギスカンとチーズが入ってる
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エゾシカのもみじバーガー
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抹茶とミルクが濃厚なソフトクリーム
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智恵文のひまわり畑
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以前より少しスケールが小さくなった
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栄養補給してサンピラーパークへ向かう。前にキャンプもしたことあるので、来たのは二度目だ。ひまわり畑はそんなに大きくなく、ちょうど直撃した台風に倒されてしまっていたのを思い出す。ひまわり畑は丘に作ってあるので、公園内の坂道を登っていく。軒下に自転車を置いてひまわりを見ていく。さすがのスケールで満開のひまわりがこっちを向いている。写真映えを狙って開いた扉の向こうにひまわりが広がっているモニュメントもある。雨の中ではあるが、圧巻のひまわりに元気をもらう。北海道のひまわりと言えば、名寄と北竜。どちらも圧巻のスケールだ。
名寄駅前に下って、今日の目的地の士別までのコースを情報収集する。距離的には17時到着がギリギリぐらいだが、強烈な向かい風が吹いていて苦戦しそうだ。名寄からは幹線国道である国道40号線をひたすら進むだけで過去に2回走ってるので坂道も大したこと無いのも分かっている。交通量の多さで向かい風を蹴散らしてもらいながら走るのを期待するが、そうも行かず向かい風に苦戦する。雨がやんだ代わりに強い風に煽られていく。途中で名寄の道の駅で休憩し、産直で買い物する。明日の朝飯にするべく名物の餅を使った大福を買っていく。 |
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夏の扉
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名寄サンピラーパークのひまわり畑
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何とか士別の市街地に近づいてきたが、チェックイン時刻の17時には間に合いそうもない。市街地でちょうど17時になってしまった。キャンプ場に電話を入れたが、特に気にせず来てくださいとのことで、士別の道の駅にも立ち寄っていく。スタンプ収集を考えると、今日中にスタンプを押しておきたい。羊の肉を買っていく。市街地から少し南下すると温泉とコインランドリーがあった。さらに進んで丘を登るとキャンプ場に着いた。今日は風呂と洗濯のために、もう1度登ってくることになるが、それほど苦にはならなそうだ。
受付を済ませたら、ここでは農場直営でサフォークが売られている。夕飯のために買っていく。物凄くきれいに整備されたキャンプ場の中を行くと車ごとキャンプしてるオートサイトの奥にフリーサイトがある。今日はフリーサイトを一人で使って良いことになってるのだが、とてつもなく広いサイトのどこに張るか悩むところがある。色々考えると端っこに張る。どうも貧乏性が抜けない。粘土質の土と草地のサイトだが、水はけが良いのか雨の影響は感じない。テントを張っているとオーナーが挨拶に来てくれた。設備と言い接客と言い素晴らしい。 テントを張り終えたら、火器だけ準備してオートサイトの側にある広場へ行く。ここにカフェバーがあって酒やつまみを売っている。今日はワイン輸入業者による試飲と販売もやっている。せっかくなので試飲してみると、人間として駄目になりそうなほど美味いワインがある。カフェバーでクラフトビールを1杯買おうとしたら、俺の前で並んでる人で売り切れそうだ。ギリギリ 俺の分が1杯あった。ビールを飲みながら、このキャンプ場の名物であるたき火を見ていく。 |

