旅記録
2023 夏 北海道(道東)
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0日目 宇都宮 → 羽田空港 
 2023/08/11
 GWに大きな節目を迎えてしまい、俺のモチベーションはどうなるのかと思ったが、例年通りに旅に出たくなる衝動は変わらなかった。今しか果たせない目標が見つかったというのもある。1年以内の日本4極制覇である。2022年8月16日 日本最北端 宗谷岬へ到達したことから始まり、GWに日本最南端と日本最西端に到達している。2023年8月16日までに日本最東端に再度 到達すれば、1年以内の4極制覇となる。おそらく今を逃すと達成することはないだろう。道東に行きたい理由はそれだけではないが、いろいろと行く候補がある中で道東を選んだ理由にはなっている。その他で地球環境モニタリングステーションが波照間島と根室の落石にしかないが、両方行っておきたいというのもある。その他、日本最東端のXXを取りこぼしているので制しておきたい。プレジャーでいうと中標津をじっくり味わい、羅臼で観光船に乗りたい、知床の相泊温泉への入浴と知床峠の羅臼側からの上りを楽しむなど色々と考えつく。
 今年は連休前後の仕事が立て込んでいて有休による休みの拡張が厳しい状況にある。釧路スタートにしようと思ったが、途中で予約を入れた落石の宿までの日程を考えると厳しそうで厚岸まで輪行するなどギリギリの計画組みになっている。
 今回はハードな旅の始まりになる。宮城県に出張して帰ってから夏休みは訪れる流れとなった。準備は万端で羽田空港近くにホテルを予約し、朝早い飛行機にする。仕事を終えて、自宅で準備して風呂を済ませて、今年から導入した洗濯乾燥機に洗濯物を入れて乾燥機まで回しながら自宅を出る。家から近い鹿沼ICから高速に入って、飛ばしながら羽田に向かう。この運tねも道も慣れたものだ。
 羽田空港の駐車場に車を入れて輪行袋を出し入れしやすい角の枠を確保して、タクシーでホテルに行く。とにかく睡眠時間が短いので速攻で眠る。


0日目  羽田 -JAL→ 新千歳
新千歳空港 -快速エアポート→ 札幌 -特急おおぞら→ 釧路
-花咲線→ 厚岸
2023/08/12 厚岸町内 5.02 km
 朝は無事に目覚めてシャトルバスで空港へ向かう。駐車場に行って輪行袋とフロントバッグを出して、SPDサンダルに履き替える。荷物をカウンターに預けて、搭乗口へと急ぐ。朝は早くから行動できてるので時間的な余裕はあるが、搭乗口付近まではたどり着いておきたい。
 飛行機に乗り込んだら速攻で眠る。全ての機内サービスを断って眠りに徹する。新千歳空港に降りて荷物を引き取ろうとしたが、なかなか来ない。飛行機の到着が遅れた上に俺の荷物が最後の方まで来ない。乗る予定だった特急に乗るのが絶望的な状態になった。どうもタイムパフォーマンスを考えると、飛行機はもう1時間ほど早いほうが良さそうだ。あと荷物が出てくる順番はファーストクラス優先になっていることに気づく。クラスJでは差がないがファーストだと差がある。12000円の差ではあるが、タイパを考えると払う価値がありそうにも思えてくる。
 荷物を受け取って、まずは札幌に向かう。特急おおぞらは自由席しか確保できないので、始発駅から乗る作戦である。快速エアポートは乗り慣れた列車である。日ハムの新球場が窓から見えて興奮する。南千歳で無事に特急に乗れてると味わえない喜びだっただろう。札幌駅に着いたら駅にある大丸で昼飯を買う。もし順調に南千歳から特急に乗れてれば釧路で海鮮三昧する予定だったので、代わりに寿司を買いまくる。北海道の味を詰め込んだ寿司パックとなる。
 40分前ぐらいにホームに行くと既に5人ぐらい並んでいる。1本前の特急すずらんに乗る客かと思いきや、釧路行きのおおぞらに乗るということで行き先は俺と同じだ。早めに並ぶのは正解だったようだ。列車に乗り込んだら寿司とビールで昼飯にする。俺の目の前だけが釧路の魚市場だ。魚を満喫しながら列車は進んでいく。この路線は石勝線で走る日高山脈や十勝平野の眺めが豪快で気持ちが良い。帯広や池田などワクワクする場所に停車しながら釧路へ向かっていく。
 釧路に到着し根室行きの普通列車に乗り換える。釧路で俺に与えられた時間は20分だ。20分で釧路を満喫する。駅の改札から出て売店に行く。ザンギ、ほっかむり寿司、さんまんま 何でも良い釧路を楽しみたい。残念ながらトイレに行くだけで終わってしまった。根室行きの列車に乗り換えて、釧路を後にした。根室本線はどんどん辺鄙な路線になっていく。まず、携帯電話は駅以外では圏外だ。いや、駅ですらつながるか怪しい。森や原野を見ながら、それなりに曲がりくねった線路で列車は進んでいく。
 辺鄙な景色を楽しんでいると厚岸(あっけし)に到着した。意外と降りる客がいる。誰もいない駅前で自転車を組み立てる。止まる予定のホテルは目の前なので気楽ではある。

ホームに入ってきたロイヤルエクスプレス


特急おおぞら


しーすー


釧路駅から花咲線


厚岸に到着


厚岸駅からスタート

 疲れが隠せずのんびりした組み立てを終えてホテルへチェックインする。部屋は広い和室でホテルと言うよりは旅館といった雰囲気である。俺としては落ち着くタイプの宿ではある。荷物を部屋に運ぶのにエレベーターがなく手で行くしかないが、フロントの兄さんも手伝ってくれてしまう。
 荷物をあらかた開梱したら初日としての買い出しに行く。今年はタイパ重視で米は自宅から送った。1.5Lの水も送るように最近はしている。持ってくるのを忘れたワイヤー錠をホームセンターで買い、調味料やレトルト食品などを買い込んでおく。今の北海道はセイコーマートがそこら中にあるので、実は非常食の役目も減りつつあるとは思う。買い物を終えて、夕飯を食べに行く。当然、道の駅あっけしコンキリエだ。夜もまあまあ遅くまで開いているし、牡蠣料理の店を3つ選べる。
 体に全くきれがない旅の初日から坂道を登って道の駅に着くと、前に来たときと同じぐらい鹿の群れがいる。厚岸は都市部での鹿密度が半端ではないと思う。道の駅内の売店でカレーやパスタなどのご当地レトルトを買い集める。上の階のレストランへ行く。今回も炉端焼きにする。前回に来たときも炉端焼きにしたが、焼き加減がイマイチだったりで不完全燃焼だったので、今回は食材は良い感じの焼け具合、食事としては完全燃焼を狙いたい。食材を選んで精算すると席に案内してもらえるが、この時点から楽しい。貝や魚や野菜を選ぶ。人によっては肉も有りだ。ブランド牡蠣をいくつか選んでいく。炭火に自分自身も炙られながら焼いていく。テーブルで生牡蠣も注文できた。真夏に食べる牡蠣は厚岸か日本海側の岩牡蠣に限られてくるが、冬に食べるのと違う美味さがある。北海道の魚介に元気をもらっていく。
 道の駅から厚岸の街に下って宿に戻る。自転車は宿の中に入れさせてもらえて、安心できる。部屋に戻って荷物を整理して眠りについた。

道の駅コンキリエ


炉端焼き


生牡蠣 食べ比べ



   出発(北海道・厚岸町)から 5.02 km

1日目 厚岸 → 愛冠岬 → あやめヶ原 → 霧多布岬 52.15 km
 2023/08/12
 仕事の疲れと輪行の疲れが全く隠せず、初日としての体のきれがない状態だ。初日からクタクタな状態で出発する。北海道に来たら、特に海沿いの場合は実家に魚を送りたい。本来は特急に無事に乗れて和商市場やフィッシャーマンズワーフから釧路の贅沢な魚介を送りたかったが、釧路には立ち寄れなかったので探し回るしかない。それでも、厚岸、浜中、根室、標津、羅臼、斜里、網走と回ってればどこかしらあるだろう。でも早めに勝負を決めたいというのも現実である。厚岸に大きめの産直があったが、牡蠣に特化してる以外はイマイチ(※ 牡蠣以外を重視してる俺にとってはイマイチだが、レベルは高いのでオススメ)といったところだ。鮭がMUSTなのだが、北海道産のがない。
 昔、同じコースを逆から走ったことがあるが、今回は急がず根室まで岬をじっくり見て回るプランなので、まずは愛冠岬(あいかっぷみさき)に向かう。予想通りに俺の体は鈍りきって坂道に苦戦する。岬というのは海に突き出た山なので容赦ない。山道と森の中を走り抜けていくと岬の駐車場にたどり着く。ここで自転車を置いて歩いて行く。途中の資料館も見て、岬へ行くとエゾシカの群れがいる。全員が襲いかかってきたら確実に負けるぐらいの数だが、草を食べながらスンとした感じが可愛い。親子連れの鹿も何頭かいて癒やされる。天気はいまいちで海は鉛色だが、遠くを見渡す眺めと入り組んだ湾や島が見事な景色である。

厚岸のホテルを出発


愛冠岬にたわむれるエゾシカ


愛冠岬


愛冠岬からの海岸

 愛冠岬から坂を下って厚岸神社と国泰寺(こくたいじ)に寄っていく。昨年末頃から御朱印集めを始めたので、旅先の寺社仏閣は欠かせない。御朱印以外でいうと道の駅やJRの駅でスタンプを集めているので、寺社仏閣という厳格な記念は惹かれるものがある。御朱印も今回の目的で、日本最南端と最西端を寺や神社で集めたので、今回は日本最東端の御朱印をしっかり手に入れたい。途中の寺や神社でお参りをして御朱印を頂くのも大事である。あと、旅の初日にお参りをするのは旅自体を成功に導けるよう験担ぎをする意味もあるので、ますます楽しい。国泰寺を歩いていると境内に鹿が降りてくる。厳かな場所の鹿は奈良とか宮島みたいに神の使いと思えてしまい、そこら中に出没しているエゾシカですら神々しく思える。
 まだ厚岸をスタートすらしてないのに昼になった。ここから走り込んでしまうと店が一軒もないような場所なので、セイコーマートで昼飯を食べていく。今日の目標は厚岸から東に40kmぐらい走る浜中町の霧多布岬(きりたっぷみさき)なので焦って巻き返す必要は無いが、アップダウンも多い海岸沿いではあるので油断はできない。いや、むしろ頑張らないといけない。そんなことを考えて坂道を登っていると、急激に晴れてきて暑くなってきた。旅の間は天気がイマイチという予報があるが、果たして何勝何敗で旅を終えるのかは楽しみなところである。

