旅記録
2023 GW 沖縄(波照間・与那国)
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0日目 宇都宮 → 羽田空港 
 2023/04/25
 昨年は仕事や駐在の都合で当面は活動休止となる前提でGWは攻めた旅をした。今年は転職が決まらなければ、その手の話は一段落ではあるが、いつまでも自由に旅が出来る立場ではなくなりつつあるのを実感するので、今まで積み上げてきた旅を大きく一区切りする前提の計画をする。全都道府県、本土16極、国道58号線・390号線で連なる沖縄の離島を走りきり、石垣島と西表島を走り終えたので、いよいよ日本4極を走り切ることにする。
 今回は日本最南端である波照間島と日本最西端である与那国島の両方を行くことにする。しかし、これらの島に行くにも計画段階から早めに動かないといけない。最大の問題は2つの島はキャンプ厳禁であることだ。今までなら泊まるところが無ければ海っぺりでも公園でもテント張って寝てしまえば何とかなっていたが、八重山諸島は厳しい。宿を予約するために動き始めたのが2月末であるが、与那国島は最も大きなホテルが休業中の上にDr.コトーの映画もあって混雑している。波照間島は元々の宿の数が少なくGWは常に混雑している。しかもネット予約のシステムが普及していないので電話が基本だ。
 波照間島は最悪の場合は朝のフェリーで渡って夕方のフェリーで帰る日帰りというプランも無いことは無いが、それは基本的には避けたい。フェリーは毎日就航しているが悪天候による欠航率が高いという噂がある。天気と就航状況をウォッチングしていると、どうも朝と夕方の大きめの船はほぼ欠航しなくて、昼の小さい高速船は欠航率が高そうだ。だが、全便欠航になると旅程が大幅に崩れるのでバックアップとして欠航率が非常に低い貨客フェリー就航日に合わせた日程とする。つまり移動手段にバックアップを構えるという考え方だ。貨客フェリーは週3往復のため行きと帰りの曜日はそれで決まる。宿によっては一人で一泊する場合は直前1週間しか受け付けないなど、要するに「来るな」と言ってるようなものもある。日程を船に合わせた上で波照間島の民宿に電話しまくって2泊分を何とか確保した。この時点で2月最終日だ。
 与那国島は、一つの問題はフェリーが週2往復のみである。石垣島からの行きは火曜と木曜、与那国島からの帰りは水曜と土曜だけである。着いた次の日に帰るという日程は取りあえず無しとしたら、火曜日に入って土曜に帰るか金曜に入って水曜に帰るしかない。飛行機は毎日飛んでいるが、空港まで行って輪行しなければならないし、自転車と荷物を合わせると20kgを超えるので料金は発生する。GWの中でフェリーの日程がフィットする曜日で渡る計画にして宿を探す。まずはネットで受け付けてる宿に連絡を入れる。電話で攻める前に4泊分を確保できた。4連泊は出来ず2泊ずつを集落違いで押さえる形になった。フェリーの欠航率も冬場や台風シーズンは高いので、これも飛行機をバックアップで予約した。
 今回の旅は準備段階から綿密に考えさせられるものである。また、今回はキャンプ禁止の島が基本なので拠点である石垣島もキャンプせずに宿を押さえる。ただ、全部をビジネスホテルにすると、かなりの費用がかかるので安めのゲストハウスだが個室のところを探す。石垣島は動き始めの日程が早かったので楽勝で予約を確保できた。本当は米原キャンプ場を使いたかったが、前から問題になっていた住民からの反対により閉鎖が決まった。まるで住民の反対によってキャンプ場が閉鎖に追い込まれたようだ報道では言われてる、それ以外の何物でも無い。沖縄の悪いところが凝縮されたような出来事である。ここは敢えて強い語気で愚かな決定について非難したい。石垣島のキャンプ場は島の北部にある伊野田キャンプ場のみになった。そこそこ広い島なので何カ所かはキャンプ場があっても良いと思うが、八重山はどうもキャンプに対する強い嫌悪感があるようだ。
 ようやく荷物の準備ということで、今までキャンプが基本の移動型のツーリングなので荷物のチョイスは非常に悩む。離島の旅は拠点を1カ所に決めて往復を基本とする拠点型になってくると思うが、必ず市街地や宿に帰ってくる前提で走行中は宿と宿の移動しか荷物を持たないとなると、何を持って行くのか考える。ゼロベースで考えると荷物は相当少ないし電子機器も持って行けるのだが、キャンプからの引き算になると意外と減らない。当然ながらテントとシュラフとマットは要らないのは考えるまでも無いが、それ以外が難しい。全部を外食にするとキャンプで料理をするという楽しみが失われるのでコッフェル・フライパン・バーナーなどの料理道具は持って行きたい。そうなると、荷物はほぼ減らない。3箱の段ボールが2箱に減っただけになり、早めに宅急便で発送する。内容品が毎回もめるのが宅急便で、急にシャンプーは危険物だから陸送すると言い出す。禁止物品一覧にも書かれてない。毎回、クレームを入れているが何がOKで何がNGなのかしっかり書いて欲しい。XXなど という表記の、などの範囲が広すぎる。
 紆余曲折の準備を終えて、出発する。連休前の最終日も仕事は忙しく、自宅に帰って輪行して車に荷物を積み込んでいくが、どうも疲れが勝ってしまって捗らない。昨年はツーリングマップルを忘れていくという世紀の凡ミスをしたが、今回は積んでいく。昨年はツーリングマップルを持って行くのを忘れて、ガイドブックのマップルから切り離した地図が何気に便利だったのを思い出すと、島の道が軽く書いてあるだけで地図上の情報がほぼ無いので、沖縄の旅において持って行く意味があるのか疑問ではあるが、フロントバッグの上に鎮座しているのが様式美というところだろう。そういうところが荷物の減らない理由なんだろうなと思う。
 夜の11時頃に自宅を出発して高速道路を走っていく。Honda SENSINGで快適に走り、120km/h制限にUPした東北道を慣れた感じで運転していく。12時過ぎに羽田空港の駐車場に入り、いつものように隅っこのドア前が広い枠を探して駐車する。荷物は車に残したまま空港内のホテルへ歩いて行く。ホテルの中にあるカプセルホテルのようなタイプの部屋を予約しておいた。朝が早いので目覚まし時計をしっかり仕掛けたいが、禁止と書いてある。容赦なく仕掛けて眠りにつく。


1日目 羽田 -JTA→ 石垣島
2023/04/26 石垣空港 → 白保 → 石垣市街 29.92 km
 朝の5時に目覚める。目覚まし時計を1コールで切ってホテルを出る。沖縄に合わせたTシャツ短パンだと、まだ朝は寒い。車から荷物を下ろして、カートに乗せて転がして、チェックインカウンターへ行く。もうこの流れも慣れたものだ。セキュリティチェックを済ませて搭乗口へ行き、搭乗口の前にある蕎麦屋さんで朝食にする。これからは沖縄そば三昧なので和蕎麦が食べたくなる。
 飛行機に乗ると徹底的に寝る。ここでの体力回復が意外とこの先の旅でのパフォーマンスに響く。目の前のモニターもOFFにして飲み物も断って、クラスJに乗ってるメリットをほぼ消して、時々は目が覚めながらも眠り続けて石垣島へと向かう。着陸態勢のあたりで完全に覚醒してしまったが、よく寝れた方だろう。着陸すると石垣島は小雨が降っている。どうも、俺は石垣島との天気の相性が悪い。去年も着陸は雨で、そこからは晴れることなく5連敗し晴れた空を見ていない。他の離島では天気の強運に恵まれるが石垣島だけは雨だけなので、石垣島の雨男という称号を得たようなものだろう。

羽田空港に車を置いて出発


早朝の羽田空港


羽田から飛び立つ


天候イマイチな石垣島


石垣空港を出発

 軒先で小雨を除けながら自転車を組み立てる。これも慣れた感じで済ませて、記念撮影をして出発する。まずは白保に立ち寄る。旅の初日あるあるだが、本当に体のキレがない。数キロの道のりだが、へとへとになる。亜熱帯の蒸し暑さにやられる感覚もある。白保の小学校が見えてきたあたりで、そろそろ最初の目的地である出雲大社先島本宮が近いはずだが、それっぽいものは見当たらない。何はともあれ昼飯ということで、国道沿いの白保食堂に入る。八重山諸島の初日と言うことで八重山そばを楽しむ。少しぼそぼそ感があり、それに出汁が絡む。細長く刻んだ豚肉がよく合う。この食堂は映えるほどガッツリな定食が評判だったが、今回は八重山そばという選択肢が俺の中では正解だった。
 昼飯を終えて店を出ると駐車場に収まらない車が待っていたりで大繁盛している。地図上では目の前にあるはずの出雲大社先島本宮がないので、少し集落に入り込んで探す。国道から1本入った奥にあった。白い鳥居の奥にや大きな木が良い雰囲気を出している。本土の神社と少し造りが違うところが沖縄らしさだろうか。旅の初日は寺社仏閣でお参りをするのが験担ぎとして良いと思っているので、感謝と無事な旅を祈る。去年から始めた御朱印集めのために立ち寄ると社務所で書いてもらえる。この辺の話を聞きながら、丁寧に書いていただく御朱印を見て楽しむ。ツーリング中の御朱印は初めてになるので、今までに無い旅の楽しみを新たに得たとも言える。端っこ巡りという観点で、日本最南端の御朱印をもらえる神社である。
 神社から海の方へ行き、岸壁に沿って白保の海岸を走って流す。天気が良ければ最高の珊瑚礁と青い海なんだろうが、曇ってくすんだ色になっている。曇りでも、このクオリティという満足感はあるが、晴れて欲しい。自転車を置いて海岸へと降りて歩いて見る。砂浜と珊瑚の欠片を見ながら行き、奥の方に柳田圀男の歌碑がある。'21年の夏の旅で行った遠野の民俗学の関わりが深い人だが、石垣島でその名前を目にすると感慨深い。

白保食堂で昼食


八重山そば


出雲大社先島本宮


木の下にチャリを置く


存在感のある木

 白保を後にして石垣の市街地へと向かっていく。ここからは日本最南端&最西端を巡る。石垣島に進出しているチェーン店はほぼ全部が日本最南端と最西端の店舗になる。まずはマクドナルドに立ち寄る。ショッピングセンターの1Fにあるマクドナルドが日本最南端かつ最西端のマクドナルドになる。昨年の夏に日本最北端のマクドナルドには行ったので、残すのは東のみとなる。続いて、モスバーガーの前を通る。さらにCoCo壱番屋になるが、これはちゃんと日本最南端と看板に書いてある。最西端であることも忘れずに書いて欲しい。限定メニューがあるのが気になるが、俺の食欲がカレーまで回るかは今年に関しては疑問である。
 ここまで、もう1つ気がかりなことがある。宅急便の追跡をアプリでやっているのだが、今日の昼になっても羽田空港営業所から荷物が動いていない。1週間近く動きが無い。配達指定時間が14-16時にしたのだが、16時になっても羽田のままである。どうすることも出来ないので、次に桃林寺へ行く。桃林寺は沖縄らしい赤瓦でありながら厳かな雰囲気が好きで、去年も行ったが今年は御朱印をもらいたいので再度 お参りに行く。ここは何回来ても雰囲気が好きな寺である。ここで御朱印を手に入れる。桃林寺の御朱印は日本最南端かつ最西端にあたる。これより南や西には御朱印を手に入れられる神社も寺もない。