名寄のご当地コーラ
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大きくきれいなたき火を囲む
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たき火の職人さんがきれいに組み上げた焚き木に豪快な炎が上がっている。たき火を見ながらまったりする人やテンション上がる子供たちなど色々だが、たき火が人の心を動かす力を感じる。これで、夏の旅は最低5年または無期限で休止となる予定だが、最後を彩る思い出にもなりそうな印象的なたき火である。中国に行ってからの5年間を耐え抜いて頑張ろうというか楽しもうという決意を新たにする。
現実に戻り風呂に行く。丘に登る前に見た温泉へ行く。昨日は風呂に入りそびれているので、今日の温泉は非常にありがたい。コインランドリーへ行って洗濯と乾燥をする。その間に日記を書き進める。乾燥まで終えたら22時になった。キャンプ場に戻って夕飯を作る。といっても今日は肉を焼いてトウモロコシを茹でるだけだ。まずはキャンプ場直営のサフォークを塩で焼く。出来るだけレアでと言われるだけあって、肉は表面だけ強めの焼き目を付けたら出来るだけ早く食べる。脂の乗りも肉の弾力と柔らかさのバランスが良い。臭みなど一切なくラム肉の美味しさがあふれる。ジンギスカンも野菜と一緒に焼く。今日は一人焼肉と言う感じである。白いトウモロコシも軽く塩ゆでするだけで美味しい。
昼過ぎまでの雨から打って変わって空は晴れている。夕飯を食べながらふと空を見ると満天の星が広がっている。こんなにアメニティが充実したキャンプ場だが、感動的なほどの星空を楽しめる。洗濯と自炊をしてるので遅くなったが眠りについた。 |


シンプルに塩だけでサフォークを焼く
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ジンギスカンも美味しい
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11日目 |
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士別 → 幌加内 → 秩父別 |
98.33 km |
2022/08/21 |
朝から晴れている。名寄で買ってきた大福を朝飯にして、炊事場でモバイルバッテリーを充電しながら、テントを片付ける。予定通りにガス缶をキャンプ場のゴミ箱に捨て充電も完了して、残りの日数は確実に困らない状態になった。放牧されているサフォークに癒やされるし、キャンプ場にレストランが併設されていてサフォークの料理を楽しめる。1泊ではもったいぐらいで、ホテルでバカンスするのをホカンスと呼ぶように、キャカンスしても良いほどのキャンプ場を後にする。
士別からは一度西の方へ移動する。今日は幌加内を抜けて秩父別まで行くのが最大目標だが、場合によっては幌加内で一泊というプランだ。士別から西へ向かうルートは横風を受けながら、アップダウンの多い道を進む。何だかんだで今年は浜頓別からは内陸の山岳を走っているので高低差や傾斜の厳しさは本州ほどではないが山ばかり走っている印象である。途中で遭遇したコスモスロードは既にコスモスが満開である。道北は既に植物相が秋になってきている。幌加内に辿り着く前に蕎麦畑を見るが、白い花の時期は終わりつつある。 |

道の駅なよろで買ってきた大福
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だだっ広いフリーサイトにぽつんと1つ
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士別 ペコラたき火キャンプ場
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コスモス街道
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士別の蕎麦畑
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そろそろ秋の気配を感じる
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徐々に辺鄙になっていく道を進むと、トヨタの寒冷地用テストコース沿いになる。いつまで経っても横はトヨタでコースの広さがうかがえる。北海道の北の方は色んな自動車メーカーやタイヤメーカーのテストコースがある。今までに日差、スバル、トヨタのコースの前を通ったことがあるが、どこも郊外の辺鄙なところにある。トヨタのテストコースを過ぎると長く続いた坂道が少し急になって、朱鞠内と幌加内に曲がる分岐にぶつかるところで、こっちから行く坂道は終わる。日本海に抜けると霧立峠に向けて少し登るのだが、これはまたいつか走っておきたいルートの一つではある。
分岐にあるそば屋で昼飯にする。幌加内の蕎麦が楽しめる。前に幌加内から朱鞠内に向けて走った時に昼飯時では無かったのでスルーしたので気にはなっていた店である。店は地元の人と旅人で賑わっている。シャキッと仕上がったざる蕎麦は喉ごしの良さと香りが楽しい。サイドメニューのそばかま天もかまぼこに蕎麦が練り込まれた素朴な味が美味しい。昼飯を食べ終えたら、添牛内(そえうしない)の駅を見に行く。ここ数年はYoutubeで廃線跡を巡る動画や廃線前の北海道の鉄道を見ているので、興味が湧く。きれいに保存してある駅舎は今になってみるとローカル線の駅にしては立派なもので、かつての活気を感じる。 |

