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0日目 |
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宇都宮 −東北新幹線→ 東京 -京浜東北線→ 品川
-京急→ 大鳥居
大鳥居 -京急→ 羽田空港国内線ターミナル |
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羽田空港 -ANA→ 新千歳空港 |
2014/08/07
2014/08/08 |
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新千歳空港 -快速エアポート・特急スーパーカムイ→ 滝川 |
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滝川市内 |
2.29 km |
今年は旅の前に出張などと無謀なことも起きず夏を迎えた。比較的余裕のある行動で宇都宮へ行き、相変わらず新型車に作業は慣れていないものの何とか輪行を済ませて新幹線へと乗り込む。羽田空港の近くの大鳥居駅前の東横インに泊まる。旅の日程自体が1日前倒しで北海道に行けるか二転三転したが出発自体は順調である。ホテルでシャワーを浴びて着替えて眠りについた。
通勤ラッシュの人並みに逆らいながら京急線のホームへ降りて空港へ向かう。荷物を預けようと並んでいたら重大な事実に気付く。元々は明日出発の予定が前倒しに出来たのだが飛行機の時刻も変更になっていたのだ。ケータイのマイレージアプリにはそれが反映されていない。慌てて取り直したら今度は千歳から東京に向かう便を取ってしまい、再び取り直す。何とか11時の便を確保して荷物を預けた。
これ以上にトラブルが起きる前に早々にゲートをくぐって搭乗口前に行く。時間は余ったが飛行機を待ち続ける。ANAのラウンジで時間をつぶしていく。そして、飛行機に乗り込む。今回は予約都合もありプレミアムクラスだ。快適ではあるが時間は短い。なんだかもったいない気分である。機内食も出たが、昼飯は札幌に降りてから食べたいので断った。シートは快適で眠るだけで過ごしていく。
新千歳空港に到着した。空港で色々と見るのは去年既に満喫したので今年は昼飯だけだ。早速、回転寿司へ行く。空港内にあるのが良い。ネタの種類は豊富だが出てくるのが遅い。注文を口頭ですると紙に書いてくださいと無愛想に突き返された。紙に書いて出した。いつまで経っても来ない。隣の席の人は後から来て口頭で頼んでいる。俺と同じ物を頼んでるのに隣の席の方が先に来た。店員を呼びつけて「紙で頼んだヤツはどうなったんですか?」と聞いたら「○○を頼んでましたかね?」と職人が偉そうに出してきた。追加の注文をしようとした紙を丸めてテーブルに叩きつけて会計だ。その呼び出しにもなかなか来ない。クオリティの低い店は新千歳空港に出店しないで欲しい。北海道まで来てハズレを引くのは非常に不愉快だ。 |
新千歳空港から特急スーパーカムイ旭川行きに乗って滝川を目指す。札幌まではもの凄い混雑だ。札幌でようやく混雑が一段落したら隣の席に北海道在住で定年後のサイクリストと一緒になった。俺以上のベテランとの話に盛り上がる。危うくツーリングマップルを席に忘れて降りそうになったのも救ってもらえた。
滝川で自転車を組み立てているとブルペに参加する人が続々と降りてきて自転車を組み立てている。今や緩いサイクリストの俺から見るとかなりストイックな人たちに見えてしまう。意外と買い物する場所がない滝川の街を走ってホテルへ行く。米はGWの残り、1.5Lのボルビックは既に買って発送して非常食もGWからの引き継ぎで残りはガスぐらいというところまで買い出しを済ませておいて正解だった。
ホテルにチェックインして部屋に入り荷物を開梱する。キャリアを持って自転車に行く。組み付けようとすると専用ネジがない。部屋から玄関までの間を歩いて探したら見つかった。どうも今年はつまらんミスが多い。キャリアを取り付けてシャワーを浴びたら夕飯に行く。滝川なので松尾ジンギスカンの本店へ行く。閉店30分前というきわどいタイミングだが何とか食事にありつけた。一人でのジンギスカンというのは寂しい見た目だが気にせず肉をビールで流し込む。味つけも良いしラム肉は美味い。たれに煮込まれる野菜も美味しい。すっかり満喫してホテルへ戻る。
2週間走れるのか今年も1週間で打ちきりかは途中で確認するものの、今年の長旅は楽しみである。明日は早速90km近くを走るハードな道のりに気合いも入った。 |

滝川駅前
まだキャリアは付けてない