白保海岸


柳田国男の歌碑


白保海岸


サンエー内にあるマクドナルド


日本最南端・最西端のマクドナルド


マックで軽食


日本最南端・最西端のCoCo壱番屋


日本最南端のファーストフード


桃林寺

 意外と早い時間に回り切れたので、最果ての御朱印をもう1つもらいに行く。市街地から石垣鍾乳洞へ向かう坂道の途中を曲がって、石垣宝来宝来(ほぎほぎ)神社へ行く。事前に調べていて、ほげほげ神社と読むと思ってたが、ほぎほぎが正しいようだ。ここは風変わりな神社だ。青い鳥居の周りはブーゲンビリアや月桃が咲き誇っている。その奥に小さな祠があり、その中でお参りをする。宝くじなど金運に全振りした神社で、祝詞などがスピーカーで流れる造りになっている。御朱印は住所を封筒に書いて箱に入れておいて、御朱印を押した紙と請求書が送られてくる仕組みになっている。何はともあれ、日本最西端の御朱印がもらえる神社を制した。
 御朱印で整理すると
・日本最南&西端:桃林寺
・お寺として日本最南&西端:桃林寺
・神社としての日本最南端:出雲大社先島本宮
・神社としての日本最西端:石垣島宝来宝来神社
これを全て踏破し、御朱印をいただくことが出来た。今後は日本最東端と最北端も入手していきたい。
 八重山諸島はお気に入りの島を見つけて毎年来るスタイルの旅人は多いものの、まだまだ新しい場所を走りたい俺が八重山に毎年来るかは疑問なので、ここで手に入れるべきものは手に入れるのは大事なことである。宿に向かおうとすると、宅急便の到着がアプリ上で表示されている。間が抜けてる追跡に何の意味があるのだろう。最近、物流最大手の殿様商売が鼻につく。
 離島ターミナルで情報収集をして、ホテルに行く。なかなか無愛想な接客でチェックインして荷物を部屋に運ぶ。発送前にサイドバッグなどのパッキングは済ませておいたので、箱から出すだけで良い。リアキャリアとサイドキャリアだけを持って自転車に行って取り付ける。ひとまずは明日からの準備は終わった。シャワーを浴びて、晩酌に出かける。去年の打ち上げに使った店は打ち上げに取っておくとして、すっと入れそうだが賑わってる店を探して入る。料理は美味しく、沖縄の風土に合っているのかオリオンビールの軽い飲み口を楽しむ。人の良さそうな大将に3人ぐらい若い女性店員が元気よく働いてて居心地の良い店だ。八重山の味を満喫してホテルへ戻る。

日本最南端・最西端の御朱印


石垣島の象徴 具志堅用高像


石垣宝来宝来神社


ゴーヤーチャンプルー


石垣島の新鮮な刺身


オリオンビールで乾杯


すぐに泡盛に移行



   出発(石垣空港)から 29.92 km

2日目 石垣 -安永観光フェリー→ 波照間
2023/04/27 石垣市街、波照間島1周・日本最南端 高那崎 30.32 km
 朝のフェリーで波照間島に渡るので気合いは入っている。朝6時に起きて7時にはパッキングを完了する。ファミマでおにぎりを買って朝飯にして、乗船手続きをする。乗船券自体はネットで買ったので自転車を乗せる分だけを追加で支払う。酔い止めを念のため飲んでいく。どこまで船酔いに強いかを把握することも大事だが、コンディションを良くして島に渡りたいとも思う。波照間島へのフェリーは1日3便で、朝と夕方は大きな双胴船のぱいじま2が就航している。船体が大きいので自転車も難なく積めて客室の隅で手すりに固定してもらえる。
 竹富島や黒島や西表島の脇を抜けていく間はそれほど揺れないが、小型船と比べるとやや遅い感じはある。それでも欠航するよりは良い。黒島を過ぎて揺れるかと思ったら、そうでもなく快適に寝たままで波照間港に入って減速した。そのタイミングで目が覚めたので島に近づく感動はない。波照間島そのものは昨年に西表島や黒島からさんざん眺めたので、未踏の島へと近づくワクワク感は少ない。歩いて降りる乗客の後を追うように自転車を押して港へと降り立った。感激するのは、このタイミングである。フェリーのゲートブリッジから飛び出すように渡るのが気持ちよいが、車両運搬の船ではないので仕方ない。

フル装備で石垣島を出発
今回はキャンプしないのでテントは無し


これから乗るぱいじま2


波照間島への航行中


波照間島に上陸

 日本最南端到達証明書をフェリー乗り場の売店で買おうとしたが、ここには置いてない。無いなら無いと言えばいいだけなのに「そんなものあるんですかね?」と馬鹿にしたような言い方で聞き返してくる。あなたが知らないだけで日本の端っこには全てそういうのがあるものだ。観光業界も色んな業界で日本の端っこをもっと大事にして欲しいところだ。沖縄らしい無愛想さを実感しながら、フェリーターミナルを後にして島を回っていく。
 本当は1周回って突き出した岬が端っことか、細長い島を縦断すると端っこという展開が理想だが、寝かせた楕円を半周した下側が最南端だ。まずは時計回りに一周道路を進んで行く。波照間島は平坦と噂で聞いてたが、全然そんなことはなく、割とアップダウンはある。すっきりしない曇り空と蒸し暑さの中で坂道を登っていく。そう言っても島自体の最高地点が100mもないのでヒルクライム感はなく、サトウキビ畑を見下ろすような道をまた下っていく。坂道を下りきると、突き当たりに空港が見えてくる。これが日本最南端の空港である波照間空港だ。残念ながら定期便は就航していないのは、昨年の夏に立ち寄った日本最北端の礼文空港と同じである。滑走路の全長が不足しているので、琉球エアコミューターの主力機であるボンバルディアDHC-8-Q400CC(通称:ボンQ)が飛べないのだ。戦略って大事だなと改めて思う。
 空港まで来た時点で4分の1周を走ったことになる。昨年の黒島を思い出すぐらい小さな島だ。空港から緩やかに登ると雨が降ってきた。霧雨が濃くなってきたところで、トイレと建物が見えてきた。雨宿りとトイレ休憩のために立ち寄る。もう日本最南端の目の前にある星空観測タワーに着いた。老朽化で閉鎖されているが、軒先は数少ない雨宿り場所になってるからか、レンタサイクルの人が3組ほど居合わせている。少し小降りになったら、俺も走り出す。日本最南端 高那崎という目立つ標識が出るかと思ったら、道路沿いに駐車場と公園の入口を見つける。のぞいてみると、前に調べたとおりに日本最南端平和の碑が見えた。これか!と慌てて、自転車を置いて歩いて行く。
 雨がここに来て加速してきたが、蛇の道を歩いて、ついに日本最南端 高那崎に到達した。もう1人 観光客が来たので写真を撮ってもらう。観光客が少ないので、一度自転車の方に戻って押して入っていく。車止めにサイドバッグをこすりながら入れ込んで、石碑の方へ押していく。三脚を立てて自転車と自分を入れた写真を撮っていく。
 有人島ではこれより南に島はない。日本の端っこを自走で踏破する旅をして来たが、離島にある端っこだけは渡るだけで達成出来てしまう。つまり「端っこだけ行ってきた」という状態になる。最後に残してしまった2つの端っこがそれでは納得しないので、本土16極と全都道府県、種子島、屋久島、奄美大島、沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島を制してから来ようとして休みのたびに進めていたら、28年目。ついに納得の日本最南端 踏破に喜びは大きい。

日本最南端 波照間空港

寂しい感じの空港


星空観測タワー


少し雨宿り


日本最南端平和の碑


星空観測タワーのヤギ


ついに到達。日本最南端 波照間島 高那崎

 だんだん雨が強くなってきたので、そそくさと後にして東屋に雨宿りする。写真を撮ってもらった人ともう2人いて、雨が収まるまでゆんたくする。少し小降りになってきたので、歩いて高那崎の崖を見に行く。遠くからでも波しぶきが立ち上っているのが見える。のぞき込むと、きれいな青い水がどどどっと押し寄せて波として突き上がっている。島の南側は完全に外海なので迫力が凄い。崖を見ていると雨が完全に止んだので、再び日本最南端の碑で写真を撮っていく。後で見るとカメラのレンズに水滴が付いてたので、曇りの写真は大事だった。
 残りの半周を回っても良いが、昼時なので島の真ん中を抜けて集落へ向かう。高那崎から集落へ向かう上り坂は見たことない南国の蝶が舞っている。アサギマダラやオオゴマダラは知っているが、色鮮やかな名前を知らない蝶が多い。飛び回ってて警戒心はあるので写真を撮りづらいが、これを観察するだけでも楽しそうだ。宿や家が集まってる集落に辿り着く。道が非常に分かりづらく、迷子になりながら食事処を探す。そんなに多くはないのだが、お弁当を売ってるひまわりという店の案内看板が見えた。お弁当だとゴミが出るので、いったんスルーして店を探すが見つからない。行こうと思って探した店は臨時休業なので、さっきのお弁当の店に戻る。ゴミが出ても宿に行くまでの半日持ち運ぶかゴミを回収してもらえば良いかと思う。お弁当だけでは無く店内でも食べられるので、店内で食べていく。小さな店で5つぐらいの席でカウンターのみだ。タコライスでお腹を満たして、店主の女性と話をしていく。

蛇の道


最南端への蛇の道
全国から集められた石が積まれる


タコライス


マンホールにも最南端の文字

 昼飯難民寸前のところを救われて、泊まる予定の宿を見つけて港へと向かう。途中にある昔の監視台だったコトー盛りの上に登って眺める。天気がイマイチなところが効いてるか見通しは良いが楽しめる景色というわけでもない。やはり島自体は標高が高いわけでもないので景色の抜けは期待できない。港へ下る途中にある学童慰霊碑に立ち寄っていく。これは去年の西表島で忘勿石(わすれないし)との関係がある。日本軍の指示で波照間島から西表島の南風見田(はえみた)に強制疎開させられた学童の悲劇がある。マラリアに罹患して多くの子供が命を落とした。西表島から波照間島を眺めるように作られた忘勿石と識名先生の銅像は、この慰霊碑の学童のものである。意外と知られざる沖縄の戦争の悲劇を物語っている。
 港の方へ降りると、少し晴れ間が出て日差しが出てきた。港から反時計回りに半周する途中でニシ浜へ立ち寄る。多くの人がニシ浜へ行くアプローチと違うところから入ってしまい、ダートが砂浜になりタイヤをスタックさせながら押していくと砂浜に出てしまった。オンロードの二輪は砂浜は鬼門だ。引き返すのも面倒なので立てかけられそうな植生に立てかけてタイヤが砂に埋もれたままで浜辺を歩く。波照間島を象徴する海と言っても良いニシ浜の青は鮮やかだ。海底に見える砂と珊瑚と沖の海の色合いが美しい。砂浜も真っ白で、感動的な眺めである。この浜には何回でも来たい。

コート盛


学童慰霊碑


コート盛からの眺め


学童慰霊碑


ニシ浜の砂浜


ニシ浜の砂浜


波照間島 ニシ浜

 少し進むと浜シタンの群落がある。自転車を置いて海の方へ歩いて行く。ゴツゴツした琉球石灰岩の上に木が生えている。枝がみっしりとした木で厳しい雨風と潮風に耐えているのが分かる。群落の向こうの海は誰もいない砂浜が広がっている。波照間島の海岸を巡るのは楽しめそうだ。浜シタンの木陰で本を読んでのんびりしている人がいる。どうも島内をせかせか走り回っている俺は島の楽しみ方を100%は分かっていないようだ。
 ここまでで島を4分の3回った。一周道路沿いにぽつんとある自販機を見付ける。これが、日本最南端の自販機になる。高那崎のあたりでも星空観測タワーでもなく、何故こんなところにぽつんとあるのかは謎だが写真を撮ってお茶を買っていく。島の内陸の丘から南の海へ下る一直線を気持ちよく走り抜けていくと、完全に放し飼いになってる親子の山羊と遭遇する。人より山羊が多いと言われる波照間島はそこら中に山羊が繋がれていて草を食べている。時に放し飼い状態になってる山羊もいる。人懐っこく興味津々の子ヤギは近づいてきて、荷物のストラップの端をペロペロとなめたり、荷物や俺のスネに頭突きをしようとする。山羊にとっては挨拶代わりだが、子ヤギは心地よい強さだが大人の山羊は倒されるほどのパワーがありそうだ。
 次は道路の最南端を目指して島の外周道路を回っていく。山羊の牧場の横ぐらいで日本最南端と思われるが、そういう石碑みたいなものは一切無い。昨年の国道最南端のようにスマホのGPSで最南端を探す。ここぞと思うところで写真とスマホのGoogle Mapのスクショを残していく。広い牧場に山羊が飼われている状況には癒やされる。たぶんこっちではないと思われるが道路が少し南に突き出ているところも、念のため写真とGPSのスクショを残していく。
 再び高那崎に回りきったところで波照間島一周を走り終えた。夕方に近づいてることもあり観光客は誰もいないので、自転車を再び押して日本最南端の碑へ行く。今度は晴天バージョンの写真も撮りに行く。所見のようなテンションをひねり出しながら、写真に収めていく。やはり日本最南端は晴れて日差しが出ている方が合う。雨で濡れていた石碑の文字も乾いた石のおかげでコントラストが上がって良い感じになっている。