霧立亭の蕎麦とそばかま天
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深名線 添牛内駅跡
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ここから地獄の向かい風が続く。稚内から続いている連日の山岳コースに今日も幌加内に来るまで山道を越えてきているので足の疲れがピークに達している。左に川を見たり蕎麦畑を見ながら向かい風に耐えていく。しかも今日は暑いので水の消費が激しい。ヘトヘトになりながら、前に蕎麦畑を見渡した展望台に来てみたが、蕎麦の花はピークを終えて実の収穫に向かっている色になってきた。蕎麦畑の雄大さは凄いが、花が時期を過ぎてるのは残念だ。やはり植物相が秋に近づいているのを実感する。
体力の限界に近い状態で道の駅に辿り着く。道の駅で、夕飯に使う蕎麦を買う。そこで、そばソフトクリームと地元の蜂蜜をかけたアイスを食べる。蕎麦の香りと濃厚な蜂蜜のコクのある甘さが疲れを取ってくれる。ここでペットボトルに水を入れてもらう。幌加内は辺鄙な道が続くので水分の確保は重要だ。道の駅を過ぎてから風が少し穏やかになってきた。だが、時間もまあまあ遅い。旧幌加内駅がある町役場で資料館を見ていく。深名線の幌加内駅ということで、かつての深名線の資料が見れる。
幌加内の蕎麦に彩られた盆地も終盤になってきて、最後に眺めていく。前に来たときはお盆前なので蕎麦の花がピークで見事だったが、この季節になっても終わりかけの花と実り始めた蕎麦の広がりが見事だ。幌加内にキャンプ場があるので泊まることも考えたが、幌加内のキャンプ場は風呂が近くにない。温泉自体は道の駅にあるが、道の駅は北寄りで明日の走行量が大幅に増えるしキャンプ場は無い。前に野宿はしたが、基本的には積極的に使いたい作戦ではない。幌加内自体は物凄く良いところなので、そういうところだけ上手くまとまってくれたらツーリングの定番スポットになってもおかしくない場所だ。 |

蕎麦畑は秋の気配
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蕎麦と蜂蜜のソフトクリーム
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雨竜川を見ながら走る
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廃線跡の鉄橋
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幌加内交流プラザ内
展示室
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深名線の跡を展示
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雄大な蕎麦畑
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幌加内の蕎麦畑を眺める
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幌加内峠を登り切ってトンネルを抜ける。長い下り坂を楽しみながら距離を稼ぐが日は暮れてきている。今日は秩父別まで行くことを決めた。まだ30km近くあるのでタフな走りが要求される。今のペースで行くと今日の走行距離が90kmを超えて100kmの大台にも乗りそうだ。下り基調の道ではあるが、地味なアップダウンが多い。坂道が一段落すると田畑が続くが、ここで日が完全に暮れた。ヘッドライト2発で前をしっかり照らして後ろもテールランプを点滅させて目立たせる。そうでもしないと、大平原を飛ばす車が前からも後ろからも来る。走っている道が主要な国道や道道ではなく農道にもなるので、地図を見ることが重要になってくる。だが、旅の終盤になってくると野生の勘が冴えてくる。この辺で左折と思ったところが、概ね当たっている。地図を見た記憶と周りの目印で暗くても見つけられるもので道を特定していく。 |

山岳続きの山場も最後
幌加内峠を越える
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たぶんここだろうと思う真っ直ぐな農道を走って行くと、秩父別を象徴する塔が見えてきた。コンビニで自転車を止めて夕飯に使うためのガスを買って一安心したところで風呂に行く。道の駅に温泉がついている。今日はタフな走りだったので温泉が本当にありがたい。キャンプ場でテントを張ってやっと落ち着いた。コンビニでネギもワサビも買えて完璧な準備のもとで幌加内で買ってきた生の蕎麦を茹でる。特大コッフェルでたっぷりの水とざるでしっかりと水を切って、幌加内名物のざる蕎麦ににする。美深で買った丸いナスも焼いて鰹節と醤油とネギで味を付けておかずにする。タフな走りの後で温泉と美味しい夕食で充実の一日を終えた。 |