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松尾ジンギスカン本店
ジンギスカン
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1日目 |
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滝川 → 北竜 → 秩父別 → 幌加内 |
94.29 km |
2014/08/09 |
昨夜のうちに荷物をまとめて置いたので出発はスムーズである。台風は近づいているが今日はまだ天気が良い。荷物満載ながらも重心の低くなった26HEランドナーで今年の旅は始まった。過去にも走ったことのある北竜までの道を行く。途中のセイコーマートで朝食にする。やはり作りたてのホットシェフは絶品だ。コンビニ弁当のクオリティを超越している。広い大地と空の開放感、コンビニ 全てに北海道の良さを感じながら北へ向かっていく。旭川に向かう幹線国道から1本外れているので交通量も少なくのんびりしている。
10kmほど走るとヒマワリ畑が見えてきた。畑を巡れる道に入っていく。北海道のヒマワリ畑はスケールが大きいし今日は天気が良くて空の色と花の色がきれいに映えている。花も全て同じ方向を向いているので元気をもらえるようで気持ちが良い。自然のものではないが北海道の好きな景色の一つである。畑の周りと中をゆっくりと抜けてヒマワリを楽しんでいく。
ヒマワリ畑から降りてきたら道の駅があった。スタンプを押して休憩と買い物を試みる。北竜の地元産の黒千石と呼ばれている黒大豆のきな粉をまぶしたソフトクリームを食べていく。牛乳の濃厚な味わいと黒大豆のこくがあるきな粉が意外と良く合う。
今度は雨竜から東へ向かって秩父別(ちっぷべつ)を目指す。この辺りから…というか滝川から明日の目的地の名寄までは訪れる旅人も少ないマイナーなルートが続いている。追い越していくライダーも少ない。北海道とは言え真夏の太陽は暑く炙られながら5kmほどの道のりを進んでいく。今日の目的地の幌加内では何も買い出しが出来ないことを想定して、ここで整える必要がありそうだ。道の駅でブロッコリーを練り込んだパスタを買っていく。ついでに昼食にする。秩父別のご当地グルメで緑のナポリタンというのがあるので、それを食べていく。ブロッコリーの香りと甘さがある平打ちのフェットチーネの食感が気持ちよくソースになってるトマトも爽やかで濃厚で美味しい。買っていったパスタを自炊で作るのが楽しみである。飯を終えて自転車に戻ると、俺の自転車に興味を持ってくれている地元のサイクリストがいて話が盛り上がった。最近は旅先で話す旅人も親ほどというわけではないものの、そこそこ年がいってる人が多い。そういう時代なのかなと思うところである。20年目に差し掛かろうとしているキャリアの俺のさらに上をいくベテランが多いのは楽しいことだ。
A-COOPで野菜とパンを買ってサイドバッグに詰め込む。ここからは幌加内に向けての上り坂が始まりそうだ。キャンプを道の駅併設の温泉・バンガロー(キャンプ場もあると想定)までまだ40kmほどあるが、午前中の走りは決して悪くはない。今回の計画は近年の俺の旅にしては厳しめの距離設定にしている。この近辺は途中で打ち切れるような場所がない辺鄙なところになるので気を抜けない。秩父別から川沿いに徐々に上っていく。傾斜も大したことなくアップダウンは無い山間を少しずつ北上して距離を稼いでいく。
幌加内(ほろかない)の盆地に行く前に一山越えそうだと思っていたが、予想通りに上り坂が始まったu。26HE化の効果てきめんで、センター1速で十分対応できる。今はトルクアップしたいところなので2速か3速あたりに入れて踏み込んでいく。坂を上るに従ってバッタの数が徐々に増えてきた。すれ違う車のフロントグリルには牽かれてつぶれたバッタが大量に貼り付いている。いつもの北海道の厳しさほどではないが、メクラアブも徐々に出てきた。ハッカ系の忌避剤を足と腕に付けると居なくなるほどなので、去年の幌延となかい牧場とか比べたらマイルドなので安心だ。飛んできたバッタがサイドバッグやフロントバッグの上にぺたっと貼り付いては飛んでいく。アブと違って実害はないので放っておくが、さすがに鬱陶しい。 |

滝川 ホテルからスタート
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北竜のひまわり畑
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道の駅 北竜
黒千石のソフトクリーム
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道の駅 秩父別