あっけしサイダー


お寺の境内にエゾシカ


えぞみくじ 厚岸の牡蠣


厚岸神社

 続いてチンベの鼻にたどり着く。道から岬へ行く分岐を曲がっていく。駐車場に自転車を置くと、熊出没の看板がある。サイドバッグにぶら下げている熊よけをウェストバッグにつけて歩いて行く。前に白神山地を歩いた時に熊よけを付けてたら、ほかの動物もみんな居なくなってしまったので好きではないが、近年のニュースで見る出没率を考えると付けざるを得ない。熊が出そうな山という感じでは無く岬の牧草地という感じである。そこには馬と鹿が飼われている。というか馬が飼われてるところにエゾシカが乱入してきている。同じぐらいの数になっている。岬に咲き誇る花と草原と馬と鹿が何ともいえない雰囲気を出している。向こうに見える海や崖の複雑な地形の造形美も満喫できる。
 チンベの鼻から海沿いを走っていると、キタキツネが現れる。今年の動物目撃運は非常に良い。いよいよ念願のヒグマ路上遭遇も夢ではない。北海道を長年旅している私としては、恐ろしいが一度は路上からちょうど良い距離で見てみたい野生動物ではある。ツキノワグマは見たがヒグマはまだ見ていない。霧多布が近づくにつれて天気が徐々に悪くなって、向かい風が強くなってきた。寒さに耐えながら琵琶瀬(びわせ)展望台から霧多布湿原を見下ろす。釧路湿原は広すぎて全体を見ることはないが、霧多布は見渡せる。だが、スケールや川が流れる複雑さや造形美はしっかり楽しめる。個人的には眺める湿原としてはオススメではある。
 琵琶瀬展望台から湿原の方に坂を下ると、一気に向かい風が強くなってきた。風に逆らってグイグイ漕がないと進まない状況になってきた。曇りだし日本の東の果てに近いので日没も早い。徐々に暗く寒くなってくる道を走っていく。コンビニに立ち寄って夕飯の食材を買う。今日は手軽に済ませたいので、セイコーマートのジンギスカンを買う。ご飯を炊くのが面倒なのでうどんも買う。これでジンギスカンを焼いて〆のうどんまで一気に流れていけるストーリーだ。キャンプは寒くてひもじいのは想像できるので、簡単で暖かい夕飯を求める。

チンベの鼻 放牧される馬


チンベの鼻からの湾


馬に紛れてエゾシカの群れ


道ばたで見かけるキタキツネ


琵琶瀬展望台からの霧多布湿原

 霧多布の市街地から坂道を登っていく。前に若い頃に霧多布岬に来た時は坂道で苦労した記憶が全くないが、半端じゃなく苦労する。もう完全に夜だが坂の上の温泉にたどり着いた。ここがキャンプ場の受付も兼ねているし風呂にも当然入れる。入浴券を買ってキャンプの受付をしようとしたら券売機が壊れて買えない。何かの蓋が閉まってなかったのが原因のようだが、ひとまずは風呂と宿と飯を確保したので一安心だ。キャンプ飯も良いが、温泉で飯を済ませるという手もあった。冷えて疲れた体を温泉で癒していく。暖かい室内でアイスも食べていく。
 真っ暗な霧多布岬への道を走っていく。ライトの光と俺の目の暗順応を頼りに前に進む。遠くに灯台の光とテントの光が見えてきた。公道を走っているのに遭難した気分だったが、安心する。駐車場は混雑していて案内のおじさんに導かれてサイトへと入っていく。無料とは思えない親切な人とホスピタリティである。あまり場所の選択肢はないがテントをささっと張って荷物を入れる。強風でのテント張りは経験があるので、何とかなる。
 炊事場に荷物を持っていってジンギスカンを作る。フライパンを火にかけてタレの染みこんだラム肉と野菜を焼いていく。熱々のまま冷たい風を浴びながら食べるジンギスカンは美味い。夏なのに厳しい天気の時に、こういうのは救われる。時間が遅いので飯を作る人は俺ぐらいしかいないが、歯磨きや洗顔のために来た人への飯テロ攻撃をして、寝る前に孤独のグルメを見たような気分にさせている。そんな孤独のグルメ状態の俺は最後に汁が溜まったフライパンにうどんを入れて焼き上げる。ジンギスカンの甘塩っぱいタレにうどんが合わさると美味しい北海道ならではの焼きうどんになる。これで体を温めて夕飯を終える。ものすんごい冷たい水道水で食器を洗って片付ける。
 バタバタと風を受けて暴れるテントの中で寒さに耐えながらシュラフにくるまれて眠りについた。

霧多布温泉の銭形警部


セイコーマートのジンギスカンとうどん


ジンギスカンを焼く


〆はうどんを汁に入れる



   出発(北海道・厚岸町)から 57.17 km

2日目 霧多布 → 別当賀 → 落石 57.42 km
 2023/08/13
 朝も寒い中でテントを片付ける。撤収していると外国人のサイクリストが話しかけてきた。日本語は片言なので俺の方は片言の英語(実力的に)で話を楽しむ。俺と同じく東の方向へと走るので、ちぎられてしまうだろうか。撤収したら出発する。まずは、霧多布岬を歩きに行く。前に来たときは岬はスルーしたので、今回はしっかり楽しむことにする。崖の上から海を見ている人が何人かいたので俺ものぞき込む。ちょうど下にラッコが泳いでいる。遠くて小さいのではっきりと姿を捉えきれないが、浮いてる海藻と一緒に浮いている。もうちょっと近くで見ようとしたら岬の先端付近の高さが低いところに居るかだろう。ほかの個体のラッコと遭遇するのを楽しみにしながら岬の先端へ歩いてみたが、残念ながらラッコもアザラシもいない。それでも緑色の草原に包まれた岬と海の眺めは気持ちが良い。
 戻りでもさっきのラッコを眺めてから出発する。温泉に行って受付の札を返却して、市街地へと下る。まずはセイコーマートで朝昼兼用の食事を取る。念願のセイコーマートホットシェフのカツ丼を満喫する。
 まずはモンキー・パンチコレクションを見に行く。ルパン三世などで有名なモンキー・パンチ氏の出身地なので、こういう展示がある。無料とは思えないほど内容が充実している。すっかり満足していく。

霧多布岬キャンプ場の朝


霧多布岬に向かう


霧多布岬灯台


霧多布岬の先端


岬のそばで泳ぐラッコ


Monkey Punch Collection





 霧多布から北太平洋シーサイドラインと呼ばれてる道道を東へ向かう。天気がイマイチなおかげで荒涼として荒波が押し寄せる太平洋の迫力と湿原の広がりを楽しめる。当然ながらアップダウンが激しいルートなので走りは苦戦を強いられる。でも今日を頑張れば宿泊は落石の旅館なので何も考えずに走り着けば良い。老体に鞭を打って坂を登っていく。平地になれば冷たい向かい風が襲いかかる。
 坂道を登っていると、俺を追い越した車がハザードを点滅させながら100mほど先で止まった。坂道で足が動かないというのもあるが、もしかして熊?という期待と不安があったが、その車はUターンして引き返してきた。俺を心配して 「体調が悪そうだけど、大丈夫?」と聞いてきた。体調は悪くないので笑顔でお礼を言いながら答えたら通り過ぎていった。最近Youtubeとかで流行ってるマナー講師じゃないが、きついときでも笑顔で登っていないといけないだろうか。それはそれで気持ち悪い気もする。そのまま坂を越えて次の坂を登っていると、さっきの車の家族は再びやってきた。バナナと缶コーヒーを差し入れてくれた。しかも蓋が閉められるボトルタイプなのでありがたい。最近はコーヒーを飲んでないと常に眠いし、眠気がある状態だと体にもキレがないので、コーヒーはありがたい。しかも自販機があるところでないと買えないので、コーヒーを飲めるタイミングは限られてくる。この場では飲まずに持って進むことにする。
 海沿いの道が一段落して内陸に入る。内陸に行くには当然ながら上り坂だが、アップダウンは一段落する。坂道を登っていくと根室本線の線路に近づく。元々は無人駅がいくつもあって、そこに道がアプローチしているのだが、今は駅の跡のみで線路があるだけだ。旧初田牛(はったうし)から別当賀(べっとが)に向かう途中で疲れが来たので、先ほど頂いたバナナとコーヒーを楽しむ。ほとんど車が来ない真っ直ぐな道で自転車にまたがって両足は地面に着いて、補給する。このタイミングでの糖分で加工品では無くバナナの甘さと酸味が美味しい。そこに目が覚めるようなコーヒーを入れて、本当に体が生き返る思いだ。坂道の疲れ、向かい風、低温 今回の旅の前半は過酷に思えるが、本当に助かる。エネルギーはもらったが体は休めていないので、別当賀駅の駅舎(コンテナ)の中で風よけしながら暖を取る。熱源は俺の体温しかないが、風に当たらない分だけ助かる。誰もいない駅のベンチに体を横たえて充電する。
 これで完全復活ということで、元気よく走り出す。18時の夕飯までには宿に辿り着くように言われていて、別当賀の時点で16時半。あとは下って1回登ったら宿に着きそうだ。何とかなりそうで一安心している。また辺鄙な道を走り出したら、また目の前で違う車がハザードを出して止まった。今度こそヒグマか?と期待したら運転手が降りてきた。こんなところで煽り運転? 左を粛々と走ってるだけなんだどなぁと思っていたら、元チャリダーだったようでパンを差し入れしてもらえる。本当にありがたいことで、今日は過酷な日だったので精神的にも肉体的にも助かる。
 下り基調の道を走って、想定外のところで上り返しがあったが、回復した体力と精神力で乗り越えさせてもらって、やっと落石の駅前に来た。ここから岬系の上り坂をぐいっと走るのかと思ったら、ほぼ平地の快適な道を走っていく。宿の位置を慎重に探しながら走っていると道沿いに見えた。砂利の駐車場に下って、やっと宿に着いた。右足を上げて自転車から降りようとしたら、足が上がらず荷物に当たって見事に立ち転けしてしまう。幸運にも寒さよけのためにヘルメットは被っていたので、頭は何ともなかった。別の意味で頭がどうかしてるところはあるが。
 宿にチェックインして部屋に入る。今日は寒いので宿に入ると落ち着く。冷えた体を風呂で温めてさっぱりする。美味しい夕飯を頂きながら、一緒に泊まっている旅人とも話が盛り上がる。自転車旅なので興味を持って話しかけてくれる人は多い。釣りのために来てる北海道の人もいたりする。北海道での釣りも豪快で面白そうだ。

北大西洋シーサイドライン
幌戸沼


北大西洋シーサイドライン


ありがたい缶コーヒーとバナナ


別当賀駅で休憩


落石の民宿に到着



   出発(北海道・厚岸町)から 114.59 km

3日目  落石 → 落石岬 → 根室 → 納沙布岬 → 根室 76.00 km 
2023/08/14 
 今日は朝からトレッキングして行こうと思ったが、疲れが深刻で朝飯前に動くのは無理だった。宿の朝飯を頂いて、自転車で出発する。落石岬へと向かう。1回下って登る予想通りのタフな地形に苦しみながら駐車場まで走り着く。この先のダートも走れないことはないが、歩いた方が楽しそうだ。緑色のキャンピングカーがいたのは軽く記憶に残る。
 砂利道を歩いて行くと、遠くにアンテナが見える。地球環境モニタリングステーションだ。波照間島と落石岬ということで日本で最も辺鄙な場所すなわち人間の活動影響を受けにくい環境の場所にある。これを2カ所制する快挙を達成した。内部の見学などは一切できないので外から見ること、その辺鄙な場所に立つのが大事である。砂利道から木道に曲がって落石岬に向かう。この先も風にさらされた森と草原が広がる。この草原の向こうに見える海と灯台が道東の秘境にある岬を表現している。このあたりは自然保護区なのでエゾシカも群れで現れる。岬は草地の向こうが険しく太平洋の波が打ち付けて迫力がある。天気が良い日でも北海道で海の迫力を感じる数少ない場所のように思える。数少ない地球環境モニタリングステーションを目当てに旅をしているので、モニタリングステーションまで歩くという手もあるが、ここを往復したら午前中は使い果たしそうだ。波照間島のも見ただけなので、岬からもアンテナ塔は見えたし十分だろう。戻りの道もエゾシカの群れがいるので、ウォッチングを楽しみながら戻っていく。
 落石はトレッキング目的で訪れると本当に楽しそうな場所である。ほかにも回るコースはいっぱいあるので、次に来るときがあれば腰を据えて楽しみたい場所である。根室本線の中では比較的 栄えている駅と思っていたが、落石の駅も典型的な無人駅だ。駅舎はコンテナ置きでは無く建物になってるので、この路線の中では立派な方だが、寂れた感じは変わらない。セイコーマートがあるかというと無い。根室本線(花咲線)の終焉へのカウントダウンが始まっていることを強く実感する。
 落石から根室を目指して進んでいく。今まで根室半島の南側を走ったことがないので、そこは楽しみなところだ。浜松海岸の眺めを楽しみながら走っていると天気が良くなってきた。行ったことのある花咲に行く直前に半島を北に抜ける道があるので、そっちへ進む。