丸ナスを焼きナス
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キャンピングざる蕎麦に向けて準備万端
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幌加内の生蕎麦を茹でる
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キャンピングざる蕎麦
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12日目 |
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秩父別 → 滝川 → 岩見沢 |
85.09 km |
2022/08/22 |
朝は早めに起きて出発の準備をする。もう朝は寒さを感じる季節になってきた。今日は岩見沢まで行きたいところだ。秩父別駅にスタンプを押しに行くが、スタンプは無い。道の駅はまだ開いてないので、コンビニで朝食を済ませて出発する。気持ちの良い晴れた空の下で、まずは滝川を目指す。妹背牛(もせうし)までは真っ直ぐな農道だったが、幹線国道になる。ここまで来ると雑念の無い走りになる。札幌までは基本的に幹線国道沿いなので、山岳コースの刺激もなく空知の大地をひたすら走るだけだ。広い大地をひたすら走ることができて、それが2日間で150kmも続くのは北海道の魅力でもある。時間が経つごとに暑くなっていく。 |

秋の気配でキャンプ
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滝川の道の駅で休憩し、滝川のブルーベリーを使ったソフトクリームを食べる。濃厚な甘酸っぱさとミルクが合う。ここからも幹線国道で車から風をもらいながら順調に進んで、昼には滝川の市街地に辿り着く。せっかくの滝川なので、松尾ジンギスカンに立ち寄りたい気がするが滝川なら美味しい昼飯にありつけそうだ。駅へ近づくと祭りをやってるのか露店が並んでいる。こうなると、屋台グルメも悪くない。祭りの屋台を見ながら自転車を押して歩く。どこにでもありそうな屋台グルメが続いているが、やはり北海道らしいものが欲しい。そう思って駅前の露店の終点につくと、松尾ジンギスカンの屋台と美味しそうな鶏肉の屋台があった。松尾ジンギスカンの屋台でジンギスカン丼を買う。鉄板でジンギスカンと野菜を焼いてご飯にのせている。向かい側は山賊焼きという名前で鶏肉に味を付けて焼いている。この2つで昼飯はまとまった。風に飛ばされないように気をつけながら、軒先で食べる。ジンギスカンを飯にのせるのはキャンプ中によくやるが、タマネギとにんじんとジンギスカンが良い味を出してご飯と合う。山賊焼きは甘辛く中毒性すらある味わいだ。柔らかく焼けた鶏肉が美味しい。大満足の昼飯を終えた。 |
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松尾ジンギスカンの露店
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ジングスカン丼を作ってるところ
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鶏の山賊焼き
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茶色い飯は裏切らないジンギスカン丼
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日本縦断の時以来の2度目ではあるが、滝川から美唄(びばい)まで日本最長の直線道路を走る。幹線国道なので交通量は多いので車から風をもらいながらの走りに期待するところである。しかし、市街地から抜け出して直線道路に入ろうとしたら、起点は既に過ぎていた。少し戻って起点のモニュメントを見ていく。日本の交通機関全体で見ても最長の直線構造物となっている。いよいよ30kmの直進を行こうとすると、猛暑と向かい風が襲いかかる。晴れた日の南風を浴びると夏の旅であることを実感するところがあるが、そろそろ疲れも溜まってきている体には厳しく当たってくる。
今日は直線を走りきって岩見沢か三笠まで行きたいと思っているところなので、ひたすら集中して走る。今の俺には30kmも軽くは無い。日本縦断で走った時も向かい風というコンディションだった記憶はあるが、こんなに苦労した覚えが無い。中間地点の奈井江の道の駅で休憩していくが、既にヘトヘトになっている。眺めの休憩から走り出すと向かい風が少し収まって雲が出て涼しくなってきた。後半戦はパフォーマンスが少し上がったような印象で、あっという間に美唄まで走りきる。視線の向こうで道路が曲がっていることに感動すら覚える。終わり側にもあるモニュメントの写真を撮って、日本最長29.2kmの直線を走り終えた。 |