ペイ浜


浜シタンの群生


道路の日本最南端


日本最南端の自販機


道路の日本最南端


ヤギ牧場


ヤギ牧場


晴れて戻ってきた高那崎


日本最南端に再び

 今日はこのぐらいにして宿へ向かう。昼に登った坂を再び登っていくと、蝶が相変わらず舞っている。バタフライウォッチングという趣味があるとしたら、ここは良い場所になりそうだ。やや道に迷いつつも集落に辿り着く。夕飯候補にしていた居酒屋が予約で満席という札がかかっている。やはり、波照間島や与那国島は夕飯の予約必須なのだ。予約しそびれると夕食難民になるという噂はあったが、どうやら本当らしい。急いで宿に行ってチェックインしてシャワーを浴びる。ネットで店を調べて電話しようと思ったが、そもそも店がそんなにない。諦めて共同売店で何か買うか、はたまた自炊するか考えていると、昼ご飯を食べた店は夜も開いてそうで連絡先が書いてある。買い物する前に電話すると、昼飯のときの女性が出た。夕飯は何とか確保できた。
 共同売店での買い物は現実モードからプレジャーモードに変わった。波照間島産の黒糖を使ったお菓子が売られているので糖分補給用に買う。風呂上がりで暑いのでアイスも買っていく。波照間の黒糖は濃厚でスイーツに合う。甘さの中にあるほろ苦さとコクがたまらない。
 19時半になったので夕食を食べに行く。客は他になく色んな話をしながら、ゴーヤーチャンプルーにビールと泡盛を楽しむ。波照間島で作られる泡波(あわなみ)は売店で買うと品薄て手に入らないというので、飲めずに終わると嫌だなと思ったら、ちゃんと飲めたので安心だ。泡盛の中ではすっきりした部類に感じる。泡盛とコーヒーを合わせるのも美味しいというので、やってみると確かに合う。泡盛のクセとコーヒーが溶け合うと、コーヒーが引き立つように思える。22時ぐらいまで話ししながら飲んでいく。
 星空を見ようと思ったら、空は曇っている。どうも星空観察運までは無いようだ。

波照間島の黒糖アイス


泡波のミニボトルと黒糖とお菓子


念願の泡波


ゴーヤーチャンプルー


島豆腐のサラダ


日本最南端 到達証明書



   出発(石垣空港)から 60.25 km

3日目  波照間島 22.65 km 
2023/04/28 
 昨日のうちに1周してしまった波照間島だが、今日は1周しつつもビーチなど寄りまくっていく。宿で見知らぬ人と話したり仲良くなるのは得意では無い俺だが、おすすめの場所をいくつか教えてもらって出発する。昨日は道に迷って行けなかった波照間灯台へ寄っていく。波照間島の灯台は海沿いではなく内陸の最も標高の高い場所にある。あまり景色としての抜けは無い林の中に立っている。灯台から東の方へと下っていく。このあたりはヒエの畑が広がっている。畑の一角で山羊が飼われていたり長閑な景色が続く。収穫のトラクターの後ろをサギの群れがヨチヨチと地面をついばみながら付いていく様子が可愛くて見てしまう。
 坂を下りきると波照間空港に出る。空港の脇を抜けていくダートを走って行く。空港の外側を回り込んで行けそうにみえた。だが、道は突き当たって終わった。突き当たりには地球環境モニタリングステーションがある。人間活動の影響を受けにくい場所に置いて地球環境の変化を捉えるということだろう。ここの他には根室の落石岬にあるようだが、是非これは2つとも制しておきたい場所だ。これ自体は見学できないので、さらに海の方に行く獣道を見つける。藪を抜けるとゴツゴツした岩の上にモンパや植物が生えている。もこもこした緑の下には深い穴もある。遠くは波しぶきが立ち上がるほど波は激しい。誰も来ないだろうマイナーな海岸は独特で神秘的とも言える。

波照間島灯台


トラクターについて行くサギ


地球環境モニタリングステーション
裏の海


波照間島
地球環境モニタリングステーション

 先ほどのダートを空港まで戻って、今度は港の方に向けて逆時計回りに進む。まずは、波照間島を渇水の危機から救ったという牛が見つけた伝説のシムスケー(古井戸)を見ていく。石灰岩が積まれて作られた井戸の底には水が湧いているが、あまりきれいでは無い。井戸を見つけた牛を丁重に祀っているのが史跡となっている。水辺だからか蝶が多く舞っていて、バタフライウォッチングだけでも楽しめそうだ。さらに海沿いのマイナーな道を走ると、ブリブチ公園に行く。石灰岩の自然に出来た台と積み上げられた石垣の跡が下田原城跡になっている。鬱蒼と茂る亜熱帯の森と石垣の様子が要塞のようで面白い。今まで見てきた沖縄の城跡と少し趣が異なる。
 公園から海に下るとブドゥマリ浜に行く。藪の中を抜けると岩と岩の間に砂浜が広がっているプライベートビーチ感がある。誰もいない砂浜で1日過ごすには良い場所と思う。遊泳禁止になっているので、人はほぼ来ない。浜から港へ向けて走ると、また放し飼いの山羊がいる。こちらは人懐っこくは無く警戒心が強く、写真を撮ろうとしたら離れられてしまった。

シムスケーの古井戸


ブリブチ公園の城跡


ブドゥマリ浜


ブドゥマリ浜


城跡に咲く月桃の花


道を歩く放牧状態のヤギ

 港から集落へ戻る途中で昼飯にする。店の名前が方言なので覚えづらいが、あやふふぁみでソーキの煮込みと八重山そばと黒糖ジンジャーエールを楽しむ。甘く柔らかく煮込まれたソーキが美味しい。ご飯も五穀米だ。このあたりは赤米などを混ぜたものも美味しい。
 昼飯に満足したら、港へと戻る。今度は、宿で教えてもらった絶景スポットへ行く。ニシ浜の東側に北へ突き出た防波堤がある。階段などがあるわけではなくよじ登ってから、防波堤の上から眺めると、ニシ浜の海やその先の珊瑚礁が一望できる。高さがあってテトラポットの底は深いので恐怖感はあるが、海の広がり感と鮮やかさが最高に素晴らしい。昨日よりも天気が良いので海の色の鮮やかさも増しているように見える。
 続きを走る前にパーラーでかき氷を食べていく。黒糖シロップがかけてあって甘さとコクがたまらない。冷たさと暑さと黒糖の味を楽しんで行く。これに苦いアイスコーヒーもあって体温をクールダウンしてくれる。雰囲気は良いがヤブ蚊に刺され始めたので長居はできず後にする。

黒糖ジンジャーエール


ソーキと五穀米


黒糖ときなこが合う


防波堤先端からの海の眺め


防波堤からニシ浜方面を望む

 残りの半周を回っていく。昨日、山羊に絡まれた(絡まれに行った)場所にはいなかったが、その先のペムチ浜を眺める名も無い展望台へと上がってみると、多くの山羊が放し飼いされていた。昨日見かけた山羊はここから来たものだろうか。繋がれてる子もいれば繋がれていない子もいる。どうも子ヤギは親から離れたがらないからか繋がれてないように見える。高台から太平洋を眺め、ペムチ浜を見下ろす景色を楽しんでいると、子ヤギが3匹近づいてきた。興味津々で圧が強い。あっという間に囲まれてストラップやキャリアをくわえては離すようにペロペロして、サイドバッグに頭突きしてくる。フェンスに止めて写真を撮ろうとするとサイドバッグに登ろうとしたり裏側に入り込んだりでやり放題だ。人が少ないので興味津々なのか人慣れしてるのかは分からないが、積極的な子ヤギもいる。
 ペムチ浜への入口で自転車を置いて歩いて行く。砂に埋もれると大変なので無理はしない。ここ以外は険しい岩礁なので日本最南端の砂浜のビーチである。海の向こうにはフィリピンまで何もなく、砂浜に人影もないプライベート感を満喫していく。島の北側にあって西表島など八重山諸島に面してる海と違い波の荒さを感じる。外海と八重山諸島側では様相が大きく異なる。だが、遠くに深い青を見つつも近いところは珊瑚礁が透けて見える海は見事な色である。
 ここまで満喫したところで集落に向けて坂を上っていく。見返したときに見える真っ直ぐな道と南の海は最果ての波照間島を象徴する景色である。南の見通しが良いと南十字星を見やすいはずなので、南側の抜けの良いポイントを探りながら集落へと向かう。島の中心部の丘の上にある集落に着くと、回り尽くして既に見つけていた宿に辿り着いた。
 自転車で来る人自体が珍しいからか見られながらも荷物を一部下ろしていく。2連泊で宿を取れないので荷物は外さずにフロントバッグと着替えだけを持って行く。シャワーを浴びて宿泊者と飲みながら夕飯を待つ。共同売店で買ってきたオリオンビールが美味い。波照間島は夕飯を予約しておかないと夕食難民になってしまうところだが、ここは食事付きなので気が楽だ。1本どんと置いてくれた波照間島の泡盛である泡波を飲みつつ、宿泊客の方が釣ってきた魚の刺身を満喫する。
 星を見に行ったり近所に飲みに行ったり宿で飲んだりで思い思いの過ごし方で宿を楽しむ。星を見ようかと思ったら空は曇っている。どうもGWの星見は一筋縄には行かないようだ。思えば去年も西表島の最終日にやっと星空が見えたが、南十字星が上がる南側は水平線近くまで晴れないといけないところが、そこだけは雲が残るので運がかなり求められる。日頃の行いからすると、厳しさを実感する。宿で飲みながら夜は更けていく。

ペムチ浜を見下ろす眺め


放し飼いのヤギ


3匹のヤギに探られ放題


ペムチ浜



   出発(石垣空港)から 82.90 km

4日目 波照間島・石垣市街 11.22 km
2023/04/29 波照間島-安永観光フェリー→石垣
 朝から泡波を買い求めて酒造所に並ぶ。波照間島に何度も来ている人も入手には苦心しているようだ。手頃なサイズである5合瓶は品薄で売店に出てくると話が広がってあっという間に売れてしまう。酒造所が最も確実と言われるので、宿から至近距離にあるので歩いて買いに行く。店の人が来たが在庫は分からないようだ。店は開いたが5合瓶は無く、ミニボトルとトートバッグだけを買っていく。
 今日は夕方まで暇である。まずは港に1便で帰る人の見送りに行く。港の中まできれいな波照間島の海を駆け抜けて来る船と出て行く船を見送る。島自体は回り尽くしたので、気に入った場所だけでも巡りつつ時間を潰す。一緒にいた宿泊客の方とニシ浜へ行く。一昨日に来た時は道に迷って変なところから浜にアプローチしたが、今日はきれいに整備された道と駐車場とシャワーもあり四阿もあるところあから行く。何度見ても見事と思える景色と楽しそうにシュノーケリングを楽しむ人たちを見ていく。四阿の内側が窓枠のようになる中に上手く入り込んで映える写真を撮っている人がいる。写真を見せてもらうと見事としか言いようのない構図である。四阿で涼んでいる人たちで会話も盛り上がり楽しめる。

泡波酒造所


お目当てのボトルは無くトートバッグ購入


波照間港の海の色


1便を見送る


ニシ浜の海の色

 お昼時になったので集落へと上がっていく。一緒に回っている人のリクエストで再びひまわりに行く。この島で3回目になる。今日はふーチャンプルーを楽しんで行く。自分で作るようにはなってきたが、こうは上手くいかない。圧縮麩を使うのがコツだとのことなので、再度トライしたい。小さな島なので知り合いもあっという間に増えていく楽しみがある。
 今度は昼の2便を見送る。1便と3便と比較すると欠航率が高い小さい船だが、昔ながらの波照間島への船と言うことで、こっちの方が地元の方や通には好評である。私の場合は自転車を積むと言うことと、欠航=旅の日程変更または最南端到達不可ということで、2便には不安しかないので、ギャップがある。港で船を待っていると、海面にウミガメが見えた。ちょっと前だとウミガメを見かけるのは、かなりラッキーな出来事であったが、今は数が増えてきたとも言うので見かけやすい。去年も下地島で見かけたが、今回は姿がハッキリと見えている。

フーチャンプルー


日本最南端の学校


日本最南端の郵便局


日本最南端の郵便局


日本最南端の交番


波照間港に現れたウミガメ

 2便を見送ったら、また暇になってきたので、今度は防波堤を歩いて行く。波照間ブルーの海に浮かぶような抜け感で海を楽しめる。こういうのを見ているとマリンスポーツも楽しそうで憧れる。しばらく、一人でぼーっと海を眺めてから堤防を歩いて戻っていく。港の方を見ると、海面に縞模様の長いものが泳いでいる。動きは遅いがウミヘビと思われる。去年は宮古島の海中公園でクロガシラウミヘビを見たが、海面から見たのは初めてなのでテンションが上がる。野生生物の目撃経験が徐々に上がっていくのは良いことだ。
 いよいよ暇にも限界が来る。港のターミナル内で涼みながら船を待つ。まだ船の時間まで2時間以上もある。ここで同じく暇を潰していた親子と話をする。何度か私を島で見かけてるようで行動力に感心していた。おすすめの暇つぶしとして、防波堤をおすすめする。そして、とうとう船の時間が来た。売店で乗船証明書を買って、船に乗り込む。列に並んで自転車を乗せて船に入って揺れが少なさそうな席を探して座る。船の前の方が立ち入り禁止になってるあたり、相当な揺れなのだろう。
 船は波照間島を出発する。日本最北端と最東端を含む本土16極を終えての日本最南端の踏破ということで、大きな成果を残した島旅が終わりを告げる。帰りの船になると疲れがどっと出てきて眠ったまま船は石垣島へと戻ってきた。船を下りると具志堅用高像の写真を撮り石垣市街地へ向かう。さっき四阿で話した女性とすれ違ったが、気付いたタイミングが遅くて挨拶しそびれる。