落石岬灯台


GWの波照間島に続いて落石の
地球環境モニタリングステーション


落石岬から戻る木道と草原



落石岬もエゾシカの楽園


浜松海岸

 北方四島交流センターへ行く。やたらきれいな建物の中に北方四島の自然や歴史が展示してある。領土問題の政治色が強い展示ではなく、北方四島に根付いているロシアの文化も見ることができフラットに自然と歴史が分かるのは良いことだ。
 国道44号線のある根室半島北側に下って市街地を目指す。回転寿司根室はなまるが気になったが、駐車場を見る限りでは混雑していたのでスルーしていく。今日は納沙布岬まで回りきっておきたいので、少し焦りはある。根室の市街地まで辿り着いたところで、昼食を探すが、結局はイオンの中にある回転寿司へ行く。通算3回目ではあるが、かつてより勢いがなくなってるように思える。それでも海鮮は楽しめたので良い。ここで昼飯にした理由の一つが、すぐ近くに實成寺(じつじょうじ)がある。日本最東端のお寺の御朱印がいただけるのでお参りをしていく。住職の家に訪問して御朱印を頂く方式なのだが不在だ。明日の朝にトライしよう。寺の朝は早いし俺の朝は遅いので問題ないだろう。
 根室半島を回りつつ情報収集を進める。まずは日本最東端の温泉と呼ばれているものの準温泉というよく分からないカテゴリの銭湯がある。これが温泉だったら間違いなく日本最東端の温泉である。そうでなかったら知床の相泊が日本最東端である。確かめるために立ち寄ってみたが、今日は営業していない。中を覗く限りでは地下から汲み上げている温泉とは違うようだ。日本最東端の銭湯はもっと東にあるので、ここに立ち寄る必要はなさそうだ。
 すぐ近くに金刀比羅神社がある。ここは日本最東端の御朱印がいただける神社だ。御朱印としての日本最東端、神社の御朱印としての日本最東端である。神社のお参りをしていく。少し高台にあって根室港の眺めが気持ちよいし境内に咲き誇るアジサイが美しい。真夏のアジサイは北海道ならではの光景なので嬉しいところだ。お参りを済ませて社務所に行くと、社務所には祭りの御神輿が飾ってある。金が施されて鮮やかである。それを見てる間に御朱印を頂いた。今回はお盆休みというこもあって社務所も多忙なので、御朱印帳に貼り付ける形のものをいただいた。神社から出てすぐのコンビニでスティックのりを買う。フロントバッグの上で糊付けして御朱印帳に貼り付ける。貼らずに持っているとしわくちゃになりそうで怖い。

北方四島交流センター
日本とロシアの交流関連


ロシアに関する展示


日本最東端の御朱印がいただける
金刀比羅神社


金刀比羅神社の本殿


金ぴかの神輿が印象的


金刀比羅神社の境内に咲くあじさい


えぞみくじ 根室のさんま

 この時点で15時半になった。岬でもらえる本土最東端到達証明書のリミットは17時だ。激しい向かい風の中で片道20kmの岬に辿り着くにはギリギリになってきた。最東端に行く以上は証明書は手に入れておきたい。ここからは魂の走りが始まる。向かい風に対して踏み込めるギリギリのハイギアで踏んでいく。しかし、ペースは一向に上がらない。残りの距離と時間が危うくなってくる。思い切ってギアを上げていく。足がもたないかもしれないが、もう勝負から逃げられない。ペダルをグイグイ漕いでいくと、やっと廃墟になったタワーが見えてきた。タワーの根元が納沙布岬である。タワーがいつまで経っても近づいてこない印象だが、体力の限界までペダルを踏み込む。
 16:45に納沙布岬に辿り着いた。北方領土資料館にまず駆け込む。到達証明書(公式)を何とか手に入れた。スタンプも全てスタンプ帳に押して何とか日本最東端でやるべきことをやりきった。それを頂いた直後に北方領土資料館は今日の営業を終えて扉を閉ざした。次に岬に立つ本土最東端 納沙布岬のモニュメントで写真を撮る。人を入れるのが面倒なので自転車だけにする。続いて本当の最東端に行くために灯台へ行く。強い風が吹きすさぶ海を見ながら、今 日本で一番東に立っているのが俺だという状況になる。この時点で2023年8月14日なので、日本最北端到達である2022年8月16日から1年以内で日本4極を制した。そう思うと感慨深いものがある。
 その他で日本最東端で見ておきたいのは、バス停、信号機である。バス停は見つけて写真に収めた。出発しようとしたら霧多布岬で会った外国人のサイクリストと再会する。納沙布岬の宿に泊まっているようで、俺も泊まるように勧められたが、俺は先に行くことにした。根室でテントを張れる場所はあたりがついてるものの、その前に今日の感じで根室で野宿するのは厳しそうなのでダメ元で宿を探すとゲストハウスを見つけた。とにかく予約を入れる。到着時間を22時にした。

納沙布岬灯台の眺め


普通に行ける最も東 納沙布岬灯台


日本最東端のポスト


日本最東端 納沙布岬

 徐々に日が暮れてくる根室半島の南側を戻っていく。根室半島の東の先端に向かうときが強烈な向かい風だったので強烈な追い風として背中を押してくれる。俺の実力を勘違いするほどの追い風でグイグイ走って行く。19時頃に歯舞(はぼまい)に着く。ここで4つの日本最東端を制す。1つめは信号機 これで信号機の日本4極を制した。2つめはコンビニ 歯舞にあるセイコーマートが日本最東端のコンビニである。こでコンビニの日本4極を制した。日本最東端の信号機のある場所は現在は診療所になっており、ここがかつて日本にあった鉄道の最東端である。ここでもう1つ制したいのが日帰り入浴の日本最東端である。港の方に降りると、歯舞の湯という銭湯がある。真っ暗な漁港に降りていくと、目立たないところにある。何というか漁師さんのために作ったような建物の中にある風呂で、漁師でもない俺が入って良いのか戸惑うところがあるが、窓越しに聞いたら問題ないと言ってもらえた。入浴時にお金を払うのは銭湯そのものの方式だが、記帳するノートがあって船と人の名前が書かれている。俺も名前を書いていく。風呂はシンプルな作りだが寒さにあえぐ今日は温かいお風呂に入るのがありがたい。
 風呂から出て根室市街に向かおうとしたら電話がかかってきた。予約した宿だが19時までにチェックインしないと困ると言っている。この時点で19時半で、頑張っても1時間はかかるだろう。21時と言ったが20時までに来いと言っている。会話がかみ合わないが、とにかく向かう。真っ暗な道で追い風なので集中力が冴えて力強く進んでいく。根室の市街地へは一度坂を登って下る必要があるが、下りの途中にモスバーガーがある。これが日本最東端のファーストフードである。これでミスで制してない最北端以外のファーストフードを制覇した。さすがに、この煽られっぷりで時間かかるモスバーガーで食っていったら道徳的にどうかと思うので写真だけ撮ってスルーしていく。
 少し道に迷いながらも、宿に辿り着いた。今日は寒いしなんだかんだで旅の序盤の疲れが溜まってきているので宿に着くと安心する。ほかの宿泊者と旅の話で盛り上がりながら、やきそば弁当を満喫し夕飯を終える。消灯時間が決まっているので22時には眠りにつく。

日本最東端の郵便局
珸瑤瑁(こようまい)郵便局

日本最東端のコンビニ
セイコーマート うちやま歯舞店


日本最東端の信号機
歴史上の日本最東端の駅 旧歯舞駅前


日本最東端の銭湯で入浴


日本最東端のファーストフード
モスバーガー根室店


日本最東端の日帰り入浴
舞の湯



   出発(北海道・厚岸町)から 190.60 km

4日目  根室 → 厚床 46.56 km 
2023/08/15 
 2連続の宿ということで朝は早めに目が覚める。それでもほかの旅人は始発列車の時間には出発しているので遅めの出発とはなる。昨夜のうちに洗濯したかったのが出来なかったので、まずはコインランドリーに行き洗濯機を回し始める。コインランドリーはホームセンターの敷地内にある。この時点で日本最東端のホームセンターへの訪問を果たした。
 洗濯をしながらコインランドリーから歩いて行く。まずは実家に送る魚を探しに朝からやっている鮮魚店に行く。お目当ての鮭はないが、旬のハナサキガニのほかにシマエビやホタテや姪っ子たちが好きなイクラがあったので実家に送る。俺も朝飯としてカニの炊き込みご飯を買う。続いて、すぐ近くにある久遠山 實成寺(くおんざん じつじょうじ)に立ち寄る。昨日も立ち寄ってお参りをしたが留守だったため御朱印をいただけなかった。寺は朝が早いからか、もう開いていて訪ねてみると御朱印をいただけた。これで、日本最東端の寺と神社の御朱印を手に入れることができた。寺、神社問わず日本最東端は昨日行った金刀比羅神社になるが、寺の最東端は久遠山 實成寺となる。御朱印集めを始めて1年足らずの間に日本最南端、最西端、最東端の御朱印を手に入れた。残すは日本最北端だ。早めに日本最北端の寺と神社の御朱印を手にすべく稚内へ行きたいところである。
 歩いてコインランドリーへ戻って洗濯物を乾燥機へ移す。先ほど買ってきたカニの炊き込みご飯を店の外で食べて、濃厚な出汁の効いたカニ飯を満喫する。乾燥を待っている間にホームセンターへ入る。ここで買い物をすると、日本4極のホームセンターで買い物をするという快挙を果たした。着々と日本4極のタイトルを手に入れつつあるが、また新たなジャンルが見つかると4極に行きたくなるだろう。
 コインランドリーを後にして根室駅へと向かう。記念切符や土産や食品など買って、次に東根室駅へ向かう。その途中で国道44号線の終点に立ち寄る。微妙にショートカットしてここを通りそびれたので国道の日本最東端には行けずじまいとなっていた。これで国道の4極も制覇した。
 昨日は素通りした日本最東端のファーストフードであるモスバーガー根室店の前を通ったが、朝飯直後なので店に入ることは無かった。旅は宿題を残しておくと良いので、次回は日本最東端のファーストフードで食事をするというタイトルを手にしたいところだ。ちなみに昨年は日本最北端のファーストフードをマクドナルドであると調査不足による勘違いをしているので、ファーストフードでの食事の4極制覇は当分先である。
 以前と景色があまり変わらない住宅地の中にある東根室駅へ立ち寄る。もう何度目かの訪問になる東根室駅は日本最東端の駅である。根室本線の釧路より東の廃止は時間の問題とも言われてる中で、訪問した思い出は大事にしたい。日本最東端巡りを一通り終えたところで、根室を後にする。

住宅地にも現れるキタキツネ


花咲ガニとシマエビとホタテといくら


カニの炊き込みご飯


日本最東端の御朱印がいただける寺
久遠山 實成寺(くおんざん じつじょうじ)


国道 日本最東端
国道44号線 終点


ホームセンター日本最東端
ヒシサンホーマ


日本最東端 東根室駅
('25年3月に廃止)


この姿も見納め


 昨日まで苦しめられた向かい風が今日からは走る方向が逆になるため追い風となる。勢いに乗って走ろうとしていたら悲劇に見舞われる。前から飛んできた蜂かアブが耳に当たって耳の穴に入る。そして暴れた虫に刺される。虫が当たることは良くあるが勢いでバチッと跳ねて行くことがほとんどだが、穴に入ったことで虫の方がパニックになって刺してきた。思わず立ち止まるほどの激痛が左耳を襲う。しばらく激痛に悶絶し徐々に熱くなっていく耳に不安を持ちながら、症状が落ち着くのを待つ。
 走りに力を入れると痛みが出る左耳に耐えながら進んでいく。風蓮湖の湖畔まで来て遠くを見るとタンチョウが見える。ここでタンチョウを見るのは2回目だ。干潟で餌が取れることもあり、タンチョウが立ち寄る定番スポットになりつつあるのだろう。
 二度目の訪問になるが、道の駅 スワン44ねむろに立ち寄る。日本最東端の道の駅である。ここで、霧多布と納沙布岬でも会った外国人のサイクリストと再会する。ほかのサイクリストもいて話が盛り上がる。橋の上から撮ったヒグマの写真を見せてもらう。20回以上も北海道を旅していながら路上遭遇がないので怖いようなうらやましいような気持ちだ。最近は若いサイクリストが減った代わりに年が近いか外国人とよく会ったり話したりする機会が増えている。ある意味では多様性が出てきて楽しい。道の駅で昼飯にする。根室名物のエスカロップとカニを満喫する。甲羅にぎっしりと詰め込んだ足を食べる。自分で剥かなくて良いので手も汚れないし簡単で美味しい。

春国岱の眺め


湿地にたたずむワシ?タカ?