日本一の直線道路
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日本最長の直線道路 滝川側
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あと少しで直線道路完走
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美唄側
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直線を走行開始
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直線を走行完了
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いよいよ宿のことを考えないといけない時間帯になってきた。三笠の道の駅で情報収集をする。道の駅に温泉があるが宿がない。今夜から明日にかけては雨と言われてるので、雨をしのげる場所が欲しい。道の駅にあるホテルの空きを調べたが今日は満室のようだ。どうやら岩見沢まで行くしかないようだ。10km弱の追加で岩見沢へと向かう。市街地に近づくにつれて日が暮れてきた。思っていた以上に大きい岩見沢駅まで行き、情報収集をする。温泉は市内にあるし、屋根のある公園も何カ所かはありそうだ。買い出しには困らない程度に店もある。
駅を出て公園を見つけて風呂に行く。やや古びた建物の温泉でさっぱりして公園へ行く。ちょっと罪悪感すら感じる立派な屋根の下にテントを張って、キャンプ最後の夕飯を作る。今日が最終キャンプだというのに、ガスを昨日買ったので、今日はガス消費の激しいメニューを心がける。煮込み料理が一番ガスを使う印象なので、スープカレーにする。北海道キャンプの最終日に選びがちなメニューになってきた。大きな塊の鶏肉を焼いて、ゴロゴロのジャガイモやにんじんを入れてじっくり煮込む。2021年から導入した深めのフライパンのおかげで以前よりスープカレーを作りやすくなる。じっくり煮込んで柔らかい鶏肉に味のしみこんだジャガイモに辛さに甘さを与えるにんじん、とろとろに煮えたナスとオクラで夏らしくまとめた。ご飯をスープにつけながら食べて北海道の大地の味を満喫する。
スープカレーを食べ終えてガスを使い果たすまでお湯を沸かし続ける。スープカレーのために強火でガンガン火を使ったのでガス欠までは早く辿り着く。食器を洗って荷物をまとめて眠りにつく。 |

スープカレーの具
北海道の夏野菜がいっぱい
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まずは鶏肉を焼く。
今年からの深いフライパン
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具材を丁寧に煮込む
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スープカレー
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13日目 |
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岩見沢 → 三笠 → 岩見沢 → 江別 → 札幌 |
90.53 km |
2022/08/23 |
夜中にとんでもなく強い風が吹いてくる。体重的に飛ばされることはないが、テントが大きく変形するほどの突風が吹き荒れている。屋根の下に入れてしまったのでペグは打っていないため荷物の重さだけで位置を決めてる形になっている。登山用なのでテントそのものが壊れることはないが、落ち着いて眠れない。
朝になっても風は収まることは無く吹き荒れている。公序良俗を考えるとテントを張ってて良くない場所なので、早めに撤収する。テントを飛ばされないように気をつけながら撤収して、パッキングする。強風の中で作業が何だか落ち着かない。早めに出発するも、それはどんよりと曇っている。予報では雨と言っているので、朝は降らずにもっただけありがたい展開だ。市街地から三笠へと向かっていく。道の駅のスタンプは昨日のうちに押せたので、最短距離で道道から進む。始まったとたんに来るアップダウンを耐えながら走って、三笠に入ったところにあったセイコーマートで朝飯にする。
ちょうどセイコーマートから見たところに、クロフォード公園があり近くに三笠鉄道記念館がある。朝早く出て少し余裕があるので、立ち寄っていく。クロフォード公園から少し坂道を登って炭鉱で栄えた跡と思える住宅地を抜けていくと、線路と車両がいっぱい見えてきた。駐車場にも車両が展示してあるが、やや古く朽ちている。自転車を置いて建物に入っていく。三笠の辺鄙な場所にある博物館にしては展示が充実している。三笠から始まった北海道の鉄道の歴史や廃線跡の記念品や鉄道模型まである。地方の鉄道記念施設も見逃せない。操車場には機関車が置いてある。しかも運転台にも入れる。贅沢な博物館だ。道路から見えていた鉄道車両の展示も近くでじっくり楽しめるが、ここは有料ゾーンでは無い。 何だかんだ言って乗り物は好きなので、鉄道も好きだ。坂道を下ってクロフォード公園へ行く。美深に続いてトロッコに乗ろうと思ったが、雨でレールが滑るしレールの状態を見るのに時間がかかるので…と運行してるのかどうか煮え切らない。たぶん美深の方が面白いし、もういいやと後にする。クロフォード公園にも気動車の特急や機関車が置かれている。これだけでも見応え十分だ。 |