また防波堤を歩いて行く


海面を泳ぐウミヘビ


また見に行った防波堤からの海


年貢検め所跡


やりきった波照間島 撤収


帰ってきた夕暮れの石垣島


夕暮れの具志堅用高像

 今日からは石垣島でゲストハウスに泊まる。だが、相部屋だとコミュニケーション能力が低くイビキのうるさい俺は疲れが取れないので、個室に入れるゲストハウスを探して予約した。だが、自由な感じが返って快適である。シャワーを浴びて夕飯を食べに行く。波照間島に渡る前に行った店に再び行って沖縄料理を満喫する。沖縄の風土は俺に合うのか分からないが、沖縄料理は何を食べても美味しく感じてハマってしまう。
八重山そばとじゅーしー


テビチー


石垣島地ビール



   出発(石垣空港)から 94.12 km

5日目 石垣市街 → 大崎 → 御神崎 → 石垣市街 52.42 km
2023/04/30
 今日明日の2日は完全に自由な感じである。だが、天気予報は芳しくない。晴れた石垣島をリベンジするために川平湾とか含めて回り尽くすというアイデアもあるが、くすんだ海の色になるのは確実だ。石垣島で走りという観点で残しているのが川平湾から東に突き出た岬だけである。沖縄本島、宮古島、石垣島、西表島は全て回ってから波照間島や与那国島へ行こうと思っていたので、走り残した岬をコンプリートしにいく。
 距離にして30kmぐらいなので、昼前に出発する。去年の旅で立ち寄り忘れたケンタッキーフライドチキン石垣店に寄っていくが、朝飯は食べてからの出発で昼前なので、今日ケンタッキーにしない ということになった。これでファーストフード店の日本最西端を制した。途中にある八重山平和祈念館に立ち寄っていく。西表島の忘勿石(わすれないし)と波照間島の学童慰霊碑を見ていると、八重山諸島での戦時中についても興味が出てくる。沖縄本島のような陸上戦ではないが疎開によるマラリア被害が大きな悲劇となっているようで、展示を見ると心が痛むような思いがある。
 さらに西へと進んでいくとリゾート地の海沿いを走る。安い宿かストイックなたびになりがちなので沖縄のビーチリゾートなど全く無縁の旅となっている。こういうところに泊まって拠点にしながら旅を楽しむような感性が必要な気はしてくる。リゾート地を走り抜けて、ちょっとした丘を登る。牧草地のようなところを抜けて登りきると、抜け感のある景色が広がる。しかしながら、残念なことにどんよりと曇って雨寸前のような天気なので美しさは6割減といったところだ。晴れていればエメラルドグリーンの海と八重山諸島が目の前に広がるはずだ。
 丘の頂上は石垣島の牛乳を使った乳製品やハンバーガーを楽しめるミルミル本舗がある。昼飯には少し早いし空腹ではないので、アイスだけにする。ミルクとパイナップルのジェラートにする。濃厚なミルクと甘酸っぱい沖縄のパイナップルがよく合う。せっかくの八重山諸島だが、今日はやや寒い。頭を晴れた南国だと思い込ませながらジェラートを満喫する。
 ここからは、ややストイックに走りたいところだ。石垣島そのものはほぼ一周しているので、どこまで走るかは気分と体力次第なのだが、天気が悪い日に川平湾をリベンジしても、去年と大差ないだろうし、於茂登トンネルをちゃんと抜けるというプランも何だか惹かれるものがない。少なくとも行こうと思っているのが、県道79号線から西に外れた半島をめぐるルートだ。石垣島一周したと言いたいところだが、少しだけ残っている形になっている。県道79号を北に上がって崎枝から西に入っていく。大崎に向かう途中でダイビングかアクティビティと思われる車が何台かいる。それ以外は、ほぼ人を見かけることがないほど辺鄙な場所である。道から海を見下ろすのは気持ちがよく、眼下には牧草地が広がる。亜熱帯感がある海と牧草地の眺めというのは石垣島の象徴的な景色に思えてくる。
 しばらく進むと大崎が眼下に広がる。海岸沿いにある電信屋跡に下る。久々のダートを走って牧草地の中を抜けていく。海まで降りたところに建物の跡が残っている。台湾や本島との連絡を取るための基地であるが、通信拠点だから真っ先に狙われるからだろうか弾丸の跡が壁にも残っていて戦争の凄まじさを感じる。再び半島一周の道路に戻る。天気が良ければ、ここからヒルクライムして屋良部岳まで行って岩の上から眺めたいが、登山初心者が一人で濡れたコンディションで登るのもよくないし、そこに入っていく道を見失った。いかんせん石垣島は天気に恵まれない日々ではあるが、いつか天気運の良い状態の石垣島に来れたら再び行きたいところだ。

ミルミル本舗 屋上の眺め


ミルミル本舗ジェラート


大崎を回る道


大崎の電信跡


電信跡の壁に残る銃弾の痕跡

 大崎を回ると小雨が降り始めてきた。レインウェアを着るほどではないが、路面も濡れてくるので緊張感が増す。秘境感のある道を走っていくと、御神崎(おがんざき)へと進む上り坂に入る。かなり急なのでローギアにすると、今度は空転する。あまり力を入れすぎず空転しないように上るが、戻りの方が心配である。坂を登り切ると開けた景色になってきた。険しい岩が続く御神崎と灯台がある。ここは八重山諸島でも屈指の夕日の名所だ。だが、夕方ではないし天気も悪いので、その片鱗が全くない。むしろ今日は強風と小雨で恐怖感すらある。この体重で飛ばされるわけはないが、崖の強風は本能的に恐ろしさが勝つ。
 坂道を慎重に下って一周道路に戻るが、依然としてアップダウンは激しい。石垣島は典型的な離島地形でアップダウンは多めとは思うが、ここが一番アップダウンの激しい区間と思う。とはいっても今回の旅は小さい離島ばかりだし距離も短いので疲労は貯まってないため、このアップダウンは楽しめる。坂道を下って左に海を見ていると、ちょうど果物の産直があったので立ち寄っていく。昼飯らしい昼飯は食べていないので空腹ではある。秘境なので昼飯を食べるところは予想通りだがない。ご飯がないなら果物を食べれば良いじゃないかということで立ち寄る。パイナップルやいろんな果物が盛り合わせになっているものと、パイナップルのスムージーを楽しむ。この時期の石垣島のパイナップルは格別な美味さだ。ジューシーで濃厚な甘酸っぱさがあり、食感は完熟で柔らかい。
 果物でお腹を満たしたら半島を走り抜けて崎枝に戻ってくる。これ以上もどこかに行く体力は残っていないので、戻る方向だ。だが、今日は八重山にしては寒いので腰が痛くなってきた。名蔵アンパルのある休憩所で腰を休めていく。今まで、ここから石垣市街の方に行くために海沿いリゾートに回っていたが、今回はど真ん中で軽く峠を越えるルートを選ぶ。

御神崎灯台


御神崎灯台と観音像


フルーツ盛り合わせ


パイナップルジュース

 この選択を後悔するほど長い坂道が続く。標高自体はそんなにあるはずがないが、なぜか凄く長く感じる坂道を越えていく。石垣市街に向けて気持ちよく下って、戻ってきた。明後日が与那国島の船なので、明日も石垣島で過ごす。明日の過ごし方をイメージしつつ市街地を巡る。今回の旅は全部が宿であってキャンプはないのだが、外で料理する楽しみだけは満喫したいので、食器と調理道具だけは発送しておいたのだ。買い物を済ませて宿から調理道具の入ったサイドバッグだけ持ちだして目をつけておいた公園に行く。ご飯を炊きながら、石垣島のマグロを漬けにする。小浜島のうむい醤油(出汁醤油)と泡盛で漬け込んでゴマを和える。ゴーヤーと豚肉と島豆腐と卵でゴーヤーチャンプルーも作る。沖縄を旅するときは外せない料理といえる。甘みと旨みが濃い醤油とマグロが良い感じにあって漬け丼は充実した味になった。
 夕飯に満足して片付けていると、でかいゴキブリを見かける。本土のものと種類が違うが動きの気持ち悪さは同じだ。元々、地元の若い人がいて、なかなか東屋の下が空かなかったのもあるし、明日は場所を変えることにする。今回は石垣市街地の安い宿ではあるものの、共用の冷蔵庫があったりで、移動型だと生鮮食品はその日に買ったものしか使えなかったりで制約があるが、拠点型の旅としては充実できる。キャンプなどの喜びも断片的に組み合わせる拠点型の旅は今後の俺の旅において新たな主流になりそうだ。

マグロの漬け丼


ゴーヤーチャンプルー


ソデイカの刺身



   出発(石垣空港)から 146.55 km

6日目 石垣市街 17.65 km
2023/05/01
 大して走っていないのに、なぜかグッタリと疲れている。しかも天気は相変わらず冴えない。石垣島そのものは去年のうちに概ね回っているが、どこも天気が悪かったので天気の良い日に再び行きたいと思ってるだけなのだが、今年も天気は冴えない。実質的には休養日になってしまいそうだ。
 朝から楽しみにしていた からそばを食べる。買っておいた八重山そばの麺とサンマの蒲焼きと鯖の味噌煮を持って公園に行く。麺の袋の口を開けてサンマの蒲焼きと鯖の味噌煮を流し入れる。袋の上からもみほぐす。汁と麺が絡んで魚の身がほぐれるように意識する。袋に箸を突っ込んで麺をすする。お店の沖縄そばも良い、買ってきた出汁を温めて食べる沖縄そばも良い、このからそばも一つの楽しみである。去年、黒島でやってからはまっている。
 午前中から日本最南端・最西端を巡ることにする。ネットカフェ、パチスロ店、CoCo壱番屋、しまむら、ホームセンターを回りながら、旅に出てから尻が破れていることに気づいたので、日本最南端・最西端のしまむらで短パンを買っていく。沖縄の旅だと考え物だが、本土でGWにツーリングするときに使っている厚手の七分丈の短パンは暑い。ホームセンターでは調理器道具としてピーラーとにんじんしりしり器を買う。にんじんしりしり器は自宅だとわしたで買ったものがあるが、キャンプ用にプラスチックでメンテフリーな感じのものが欲しかったのだ。買っていった荷物を宿に置きに戻る。
 荷物を置いたら昼飯に行く。KFCを目指しつつ買い物も済ませようとする。県道79号を西へ向かおうとして宿がある道路の右から左に渡ろうしたときに、後ろからなんだか鈍い音が聞こえた。おじいさんが自転車で転倒している。慌てて引き返して体を起こしてあげる。俺が気づく前に地元の女性が気づいていたが力は俺の方があるので体を貸して起こす。どうやら大きなけがは無いようで事なきを得た。俺も進んでいって買い物をしようと魚屋さんに立ち寄る。自転車から降りて押して段差を乗り上げようとしたら、上がりきらず俺が躓いて転ける。走っていて転ぶでも無く立ち転けでもなく押して歩いて転ぶという、なんとも情けない負傷だ。着いた手とチェーンリングに当たった右のすねに軽傷を負う。

からそば


日本最南端・最西端のホームセンター


自作にんじんしりしりに向けて準備

 ようやくKFCに着いて、バーガーとビスケットを買う。味は本土と全く変わらない。それでも日本最西端のファーストフードに行ったという事実が重要である。これで、日本最南端であるA&W石垣店と日本最西端を制した。日本最北端は痛恨のミスでマクドナルドが最北端と勘違いしたので未踏である。日本最東端は今年の夏に根室のモスバーガーに行って制覇しようとしている。
 昼飯を終えたら、石垣港に戻る。ここで明日のフェリーターミナルの下見をする。ほかの離島航路と違うところにターミナルがあるので要注意だ。船はすでに石垣港に停泊している。今のところ海が荒れる予報も全くないので予定通りに明日は就航するだろう。出航時間を改めて確認していく。下見を終えたら、港の近くにある大濱重泉(おおはましげもと)の資料館を見ていく。イマイチ何をした人なのかピンと来ない展示内容だ。
 そうこうしてる間に夕方になってきたので、荷物を整理して風呂に行く。石垣の市街地にあるアートホテルの日帰り入浴であるにいふぁい湯に行く。ここが日帰り入浴の日本最南端と最西端にあたる。ここは分かりにくいので改めて整理する。温泉で日帰り入浴の日本最南端・最西端は宮古島のシギラ黄金温泉である。これは昨年のうちに制覇した。日帰りか宿泊可は問わず温泉の日本最南端・最西端は西表島のラティーダ西表内にあるカンパネルラの湯である。温泉かどうかは問わず日帰り入浴できる日本最南端・最西端がアートホテルのにいふぁい湯である。日本最北端のようにすべてのジャンルが1つにまとまっていると分かりやすいが、端っこを制したい人は南と西には要注意である。温泉ではなく地下水を沸かしているのだが、結構いい値段する。リゾート価格だから仕方ないが、日本の端っこを制しておきたい。