根室名物エスカロップ


贅沢 むき身の花咲ガニ

 道の駅を出るとひたすら西に戻る走りをする。だが、耳の痛みは根強く残り走りは好調にはほど遠い。15時過ぎに厚床(あっとこ)に辿り着く。今日の目的地は中標津と思ってたが、まだ40km近く走らなければならないが、そこまでの余力があるように感じられない。取り得る選択肢は3つだ。厚床にあるキャンプ場でキャンプするか、20km程度行った別海でキャンプするか、無理して中標津まで走りきるか。体力と時間だけ考えると別海が最適解だが、別海は16時までに辿り着かないのが云々とか自転車が邪魔だとかガスを使うななど自転車を馬鹿にしてるオーナーがうるさいので二度と行きたくもないし近くの公園で野宿した方がマシと思うほど、1円たりともキャンプ場に落としたくない。
 ここは、厚床に泊まるという方法を考える。ただ、キャンプ場が人気ありそうだしお盆なので泊まれるかどうかは行ってみないと分からない。厚床駅付近から少し牧場の中の国道を走るとキャンプ場に辿り着く。牧場と直結したレストランや売店やソフトクリームのショップにくっついてるキャンプ場で何年か前に昼飯として満喫したことがある。キャンプは少し楽しみではあった。見た感じテントは2つぐらいしか見当たらないので、聞いてみると宿泊可能ということで決定である。シャワーもキャンプ場で使えるし自炊もできる。受付を済ませたらチーズとワインを買い、ソフトクリームを食べる。ミルクが濃厚で美味しい。
 テントを張ったら荷物を下ろした自転車で厚床駅前まで戻って買い物をする。セイコーマートでジャガイモや野菜を買っていく。夕暮れに染まる広い牧場を眺めつつキャンプ場に戻る。動物とふれあえるキャンプ場なので、山羊や馬と戯れてのんびりする。シャワーを浴びて夕飯にする。売店の前にテーブルと椅子があって炊事用の水道も近いので、テーブルで夕飯を作る。チーズのプラトー、ジャガイモのチーズ焼き、パスタにする。まずはチーズを切ってコッフェルの蓋に並べる。この時点で地ビールとワインを飲み始める。続いて、ジャガイモをゆでる。焼く前に火を通しておくイメージである。ジャガイモに火が通ったら薄切りにしてフライパンで焼く。オリーブオイルと塩で味を付ける。焼き目がついたらチーズをのせる。ジャガイモの上でチーズが溶けてきたらジャガイモごと食べる。芋のほくっとした感じと香ばしさに濃厚なチーズがまとめてくれる。白ワインが進む味だ。予定ではパスタをゆでて厚岸で買ってきた牡蠣のトマトソースでいこうと思ったが、ジャガイモで腹が満たされて中止とした。ヨーロッパに出張したあたりか年齢か分からないが、ジャガイモがおかずでは無く主食になって、ジャガイモ料理とご飯とか入らなくなった。たぶん年だろう。
 夕飯を終えてほろ酔いで空を見上げると満天の星空が広がっている。このあたりは住宅が数軒あるだけなので地上からの光がなく星空が映える。すっきり晴れない日々であり予報も雨続きの中で星空が見えるのは貴重だ。

明郷 伊藤☆牧場 ソフトクリーム


ヤギと戯れる


サフォークとも戯れる


牧場の向こうに見える夕日


チーズの盛り合わせ


別海の美味しい乳製品とワインと地ビール


ジャガイモにチーズを乗せて焼く


チーズがこんがり焼けてきた



   出発(北海道・厚岸町)から 237.16 km

5日目 厚床 → 別海 → 中標津空港 → 中標津 58.00 km
2023/08/16
 夜中に少しだけ雨が降ったようだが朝は雨がやんでいる。天気予報はずっと雨と言われていたが、ここまで開幕から無敗で逃げ切っている。予報に対して快挙とも言える勝率である。筋肉痛が抜けないヨボヨボな体でテントを片付けて撤収し、買っておいた朝飯を食べて出発する。
 まずは別海へ入る道道に曲がるところに、パーキングがあるのでトイレがてら休憩していく。すると奥行臼(おくゆきうす)の駅逓跡や廃線跡を見物できることが分かったので立ち寄っていく。駐車場から奥行臼駅跡までは旧標津線の線路が残されていて線路沿いや線路を自由に歩ける。歩いて行くとホームと古い駅舎が残されている。濃い茶色の木造の駅舎が時代を感じさせる。最近のYoutubeや北海道での旅ではまっている廃線跡巡りは時代が感じられて楽しい。旧国鉄と村営鉄道の拠点だったからか村営鉄道の車両や転車台も保存してある。続いて、駅逓の跡にも立ち寄る。北海道を旅していて駅逓跡というのをちらほら見かけるが、駅逓とは何のことかよく分かっていなかった。鉄道跡とセットじゃないと駅は無いだろうと思っていたが、線路の跡はない。馬の拠点として存在するのが駅逓である。奥行臼の駅逓は保存が良く駅逓から旅館に変わった時代の変化も感じられる。丁寧に説明もしてもらえて駅逓というものや歴史を理解できた。奥行臼は北海道の開拓と交通の歴史を1カ所で楽しめる。馬を中心とした駅逓の時代から村営軌道の駅となり、国鉄がつながって北海道中がつながれる。そして道路が発達してモータリゼーションの時代で鉄道が役目を終えて廃止になる… そして、かつての乗換駅は誰も住んでいない過疎地になる。一つの場所で見ることのできる物語が深い。

厚床で迎える朝


旧奥行臼駅跡


線路の跡も見事


別海村営軌道の車両


奥行臼駅内


転車台跡


奥行臼 駅逓内部


奥行臼 駅逓跡

 奥の深い奥行臼を満喫して別海の方へ走っていくと、ポークチャップが名物のロマンに立ち寄る。ポークカレーとポークチャップと牛乳を楽しむ。ポークチャップが焼けるまでの間、牛乳を楽しむ。牛乳はだんだん飲めなくなってきた年だが、北海道の牛乳は飲めてしまう。ポークチャップはこんがりした外側と肉々しい旨みを満喫しながら酸味のあるソースと合わせる。400gのボリューミーな肉満載の味と歯ごたえを楽しんでいく。カレーもコクがあって美味しい。
 満腹でロマンを後にして別海の市街地を抜けていく。市街地から出る寸前に博物館があるので寄っていく。古い感じの郷土資料館を見ると、別海での暮らしぶりや自然を見ることができる。ヒグマの剥製が迫力ある。路上遭遇が今のところの目標だが、実際にこれが出たら怖い物がある。加賀家文書館も併設されてるので見て行く。アイヌとの通訳をした加賀家の資料が展示されている。開拓とアイヌとの協力関係がよく分かる内容で見応えがある。
 昨夜のうちに計画を見直しして、今日は中標津までの走りにとどめることにした。当初の計画だと昨日のうちに中標津まで走りきっておいて、空港や開陽台や眺めの良い直線道路巡りなんかも考えていたが、体力的な面と天気が悪いことを考えると短縮とする。あと20kmほどと距離自体は短いが丘の上にある中標津空港には行きたい。その他、日本最東端の○○がたくさんあるのが中標津だ。別海からは北海道の内陸特有の緩いアップダウンを何度も超えながらの走りが続いていく。天気予報では雨と言われ続けているが、持ちこたえたまま中標津に入る。

ポークチャップのロマン


別海名物ポークチャップ


絶品のカレー


別海町 郷土資料館


見応えある資料館




 まだ明るい時間帯で中標津の市街地に入った。前に東屋の下にテントを張って寝たことはあるが、今日は宿を押さえる。ネットで予約して取れたので無理する必要もなく、雨予報で分かってる中でのキャンプも気が進まない。市街地をスルーして丘を登っていく。雨が降りそうな間際のタイミングで中標津空港に到着した。飛行機に乗る気は全くないのだが、日本最東端の空港である。これで空港の日本4極も踏破した。最北端の礼文空港、最南端の波照間空港、最西端の与那国空港、そして最東端の中標津空港である。展望デッキで新千歳に飛ぶボンQを見送って出発しようとしたら本格的に雨が降ってきた。とうとう開幕から続いた連勝がストップした。これだけの雨予報の中で今日まで降らなかったことに感謝したい。現時点で6勝1敗で残り6日なので、もうマジック1であり1勝すれば勝ち越しが決まる。雨連続予報の中で奇跡に近い展開と言える。
 雨も降って暗くなってきた丘を下って中標津の市街地へ戻る。次は日本最東端のフランチャイズチェーンが1カ所に集まる東武サウスヒルズ中標津へ向かう。日が暮れて雨が降ると本格的に寒くなってきたが、広いショッピングセンターの駐車場を抜けて、軒下の広い場所に自転車を置く。レインウェアを自転車に止めて干しつつショッピングセンターに入る。フードコートが最東端の巣窟になっている。マクドナルド、ケンタッキーフライドチキン、サーティーワンアイスクリーム、ミスタードーナツ、ピザハット、ドトールコーヒーの日本最東端がこのフードコートに集結している。なじみがあるところで、マクドナルド、ケンタッキーは食事含めて制しておきたい。マクドナルドについては、日本最北端の稚内、日本最南端・最西端の石垣島の店舗に行ったので4極制覇となる。ケンタッキーフライドチキンは日本最南端・最西端の石垣島の店舗に行ったので最北端を除いて制覇したことになる。他は、そもそも行かないチェーン店なので訪問だけ記録として残しておこう。北海道まで来たなら北海道らしい食事を徹底したいところだが、端っこマニアとしてマクドナルドとケンタッキーで単品を集めて夕飯にする。

日本最東端の空港 中標津空港


新千歳行きのボンQ


空港内の牛のモニュメント


日本最東端のドトールコーヒー
背後には日本最東端のサーティーワン


日本最東端のミスド



日本最東端のピザハット


日本最東端のKFC


日本最東端のマクドナルド



マクドナルドの日本四極踏破
KFCは最北端のみを残す

 夕飯を終えたら予約しておいたホテルへと向かう。中標津は温泉地なのでホテルで温泉も満喫できる。雨が降りしきる市街地を走り抜けてホテルに辿り着いた。軒下で自転車が置けそうな場所を探して自転車を置き、チェックインする。着替えと充電関係と風呂セットの他にレインウェアやヘルメットも部屋で乾燥させたいところだ。ホテルだと荷物を外さないので楽だし明日の出発もスムーズになる。その分だけ早く出発する意識の高さはなく、のんびり寝る側に時間を使える。
 部屋で干す物を干したら風呂に入りに行く。今日ぐらい寒いと温泉の露天風呂が気持ちよい。汗と雨を洗い流して温泉で体を温めたら、サウナに入る。昨年買った自宅にサウナがついてるので、この1年ほどでサウナにはまっているが自宅以外のサウナは入ったことがない。ドラマ サ道で見た通りの流れでサウナに入る。12分のサウナ時計を見て時間を決めようと思ったが、サウナハットもなく8分ぐらいが限界である。あまり追い込みすぎると走りに影響しても嫌なので無理はしない。設備でキンキンに冷えた水風呂も心地よい。自宅だと水道の温度なので夏では冷えた水ではない。この流れを3回ほど繰り返して、露天風呂にある椅子に座ってぼーっとする。今までは自宅サウナばかりだったので、これからは色んなサウナと温泉を満喫してみたくなってくる。それこそ自転車で温泉とサウナを巡る旅も今後のテーマになってくるだろう。温泉と初の自宅外サウナを満喫して、心地よい状態で部屋に戻り、眠りにつく。