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道の駅 秩父別 緑のナポリタン
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坂道より虫が気になる峠を越えてトンネルを抜けたところで身体を本格的に休める。この時点で70km以上を走り抜いていて、そろそろ腰が疲れてきた。地面で腰の負担を抜いてストレッチをする。この時点で16時半過ぎ。15kmほど先にある道の駅まで行くのも不可能では無いが、やや時間的に厳しくなってきた。
少し落ち着いたところで峠を下る。坂を下っていると白い小さな花が満開のソバ畑が広がっている。その広さも半端ではない。盆地なので地平線は見えないが山が迫るところまで全てソバの花で埋め尽くされている。午前中のヒマワリ畑も見事だったが幌加内のソバ畑も見劣りしないほどのスケールと美しさがある。これも自然の姿ではないが北海道ならではの景色で好きになりそうである。
幌加内の市街地に降りてきたが予想通り店は全く開いていない。バスターミナルで改めて情報収集をしてみるが風呂には入れるのは道の駅だけ、キャンプ場と道の駅は方向としては逆である。道の駅には宿泊用のバンガローは併設されている。風呂も入れないのに進行方向と違うところに行く理由もないので、あと10kmほど先の道の駅を目指す。学校の水道でペットボトルに水をためて先の道に備える。昼飯が上品な麺なので腹も減ってきた。この店の開いてないっぷりに嫌な予感がしたので開いてるそば屋でざる蕎麦を食べていく。香りが濃くて美味しい。
市街地から北上して街外れに出ると、再び広いソバ畑を見ながら走る道路が続く。川沿いに少しずつ上る道がしんどい。道の駅にはたどり着けないまま日没を迎えて辺りは暗くなってきた。ソバ畑を過ぎて山間で川沿いにアップダウンを繰り返しながら上っていくハードな展開になってきた。この川沿いに下るのかと思っていたら、この川は上っていた。そこも峠越え以降の体力消耗のもくろみが外れている。
すっかり真っ暗になった19時半になって、やっと道の駅にたどり着いた。ぱっと見では野宿は何とか出来そうな雰囲気だ。敷地内の坂の上に温泉とバンガローと駐車場がある。バンガローのある草地にテントを張るとさすがに怒られそうだ。トイレの横の隙間に張るしかなさそうだ。どうせならバンガローのそばの草地でキャンプ場も併設してくれたらありがたいし、ライダーに人気も出そうな場所なのにもったいない。温泉は21時まで営業している。まずは風呂に入ってさっぱりとする。3時間前のそば1杯では夕飯として足りるわけもなく、自炊で軽く何か作って晩酌しようかと思ったが、ギリギリで併設のレストランのラストオーダーに間に合いそうだ。何かと面倒になってきたし生ビールも飲みたいので、ここに入る。3時間ほど前にも蕎麦を食べたが天ざるでビールを飲みつつ晩酌にする。地酒で蕎麦を茹でたのが名物のようだが、普通の蕎麦にする。やはり、ここでも美味しい。良い感じに風呂も夕飯も終えたので自転車に戻って坂の下の24時間トイレの横のスペースに行く。屋根の下にテントを張って荷物を入れて歯を磨いて眠りについた。 |

幌加内 そば畑を貫く道
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広大なそば畑
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幌加内のそば
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道の駅 ほろかないのそば
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2日目 |
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幌加内 → 朱鞠内湖 → 名寄 |
83.60 km |
2014/08/10 |
朝は濃い霧に包まれていた。これが幌加内の美味しい蕎麦を育む気候だと実感する。朝は寒いぐらいの天気だ。8時になると霧の上の空が青く晴れてきた。まだ台風の影響は来ていないようだ。テントに貼り付いてる虫を追い払ってテントを畳んで出発する。
道の駅から少し北上すると、集落が出てきた。建物は見た感じぼろいが手打ち十割にこだわったそば屋を見つけて朝飯に立ち寄る。こだわりが強そうな親父が茹でる蕎麦はしゃっきりと香りが良くて美味しい。これで幌加内の蕎麦を3軒目となった。なかなか充実の幌加内の旅である。また広いソバ畑の中を抜けていく。麺のしまだやの契約農場とあってスケールが凄い。ソバ畑を見下ろせるように展望台が整えてあり、売店もある。そばソフトクリームを味わいながら満開の花が咲いている蕎麦畑を見下ろす。蕎麦の刈り取りをする道路の一車線に収まらないほどに機械も大きく、北海道らしい。