日本最西端のファーストフード
ケンタッキーフライドチキン石垣店


日本最西端のファーストフード


大濱信泉像



日本最南端・最西端の日帰り入浴
アートホテルのにぃふぁい湯


明日乗るフェリーよなぐに


明日乗るフェリーよなぐに

 入浴を済ませて宿に戻り、再び食材を持って出かける。目をつけておいた東屋で料理する。今日はふーちゃんぷるーとにんじんしりしりを作る。卵を積極的に消費したいというのもある。明日から行く与那国島はおそらく自炊するチャンスは無いだろうと予測している。波照間島の食事処で教えてもらったように圧縮麩を選び少し切って水で戻す。その間に野菜を切っていく。にんじんしりしりを作るために、しりしり器で擦るが使いにくくて手を怪我する。しりしりしたニンジンに俺の血がつくので洗ってフライパンに乗せる。ごま油をかけて温めて炒める。そこに卵とすりごまをかける。ニンジンとゴマの香りが立って卵がまとめてくれる。フーチャンプルーも野菜たっぷりで車麩が良い感じにもちもち感が出て絶品になっている。徐々にキャンピング自炊の沖縄料理が板についてきた。今度は出汁から取るジューシーと沖縄そばを作るのが目標だ。
 宿に戻って荷物をまとめる。明日は寝坊や遅れは許されないので片付けを慎重にやる。洗濯だけ朝からやるしか無いようで、そこは仕方がない。準備万端で眠りにつく。

自作のにんじんしりしり



   出発(石垣空港)から 164.21 km

7日目 石垣 -福山海運フェリー→ 与那国
2023/05/02 石垣市街・与那国島1周 日本最西端 西崎→祖内 36.66 km
 朝は早めに起きて、汚れ物を持ってコインランドリーへ歩く。洗濯物を洗濯機に突っ込んで洗いながら宿を撤収する。パッキングしてサイドバッグをつけてコインランドリーへ押していく。エアコン代は小銭を瓶に入れるだけ鍵は部屋の中に置いておくだけとチェックアウトは簡素である。洗濯と乾燥をしている間に、コインランドリーの隣の喫茶店で朝食にする。名前は喫茶マウスという何とも不思議なネーミングで、見た目は時代が止まったような場所だ。モーニングセットはご飯にベーコンエッグとサラダがあって八重山そばが少しついてる。しっかりした朝飯とコーヒーでパワーをつけて、コインランドリーへ戻る。乾燥も終わってパッキングする。
 乗船の1時間半前に港に着いてお金を払ったり手続きを進めていく。係員に自転車を預けて1時間近く暇になった。ここで痛恨のミスに気づく。酔い止めを自転車のフロントバッグに入れたままだった。港に歩いて行って買う。船酔いには強いと思っているが、今日は到着後に島を1周して一気に日本最西端の西崎(いりざき)も制覇したいのでコンディションを悪くしたくない。港にある薬局で酔い止めを買って飲む。
 10時に船は港から出て行く。序盤は竹富島や小浜島や西表島を見ながら穏やかな海を進んでいく。そのクルージングだけでも楽しい。島影から見ても小浜島は険しそうだ。去年を思い出す西表島と鳩間島を見ながら船は進んでいく。西表島を通り過ぎると完全に外海を進む船になる。石垣港にいると大きな船に見えるが、外海を行く船にしては小さい方だと思う。今日は比較的穏やかと思われる海を進む。一度、船室に戻って溜まっている日記を書き進める。船に乗ってるときと洗濯が日記を書く重要なチャンスタイムである。揺れは大きくないのでカーペットにうつ伏せになって書き進めていく。そんなに書きづらい状況でもなくはかどる。

昭和レトロなマウス


昭和レトロな喫茶店の朝飯


与那国島へ向かうフェリー


石垣島を見返しながら出発


石垣島 離島ターミナル


石垣島を眺めながら進む


石垣島沖に座礁する貨物船

 気づくと窓の外に与那国島と思われる島影が見え始めてきた。カツオドリが船の回りを飛び交いながら海に突っ込んで魚を狙っているのが見える。海面は多くのトビウオが飛んで海鳥が魚を狙う。濃い青い海の上で生存競争が見える。飛び出すトビウオがいるということは水面下はトビウオを狙う魚がいるということでもあるので、それだけ豊かな海であるともいえる。そんな様子を見ていると与那国島の島影は徐々に大きく濃くなってディテールも見えるようになってきた。アーモンドが寝たような形をした与那国島の北側を通るので島の海岸線がよく見える。島影を見るからに山と崖が続いて険しい島であることが分かる。
 西崎の目の前をかすめながら与那国島の久部良(くぶら)港へと入っていく。着岸するのを見て、船から下りる。このフェリーでは自転車は係員が出してくれるので、ゲートブリッジを走り抜けるような上陸は味わえない。自転車を受け取ったら、レーサーパンツに履き替える。昼飯を食べてから走ろうと思ったが開いてる店が見つからない。

トビウオを狙う海鳥


与那国島全体が見える


徐々に近づいてくる与那国島


日本最西端 西崎を見ながら入港


ついに与那国島へ上陸


久部良港を出発

 仕方なく日本最西端の信号やバス停の写真を撮って走り出す。初っぱなから坂道で始まる与那国島一周道路だが、想像よりはアップダウンは緩い。サトウキビ畑や草地を見ながらのんびり走る。どこまでも長閑な景色を楽しむ。島自体は1周30kmも無いので地図で見ているランドマークは次々に来る。空港の前を通り過ぎて、まあまあしんどい坂道を越えて与那国島で一番大きいホテルの前から下り始める。与那国島の宿不足が深刻な理由が、この一番大きいホテルが休業していることだ。
 坂道を下ると祖納(そない)の集落に着く。ここは与那国島で1番栄えている場所と思われる。商店や宿が何軒かはあるし、予約したホテルも祖納にある。まずはホテルにチェックインする。おそらく1周回って最西端を満喫して帰ってくると20時近くになるだろう。チェックインを済ませたら、向かい側の共同売店でおにぎりとつきあげを買う。小さい子供がお店を手伝っているのが可愛く微笑ましい。つきあげとは揚げた練り物だ。これが魚の味と甘みがバランス良くておいしい。自転車の荷物の上に置いて食べていると猫たちの熱視線が集まる。離島の猫は元気が良いのか自転車に向かってジャンプしそうな勢いだ。この宿には2泊するので、この猫たちとの付き合いも楽しみだ。
 遅めの昼飯を満喫して海の方に出ると、Dr.コトー診療所のまりの店跡がある。港の前の赤い建物が印象的である。通り過ぎて大きな墓がいっぱいある墓地を通る。沖縄の墓は本土のものとは比べものにならないぐらい大きくて、ちょっとした小屋のような形になっているが、与那国島のものは下手すると家だ。

日本最西端の信号機


祖内で猫に襲われるランドナー

 祖納で観光案内所に立ち寄って日本最西端到達証明書を手に入れたいと思っていたら、観光案内所はGWは丸々休業である。観光シーズンに休業する観光案内所というところが何とも商売っ気がない。
 祖納を過ぎると、坂道は険しさを増してくる。山の景色と崖の景色を両方とも楽しめる。今日は楽しむのはスルーして走りメインで行く。祖納からの坂道に苦戦していると与那国島の最東端にある東崎(あがりざき)の手前で道路を横切る深い溝があり水が溜まっている。野生の馬が集落の方に行かないように設置しているテキサスゲートと呼ばれる機構で、馬は本能的にこの深さが怖いので渡らないようだ。自転車で通り過ぎようとすると結構な衝撃は来るがコツを掴めばいけそうだ。
 広い草地に灯台と野生の与那国馬や牛がいて向こうには青い海があり、草地がエッジのように続いている。おそらく険しい崖がその向こうにあるのだろう。東崎を歩き始めるとキリがないので今日はスルーしていく。後日、じっくり回ることにする。東崎を回ると与那国島の南岸を走り始める。東崎から見下ろす牧草地が良い味を出している。坂道を気持ちよく下って軍艦岩が見えてきた。展望台で軽く眺めていく。切り立った崖がどこまでも続く景色で、東北の三陸とかを思い出すものがある。軍艦岩から西へ進むと立神岩(たちがみいわ)の展望台がある。ここからの眺めは最高で東を見ると岬に続く牧草地と東崎と絶海の孤島であることが分かるほど広い海が見渡せる。直下から西を見ると鋭く切り立った崖が続く景色とどこまでも広がる海が見える。与那国島が最果ての島であることがよく分かる。また、この地形の鋭さがきつい道を走るのが好きなMっ気の強いサイクルツーリストの闘争心をくすぐるものがある。

祖内から東崎への道


島の中にそびえ立つ山


道路を横切るテキサスゲート



結構な衝撃が来る幅
牛や馬から見るとこの溝が恐怖らしい


東崎付近の牛


東崎付近にいる与那国馬


今回はざっと見るだけ東崎

東崎を回って南側のアップダウン

 ここからも尾根沿いみたいなアップダウンが続く。険しい海沿いのあるあるだが海は道から一切見えない。山岳路のような雰囲気を楽しんでいく。右の内陸側は見下ろす草地が楽しめる。インビ岳から合流する分岐を過ぎて少し走ると急な下り坂が始まる。これで島の4分の3ほど回ったと思われる。比川の集落で少し休憩して、島の南岸を西崎に向けて走って行く。このルートは今まで走った道の中でも屈指といえるほど気持ちが良い。Dr.コトー診療所のオープニングとエンディングでコトー先生が自転車で走っているルートである。なだらかなアップダウンと海に向かっては草地が広がり、そこに与那国馬が草を食んでいる。その向こうはコバルトブルーの海がどこまでも広がる。これが7kmほど楽しめる。
 そんな気持ちの良い道を走り続けていると、右には与那国島の自衛隊駐屯地が見えてきた。もう終盤だ。そして眼前には西崎灯台が見えていた。港に着いたらすぐに最西端に行けば日本四極踏破を達成できたが、そこは敢えて島を1周してから達成しようと決めていたので、ゴールが見えてゴールに向かって走る快感や達成感は大きい。島を1周する道はテキストゲートをガタガタと通り過ぎて西崎に上る道と1周する道の分岐に出た。

立神崎の眺め


比川から西へ向かう道


戯れる与那国馬たち


比川から西崎へ向かう


いよいよ遠くに見えた西崎灯台

 岬の方へと坂を上っていくが、いつものくたびれてる俺では無い。ラストスパートで力強く坂を上っていく。駐車場からは歩いて行くが、この先は自転車を押していく。こいつとともにゴールを迎えたい。急な遊歩道を上がっていく。一歩一歩 日本最西端へと近づいていく。1995年から28年間目標にしてきたことをついに達成する。その残り少ない道を踏みしめていく。そして、ついに日本最西端 西崎に到着した。これで日本の端っこと呼ばれるところを全て走り抜いた。
 記念写真を撮ってもらったり、ほかの旅人と話したりしながら日本最西端にたどり着いた喜びをかみしめる。今日は天気はイマイチなので夕日は見えないので、薄暗くなってきたところで坂道を下っていく。久部良から祖納まで走って行く。その間に日が完全に暮れて暗くなってきた。19時半頃で完全に暗くなった時に宿にたどり着いた。

宿にたどり着いて乾杯


ついに日本最西端 西崎に到着し、日本四極踏破。


行った人しか見えない石碑の裏


展望台にある模式図

 急いでシャワーを浴びてから、予約しておいた居酒屋へ行く。予約なんてしてましたっけ?と聞かれて焦るが何とか夕飯にありつけた。まず、何はともあれビールである。日本最西端 そして 本土16極+日本4極の踏破に一人で乾杯し、祝杯を満喫する。与那国島のカジキ刺身と長命草を楽しむ。カジキのもっちりした食感と爽やかさに醤油と長命草の苦みが合う。ワサビでは無く島唐辛子というのが、またおいしい。長命草の葉を天ぷらにしたものや、粉末を溶いて粉茶のようにして泡盛と合わせた酒もおいしい。俺と同じくというか俺以上にサイクリストの女将と話しながら酒と料理が進んでいく。喜びをかみしめる夜となった。
きんきんに冷えたオリオンビール