   出発(北海道・厚岸町)から 295.17 km

6日目 中標津 → 標津 → 野付半島・トドワラ → 標津 66.74 km
2023/08/17
 雨は朝まで降り続いたが、出発時点ではやんでいる。セイコーマートで朝飯を食べて出発する。昨夜までとは打って変わって蒸し暑い印象である。少し走るとローソンがある。ローソンの壁を見ると北海道の地図が見えたので立ち寄る。日本最東端のローソンである。各コンビニチェーンの4極はさすがにチェックしてなかった。
 計画を見直すと短縮短縮で楽勝な感じになってきてしまったので、いっそ走りよりExperienceの方を重視していくことにした。中標津から東に標津へ向かいながら、標津サーモン科学館へ立ち寄る。前に行ったことはあるが、産直で鮭関係が買えたり食事も出来たり、もちろん鮭を中心とした水族館を楽しめる。見てる間に雨が降ると嫌なので少し防水を強化した状態で自転車を置いて見に行く。鮭やイトウを中心にした圧巻の内容である。タワーにも登れて眺めも楽しめる。今日は天気が悪く眺めは冴えないが、日本最東端の水族館の最東端と書いてある。よくよく考えたら、ここ10年ぐらいご当地水族館は楽しみになっているので水族館の4極制覇は重要だ。最北端は稚内のノシャップ岬の水族館でこれは踏破済み。日本最東端も踏破済みで、最南端と最西端は沖縄のDMMかりゆし水族館だが、これは未踏。今度、沖縄に行く際に達成すべき課題である。

日本最東端のローソン


中標津のホテルを出発


鮭ばかりの水族館


鮭ばかり


川を直接見る水槽


水族館日本最東端 このタワーが象徴

 水族館を楽しんで、買い物と昼食にしようとしたが、前ほど充実してないのでスルーしていく。5kmほど走って標津の街に出る。温泉、キャンプ場、セイコーマート、鮮魚の産直、食事処何でもある。観光客向けの海鮮丼を目当てにしたら今日は開いてないので、蕎麦の福住総本店へ行く。白い更科系の蕎麦といくら丼を楽しむ。北海道のイクラは変なしつこさも臭みもなく美味しい。蕎麦の甘みを感じる。
 鮮魚店で鮭とホタテを買う。刺身用とホイル焼き用で充実させる。キャンプ場の受付を済ませてテントを張って、テントの中へ入れて行く。保冷バッグ内で解凍させつつ夜まで鮮度を維持する作戦である。荷物を下ろして軽くなった自転車で出発する。野付半島の先端まで往復する。天気はすっきりしないが、その方が返って荒涼とした感じが出て良いかもしれないとポジティブに考えていく。ビジターセンターが17時まで開いてると予測するが、強烈な向かい風で苦戦する。往復で42kmあるので、21kmの吹きっさらしの向かい風は冷たく体は冷えるし、ペダルを漕ぎ進める上での強烈な抵抗力になる。

標津の名店 福住


いくら丼とそば


たっぷりのいくらが贅沢


きれいな白いそば

 砂嘴を走る道なので、右にも左にも海が見える。荒涼とした森が砂嘴の上にあるが、これも海の影響を受けて弱々しい木が印象的だ。エゾシカを見かける数も半端ではない。左右両側に海を見ながら走る開放感があるかというと、残念ながらそこかしこに漁業系の建物が見えるので抜け感や映えはない。16時過ぎにビジターセンターまで走りきった。
 自転車を置いてビジターセンター内を見学して、トドワラへと歩く。この時間に散策する人が少なく、海に突き出た草地の遊歩道を一人で歩く。大自然の前に自分だけという不安と、こういう地形の場所は泳げない俺からすると泳ぐわけでもないのに恐怖感がある。草は青々としてるので潮が満ちても水没しない場所とは思うが、色んな状況を考えるとカナヅチが海沿いギリギリを歩くのは本能的に怖い。荒涼としたトドワラの海と立ち枯れした木々を見ていく。海の上を歩く遊歩道デッキの上は強い風が吹きさらしで油断してると風に煽られて落ちそうだ。おそらく膝ぐらいの深さで波はほとんどない砂嘴の内湾だが、不安がある。
 トドワラから遊歩道を戻ってビジターセンターに帰ってきた。もう観光客は誰も居ない時間帯になってきた。あと数km先の道道終点まで走って行く。最後のひと踏ん張り向かい風と格闘する。灯台が見えて砂利道のみになったところで引き返す。帰りは追い風で絶好調の中を帰ってくる。天気が悪いせいか早めに薄暗くなってきている。それでもノンストップで風に乗ってグイグイ漕いで進む。行きに苦労した分だけ帰りは楽をさせてもらわないと困る。途中、エゾシカの群れと何度も遭遇し、自分が進むとエゾシカが前方に逃げて、また距離が詰まるとまた逃げてという展開も続く。見慣れたエゾシカではあるが、改めて野付半島の自然の豊かさを感じる。

野付半島を先端に向かう


立ち枯れした木が見えてくる


海の上を歩く木道


野付半島先端のトドワラ


ここまでが舗装路の限界


野付湾に戯れるエゾシカの群れ

 すっかり暗くなった18時過ぎに標津の市街地へ戻ってきた。セイコーマートで食材を買ったところで痛恨のミスに気づく。当てにしていたキャンプ場の真ん前にある日帰り入浴できるホテルの日帰り入浴時間を過ぎた。買い物と順序を逆にしないといけないところを痛恨のミスだ。慌てて調べると、もう1軒だけ少し野付半島側に戻ったところにも温泉があるようだ。こっちは遅くまで入れる。まずは、買い物した荷物をキャンプ場へと持っていく。テントの中から着替えと風呂セットを出して温泉へ向かう。もう完全に暗い時間帯になってきた。露天風呂があるわけでもない素朴な風呂だが掛け流しの温泉は気持ちが良い。今日もパワーを掛けた走りとは言え寒さが勝つ展開なので、温泉は生き返る。
 明日からは知床へと入ることを考えると洗濯をしておく。夕飯の前にコインランドリーへ行き、空腹を我慢しながら洗濯と乾燥をする。今年は足の皮膚が弱くサンダルで摺れて痛みが出ているし、軽い出血もあるのでサンダルをシューズランドリーで洗いたいが、根室もここもそれは無い。微妙に臭いも出てきている。ちょっと不完全燃焼で洗濯してキャンプ場に戻る。炊事場で米を炊いてる間に、フライパンにエノキとモヤシとピーマンを並べてアキアジをのせる。ホイル焼きを焼いてる間に、マスノスケとトキシラズとホタテを刺身にする。皮を上手く引けないので身が崩れ気味で美しくないが、標津産の鮭三昧の刺身は美味しい。解凍具合もちょうど良い。ホイル焼きも鮭の良い香りに塩コショウとマヨネーズの軽い味付けが合って美味しい。北海道に来たらやりたい料理である。
 冷たい風に煽られながらコッフェルを洗って片付けて眠りにつく。

標津の鮭とホタテの刺身


標津産鮭のホイル焼き


焼き上がったところ



   出発(北海道・厚岸町)から 361.91 km

7日目 標津 → 羅臼 53.40 km
2023/08/18
 たまたまトイレに行きたくて明け方に目が覚めた。朝早すぎる目覚めの爺問題か頻尿か分からない。東の空を見ると赤く染まっている。これまで空を覆い尽くしていた雲がすっきり消えている。雲か陸地か分からないが東の海の向こうに見える。スマホで調べると、ちょうど日の出の時間が迫っているようだ。慌てて海の方へ走っていくと、ちょうど沖の方の雲と雲の間から日が昇ってきた。太陽の左側には国後島の島影が見えている。前回の道東旅でも今回の納沙布岬でも国後島は一切見えなかったので、趣深い。
 ご来光を満喫して少し寝てテントを片付ける。昨日は雨が1回も降らずに走りきったので、もう既に7勝1敗と残りの日程が全部雨でも勝ち越しは決定したものの、やっとスッキリ晴れた朝を迎えた。今日から知床に入っていくので晴れは嬉しいものだ。熱中症とか色々と課題はあるが、夏はガンガン晴れて暑い方が良い。暑さには慣れるが、寒さはパフォーマンスが上がらないので嫌いだ。
 セイコーマートで朝飯を食べていく。最近、困るのが北海道のゴミ箱問題である。鉄道、道の駅など公共施設からゴミ箱がなくなっていく。コンビニも徐々にゴミ箱が撤去されている。ここも同じくゴミ箱は無い。持って帰れと言われても2週間近く旅する間、ずっと持ってるわけにもいかない。前のコンビニで買ったゴミを次のコンビニで捨てて また買い物をするというサイクルになっているが、それが止まると増える一方だ。パッケージや売り方で減らす工夫が何もないくせに回収だけしないのは非常に困る。有料でも良いので回収して欲しいところだ。何をきっかけにこんなことになったのか知らないが、今の北海道の非常に悪い流れである。これから向かう知床でゴミを持ち運ぶこと自体がリスクに感じる。
 根室標津駅の跡を見て行く。大きな転車台があるところが、標津線の終着駅を象徴している。駅舎やホームは残っていないが、転車台とC55がきれいに保存されていて見応えがある。転車台に溜まった雨水と青空が映えている。

沖に国後島を見る朝日


やっと晴れた標津の朝


旧標津線 根室標津駅跡


保存してあるSL


転車台


給水槽跡


SLの運転席

 知床半島の羅臼に向けて走り出す。このルートは2回ほど逆方向に走っているので、どのぐらいきついか概ね予測はついているが、今日も調子はイマイチ上がらずアップダウンをグイグイ走る感じは無い。海沿いながら意外と山深い道ではあるが、昔より整備されて走りやすくなった印象はある。時々、海が見える道に出ると、今日は知床岬や国後島も一望できる。今回で3回目の知床だが、ここまでスッキリと国後島を見たのは初めてである。山深そうな地形を見てると走りたくはなる。
 羅臼町郷土資料館あたりまで走ったところで、ちょうど昼だが昼飯を食う場所や店は無い。港にある公園のベンチで寝転んで体の疲れを取りつつ、明日のホエールウォッチングのクルーズ船を予約する。お盆の繁忙期は過ぎてるので予約は取れそうだし天候も良さそうだ。ネットで見て評判良さそうなところを選んで電話したら予約できた。体力が回復したところで資料館を見に行く。今は見れなくなったマッカウス洞窟のヒカリゴケが見える。その他に知床の自然や歴史文化も楽しめる。古い学校を改修した資料館はレトロな感じではあるが、古代史まで触れていて内容が深い。
 羅臼に近づくにつれてアップダウンも一層きつくなってきた。空が晴れて鮮やかさも増してきている。色んな旅人と話しながら景色を楽しんでいく。そんなに苦労した記憶の無い標高90mの羅臼峠に苦労しながら進んでいき、羅臼の市街地に入る。15時に遅い昼飯を食べる。羅臼はコンビニに限らず有料ゴミ袋を各店舗が改修してくれる仕組みになっている。さすが知床の街だ。有料として地元にお金が落ちるビジネスモデルを構築した上でやってくれれば良いのにと思うが、その通りの仕組みになっている。