蕎麦畑も蕎麦も満喫し尽くして幌加内を後にしたら、留萌の方へ抜ける国道とぶつかり、次は朱鞠内(しゅまりない)湖を目指す。これもまたマイナーなルートで観光客もライダーも少ない。 |

ただ者では無いオーラを感じる佇まい
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十割そば
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蕎麦畑の眺め
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蕎麦の刈り入れ機
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朱鞠内湖に向けて坂を上り始める。北海道らしく傾斜自体は大したことないが、だらだらと長い坂が続く。廃線跡を縫うような峠道を進むと、蕎麦畑の次は森の中に収まっていく。人造湖のはずが森自体は自然豊かな広葉樹林で整備された林では無い。昼前にようやく展望台があるところまでたどり着いた。森の木々の間からちらっと湖が見渡せるだけで、広さやスケール感は分からない程度の景色である。しばらくは湖に近づいたり離れたりを繰り返す道で湖沿いに平らに処理するわけではない。かなりしつこく続くアップダウンを耐えながら走る必要がある。覚悟はしていたものの、昨日の疲れは隠せない。車やバイクの通行はまばらで動物と遭遇しそうだが、ここでは鹿や熊と遭遇することなく進んでいく。
幌加内を出てからはそば屋が1軒あっただけで店も自販機もない道が続き、14時に日本最低気温を記録した場所に到着直前は迷いつつも何とか日本最低気温の記念碑に着いた。まあ、それだけと言えばそれだけだが、この地方の気候や自然についての展示のある記念館との組み合わせだ。ここで少し遅い昼飯を食べる。買う店はどこにもないので手持ちの小さなパンを数切れのみである。北海道のマイナールートを走るときは100kmの店無しは覚悟する必要があるので、こういう非常食の備えも必要である。もちろん長期保存が可能なものである。
パンで腹を満たしたら、名寄へ向けて走り出す。朱鞠内湖は周りを山で囲まれた地形で冷気が谷底に閉じ込められるため最低気温を記録した地形である。ここを抜け出すためには、どこへ行くにしても一山越えるのは必至である。名寄へ向かう峠は意外と厳しい傾斜が続いていく。さらに空が曇って気温も下がってきた。いよいよこの辺りも台風の影響で天候が崩れ始めつつあるのだろうか。北の方なので台風が台風のまま直撃することはないものの台風崩れの温帯低気圧も、外で雨ざらし風さらしのサイクルツーリストにとっては威力絶大である。
崩れてくる天気に不安を覚えつつも雨が降らずに踏ん張っている空の下で坂を上っていく。26HEで小径化したのが利いてフロントのギアはセンターのままで上っていける。峠のトンネルをくぐると道は下り始めた。あとは名寄までは傾斜に任せて進んでいけば良いだけだ。時間帯も16時と遅くは無い。
低重心化の効果はあるが25km/hあたりに共振が存在していてブルブル震えた感触がハンドルに来る。実際の自転車の挙動は安定しているが不安である。下りの途中で名寄の盆地を見下ろす景色があったので、一度自転車を止めて景色を見入る。見下ろす景色からしてかなりの標高まで上っていたようだ。道理できついはずだ。
下がってきた気温に体が冷え切って名寄まで下った。まずは名寄の市街地へ向かう。そんなに大きな街ではないがホテルやスーパーなど旅(生活)に必要な物は一通りは揃う場所である。まずは駅前で情報収集をする。キャンプ場は2カ所ほどありそうだし、キャンプできそうな公園もいくつか目星は付いた。ただ、温泉は遠い。片道5km以上も走って帰ってこないといけない厳しい立地でおそらく坂を上ると思われる。 |

そば粉のソフトクリーム
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朱鞠内湖の湖畔
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日本最低気温の記念碑
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名寄峠からの下りの眺め