カジキの刺身と長命草


長命草の天ぷら


泡盛を飲み始める


泡盛の長命草割り


日本最西端 到達証明書



   出発(石垣空港)から 200.87 km

8日目 久部良→海中遺跡→久部良
2023/05/03 祖内→久部良→比川→ティンダバナ→祖内 25.15 km
 昨日の時点で達成するものを達成したら燃え尽きて走るのすら嫌になるかと思いきや、全くそんなことは無く朝を迎える。今日は久部良から遊覧船に乗って海中遺跡を見に行く。船の時間が12時出航なので午前中で久部良まで行けば良い。距離にして7km程度なので大きく寄り道しなければ楽しみながらいける距離である。まずは空港に立ち寄る。これで日本最東端以外の空港は踏破したことになる。自衛隊が入っているからか最果ての島にしては飛行機の本数が多い。那覇からの便もあるし石垣島からもある。空港内のレストランも美味しそうだし空港の前にジェラート屋さんもある。
 空港を過ぎて久部良に走り着いた。港のすぐそばにあるビーチを見ていく。Dr.コトー診療所で何度も見た浜と港だ。勝手に「たけひろ帰るぞの浜」と呼んでいる。日本最西端の神社もあったのでお参りしていく。無人の小さな小屋に賽銭箱がある程度の作りだが、西崎の直前にあるので日本最西端であり最果ての海の守り神でもある大事な神社である。
 最西端めぐりをちょっとずつこなして、港へ行き船に乗る。船に乗ると、昨日 西崎で写真を撮ってくれた夫婦?がいた。同じ船でクルージングするようだ。せっかくのクルージングなので2Fのデッキから眺める。離島のクルージング船は容赦なくて波がバシャバシャかぶるし、容赦なく揺れまくる。それでも西崎や与那国島南岸の気持ちよいルートを海から見る絶景を満喫する。比川のDr.コトー診療所を過ぎると崖がさらに険しくなる。昨日の激アップダウンを楽しんだあたりだろう。すると船の下にあるガラス窓の方に移動する。泡で見づらいときもあるが、階段状の岩が見える。これが海底遺跡と言われてる地形だ。噂には聞いていたが確かに遺跡かと思うような段がいくつも見える。ちゃんと楽しもうとしたらスキューバダイビングでじっくり見るしかないのだろう。このあたりは上級者向けのスポットとのことなので、やったことすらない俺には遠い先の話である。
 戻りの船も揺れと景色と波しぶきを満喫しながら久部良へと戻っていく。海底遺跡に与那国島の景色に揺れと波しぶきと体験価値が十分すぎるほどあったクルージングは終わった。

久部良から出るクルーズ船

 

海底に見える地形


日本最西端 西崎を西から見る
岬の先に見える岩礁トゥイシが
本当の日本最西端

 自転車に乗って久部良の集落で昼食を探す。日本最西端のカフェというのを見つけたので、そこに行く。旬のカジキと長命草を使ったカルパッチョとトマトソースのパスタが合う。新鮮な魚とトマトソースの合わせ方は参考になる一品だ。デザートのロールケーキと黒糖チャイを満喫して、俺が座った縁側の席も居心地良く、ちょっとおしゃれな昼食を楽しむ。
 久部良で明日以降の夕食を考えたが、この場では予約はできなかった。南の海沿いから1本内陸の道で比川へ向かう。与那国島の南側で立ち寄るべき場所の1つといえる。Dr.コトー診療所がそのまま残っている。比川の集落から海の方に行くと比川浜と診療所がある。診療所の中はドラマのままで残っている。今回の旅の直前にDr.コトー診療所の全シリーズと映画を見ておいたので、予習は万全である。2つ並ぶベッドの向こうに見えるきれいでのんびりした海など、ドラマの世界観がそのままである。ヤシガニラーメンの蓋のデザインのうちわを買って診療所を後にする。

日本最西端のカフェ


カジキのパスタ


ロールケーキと黒糖のチャイ


Dr.コトー診療所ロケ地


ドラマで見慣れた待合室

 今日は島を半周だけする予定なので、与那国島のアーモンドを横切る峠を越えていく。今日は荷物はホテルに置いてきたので身軽であるが、真ん中を越える峠も海沿いアップダウン以上にしんどい。祖納に向けて下ると、少し山道を登るティンダバナと呼ばれている崖の岩場に行く。この坂道が拷問のように厳しい。何というか容赦の無い傾斜が続く。これが与那国島というものだろう。島の外から見ても地形の険しさが見えるが、その真ん中といえば激しい傾斜があるのは当然ともいえる。
 坂道をひいひい言いながら登って駐車場に自転車を置いていく。うっそうとした森の中を抜ける遊歩道を進むと岩がくりぬかれた庇の下に入る。そこに水が湧いている泉があったり、崖の下は海や祖納の集落や港が見えて絶景である。Dr.コトー診療所で度胸試しに使われた海沿いの洞窟として使われたロケ地でもある。ここで一度 現実に戻る。明日の夕飯と明後日の夕飯が未決である。明日からは祖納ではなく久部良で2泊なので久部良で確保したい。片っ端から電話する。狙っていた居酒屋は明日はNGだったが、焼き肉屋を確保して居酒屋は明後日に確保した。これで与那国島での夕飯難民化は防いだ。ティンダバナを満喫したら坂道を下り祖納に戻る。

ティンダバナの遊歩道


ティンダバナから祖内の眺め


ティンダバナに湧き出す水

 観光案内所で買えなかった日本最西端到達証明書はホテルのすぐ近くの共同売店で売ってるとのことなので買いに行く。これで無事に証明書も手に入れた。ホテルに戻ってシャワーを浴びて、向かいの売店で明日の朝飯を買う。今日も看板娘と猫に癒やされながら買い物する。予約しておいた居酒屋へと向かう。今日も与那国島の海の幸と山の幸を満喫する。オオタニワタリのゴマ和えやカジキの中身のチャンプルーと泡盛を楽しむ。日本最西端到達という大目標を果たした後でも自転車や旅を楽しむ心は忘れない。世の中なんでもかんでも目標・目的だの成長だの言うが、そんなものにとらわれなくても自らを鍛えて楽しむことはある。目標を達成したら終わるのは仕事である。目標を達成しても楽しむのは趣味である。改めてそう感じる。過去で言うと日本縦断という目標を達成してから、旅に向かう心が盛り上がったこともある。それが本土16極+日本4極で目標が大きかったからと言って変わるものでは無い。明日も旅を走りを楽しもう。明日は与那国島山岳ドMサイクリングを予定している。
今日も泡盛


今日もビールで乾杯


オオタニワタリのゴマ和え



   出発(石垣空港)から 226.03 km

9日目 祖内→宇良部岳山頂→比川→久部良 21.65 km
2023/05/04
 2泊お世話になったホテルをチェックアウトする。海沿いは明日満喫するとして、今日は山岳ルートばかりを攻める。このホテルは6月をもって閉業なので、ホテルと共同売店と自転車が写る構図で写真を撮っていく。何とももったいない話である。祖納から山道へと入っていく。まずは山の上の方にある アヤミハビル館に向かう。昨日ぐらいから天気が良くて本格的に暑くなってきたので、上り坂はきつい。
 汗だくになりながら、アヤミハビル館にたどり着いた。そんな俺を見かねたかクバの葉で作ったうちわを貸してもらった。世界最大級の蛾である方言でアヤミハビルと呼ばれるヨナグニサンの生態や標本が展示してある。与那国島が絶海の孤島なので固有種も多いし、日本と違う東南アジアの生態系がかぶっているところもあり興味深い。日本で与那国島にしか生息しない生物が多いので、野生生物に興味ある人にはたまらない島だろう。生きてるヨナグニサンが見れるとネットに書いてあったので、飼ってるビニールハウスみたいなのがあるのかと思ったら館内で普通に2匹がいる。優雅な羽を見せながらじっとしている。あまりに動かないから標本かと思ったら生きているし、少しだけは動いている。大きな羽にはっきりした模様が美しい。
 ヨナグニサンを満喫したら、すぐ隣にあるどなんの酒造所に立ち寄る。クバの葉で巻いてあるボトルのうち45度の泡盛と60度の花酒を買っていく。60度の酒を買えるのは日本で唯一 与那国島だけなので貴重だ。ここからは与那国島最高峰の宇良部岳を目指す。普通の人は行かない場所なので案内も手薄だが、何とか道を見つけて走っていく。徐々に道は細く険しくなっていく。車同士だとすれ違えず待機する場所もなさそうな道である。終盤になると、おそらく経験した最大斜度と思われる。整備された道では無いので%表示などはないが、少なくとも16は超えてると思われる。自転車に乗る手順を改めて思い出す。右足をSPDで固定してペダルを漕いで勢いをつけて安定させて左足をペダルに乗せて左足を漕いでさらに勢いをつけて安定させて走る。それが自転車に乗る手順だが、右足で漕いだ時点で傾斜が凄すぎて自転車が止まってしまう。結果、左足をペダルに乗せる前に自転車が安定感を失ってしまう。その結果、乗れない。それでも押して歩かないのがポリシーなので右足だけで自転車を進ませていく。そんな限界の走り方を1時間以上続けていく。下ってきたバイクの人に「この上 何もないですよ 笑」と言われながらも走り始めた以上は登り切りたいし、与那国島最高地点というタイトルは手に入れたい。
 かつてないほどの極限的な上り坂を終えて頂上にたどり着いた。眺めの良い場所はNTTの基地が占領して景色はほぼ無い。頂上のギリギリまで歩ける遊歩道に入ると亀(たぶんヤエヤマイシガメ)を見かける。水辺以外のカメを見るのは沖縄ならではだろう。景色はわずかに見えるだけだが、宇良部岳頂上の制覇という喜びをかみしめていく。下り坂は予想通りのヤバさだ。前輪ブレーキすると即前転する。後輪だけだと減速仕切れない。そして路面が悪く飛び跳ねるような走りである。MTBのダウンヒルのテクニックが必要だ。登りも下りも全く気を抜けない宇良部岳を満喫して下りきった。一周道路に戻る道を見つけて一周道路に戻る。
 比川の方へ向かうと、次にインビ岳に行く分岐を曲がる。どこまでもドMな走り方をする。ここからは道は広くてなだらかなので、想像ほどはきつくなく坂道を登っていく。ただ、アヤミハビル館と宇良部岳で体がすでにいっぱいいっぱいである。何とかインビ岳展望台に到着した。だが、眺めはさほど無い。どうも山としてのコスパが悪い。こればかりは自然の地形なので仕方ない。
 ここからは久部良に戻るのだが、比川経由で戻るとしたら与那国島の南岸の道から行くのが妥当だろう。となると、Dr.コトー感を出したいところである。音楽を 中島みゆき 「銀の龍の背に乗って」の1曲リピートに切り替える。おそらく一生分ぐらい聴くことになる。インビ岳展望台から坂道を下って一周道路に戻ると、比川へと下っていく。ペットボトルの水も飲み干した状態だったので、いかに山道3本が激しかったかがうかがえる。
 時間は14時を過ぎてるので比川に何軒かある食事処も終わってるかと思ったら、開いていた。だが、汗だくなので店の外の席に座る。冷蔵庫の中のルートビアを1本先にもらって料理を待つ。名物のあざみそばで作った沖縄そばを待つ。ルートビアの水分と冷たさと炭酸が疲れた体に染み渡る。アザミそばは少しもちっと感があるようにも思えるが沖縄そばになって出てくると違い分かりにくい。だが、塩分が出尽くした体に鰹だしと塩味の効いた沖縄そばは美味しい。共同売店でアイスと飲み物のがぶ飲みで体力を回復させる。比川の共同売店は俺にとっては与那国島のオアシスだ。商品も充実してるしゴミ箱もちゃんとある。がぶがぶ飲んでもゴミ捨てに困ることがないのが助かる。