沖に見える国後島


根室海峡の眺め


根室海峡と知床半島を見ながら走る


羅臼町郷土資料館


鯨の骨


ヒカリゴケ

 道の駅 羅臼でスタンプを押して情報収集をして、市街地で買い物をする。朝は羅臼市街まで下れば良さそうなので、夕飯だけ買っていく。国設羅臼野営場は知床峠に向かう坂道をかなり登ったところにある。ここからは覚悟が必要である。知床に来るのは3回目だが、この坂でのへばり具合が回を重ねるごとにひどくなっていく。年齢による劣化もあるが、今年はどうもGWも夏も調子が上がらない感覚があり、苦戦を強いられる。
 19時頃にやっとキャンプ場に辿り着いた。受付を済ませてテントを張りに行く。あまりごちゃごちゃしてない場所を探したが見つからず、ライダーがいっぱいいるあたりの場所を選ぶ。テントを張ったら風呂に入りに行く。歩いてすぐのところに熊ノ湯がある。掛け流しで地元が維持してる野湯である。初めての人には非日常感が受けている。3回目ともなってくると、色々と思うところがある。地元の人がいちいちうるさい。体を洗うための桶を探していると怒ったように脱衣所にあるだろと言ってきたり洗ってる間はじろじろと監視される。脱衣所に濡れるのが当たり前の桶を置く必然性がどこにもない。浴槽に入る前であるし俺は自然を意識して生分解される竹炭シャンプーを使うことを徹底している。何か文句を言われる筋合いもない。お湯に入ると馬鹿みたいに熱い。観光客は全く入れない。他の観光客と話をして水で割ろうとすると、後から入ってきた地元民が勝手に水を止める。張り紙で「地元の人に配慮しろ」とか書いてあるが、普通の人の温度に対する配慮が必要なのは地元民だ。普通に有料で良いから日帰り入浴の施設を作ってほしい。他に選択肢が無いから来るだけの場所だ。一事が万事、今の北海道は観光客を排除したいのか受け入れたいのかスタンスが全く分からない。放っておいても存在する大自然のおかげで人が来て金を落としていくから困ってないのかもしれないが、大好きな北海道がいつまでも愛すべき存在であるために、厳しい言い方をすると北海道を旅する価値は年々下がっていると言える。その理由は他でもない「人」である。
 キャンプ場に戻って夕食を作る。今日も昨日に続いて海鮮三昧である。閉店間際の道の駅で割引してくれたサクラマス、ツブ貝、トキ子で海鮮丼にする。どれも旨みが濃厚で、さすがと言える。熊よけのために頑丈な蓋がついたゴミ箱にパッケージは捨てて片付けて眠りにつく。

やっぱり北海道のビールは
サッポロクラシック


鮭の刺身


自作の海鮮丼



   出発(北海道・厚岸町)から 415.32 km

8日目 羅臼ホエールウォッチング
2023/08/19 羅臼 → 相泊 → 羅臼 58.89 km
 朝は早めに目が覚める。今日は7時集合でホエールウォッチングへ行く。フロントバッグだけ積んで念のための雨具と御朱印帳とモバイルバッテリーと充電ケーブルとインフレーターだけ入れて出発する。羅臼市街に向けて坂道を下って、あっという間に集合場所付近に辿り着く。まだ時間はあるのでセイコーマートで朝食にする。クルーズ船で酔わないか心配なので、あまり腹にたまらないパンで済ませる。
 道の駅の横の事務所で受付を済ませたら、自転車で港へと行く。前に羅臼の道の駅でメーターを紛失(おそらく盗難)したので、今回はフロントバッグに入れてフロントバッグは外して船に乗り込む。船は2階建てになっていて、俺以外の客は全員 上の階に行っている。俺だけは1階で海面に近い迫力と自由に動き回れる自由を楽しむ。知床の遊覧船の事故があったからか、安全に対してはかなり徹底している印象であり、競うより協力するというスタンスが見えている。
 船は沖へと出て行く。今日は天気が最強で、斜里岳から羅臼岳や知床岬まで知床連山が一望できる。国後島もくっきりと端から端まで一望できる。ここまで天気の良い知床は見たことがない。知床一望は海からか国後島からしか出来ないので、それだけでもクルーズ船に乗った価値があり大きな喜びである。一人で1階のデッキで動き回って思い思いの角度から知床と国後島を楽しむ。一方でマッコウクジラが見つからずスタッフは焦っている。こればかりは自然が相手なので仕方ないが、一頭も見えないと色々と大変なのだろう。クルーズの時間も後半に入ってきて、イシイルカしか見えて無くてスタッフの焦りを感じる。俺は景色だけで満足したと言い聞かせてるというか、ホエールウォッチングであることを忘れるほど景色を楽しんでいる。デッキでスタッフと雑談しながら「いやー 景色だけで満足しちゃいますよね」というと「そう言ってもらえると助かります」と苦笑いされる。必死のマッコウクジラ捜索で、船同士の協力もあってか、やっと見えるポイントに向かい始めた。潮を吹いてるポイントが見えて、マッコウクジラの頭の黒い部分が海面から出ている。最後は尻尾を立てて潜っていく。2頭目は尻尾を立てて潜るところは見えなかったが遠目に潮を吹くマッコウクジラを目にした。2頭目はガイドさんが言う前に自分で発見できたので喜びが大きい。老眼だけど遠くはよく見える。一番近づいた3頭目は潮吹きと頭も見えて、最後に尻尾を立てて潜っていくところも見えて撮影にも成功した。戻りの船でも景色を満喫し、鯨の生態についての説明を聞く。深海のマッコウクジラが根室海峡にいる理由や、意外と深い根室海峡に驚きながらクルーズは終わった。景色、人、鯨 全てが最高の状態となった。

この船で羅臼の海へ行く


マッコウクジラの背中


マッコウクジラが海底へ潜る前


マッコウクジラの尾

 道の駅に行って昼飯にする。メーターを盗まれたくないので外していく。鮭づくしのどんぶりとサメガレイの煮付けを楽しんでいく。前に来た時に食べた黒ハモも美味しかったが、このサメガレイの分厚い身はあっさりしながら旨みが濃くて美味しい。羅臼昆布をまぶしたソフトクリームも満喫して昼飯を終える。
 今日は羅臼側の知床の最先端である相泊に行って温泉に入るのが目標だが、温泉は今年はCloseとなっているようだ。そうなると日本最東端の温泉に入浴するという目標が潰えてしまう。その前に、羅臼神社へ立ち寄っていく。シャチのお守りと御朱印をいただけるということなので楽しみにしていた。鳥居をくぐって階段を上ると社務所があり本殿がある。小さい神社ながら羅臼の海を守っている大事な場所である。羅臼権現水(ごんげんすい)が湧いていて水を汲んでいける。お参りを済ませたら御朱印とお守りを頂いて、一度自転車に戻って階段の横にある坂道を登って1.5Lのボトルに羅臼権現水を汲んでいく。水分補給は水道水より天然水の方がありがたい。スッキリして美味しい水である。

羅臼昆布ソフト


鮭の三色丼


サメガレイの煮付け


羅臼神社


羅臼権現水

 羅臼側の最果てである相泊に向けて海沿いの道を北東へと走っていく。行きは向かい風が吹いている。右には昆布を干す砂利があり、その向こうには深い青の海と国後島が見える。道の先は知床岬まで山が連なった地形が見える。前に来た時は曇りだったので景色は無いに等しい感じだったが、今日は全く趣が異なる。途中、今回は宿泊を見送ったキャンプ場を見て行く。海沿いにシンプルな広場になってるだけで宿で受付や入浴をすることが出来る。野趣あふれるキャンプ場があり、私が調べた限りではここが日本最東端のキャンプ場だ。宿泊を果たしたのは日本最北端の礼文島のキャンプ場で、日本最南端のキャンプ場は西表島の南風見田キャンプ場、日本最西端は西表島の星の砂キャンプ場で最北端以外は前を通過しただけで宿泊は果たせていない。
途中にあるトンネル前で止まる。このうちの最も相泊寄りの知円別トンネルの出口が、私が調べた限りでは日本最東端のトンネルである。マニアック過ぎて誰も整理してないトンネルの4極だが、これも4極制覇となる。最北端は礼文島の桃岩トンネル、最南端・最西端は西表島の西表トンネル、最東端が知床の知円別トンネルである。
 トンネルを抜けると、知床岬まで歩く猛者のためのビジターセンターであるルサフィールドハウスがある。先端に行くわけではないが立ち寄りたい場所である。展示内容は以前と変わっていないが、熊の目撃情報が毎日のように更新されているところが、さすがと言った感じである。いつかは体を鍛えてサバイバルやトレッキングを極めて立ちたい場所である。
 しばらく走ると瀬石温泉が見えてきた。海岸に沸いていて海と混じる野湯になっている。また走ると相泊温泉が見えてきたが、海から打ち上がった海藻に埋もれたような形になって、今季は終了と書かれている。確かに入浴はできないようだ。その先に行くと道は行き止まりになる。行き止まりの先はまだまだ知床岬まで陸地が続いている。これを道なき道を歩く人がいると思うと驚異に感じる。ここまで来ると端っこ以上に日本の最果て感を感じる。海の向こうは現在はロシアであるし、知床岬は人が辿り着くのは困難な秘境である。
 戻りつつ相泊温泉に立ち寄る。入浴はできないが、手だけ軽く湯船に触りに行く。海藻が混じって濁って粘り気が出てるお湯に手を当てる。かなり熱いが、これが日本最東端の温泉である。少なくとも手だけは入った。これで温泉4極も体の一部は最低でも入ったことになる。広い意味で入浴と解釈するも良いだろう。全身入浴という目標はまた次の旅以降の宿題となるが、体の一部が入ったということで、宿泊施設も含めた温泉でいうと、日本最北端 稚内温泉 童夢、日本最南端・最西端 西表島 カンパネラの湯、日本最東端 相泊温泉 を制した。日帰り入浴温泉という観点では 最南端・最西端 宮古島 シギラ黄金温泉も含めての制覇となる。
 日本の最果てを次々と踏破し、これで今回の旅で行う日本最東端巡りを締めくくった。大きな達成感とともに相泊を後にして戻っていく。片道24kmの向かい風走行は思いのほか体力を消耗して、帰りは知円別トンネルの脇の広場でぶっ倒れて急速充電する。そうしてる間に着々と日は傾いていく。体力を回復させてからは追い風に乗ってグイグイ漕いで羅臼へと向かっていく。そろそろ暗くなってきた頃に羅臼の街に戻った。