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スーパーで買い物するか市街地のホテルの泊まるか迷いながら考える。2日間は気を抜けない走行距離設定で疲れはたまっている。明日は安息日という感じのルートである。今夜は台風が近づいている。ホテルに泊まるという案もあった。ホテルの向かいにはビアガーデンもあり楽しそうだ。しかし、2日目から気を抜くのもいかんのでキャンプを選ぶ。そうなれば飯だけは頑張ることにした。ちょうど宗谷牛のステーキ肉が売られていたので、これを焼くことにしよう。
買い出しも済ませたのでキャンプ場へ向かう。ちょっとした陸橋を越えるだけでもかったるい状態である。比較的整備された運動公園内のキャンプ場は敷地に入ってからサイトまでが遠い。しかも真っ暗で行きづらい。キャンプできそうな公園なんていくらでもあるのに面倒になってきた。閉まった運動公園で次の日が雨なら誰も来ないので、そこで泊まってしまおうと思ったら、小さなキャンプ場がもう1つ運動公園にある。既に真っ暗だが砂利の坂を上って炊事場に自転車を立てかけた。ライダーと話をしながらテントを張ってキャンプを整える。受付はすでに閉まっているので明日にせざるを得ない。
テントを張り終えたところで温泉へ向かう。片道5km以上もある。荷物は全て下ろして身軽な状態になって真っ暗な道を走っていく。明かりも目印もない道が続いていく。暗闇の中でうっすら見えた看板にはヒマワリと書かれている。ヒマワリ畑はありそうだが真っ暗で花は全く見えない。こういう道ではただただ無心になって走って行くだけである。しばらく坂を上ると目線の先にオレンジ色の明かりが見えてきた。道路の照明があるということは何らかの施設があるだろう。この先は温泉とスキー場しか無いのでゴールは近い。
何とか温泉にたどり着いた。時間もまだ問題無い。山から吹き下ろす冷たい風で冷え切った体を温泉で暖める。ビールを1本買ってウェストバッグに入れて坂を下る。あまりブレーキもかけずにグングン進む。おそらく昼だと怖さでブレーキを入れるような速度だろうが、夜だと何も見えない分だけ恐怖感はない。ライトに照らされた路面だけを見ながら走って行く。坂を下りきってキャンプ場へと戻り、無事にナイトランを伴う風呂が終わった。去年の浜益の温泉を思い出す。 |
俺の持ち物や行動に興味津々のライダーさんと話をしながら夕飯を作る。まずはフライパンで肉を焼く。コッフェルのふたに焼き上がった肉をよけてフライパンでソースを作る。肉のお焦げに醤油とみりんを入れて煮詰める。ステーキを食いつつビールを飲みながら次の料理を進める。柔らかくも肉の味がしっかりして美味しい牛肉である。秩父別で買ってきた緑のナポリタンのパスタを茹でる。ついでに明日の朝食にするトウモロコシやパスタの具にする野菜も茹でる。秩父別の緑のナポリタンはトマトソースだったので、今回はあえてアーリオオーリオ系にしあげる。パスタのこってり感を野菜がすっきりとまとめてくれている。パスタの麺もよく合う。 |

宗谷牛
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宗谷牛のステーキ
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自作みどりのナポリタン
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夕飯を満喫すると雨も降ってきた。いよいよ天気が荒れ始めてきた。たかってくる虫を追い払いつつの炊事がはかどらないが食器を洗ってまとめてテントへしまう。テントに入るとテントを打ち付ける雨音と風の音が強くなってきた。木々に囲まれているので影響は軽減されているとは思うが、不安な夜をテントで耐える。 |

夕飯中にお邪魔してきた
ミヤマアゲハ
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3日目 |
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名寄 → 美深 → 音威子府 |
67.48 km |
2014/08/11 |
朝になっても天気はイマイチで雨が降り続いている。テントのボトムシートは防水切れしていて水が下からしみている。去年の浸水からの強化策でグランドシートを1枚追加したが見事にしみてきている。さらなる強化を検討するかテントを買い換えるかそんなことを考えざるを得ない。雨も降り続いて憂鬱な状態で荷物を少しずつ片付ける。ライダーさんはオフロードバイクで林道へと入っていくべく今日も出発していく。北海道の本当の良さは林道の奥にあるとも言えるほど生の自然がありそうだ。ランドナーや体力の制約がある自転車では味わえない価値観はありそうだ。