強風の中でテントを撤収
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ここにもトロッコ列車
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道路から見る鉄道車両
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色んなものが繋いである編成
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三笠鉄道記念館
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ラッセル仕様のディーゼル機関車
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結構なスケールの鉄道模型
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機関車が格納されている
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蒸気機関車だけでなく電気機関車も
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ディーゼル機関車
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運転台にも入れる
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機関車の格納庫
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ラッセル車
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クロフォード公園のディーゼル機関車
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特急の編成が展示されてる
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十分に鉄分を補給したところで昼前という状況だ。続いて三笠市立博物館を目指していく。向かっていく途中に三笠市文化芸術振興促進施設cielで絵画を見ていく。北海道の自然の光景を描いた絵が気持ちよい。美術の感想が常に薄っぺらい。どうも、それだけは俺の得意分野にはなりそうもない。同じ建物に三笠高校生レストランがあったので寄っていく。昼飯の前に博物館には行きたかったのでジェラートだけ食べていく。高校生が考えたオリジナルのジェラートを試す。普通じゃない構成に高校生の若い発想を感じる。ハニーミルクとアップルシナモンのダブルにする。ハチミツもリンゴも三笠産のものを使う。ミルクの濃厚さとハチミツのコクが融合してねっとりしたジェラートとして濃厚に絡む。そこにアップルシナモンの軽い酸味が軽く引き締めてくれる感じだ。我ながらダブルのチョイスは光った。
ここを過ぎると一気に辺鄙な場所になってきた。坂道をじりじり上っていくと、徐々に平地が少なくなり山深くなって三笠市立博物館にたどり着く。最近はジオパークに行きがちなのだが、三笠も日本ジオパーク認定されている場所であるため見逃せない。博物館の中は地質学やアンモナイトの化石がいっぱい展示してある。もっと小さい物を想像していたが、とんでもなく大きい貝殻の形に圧倒される。三笠で出土される恐竜の骨格標本などもあって地質学を満喫する。三笠の森の生態系や歴史も学んだところで、屋外展示を見に行く。屋外展示と行っても自然に見えている岩など地質学が遊歩道沿いに現れてくる。歩きでも自転車でも行けるのだが、博物館に時間をかけすぎて時間がなくなってきたので自転車で行く。岩を掘り抜いたトンネルや川の流れを見ながら進んでいく。
折り返したところで苔の生えた地面で滑って転倒した。車止めのポールに接触して嫌な予感がしたが、危ない破損はどこにもなく体も問題は無い。少しの擦り傷がある程度で済んだ。慎重に戻っていく。博物館を過ぎたところで、行きとは少し違うルートで幌内線 唐松駅跡に立ち寄っていく。かつての勢いを感じるほど立派な駅舎とホームが残されている。北海道と言えば廃線跡巡りという感じになってきた最近の俺の旅だが、かつての隆盛と今の寂れた様子の変化を寂しく感じるところだが、史跡として残してくれてるので見る楽しみは依然としてある。 |