あざみそば


ルートビア


シークワーサーアイス

 一度、Dr.コトー診療所のある比川浜に行ってから海沿いを徹底的になぞりながら走る。この間のBGMは1曲リピートの銀の龍の背に乗ってである。どこまでもDr.コトー感を追求したいところだ。そして、海沿いのなだらかな道に入る。7km近くある道でBGMから徹底的にコトーする。この道は何回走っても飽きない。今日は天気も良いので海が本当に美しく映えている。楽しみ尽くして久部良まで走る。
 久部良で共同売店に立ち寄って明日の朝食を買いだしする。できる限りDr.コトー関連の場所を見ていく。漁労長がよく出てくる港も見る。予約していた民宿に行きチェックインを済ませる。まずは自転車で日本で最後の夕日が見える丘に行く。夕日を見るための人だかりはできているが、西の空には雲が出ている。結果、夕日は全く見えなかった。だが、日本最後の夕日は確かにそこにあった。そう思うことにした。
 宿に戻ってシャワーを浴びてから夕飯に行く。予約が20時なので2巡目という感じなのだろう。真っ暗な道を歩いて日本最西端の焼肉屋に行く。そういうことをすると、焼肉屋も日本4極制覇しないといけなくなってしまいそうだ。今日は山岳ルートばかりで体に来てるので焼肉のタンパク質はありがたく、体に染み渡る。

比川 Dr.コトー診療所 ロケ地


比川の浜


与那国馬を見ながら走る


与那国馬の群れ


車道を歩く与那国馬の親子


Dr.コトーでよく出てきた漁港


日本最西端のバス停


日本最後の夕日が見える丘


曇りで夕日は見えず


日本最西端の焼肉


焼肉を満喫する。



   出発(石垣空港)から 247.69 km
10日目 久部良→与那国島1周→西崎→久部良 34.93 km
2023/05/05
 今日で与那国島の最終日になる。フェリーの日程で滞在日程が決まる旅なので4泊5日と贅沢な滞在となった。だが、今日になってやっと与那国島海岸線じっくり回るぜコースとなる。1日目でスルーしまくった場所に立ち寄りたい。宿に荷物を置いて身軽に走り出す。
 まずは、久部良近くにある久部良バリに行く。大きな岩の割れ目と海の眺めがある。割れ目のところには人頭税削減のために妊婦に飛び越えさせたという伝説がある。見た感じ、飛び越えられる気がしまい。嘘だと思いたい伝説である。続いて、ダンヌ浜によっていく。今日はビーチには徹底的に立ち寄る。ここは丸形の向こうに見える海が映える公衆トイレが見物である。ちなみにトイレは老朽化で使用禁止なところが味わい深い。

久部良バリとテッポウユリ


久部良バリ かなり裂け目は深い


岩の間に続く裂け目


久部良バリの海岸





二畳ビーチ


丸い穴から見えるダンヌ浜

 ここは絶対に行きたいと思っていたのが馬鼻崎(うまばなさき)だ。空港の西にある北牧場を歩いて抜けた先の海の崖になっている。Dr.コトー診療所のエンディングでコトー先生が座っている崖だ。一周道路を走って、北牧場の方へ行く。車は駐車場で終わりだが俺は自転車ごと入っていく。馬が出て行かないための棒を開けて入って棒を閉める。牧場内で乗って走れるかというとオフロードなので途中で担ぎも入ってくる。馬が驚くので押して歩くぐらいがちょうど良い。途中で死んだ馬の骨が転がってたりする豪快な牧場を歩く。人懐っこい見た目ではあるが警戒心は強い馬である。海と牧場と崖に野性的な馬が映える。与那国島を象徴するような景色を楽しめる。馬鼻崎の石碑があるところまで歩くと、崖の鋭さにびびる。見下ろすと海は透明度があり珊瑚礁が見える。終始景色を楽しみながらの散策となる。

馬鼻崎の石碑


馬鼻崎


北牧場から見ると海と与那国馬

 また一周道路に戻り、今度は空港に立ち寄る。空港内のレストランが気になっていたのだ。カジキの漬け丼セットにする。あっさりしたカジキをタレで漬け込んで苦みのある長命草が合う。そこに錦糸卵がまとめてくれる。付け合わせの八重山そばも美味しく、ついつい頼んでしまったパイナップルジュースも濃厚だ。空港の昼ご飯が予想通りに絶品である。空港の向かい側のジェラート屋さんで黒糖きなこと紅芋のジェラートを食べる。今日は暑いのでアイスはありがたい。黒糖のコクがたまらなく美味しい。
 祖納にあるナンタ浜を見ていく。見上げればティンダバナの崖が不思議な雰囲気を出していて、海は砂浜から珊瑚礁までのグラデーションがきれいで、その美しさが港の中にまで続いてくる。波照間島のニシ浜を思い出して港の堤防からビーチの方を見てみる。広がり感はビーチ側から見るよりあるが、波照間島ほどの凄みはない。あれは、やはり特別だと思う方が良い。すぐ隣の三畳ビーチは珊瑚礁の縞々が透けて見える。その向こうに石垣島から来たフェリーが見えていた。すなわち明日乗って帰る船である。そう思うと少し寂しい気持ちが来る。大きくてまるで家のような墓が印象的な浦野墓地群にある四畳半ビーチも見ていく。ここは小さなビーチがぽつんとあってプライベート感を感じる。さすがに墓の写真は撮ってきてないので、気になる人は行って見ることを勧める。

黒糖きなこと紅芋のジェラート


パイナップルジュース


与那国空港のレストランで昼食


カジキのどんぶり


ナンタ浜


港から三畳ビーチの海の色


帰りのフェリーがやってきた


二畳ビーチ

 DiDi与那国交流館を見ていく。もうマスク着用義務は終わったというのに、マスクがないと入館できないのには驚いたが、久々にマスクを取り出して入る。与那国島の歴史と台湾との交流が展示されていて見応えが十分にある。続いて6畳ビーチへと向かう。ここから東崎に向けて激しく坂を登っていく。今まで見てきたX畳ビーチの中では一番大きいが崖の下なので間近で見ることはできない。岬と岬の間に広がる透明な海と縞々の珊瑚礁が美しい。
 しばらく走ると与那国島の一番東にある東崎に着いた。今日は馬たちも道にも出てきてご機嫌な感じである。岬の遊歩道を歩く。崖はフェンスも何もない自己責任感が恐ろしいが、先の方は風が強くて怖い。真下の海と遠くの海を眺めると気持ちが良い。緑のなだらかな景色と切り立った崖に野生の馬が独特の景色を作っている。歩いている草地に馬の群れがいて近づいてみると結構な勢いで逃げていった。のんびりしてるように見えて野生の馬なので、本気を出すと怖いものがある。潮風に負けてるからか展望台もトイレも錆びて朽ち果てて立ち入り禁止になっている。この場所の厳しさを改めて感じる。初日にスルーした東崎をようやく満喫できた。

6畳ビーチの眺め


東崎に住む与那国馬


東崎の草地


東崎から与那国島北岸を見る


フェンスも何もない断崖絶壁


東崎の眺め

 与那国島の1日目と同じように島の南側を西に向かっていく。1日目も眺めはしっかり楽しんだので、こっちはスルー気味に軽く眺めていくが、1日目より天気が良く岩の影もくっきりして海の青さも冴えて気持ちが良い。所見と同じように眺めつつ進んでいく。1日目にスルーした人面岩へと歩いて行く。遊歩道があるので入口に自転車を置いて歩く。展望台があって岩と海が見えるところまで来たが、正直どこがどう人面なのか理解が出来なかった。写真だけ撮っておいて後で人面かどうかを確認して、後で感動する作戦に切り替えた。
 人面岩を過ぎてしばらくアップダウンを楽しんでいると比川に向けて一気に下り始める。この坂を越えるのは上り下り合計で4回目になる。ここまでで島を4分の3周ほど回ったことになる。比川の共同売店で休憩し、枯渇寸前の水分を補給して、アイスを食べていく。明日は朝のフェリーで与那国から石垣島に渡るので、残された時間と走りは少ない。3回目になる比川から久部良までの海岸線を走っていく。今日は比較的天気が良く西日に照らされたこの道を楽しんでいく。いつもより馬が積極的に車道に出てきてくれている。写真を撮ったりしながら楽しんでいく。

人面岩(どこに顔があるのか分からん)


人なつっこいヤギ


与那国島を回っていると
オアシスに感じる比川共同売店


シークワーサーアイス


 ふと西の空が晴れていることに気づいた。昨日は日本最後の夕日が見える丘でスベった感じがあるので、今日は西崎に行く。自衛隊の駐屯地を過ぎて久部良の集落へ行く方向と西崎へ登る方向で分岐があるので、西崎の方へ向かう。今日は駐車場のトイレの裏に自転車を置いて行く。海鳥がトイレに入り込んでしまうからか網を張って厳重に入口を塞いだトイレになっている。
 遊歩道を歩いて登り、夕日が最もよく見えそうな場所を探す。どうやら灯台の横か裏ぐらいがベストのようだ。まだ日は高いが西の太陽が海に光の太い線を描きながら線は俺の方へ向かって引かれている。西には雲が出ているので、海面に沈む様子は見えないと思うが、雲に沈むギリギリまで見て行くべく待ち続ける。ずっと喋りながら撮影しているYoutuberと思われる人が気にはなるが、俺の決めた位置はうっまり明け渡すわけにはいかない。黙って見てるのであれば俺の横にいても別に構わないところだが、撮影されてると面倒だ。徐々に日は沈んできた。真っ赤な夕日とはいかないが、日本の最西端から見る夕日は格別なものがある。というか俺にとってこれ以上があるだろうか。雲の間に沈むまで見届けながら楽しんで、展望台を後にする。
 日が沈んで暗くなりつつある道を下って久部良の集落に行き共同売店で明日の朝食を買う。いくつかの店のつきあげが売られていたので買っていく。食べ比べしつつポークたまごおにぎりを楽しむ作戦である。自転車で民宿に戻る。ついつい日没まで粘ってしまうと19時半頃になってしまう。

再び日本最西端の碑


西崎灯台


日本最西端のトイレ


雲に沈んでいく夕日


日本最西端 西崎からの夕日

 急ぎ気味にシャワーを浴びて予約しておいた居酒屋へと急ぐ。注文方法だけは先進的でタッチパネルを使う。ちょうど旬だからかカジキ料理が目白押しである。ここのところ毎日食べている刺身は欠かせない。揚げ物ばかりになってしまうが、カジキのあらの唐揚げやオオタニワタリの天ぷらやカンパチのフライなど魚と地物の山菜が楽しい。珍しい与那国島の濁り酒の泡盛で堪能する。ラストオーダーを聞きに来ないがタッチパネル上の時計を見てラストオーダーの時間寸前であることを思いだし、慌てて〆のそばを注文する。冷たいざるそば形式で来たあざみそばを麺汁で食べる。比川で沖縄そば形式でも食べたが、こっちの方が麺のおいしさを純粋に味わえるし、このアザミそばには合っていると思う。もちもち感があり、独特の香りがあって美味しい。
 与那国島の食を完全に満喫し、宿に歩いて戻る。フェリーの日程に合わせた4泊5日の与那国島ではあったが、暇を持て余すこと無く楽しみ尽くしたという印象である。

オリオンビール


島豆腐の冷や奴と長命草


オオタニワタリの天ぷら


カジキの刺身


冷たいあざみそば



   出発(石垣空港)から 282.63 km

11日目 与那国 -福山海運フェリー→ 石垣
2023/05/06 与那国島 久部良・石垣市街 8.34 km
 与那国島から出る朝を迎えた。風は穏やかで空も晴れて船も時間通りに出そうな天気である。昨日買っておいたポークたまごおにぎりとつきあげの食べ比べを楽しむ。香ばしく仕上げるか、淡泊な味に仕上げるかで店の味が違うが、どっちが良いか甲乙つけがたい。居酒屋のオオタニワタリぐらいしか野菜を食べてないのでミニトマトをつついて野菜を補充する。チェックアウトは鍵を置いていくだけの方式なので、さっさと片付けて準備をする。荷物をパッキングして港へ向かう。
 5分もかからず久部良の港に着いた。自転車を係の人に預けて、ほかの旅人と話をしたら船に乗り込む。デッキに登って港と西崎を眺めながら出港を待つ。連絡船を島民が見送る様子はDr.コトーと同じような感じである。旅人は行きにフェリーで見た人たちがほぼそのままという感じである。

つきあげとポーク卵おにぎり


民宿もすらを出発


日本最西端のガソリンスタンド


日本最西端の売店


日本最西端の自販機


日本最西端の郵便局


久部良港からフェリーに乗り込む

 帰りも楽しみ尽くした与那国島の北側の海岸を見て行く。本当に楽しかった与那国島を思い返しながら、徐々に遠ざかっていく島と海を見て行く。島影が遠くなったところで船室に戻って日記を書く。揺れは強そうなのでカーペットに仰向けてで寝転んで床に自分の体を固定するイメージで安定させて、体とノートとペンが床と追従して動いていくイメージにして揺れに耐えながら日記を書く。
 夢中で書いていると船は既に竹富島の前ぐらいまで進んでいる。回りは八重山諸島に囲まれた雰囲気である。ここまで来ると揺れは小さいので気楽に外を見て楽しめる。船は徐々に石垣島へと近づいていく。港の向こうには都会が見えている。