さらに今日は体調もイマイチで頭が朝からずっと痛い。テントや荷物を乾かしたり、メーターのトランスミッタの電池交換をしたりして午前中を過ごして、11時に出発となった。その頃には雨もやんで空に晴れ間も出てきた。この現象が今年の旅を象徴する天候となる。ずっしり痛む頭を抱えて昨日の温泉に向かった坂を上ってヒマワリを見に行く。しかし、風の影響からか花は地面に向かって倒れていた。満開のヒマワリは頭が重いので風には弱そうだし、もともとしなるような茎ではない。何とも言えない気持ちであるが、背の低い品種は風の影響は少なく立ち姿勢を維持している。期待の半分だがヒマワリ畑の景色を楽しんでいく。
名寄の市街地へ降りて、市立博物館前に展示してあるSLを見に行く。SLとラッセル車を連結した編成がそのまま置いてあり、見応えがかなりある。迫力と機能美と北海道の厳しさと闘っている姿をそこに感じる。頭が痛いので横になりたいが芝生は濡れているし思い通りにいかない。市街地で薬局に寄って頭痛薬を買う。
薬を買ったところで12時半となった。朝飯を兼ねた昼飯をもう食いたい。街で見かけた煮込みジンギスカンなるB級グルメも気になったが、店が見つからず断念。国道沿いにあったそば屋で昼飯にする。ヒマワリの油を絞ったものをえさに育った地元産のひまわり畑ポーク豚で作ったとんかつに蕎麦で飯にする。今日も蕎麦となったので、この旅で4回目の蕎麦である。豚肉は臭みの無い甘みで美味しく蕎麦ものどごしがよく美味しい。昼飯のあとで頭痛薬を飲んで旅を続ける。 |

台風が過ぎた後
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底の防水が破綻し浸水
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台風で押し倒されたひまわり
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機関車/マックレー車/ロータリー車/機関車
キマロキ編成
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ひまわり畑ポークのカツめしセット
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前に行ったことはあるが名寄市北部の智恵文(ちえぶん)にあるヒマワリ畑へ向かう。小さい峠を徐々に上り下っていく。坂を下りきると畑が広がる景色が出てきた。ヒマワリは畑の一部だが弟の所にトウモロコシや北海道の野菜を送りたいと思っていたので探しに寄ってみるが見つからない。いくつかあるヒマワリ畑の一つにたどり着いた。北竜のような丘ではないが面で広がるヒマワリ畑が見事である。台風の影響は受けておらず花は相変わらずこっちを向いてくれている。もう1つの畑に向かったが、そちらは風の影響で倒されていた。場所や品種によって影響の受け方が違う物である。それでも北海道のヒマワリ畑は大好きな夏の景色の一つである。
智恵文を過ぎたらひたすら単調な道が北へと続いていく。過去に2回ほど走ったことがあるルートなのでボリュームはたかがしれている。明日は浜頓別(はまとんべつ)まで行くことを考えると、距離は稼いでおきたく音威子府(おといねっぷ)の天塩川温泉が目標である。手前にあたる美深の道の駅にあるキャンプ場でも良いが明日の距離が10kmほど増えるので避けたい。
そんなことを考えながら走って行くと、美深の市街地に着いたところで大粒の雨が降ってきた。たまらずセイコーマートで雨宿りをしつつ休憩する。10分ほど休んでいると雨はやんだ。休憩も兼ねて雨からも逃れて効率よく休んで、美深で買い物をする。今日は幌加内で買ってきた蕎麦にする。宿泊は美深にしても天塩川にしてもキャンプ場だ。料理はできる。ネギと鶏肉と椎茸を買っていく。
ここから15kmほどの道のりを走って行く。ぱっとしない曇り空の下で北上する。道の駅に立ち寄ってストレッチをして最後の走りに備える。既に夕方の18時。キャンプをしても良いが一頑張り出来そうだ。過去に走ったものの意外と厳しいアップダウンを耐えながら最後の走りだ。思えばこの区間は南下しかしたことがないが、前回はナイトランだった。今回も途中で日が暮れる展開となった。真っ暗な道を行くと、天塩川温泉と書いた案内看板が見えてきた。ここは看板がライトアップされているので迷わず曲がれる。薄い明かりに照らされた蕎麦畑を眺めながら温泉へ向かう。滅多に来ない宗谷本線の踏切に引っかかりつつも狭い道を進んで温泉へたどり着いた。