日本最東端(たぶん)のキャンプ場


GPSでここ
根室半島にトンネルが無ければ
ここが日本最東端(たぶん)のトンネル


日本最東端(たぶん)のトンネル
知円別トンネル


相泊の突き当たり


知床の最果て


相泊温泉を見下ろす


情報は知ってたが改めて凹む


漂着した海藻にまみれた相泊温泉


日本最東端の温泉で手だけ入浴


海に紛れる瀬石温泉

 ここで敢えて北海道のゴミ問題について取り上げよう。色んな施設でゴミ箱を撤去して観光客に持ち帰りを促すようになっている。しかしながら、羅臼から相泊のようにほぼ観光客が来ないところの路肩もゴミであふれている。海から漂着したものではなく道路から陸側である。ヒグマがいつ出てもおかしくない場所であり、この状況は危険だ。だが、この状況を招いているのは観光客だろうか。そうではない。店舗は公共のインフラとしての役目を担っている認識の元にゴミを積極的に回収するべきであり、そのためのコスト・対価は消費者が支払うべきだと考える。今、北海道は変わるべき時が来ていると思う。それをやっている羅臼は立派だと感じる。あとはモラルと意識の問題だ。
 すっかり暗くなった羅臼のセイコーマートで夕飯を買う。選択肢は少ないが、セイコーマートにはジンギスカンがある。ゴミも有料ゴミ袋に入れればキャンプ場の熊対策ゴミ箱に捨てることは出来る。身軽な状態で知床峠にアタックできるので容赦なく買っていく。明日は夕飯までは店がないので朝飯と昼飯も簡単に食べられるパンを買っていく。ずっしりした感じの荷物をぶら下げて、羅臼権現水に立ち寄る。真っ暗な中で湧き水をボトルに汲んでいく。せっかくなので湧き水で炊いたご飯を食べたい。
 空荷なのにヘトヘトになりながら坂道を登っていく。旅の終盤になってきても体が仕上がっていく感覚がない。何とかキャンプ場に戻って一息ついた。テントに荷物を放り込んで着替えと風呂セットを持って熊ノ湯へ行く。気は進まないが汗だくなので洗いたい。今日も地元民が偉そうにしてるので無駄に熱いお湯で体を洗うだけにして湯船には浸からず入浴を済ませた。
 テントに戻って、まずご飯を炊く。湧き水で米を洗って水道水で米を研ぐ。また湧き水で満たしてガスで炊く。コッフェルから水が沸騰する振動が消えたところで蒸らしに入る。その間にジンギスカンを焼く。セイコーマートのジンギスカンが意外と美味しく、味付けも甘塩っぱさが絶妙でラム肉は柔らかくて臭みがない。肉を頬張りながら羅臼権現水で炊いたご飯を楽しむ。米の甘みが引き出されているように感じる。大満足の夕飯を終えてジンギスカンの袋を丁寧に水でゆすいで使い古しのジップロックに入れて匂いが出ないようにしてゴミ袋にまとめる。炊事場で片付けをしていると歯磨きに来た関西から来た親子のキャンパーのお父さんと話しが盛り上がる。夜のうちに熊対策のゴミ箱に入れて蓋をしっかり閉める。
 昼間の晴れはどこに行ったのかと思うほど空は雲で覆われている。以前、羅臼国設野営場に泊まった時は満天の星空に感動した記憶があるが、今夜はそれは見えない。

羅臼権現水で炊いたご飯


セイコーマートのジンギスカン



   出発(北海道・厚岸町)から 474.21 km

9日目 羅臼 → 知床峠 → ウトロ 32.37 km
2023/08/20
 夜中にふとトイレに行きたくて目が覚める。トイレに行って戻ってくる時に熊よけの電線の向こうにヘッドランプの明かりに反射して光る目が6つ見えた。何だかあまり警戒心が無さそうに見える。このキャンプ場でキタキツネとエゾシカは見たことあるが、どうもそれとも雰囲気が違う。よくよく近づいて見てみるとタヌキの子供が3匹、電気柵の外の木の切り株あたりで戯れている。人を見ても逃げないが、こっちをじっと見ている。これが成獣だとすぐ逃げるのだろうけど、逃げ方が分からないあたりが子供なのだろう。それがまた可愛い。北海道はエゾタヌキという本州とは違う亜種がいるようだが、今までで初めて見た動物である。今年は野生動物の目撃運が非常に良い。
 再び眠って起きたが、体の疲れが隠しきれない状態だ。炊事場でパンを頬張って、昨夜話したキャンパーと話しながら淹れたてのコーヒーを頂く。すっかり仲良くなってしまい話の盛り上がりと俺の疲れで出発は9:30過ぎまでずれ込んだ。まあ峠を越えたら下るだけなので、早朝から勝負かけなくても良いだろう。キャンパーに挨拶して出発する。
 今日は勝負日だというのに朝からキレが全くない。いつもだと旅の終盤は体が出来てきたり、勝負日になると精神面から体にスイッチが入って走りが良くなるところにベテランの味を出していたが、どうも今年は思い通りに行かない。序盤からかなり苦戦した走りとなる。知床峠自体は3回目のトライながら、羅臼からの上りは初めてなので勝手が分からない。ウトロ側は直登が連続してヘアピンカーブがたまにある印象だが、羅臼側は鋭いカーブを繰り返しながら進むイメージで北海道の峠らしいのはどっちかというとウトロ側で羅臼は本州的で東北あたりに多い地形に思える。多くのカーブを曲がるごとに標高を稼いでいく。地図に載ってるカーブの数と向きから今の位置を推定しながら走って行くも、なかなか進んでる実感がない。
 標高が上がると天気が崩れて霧が濃くなってきた。見える距離が50mも無い状態だ。後ろから来る車にやや緊張しながら登っていく。先ほど、羅臼国設野営場で一緒だったキャンパーの車に追い越されながら、また挨拶していく。正午まで登り続けたところで自転車を路肩の段差まで上げてガードロープに立てかけて昼飯にする。左が切り立った地形でなくガードロープがある場所が最後かもしれないので、ここでの休憩が重要だ。だが、視界は短いので通過する車は怖いところである。昨夜買っておいたパンを食べてジップロックに入れてサイドバッグにしまう。できるだけ匂いを出さない必要がある。
 しばらく走ると視界が徐々に回復してきた。さらに進むと目の前に少しだけ雲を被っている羅臼岳が見えてきた。今日は羅臼岳は見えないだろうと諦めていたが、奇跡的な展開に思える。このあたりから直線を繰り返しながら標高を稼ぐ展開になってくる。体の調子も取り戻しつつある。直登を2本ほど繰り返すと、下界が見えてきた。雲の隙間から根室海峡や国後島の山も見える。そして直下には原生林と登ってきた道が見えて、そこに虹が架かっている。思わず完全に自転車を止めて見入ってしまう。これ以上の知床峠の絶景はあるだろうか。その虹も10分ほどで薄くなって消えていった。

国設羅臼キャンプ場の朝


雲海に包まれる知床峠の上り坂

やっと見えてきた羅臼岳


今日の天気だと
最後の羅臼岳になりそう


見下ろす原生林と虹


奇跡の景色

 知床の森林限界を超えた後は視界が開けて豪快な眺めが続く。グイグイ登る坂道の向こうには根室海峡と島と原生林が広がる。振り返るたびに景色に感動する。羅臼岳と羅臼湖に入っていく登山道の入口を過ぎた。もう9割方登ったはずだ。最後の力を振り絞って登っていくと、ついに知床峠に到達した。旅の終盤にして大苦戦したが、よくここまで持ち直したと思う。
 知床峠で喜びに浸っていると、外国人の観光客が話しかけてきた。片言ではあるが「あなた、危なくないですか?」と言っている。交通系のクレーム?と思ったら、どうやら10分ほど前に知床峠付近にヒグマが出たようだ。観光客の多い展望台に出てくるようなので、人慣れしている危ない個体かもしれない。確かに何分か前にパーンという音が鳴ってたような鳴ってなかったような記憶があり、これはヒグマを追い払うための空砲だったのだろう。怖っと思う感覚と、あと10分早く登れてればヒグマとの路上遭遇という北海道旅を始めて以来の悲願を達成できたのにという残念な気持ちが両方ある。今年は知床に来てるし野生動物目撃運も非常に良いので期待していたのだが残念である。虹を見るのに10分費やしたおかげで遭遇を回避したという考え方もあるだろう。旅というのは宿題を残して終わるのが良いと思っているが、今年もヒグマ目撃という宿題は残しておくしかないようだ。
 展望台で喜びに浸っていると羅臼岳の方が完全に晴れて雲がスッキリと取れた。羅臼岳のゴツゴツした岩肌と緑が点在した豪快な山の姿を楽しむ。
 知床峠の景色を大満喫して下りへと入る。ウトロ側は完全な青空で雲一つ見えない。下界は原生林と真っ青なオホーツク海が見えている。しかも道は直線的でスピードが乗りやすい。直線的だが傾斜は急なので迫力あるダウンヒルになる。追い越す車が少ないというか、こっちのスピードが速いので車が追いついて来ないのだろう。とはいえ直線の後にくるカーブは鋭いので慎重に減速してスローインファーストアウトを徹底する。26HEホイールの小径から来る低重心は操りやすい。

標高が上がるにつれて晴れてきた


ついに青空が復活し見下ろす原生林


森林限界を超える


ワインディングロードと原生林を見る


今年最大の山場 知床峠を踏破! 羅臼岳が見事。

 下りまで大満喫しながらビジターセンターに辿り着く。もうほぼウトロまで下ってきている。この時点で16時なので一安心して休憩する。前よりきれいに改装されて充実している。シアターで知床の自然に関する映像を見たり、窓越しに羅臼岳を見ながらコーヒーを飲んだり充実した。そろそろ夕暮れの迫るウトロに向けて、さらに下っていく。黄昏色のオホーツク海に落ちていくように下る道で思わず気持ちよすぎて叫んでしまう。
 坂道を下りきって走っていくと、ウトロの街へと辿り着いた。道の駅で今日の夕飯の食材を買う。魚系は良い物が見当たらなかったが、ソーセージなどは美味しそうだ。セイコーマートで野菜を買って夕飯の食材はそろった。市街地からキャンプ場へと向かう。これがトラウマになりそうなほどきつい坂道である。前に来たときは夜だったので傾斜を見た目には感じなかったが、明るいと精神的に来る。しかも知床峠で疲れ切った体にはとどめを刺すようなものである。何度も足を地面につきながら坂を登って、18時過ぎにキャンプ場に辿り着いた。受付は18時までなのでアウトだが、前の客が続いてたからか受付はまだ開いている。何とか金も払えて受付を済ませた。そして急いで夕陽台へ行く。日没ギリギリに間に合って夕日の写真を撮った。黄昏れて夕日を見ながら物思いにふける余裕は全く無く向こうの山に太陽が沈むのをギリギリ見たという程度のものになった。夕陽台に向かって一緒に走った旅人や自転車に戻った時に話しかけてくれた旅人で話しを楽しむ。落石岬で遭遇していたキャンピングカーの人ともここで再会になった。落石岬で話したわけではないが、俺と自転車を覚えていて、俺もキャンピングカーがいたことを覚えていた。

ビジターセンターでザンギとコーヒー


ウトロのキャンプ場から夕日

 蚊と戦いながらテントを張って、蚊取り線香を2倍速で焚きながらテントの中を燻した状態で温泉へ行く。閉館時間が迫る中だが、何とか入れて露天風呂も満喫した。テントに戻ったら夕飯の準備をする。食品が入ってるサイドバッグとザックを担いで炊事場に向かう。前は水道があるだけの場所で夕飯を食べた記憶があるが、火を焚けるような炊事場があるのを見つけた。そこに入って食事を作る。まずはザックに入っているジャガイモを消費すべくポテトサラダを作る。ジャガイモを塩でゆでて水を切ったら粉ふき芋の要領で水を飛ばしていく。そこに切っておいた野菜を入れてマヨネーズで和える。ビールを飲みながら道の駅で買ってきたソーセージを楽しむ。サフォークのソーセージが意外と力強い味で美味しい。ビールが進んでしまう。
 炊事場の中にカブトムシのメスがいる。飛んではひっくり返って起き上がれなくなっている。見かねて起こしてあげても、それを繰り返す。建物の外で木に捕まらせてあげても、また飛んできてひっくり返る。何とも鈍くさいカブトムシだが、いつの間にかいなくなっていた。そして、今日もポテトサラダが主食になってしまいご飯を炊く余地はなくなった。今日が最後のキャンプなのでガスを使い果たすまで無駄にお湯を沸かし続ける。そしてガスが切れたので缶に穴を開けて水を缶の中に満たしてガス抜きをしてゴミにする。ここはガス缶も何も全て回収してくれるので捨てるのに困らない。キャンプ最終日のルーティーンも終えて最後のキャンプは終わる。
 ふと炊事場から出て空を見上げると満天の星空が広がっている。羅臼側でも感動したことがあり、ウトロ側で星空を見るのは初めてだが、知床の星空は日本屈指だと私は思う。