与那国島を出港


西崎を見ながら出港


海から見ても険しさが分かる与那国島


石垣島到着


石垣港に入港

 石垣島に着岸して上陸したら自転車を受け取っていく。14時過ぎなので、多少は時間があるので石垣港近くの観光スポットを回ることにする。前から行こうとして行けなかった八重山博物館を見て行く。八重山の歴史や文化が分かる展示がある。八重山の独特な葬儀の習慣や祭りや衣装など見応えのある博物館だ。続いて博物館で知った宮良殿内へ行く。伝統的な古民家と庭園が残されているようだ。だが仮にも有料で公開してるので金を払ったが無愛想の極みみたいな主が庭だけを見せる。庭自体は雑草が生えてるし家は生活空間丸見えで何を見せられたんだろうという感覚である。見応えのある博物館が積極的に勧めているスポットだけに残念である。
念願のA&Wのハンバーガー


充実の八重山博物館





宮良家の門


宮良家の庭園

 キャンプ用のガスが余ってるし卵もあるので、今日は夕飯を作ることにする。まずは自転車に乗って買い出しに出かける。もう石垣に住んでるようなものなので店の場所も大体分かる。だが、メニューのレパートリーやアイデアは貧弱で今日も沖縄そばとする。観光と買い物を終えて確保していたゲストハウスに行きチェックインを済ませる。面倒見が良い世話好きな感じの宿主に自転車を駐輪する場所を教わりつつ部屋に荷物をあげていく。今回の旅は全て宿だったので、いろんな宿主を見てきたが、ゲストハウスみたいに放置感が強い宿ほど宿主は面倒見が良いタイプのように思える。
 宿から歩いて行ける範囲に公園があるが草が茂りすぎてて料理に使う場所としてはイマイチである。水は宿でペットボトル満杯で確保したので、すぐ近くの橋の下で食べることにする。ガスストーブでお湯を沸かして、そばを入れてゆでる。夜間だが、車がちょいちょい通る。道路では無く埠頭側にしては車も人も多めという印象だ。釣りをしている人だろうか。
 そばをゆでている間に橋桁のあたりにあった怪しい設備が橋桁に投影し始めた。八重山に伝わる昔話をプロジェクションマッピングで見せている。Google Mapでもそんな表記はなく、いきなりのプロジェクションに驚く。俺を人感センサーで見つけて映してるのかと思ったが、どうやら時間で決まっていると思われる。それを知ってる住民が次々と見に来る。動画を見て、夕飯を食べる。どうもぼやけた味になってしまった。どうも沖縄そばはお店で食べた方が良さそうだ。最後にガスをつかいはたすためにお湯を沸かし続けていると、2回目のプロジェクションが始まった。1回目と違う話が流れている。動画を終えて1時間ほど経つと火が消えた。ガス缶に穴を開けて食器を片付ける。宿の台所で食器を洗って片付ける。ガスは全て使い切ったが卵が残っている。これは最終日の朝に宿の台所で焼いてポークたまごおにぎりを自作して消費する予定だ。

日本最南端・最西端のパチスロ


橋脚へのプロジェクションマッピング



   出発(石垣空港)から 290.97 km

12日目 石垣市街 0 km
2023/05/07
 予約しておいたアクティビティのために朝早めに目が覚める。荷物を持って集合場所になっている港へ行く。港の売店で焼きそばを買って朝飯にする。ツアーの車に乗せてもらって現地へと向かう。今日は川平湾でのSUPをやる予定だったが、強風のためマングローブSUPに変更となった。やり方を教わって川に入ってボードに乗る。座って乗った状態でパドルを漕いで進んでいく。立つことにチャレンジしようとしたらフラついた末に落ちる。足が着かない深さのところで落ちるとボードの上に戻るだけで、ものすごい体力を消費する。何とか片膝立ちまでで乗れるようにはなったので、それで進んでいく。マングローブを陸や木道の上からなら見たことはあるが、水の中を進んで楽しむのは初なので、新鮮な驚きがある。水深が浅いところで立つ練習をしても良かったが、面倒になってきたので座ったままで漕いで戻っていく。
 出発地点まで戻ってくると天気が良くなっていた。午後は青の洞窟でシュノーケルを予約していたが、これも天気が微妙と言うことで判断待ちになっている。行けない場合は連絡がもらえるということで、昼飯に行く。港の近くの店で海鮮丼と波照間島の宿で教えてもらったアダンの天ぷらを試してみる。海鮮丼の新鮮さに驚き、アダンはゴボウのようなしゃきっとした食感と淡泊な味である。パイナップルみたいな実がなるけど実は食べれないというのは有名だが、どの部分を食べているのだろうか。

八重山焼きそば


海鮮丼


アダンの天ぷら


ようやく晴れたかに見えた石垣島

 あまり満腹にしない方が良いと言われていたが、しっかり満腹状態になった。午前中のSUPより参加者が多いツアーになった。車で米原ビーチへ向かいながら説明を聞いて話しをする。駐車場に着いたら急いでウェットスーツに着替えてビーチへと向かう。ゴツゴツした岩場を歩いて海へたどり着く。基本は教わりつつも、いざ水深の深いところに行くと、どうも自由に泳げない。ウェットスーツとシュノーケルで呼吸できてライフジャケットがあっても泳げない人は泳げないようだ。それでも珊瑚礁の間の深いところからは魚が見えて楽しめる。もうちょっと泳ぐルートを自分の泳ぎで決められれば良いのだがコントロールがきかない。戻る途中に青の洞窟があり、見て行くものの天気がイマイチなので青くはない。それでも岩から飛び込むのを楽しんだり、鍾乳石を見たりと自然を満喫する。
 青の洞窟も見て戻るときに土砂降りの雨が降ってきた。もうちょっと早く降ってたら切り上げてただけにラッキーなタイミングである。潮だまりのカクレクマノミを見たりと充実のツアーが終わった。車で宿まで送ってもらい一段落する。今日は夕飯は作らず居酒屋に行く予定なので、シャワーを浴びて準備をする。

初シュノーケルで海中撮影


色とりどりの珊瑚


青の洞窟


青の洞窟から海を見る


潮だまりで見かけたカクレクマノミ


米原海岸

 去年も行った居酒屋を中心に店を探す。人気の店ではあるが席は空いていたので去年と同じ店に落ち着く。石垣牛は食べないものの沖縄料理とオリオンビールと泡盛で満喫していく。客同士の会話もあるような小さく開放的な店でアンマー(お母さん)の人柄もあり、楽しめる。隣に座った夫婦?は会社の販売店を経営していた大先輩で話も盛り上がる。だが、奥さん?の方が体調がいまいちで顔色が悪い。飛行機で数時間待たされたりで疲れているようだ。トイレに立つと戻り際に転んでしまっている。席に座れたもののフラフラしている状態である。とうとう、座ってられないほどになって倒れ込んでしまった。ちょっと休むとかそういうレベルではないので救急車を呼ぶことにし、通報はお店の女将さんにお願いして場所を作って横になれるようにして介抱する。通報時の会話や状況を伝える役目と脈と呼吸と患者の会話を俺がやりつつ救急車を待つ。手伝ってくれた人が外国人観光客ばかりだったので、回りの人との会話は英語だったりで大変だが、なぜか緊急時はただの酔っ払ったおじさんだが頭がちゃんと働く。店の前から搬送された時点で意識は回復してきたし、出発まで間があったのでおそらく問題は無いのだろう。外国人観光客が日本語通じない中で手伝ってくれてお礼を言って、一人で飲み直す。グッタリと疲れてしまったが、無事と思われるので安心した。
 何回か沖縄には来たものの初めての古酒(クースー)を楽しむ。とろっと濃厚な味わいと香りがする。飲み方は分からなかったのでアンマーに教えてもらうとストレートに限るそうだ。それに合うつまみとしては、これもまったりと濃厚な豆腐ようと山羊刺しを合わせる。濃厚なもの同士で、こういう沖縄もあったのかという味を満喫する。山羊刺しはクセがなく、さっぱりした味わいに感じるほどである。
 すっかり酔っ払って楽しく長く実りある八重山の旅の〆を終えた。

泡盛で乾杯


豆腐ようと古酒


ヤギ刺し


名物の焼きそば



   出発(石垣空港)から 290.97 km

 
13日目 石垣市街 → 石垣空港 19.26 km
2023/05/08 石垣島 -JTA→ 羽田
羽田空港 → 宇都宮
 今日は最終日であり撤収だ。残ったというか敢えて残した食材を片付ける朝飯にする。炊飯器もガスもありそうだがご飯はインスタントのパックを買ってくる。台所で卵を焼いて海苔の大きさに切って整える。ポークも同じく切って焼く。全部がおにぎりにはならないので、卵焼きとポークはおかずにしつつも、おにぎりにも入れる。ツナマヨなど追加の具が合わさったものがコンビニとかだと多いが、そこまで作りきれず、シンプルにいく。ふわっと入れたご飯と海苔にポークのコクと卵がまったりとまとめ上げて、これはこれで美味しい。初めて作る沖縄料理ではあるが、これから自分の味を徐々に出していきたいところである。
 食器を片付けて荷物を出してチェックアウトする。ゲストハウスなので安い値段ではあったがホテル並みの個室で快適だし、台所もちゃんと使えて満足の2泊となった。まずは郵便局に行く。段ボールを買って荷物を詰め込む。行きは効率重視なのでバッグ内にパッキング済みで梱包するので、やや無駄の多い箱への割り振りだが帰りは荷物を全部出して箱にきっちり詰め込む。ヤマトほど余計なことを言われず発送が終わる。
 続いて産直へと行く。目に入れても痛くないほど可愛い姪っ子とツインズと実家に沖縄の果物を送ることにする。やはり、この時期は石垣島のパイナップルが中心になる。パイナップルやシークヮーサーや島バナナを詰めて発送する。

朝から焼いてるスパムと卵


ポークたまごおにぎり自作


石垣島のパイナップル


フルーツ詰め合わせ

 発送を終えると昼前になってきたので昼飯を考え始める。ユーグレナの商店街を探し回っていると、昨日の居酒屋で一緒になった夫婦を見かけた。奥様は元気そうで安心した。ちょっと不思議な雰囲気の店に入り、とんかつの乗ったタコライスを楽しむ。そこで入ってきた客は昨日のスノーケリングで一緒だった人で店主と3人で話は盛り上がった。店主はスキューバーも素潜りもやる人で沖縄のマリンスポーツの奥深さを改めて感じる。
 ここで雨が強く降ってきた。港で輪行してバスで行ってもいいんだが、俺の旅の本分はあくまでも自転車だ。レインウェアを着込んで空港へ向かう。それにしても石垣島はいつも天気に恵まれない。ほかの島では雨らしい雨に巻き込まれることは少なく沖縄での天気勝率は全体的に良いのに石垣島だけは嫌われているようだ。石垣島を回り尽くしたが、全部雨や曇りですっきりしない眺めである。リベンジをしたいところではあるが、沖縄の旅ブームは俺の中で一段落しているので次は違うフィールドに向かいたいとも思っているところである。
 雨は途中でやんで白保を越えて空港へとたどり着いた。今年ほどゴールがふわっとした旅はなく、石垣島の空港に着いたことでの達成感というのは感じにくい。どうやらこの旅におけるゴールは与那国島の西崎で夕日を見たところだったのだろう。
 いつものように自転車をたたんで荷物として預ける。今回は遅い時間ではないので土産を物色して買っていく。まずは那覇行きの飛行機に乗っていく。今回は羽田への直行は取れなかったのだ。那覇空港で夕飯にしようと思ったら開いていない。まだ19時前だが、こんな時間で閉めたり在庫切れになるような管理だったら空港内に出店しないで欲しい。客の間で先着順で取り合いになってるおにぎりを買って食べて、羽田行きの飛行機に乗り込む。飛行機の中では日記を書き続け、いつも通り機内サービスを受けず目の前のモニターはOFFにして集中する。何とか日記が今の日にちに追いついたところで羽田に到着する。
 羽田空港からは車で帰る。これも慣れた感じである。いつも通り飛ばして鹿沼ICまで走り、ICを降りたら5分ほどで家に着く。ICから自宅が近いのは俺のライフスタイルには合ってて良いかもしれない。旅は充実の結果を残し無事に終わった。

マンゴージュース


トンカツとタコライス


石垣空港に到着


35コーヒー


石垣島から撤収


キウイとシークワーサーのジェラート



   出発(石垣空港)から 310.23 km


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