今日はそんなに長距離を走り抜いたわけではないのに、なぜか渾身のガッツポーズが出た。温泉と公園の敷地内を自転車を押してキャンプ場を探して見つけた。サイトまで自転車を上げてかまどに自転車を立てかけてテントを張る。今日も雨は降りそうだが、炊事場の屋根は小さい。大阪から来た1日1峠を目標として走る気さくなサイクリストと話をしながらテントを張る。俺のランドナーは見る人が見るとうらやむような物のようだ。テントを張り終えたら温泉へ歩いて行く。風呂から出ると地面は完全に濡れて雨が降っている。
わずかなスペースしか無いかまどで飯を作る。今日は鶏南蛮そばにする。鶏肉を炒めてネギを炒める。鶏の皮から出た油を活用する。そこに椎茸も入れる。半分は炒め物として食べて残り半分はつゆに入れて煮込む。幌加内の生そばを茹でていると大粒の雨と強い風が吹き荒れてきた。雨を防げず濡れまくりながら夕飯を作る。風向きによって経つ場所を変えたりしても防ぎきれないほどに屋根が小さい。雨に苦戦しながらも幌加内のそばの味を楽しむ。強い味の出汁に全く負けない甘みがある。むしろ、こういう食べ方の方が甘みが立って美味しい。片付け中も強い雨に降られて苦戦したが、何とか夕飯を無事に終えた。 |

名寄 智恵文のひまわり畑
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北海道産の枝豆
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漬け蕎麦の具
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幌加内で買ってきた蕎麦
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4日目 |
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音威子府 → 中頓別 → 浜頓別 |
75.45 km |
2014/08/12 |
今日は朝からスッキリと晴れている。台風の影響は昨日で完全に終わったようだ。昨日の雨宿りのコンビニで会った北海道で旅生活をしている老人と今日も会って話していく。旅人同士の出会いがここのところ多くて楽しい。
荷物を撤収して出発する。ここも広い蕎麦畑が広がっている。音威子府(おといねっぷ)も北海道の中では有数のそば産地である。丘の途中にある道で丘の上から下までそばで満たされて白い満開の花が見事である。自然の景色では無く農業の営みに感動してしまえるほどである。国道に戻ると追い風に煽られてグングンと伸びる。ちょっとしたアップダウンの上り坂も力を借りて走れる。絶好調のまま音威子府の駅にたどり着いた。
今日の朝飯は決めていて音威子府駅前の蕎麦にしようと思っている。真っ黒な麺が特徴的であるが、一度も食べたことがない。駅にたどり着いたが蕎麦屋はまだ開いていない。道の駅にも駅にもゴミ箱がなくゴミが捨てられない。仕方なく500m前のセイコーマートに戻り買い物をしてゴミを捨てていく。キャンプ場にしても店舗にしても駅にしても有料でも良いからゴミを引き取ってもらいたいところである。ゴミ捨てを終えて駅へ戻って蕎麦屋が開くのを待っている間に親子連れのサイクリストの輪行組み立てを手伝う。中学生ぐらいの女の子に自分で考えさせて組み立てさせている。
蕎麦屋で蕎麦を買って食べる。濃い出汁と力強くもちっとした特徴的な蕎麦が美味しい。天ぷらと卵を付けたが、それで味をマイルドにしてちょうど良いぐらいである。今年は「北海道そばの旅」と呼んでも過言では無いほどに前半はそば三昧である。親子サイクリストを置いて出発する。逆ルートで走ったことがあるから知っているが峠の上りである。ジタバタしても仕方ないので、のんびりと走って行く。北海道らしくインナーに入れる必要も無い坂が続いていく。
しばらく坂を上っていると後ろから親子に追いつかれた。父親の方と話をしていたら「ところで、去年に日本海側のコウホネの家でお会いしませんでした?」と聞かれた。子供は男の子だったような気はするが親子と会っている。サイクルステレオの鳴らし方が特徴的だったので覚えていたようで、今や盗まれて無くなってしまった700Cランドナー最後の勇姿も彼のカメラに収まったままだった。広い日本、広い北海道だというのに2年連続で同じ人と会うとは世の中は狭い物である。驚きとうれしさとの両方がある。
話が終わると走りの差であっという間に視界から消えてしまった。小さい山をぐるっと回るようなルートで峠を下って道の駅に着いた。前に逆走したときに道の駅で食事をした記憶があったのだが道の駅には食事処は無かった。道の駅の向かい側の宿でやっていた。メニューは蕎麦もあったがカツカレーにする。今日は一緒に走っている人のパンク修理に付き合うことも無く一人でサッパリと済ませて進んでいく。