三笠高校生レストラン ジェラート
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三笠市立博物館 アンモナイトの化石
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大きさが分かるレプリカ
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石炭の展示
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屋外博物館を自転車で
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地層が見える
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素掘りのトンネル
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クロフォード公園の前にあるコンビニに戻ってきたところで15時過ぎ。遅めの昼飯を食べる。今日は走りとしては最終日なので泣いても笑っても札幌まで走りきらないとしょうがない。宿は押さえてあるのでナイトランでも何でも走りきれば良いので、ここからは集中力でいくだけだ。岩見沢に戻ろうとしたところで雨が降ってきた。たまらずレインウェアを着込んで走る。付いた勢いは落としたくない。岩見沢からは幹線国道で札幌を目指す。だが、札幌駅などの市街地に一本で真っ直ぐ入っていく国道は意外となく、地図を慎重に見ながらいかないと道に迷ってしまう。岩見沢を走っていると雨がやんだのでレインウェアを脱いで荷紐に挟む。さっきの転倒の影響もあったか朝は強風の中でパッキングしてたせいか緩みを感じる。荷崩れするほどではないが荷物の締まりが悪いと走りがどこか引きずったように重くなってしまう。
途中のコンビニで休憩しつつ荷物を直す。休憩しながら俺と逆方向に走ってきた大学生と話をする。装備とか考え方とか随分と俺の頃とは変わったと思う。最近は減りつつあるように思える大学生チャリダーに元気をもらい、荷物をくくり直して安定感が戻ってきた。もう太陽は夕日モードになって傾きつつある。江別まで走ったところで日が暮れた。ここで国道12号から西側にずれた275号線に移りたいが道がわかりにくい。夜なのでフロントバッグに乗せたマップが見づらい。大学生たちの装備を見てるとツーリングマップルは使って無くてハンドルにスマホを付けて、それを地図代わりにしている。まあ、確かに理にかなっている。結局、スマホを取り出して地図を見て走ってるので、ハンドル上にあった方が効率は良い。 |

旧唐松駅
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駅の中は当時の写真が貼られてる
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国道275号線は4車線で交通量はほどほどに少なく路肩が広い。真っ暗なので集中力も出てきて走りが加速していく。そして、ついに札幌市へ突入する。この時点で80km近く走っているので、今日は最終的に90km超えるのだろうか。だが、体力も余力があり集中力も落ちずに走って行けている。札幌の市街地が近づくと徐々に交通量が増えてきた。左の縁石や右後ろに注意を払いつつ札幌駅へと近づいていく。もう何回目の札幌駅ゴールだろうかと思うところで、市街地の道や景色も記憶の中にあるものが目の前に見えている。 すっかり遅い時間になった21時に札幌駅前に到着した。2022年の旅も完走で終えることができた。春夏通算で1800kmを超えるツーリングで海外駐在による中止期間を前に、やりきった感覚である。ここまで、どんなに大きな節目を迎えても終わるとか引退するという感覚がないのだが、今回も同じく何かの一区切りでしか思えない。1995年から27年続けてきた旅に一区切りが付くので、まだ続くものがあっても感慨深い思いは湧いてくる。自販機で黒コーラを買ってきて乾杯しようと思ったら、うっかりシャンパンファイトになってしまった。慌てて地面にこぼれたコーラを1.5Lの水で植え込みの方に流してきれいにして、もう1本買ってくる。最後が締まらない。
強い達成感と満足感を持ってホテルへと向かう。チェックインをして、さっさとシャワーを浴びてから夕飯を食べに行く。いかんせん時間帯が遅くて店の選択肢がすすきのとは言え少ない。一人で静かに飲んで食べれそうな店を見つけて入る。北海道の野菜や魚を中心に美味しく飲んで打ち上げを終えた。すすきのや狸小路はもっと雑然としていて欲しいが、まだコロナの影響が残っている。来年の夏にでもなればアフターコロナの完全回復となるだろうか。 |