北海道産ジャガイモのポテトサラダ


サフォークのソーセージ



   出発(北海道・厚岸町)から 506.58 km

10日目 ウトロ → 斜里 → 小清水 → 網走 90.72 km
2023/08/21
 最終日で体はキレキレで迎えるかと思ったら全くそんなことは無く、知床峠の疲れを体にどっぷり残して朝を迎える。とはいえ、今日だけで80km以上は走るので朝は早めに支度していく。7時には出発し、セイコーマートで朝飯を食べていく。ここもゴミ箱置かない系の店舗である。知床峠や知床の自然公園に行く拠点なのにゴミを持ち運ばせる感覚が全く理解できない。そのくせポイ捨てをやめようというポスターが店に貼ってある。じゃあ、おまえが売ったゴミを回収しろと言いたい。話題の知床遊覧船の跡地を通り過ぎてウトロの港の方へ行く。どうも俺が前に乗った遊覧船は例の会社ではないようだ。何の意味があるかはおいといて、気になっていたことを調べられたので安心した。
 朝のオホーツク海は青空の下に霧が出ていて幻想的な眺めが広がっている。朝の気持ちいい雰囲気の中で走りは捗る。オシンコシンの滝を見て、また進んでいく。斜里からウトロは比較的平坦な海岸線というイメージだったが、過去と逆方向に走っても楽に進んでいく。
 前は名も無い展望台とかいわれてたが、今は完全に映えスポットになってしまっている天に続く道へ行く。国道から農道を上っていく。前に来たときも坂道がきついと思ったが、今回は疲労感の上に増されている感じがする。今日は暑く日照りに炙られてヘトヘトになりながら坂道を登る。100mも無いと思われる標高差に1時間以上も費やして、やっと展望台に辿り着いた。確かにどこまでも真っ直ぐな道が大平原を貫いている。地平線まで真っ直ぐで北海道ならではの眺めと言えるだろう。初見ではないので感動は半減である。

キャンプ最終日の朝


鏡のように穏やかなオホーツク海


オシンコシンの滝


天に続く道 フォトスポット


地平線まで続く真っ直ぐな道

 今回の目標はこの天に続く道を全区間 自転車で走り抜くことだ。天に続く道の斜里側の終点から出発し、まずは展望台に立ち寄る。そこのカフェで休憩していく。野菜ジュースとポテトとかき氷で限りなく昼飯に近いおやつを満喫する。斜里産のインカのめざめはホクホクして美味しい。ニンジンジュースも斜里産のものである。これもスッキリして美味しい。
 展望台から下って10km弱ほど走ると斜里の市街地に辿り着く。直線沿いに市街地はなく一旦曲がる。必ず同じ交差点に帰ってきたいので道をきっちり覚える。斜里の道の駅でやっと実家に送る鮭が見つかった。ここまで、厚岸、根室、標津、羅臼と産直を回ってきたが鮭は良いのが見当たらなかった。斜里まで来てやっと手に入った。不漁が原因なのか何なのかだが、北海道の海沿いの産直巡りで鮭に苦戦するなどあり得ないことだ。トキシラズとサクラマスを送る。ここで、少し遅い昼飯にする。昨日は夕飯に魚か豚丼を考えていた。魚が道の駅で見当たらない時点で豚丼の口になっていたが、ソラチの豚丼のタレと豚バラ肉が見つからず諦めた。その勢いで道の駅にある豚丼屋で豚丼を満喫する。今回の旅で豚丼を食べてなかったので、最終日にして念願の豚丼を食べれて満足である。
 オホーツクエリアの観光の象徴であるロコソラーレ北見の顔ハメパネルを見つけて、顔ハメを楽しもうと思ったが、中学生ぐらいの子供がウロウロしているだけで頼みづらいものがある。明らかに変な感じのおっさんが親同伴ではない子供に話しかけると事案になりそうで避けたい。誰にも頼めず困っていたらキャンピングカーの方と再会した。なぜか、顔ハメ写真を頼みづらい雰囲気になり写真は諦めて出発する。

斜里産にんじんジュース


ブルーベリー味 かき氷


インカのめざめ


くまうしの豚丼

 もう後は走りきるだけだ。直線道路をひたすら網走に向けて走り出す。天気は徐々にスッキリ感がなくなってきて、直線道路が国道から外れた瞬間から容赦ないアップダウンが襲いかかる。直線ではあるが平らでは無い。終盤で知床峠の疲れを残す体に鞭を打ってアップダウンをこなしていく。そして、アップダウンの先でついに道が曲がっているポイントまで走りきった。外国人観光客が俺と同じく写真を撮っている。俺が写り込んでしまうと問題になるので、早く写真から抜けられるよう急ぐもペースが全く上がらない。最後の上り坂でへたり込んで、ついに天に続く道の全区間を走破した。この道路を展望台と逆側から見たがるのはマニアだけだろう。
 このまま道なりに行けば網走より少し内陸側に出て網走に入れるのだが、アップダウンをこれ以上こなす元気がないので、オホーツク海沿いの道へと曲がるルートを選ぶ。浜小清水原生花園の前を通り過ぎて、網走へのラストスパートに入る。少し足を止めるだけで無数の虫が襲いかかってくる。湿地で虫が多い。痒さに耐えながらペダルを漕ぎ進めていく。すっかり暗くなった頃に網走市に突入した。ここを走るのは4回目なので勝手は知っている道だ。
 徐々に車の数も多くなってくる網走への道を走りきり、海沿いから市街地へと入る。真っ暗な市街地の道を走り抜けて、ついに網走駅前に到着した。終盤はまさかの苦戦と最終日は活動時間13時間と追い詰められた。だが、何とか23年夏の完走を果たした。大きな達成感に包まれる。完走の喜びに浸りつつも、現実に戻る。予約していたドーミーインに向かう。駐車場に自転車を置かせてもらって、衣類サイドを部屋に引き上げていく。ホテルの温泉を満喫しつつコインランドリーで洗濯する。
 風呂を終えて乾燥機に移した時点で22時。ここから夕飯に行く。日曜の夜ということもあり店がほとんど開いてない。居酒屋探しに苦戦しながら、何とか見つけたラストオーダー間際の店に駆け込んだ。一発ラストオーダーということで頼みまくる。嫌がらずに受け入れてくれた店に感謝を込めながら北海道の幸を満喫し、打ち上げを楽しんだ。炉端焼きでホタテを焼いて、海の幸も山の幸も楽しむ。何とか閉店間際まで飲ませてもらって店を後にして打ち上げを終える。
 店を出ると、「この店、美味いですか?」と地元っぽい人に聞かれる。「ええ美味いですよ」と答えると、「あんた、観光客?」と聞き返してくる。何が言いたいのか分からないが、なんか面倒くさい。観光客向けに努力している店の方が地元向けであぐらをかいてる店より美味しいし好感を持てる。ここ数年 いろんな場所で「排他的な北海道」をよく感じる。
 洗濯物を乾燥機から出して部屋に戻り、疲れ切った体を休める。

天に続く道 小清水側の終点


夕暮れの 濤沸湖(とうふつこ)


ゴール網走駅に到着


フレームに乾杯


ホタテの炉端焼き


ホッケ


刺身盛り合わせ



   出発(北海道・厚岸町)から 597.30 km

11日目 網走市街 0.48 km
網走 -特急・大雪→ 旭川 -特急・ライラック→ 札幌
-快速エアポート→ 新千歳空港
2023/08/22 新千歳 -JAL→ 羽田
羽田空港 -首都高速・東北自動車道→ 鹿沼
 標津あたりからずっと気になっていたサンダルの臭さと、摺れた部分の痛みだが深刻になってきた。網走でシューズランドリーに突っ込みたかったが、時間がない。コンビニで靴下を買って摩擦は解消したが臭みは取れないままとなった。荷物を郵便局に行って梱包する。ゆうパックの段ボール4個にまとめて発送を終えたら、11時になっている。
 もう列車までの時間がない。今回も網走市内では、ほぼ観光することなく通り過ぎることになった。本当は天都山とか見たいところはいっぱいあるが、また今度の宿題として残そう。網走駅に行き、自転車を分解する。列車までの時間がないので手際よくやりたいが、暑さと疲れで捗らない。何とか輪行を済ませる。売店で弁当を買って特急に乗り込む。網走から札幌や新千歳空港は遠いし特急の本数が多くないので、北海道内の移動が大変だ。今度は、新千歳経由の飛行機という手段を考えても良いかもしれない。
 特急の中で食べる網走駅弁のかにめしを満喫する。駅弁の形だからカニの旨みが濃厚で美味しい。旭川に向かいながら日記を書き進める。今回も安定のまとめ書きだが、いつも通りの残量で何とか羽田に着くまでに書き終わるだろう。旭川で特急を乗り換えて、札幌へと向かう。ここも集中して日記を書くのみだ。去年のコースを懐かしく振り返りながら途中駅を眺めていく。去年は滝川から札幌まで2日かかった道をあっという間に列車は通り過ぎていく。その無情な感じが自転車の楽しみと言える。俺の1日は電車の1時間だ。

網走駅から撤収


特急 大雪で旭川へ向かう


網走駅のかにめし


カニの風味が濃厚で美味しい

 札幌で快速エアポートに乗り換える。今年3度目の南千歳-札幌の移動を楽しみながら日ハムの新球場を見て野球観戦にロマンを馳せながら空港へ向かう。空港で降りたら荷物を預けて土産を買う。いつもの流れである。土産を買い終えて夕飯にしようと思ったが回転寿司は混雑しているし、開いている店が少ない。仕方なくフードコートに行くと松尾ジンギスカンがある。ここでジンギスカン丼で夕飯にする。去年、滝川のお祭りで食べたのと同じジャンク感で空港のフードコートにあるのが嬉しい。空港内に松尾ジンギスカンの店舗はあるが、今日は混雑してたので諦めたのだが、2カ所でコンセプトの違う松尾ジンギスカンを味わえるというのは発見だ。
 羽田への飛行機に乗るためにセキュリティチェックを済ませて搭乗口へ向かう。慣れた感じで飛行機に乗り込んで羽田へ向かう。いつも通り、機内のドリンクサービスなど一切断り、目の前のディスプレイもオフし、集中して日記を書き続け羽田着陸の時点で今の時間に日記が追いついた。降りたら荷物を受け取ってカートで駐車場へ向かう。
 駐車場に止めておいたVEZELに荷物を全て積み込んでカートを返す。SPDサンダルからワークマンの靴に履き替えて運転する。慣れた羽田からの帰り道は快調に飛ばしていく。夜中の東北道は車も少なく快適であっという間に鹿沼ICを降りる。今はICからすぐ近くに住んでいるので自宅までの道は短く感じる。自宅に帰り着いて旅が終わった。
 もしかしたら、夏の旅は最後になるかもしれないと考えると感慨深い。だが、旅のスタイルを変えることで続けられないかということを帰路の中で考えていた。従来はスタートからゴールまで数100km〜1000km近い道のりを長期間掛けていたが、拠点を決めてそこから放射状か周回でルートを作って、じっくり楽しむやり方なら日数は短くても楽しめるし、輪行の代わりにレンタカーという手も使える。もし働かないといけないシーンがあっても対応も可能と思われる。離島の旅なんかは、その形に近い。ワーケーションを出来る布石、拠点型サイクルツーリングの経験も何度か積んだので、新たな旅のスタイルにシフトする時は近いかもしれない。次の旅に思いを馳せながら日常生活へと戻っていく。

旭川で特急ライラックに乗り換え


新千歳空港 松尾ジンギスカンの
ジンギスカン丼


東京へ飛ぶ



   出発(北海道・厚岸町)から 599.76 km


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