ナイトランで札幌市に突入
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札幌駅に到着し完走
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ようやく乾杯
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14日目 |
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札幌 → 羊ヶ丘 → 北広島 → 新千歳空港 |
52.93 km |
2022/08/24 |
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新千歳 -JAL→ 羽田 |
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羽田空港 → 宇都宮 |
今日は荷物の発送と羊ヶ丘展望台へ言って千歳の最終便の飛行機に乗るだけだ。朝からコインランドリーで洗濯する。汚れ物は発送前に洗う方が精神的にすっきりするので、いつも発送前に洗うことにしている。奥の方が女性専用になっている。注意書きを見落として洗濯してたら面倒なことになりそうだ。2つ並んでる洗濯機の左に汚れ物を入れたところで小銭が足りないことに気付く。両替をして右の洗濯機を動かす。サンダルもシューズランドリーで洗いながら椅子に座って日記を書いていると異変に気付く。洗濯物を入れてない方の洗濯機が回っている。やってしまった。左の方にお金を入れて起動する。どうも俺は疲れているようだ。
洗濯と乾燥を終えたら狸小路に昼飯を食べに行く。札幌の昼飯というと狸小路というイメージがある。定食屋さんでニシンの干物をおかずにご飯を食べていく。本州だとあまり見かけない魚で一匹まるごとの干物は珍しい。脂が乗ってて少し青魚のクセがあって美味しい。久しぶりの狸小路を少し走ってから、ヤマト運輸へと向かう。羊ヶ丘に向かう途中にある営業所で段ボールを3個買って梱包を済ませる。フロントバッグに着替え1枚と発送できないリチウムイオンバッテリー系の荷物を入れて、リアキャリアも外して身軽な姿になる。
羊ヶ丘展望台に向かって交通量の多い坂道を登っていく。アップダウンが多く住宅地を抜けていく道路で走りにくさを感じながら走って行く。羊ヶ丘展望台の方へ右折し、料金所のゲートを過ぎて丘を登っていく。草地の向こうに札幌の市街地を見下ろせる。観光客でごった返している駐車場の隅の駐輪場に自転車を置く。まずはさっぽろ雪まつり資料館を見ていく。歴史や雪像の模型などが並んでいる。これを雪で作ると思うと凄いと思える規模と繊細さだ。一度も見に来たことはないので、いつかは見に来たい祭りだ。クラーク博士の資料館も見て、クラーク像を見ていく。写真を撮ろうとしたら長蛇の列が出来ている。俺自身を入れる必要はないので、人が入れ替わる隙にクラーク像と背景を写真に押さえていく。次は置いてる自転車とクラーク像と背景を狙おうとしたが、なかなか人がはけない。 16時になったところで諦めて出発する。ここでスマホでナビを見ると、驚くほど遠い。しかもアップダウンもかなり多い。慌てて走り出して行く。北広島に向けて上り坂が続く。もう空港へのラストスパートだし荷物は軽いので頑張っていけるが、想像以上に遠い。恵庭を過ぎて千歳へと向かっていくと、恵庭のあたりはビール園もあったりで北海道の幸を楽しめそうだ。札幌、北広島、恵庭、千歳、苫小牧のラインは意外と自転車では走って無くて快速エアポートで通過しがちなので、改めて魅力を感じる。 |

ニシンの干物と焼肉
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クラーク博士
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クラーク記念館
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さっぽろ雪まつり記念館
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来た人しか見れないクラーク像 後ろ姿
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雄大な景色とクラーク像
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順調以上の走りを見せて18時過ぎには新千歳空港へ辿り着く。最後の1mまで油断せず力を入れて走ることはできた。もう今年の旅に思い残すことは無く、中国で5年頑張って旅路に帰って来ようという思いのみだ。慣れた手つきで輪行を済ませて、汗で潮吹いたTシャツを着替えて、カウンターに荷物を預ける。時間に余裕がないが温泉に入っていこうとしたら既に受付は終わっていた。閉店間際のレストラン街で夕飯を済ませると、今度は土産屋が閉まり始めた。慌てて爆買いして何とか土産を手に入れる。
春とGWの沖縄でもそうだったが、最終の飛行機に合わせると帰り際がバタバタになるのが少し考え物だ。セキュリティチェックを済ませると搭乗口の方へ行く。飛行機に乗り込んで日記の続きを書きながら東京へ向かう。もう慣れた流れで羽田で降りて荷物を受け取ったら駐車場へ行き、車に荷物を入れる。料金を払って駐車場を出る。
何度も走った羽田空港から宇都宮までの道を運転して戻っていく。疲れはあるが、体力も付いているので最後まで運転は衰えることなく帰り着く。全ての行程を終えて満足のうちに旅は終了した。
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最後の海鮮丼
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滑り込みで頼んだサラダ
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