気持ちよくなるほどの下り坂では無いが下り基調の道を進んで浜頓別へと向かっていく。広がりも無く変化も無い単調な道である。ただ追い風なのでペースは悪くない。中頓別(なかとんべつ)まで下るとコンビニもあったりでアメニティも充実したマイナールートで快適に進めていく。 |

音威子府の雄大な蕎麦畑
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音威子府駅の蕎麦屋
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音威子府そば
黒い麺が特徴的
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中頓別町 北緯45度線
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浜頓別の市街地にたどり着いた。コンビニの位置を確認して、コンビニの隣にあるホーマックへ寄っていく。昨日までのナイトランで気になっていることがある。ライトが暗いのだ。ホームセンターで何か良いアイデアが浮かばないかと思いながら見ていく。ネジを通すための穴が開いた金属板とネジで延長してライトを前方にオフセットさせる案を思いついた。早速買って店の前で取り付ける。キャンプでやっても良いのだが足りない部材が見つかったら、すぐに店で買いたい。その狙いは正しく足りないナットを買いに行くことになった。店の前で荷物を広げて足りない物を買いに行くと戻った時に「カラスに荒らされてますよ」と教えて貰ったが食べられるものは何も無いので問題無い。店の前で組み付けたライトは良い感じに車両の最前方に入って荷物の陰になることなく明るく照らせそうである。照射角は夜に調整するしか無いだろう。 |

浜頓別のホーマックニコット前で作業
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ライトがフロントバッグに隠れる
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ホームセンターで金具を購入
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フロントバッグより前にせり出す
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左がBefore、右がAfter
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早くたどり着いて大仕事を終えて安心した。浜頓別はキャンプ場もコインランドリーも温泉も全てあるし店もある。スーパーで夕飯の食材を買いに行く。今日から海沿いということで鮮魚祭りと行きたい。ウニとイクラを見つけた。道東産の鮭もあった。イクラとウニはどんぶりにして鮭はホイル焼きにすることとした。
湖に面したキャンプ場は既にテントが混み始めていた。子供の団体さんもいる。しかも強い風に煽られてテントが張りづらい。そうしているうちに夕日が徐々に沈んでいく。風に苦戦している間に夕日は雲に沈んでしまい写真を撮る瞬間を逃してしまった。がっかりしながらテントへ荷物へ詰め込んでペグの効果と荷物の効果でテントを固定する。
キャンプ場から歩いて温泉へ行く。まずは風呂に入るが連休に入ったからか混雑している。芋洗いの湯って状態になってきたのでさっさと出てテントへ戻る。コインランドリーで洗濯しようと思ったら小銭はおろか1000円札すらなく崩せない。温泉で5000円札を崩してもらってコインランドリーへ戻る。まずは洗濯だ。 |
洗濯している間に夕飯を進める。まずはご飯を炊く。今日はおかずとの釣り合いを考えたら失敗が許されない。強風で火力のをコントロールが難しくコッフェルの揺れを感じ取りにくい厳しいコンディションの中で炊く。厳しいなりにやりきった… そんな気持ちで一度止めて洗濯物を乾燥機に移す。日数的にフルにたまっていて乾燥機が電気式なので1時間半はかけたい。再びテントへ戻って蒸らしの終わったご飯にウニとイクラを載せていく。どちらも近海産でご飯が見えないほどに盛りつけられた。フライパンにはモヤシを敷いて上に鮭を載せる。エノキを載せて塩こしょうとマヨネーズで味を付けてホイルをかぶせる。以前は網の上でホイルで包んでいたが、ボトム側はフライパンにした方が網も不要で楽だと気付いたので試してみたのだ。モヤシの水分が蒸気になって吹き出している。良い感じだ。作っている間にウニ・イクラ丼を楽しむ。磯の香りと絶妙の堅さに炊けた飯のバランスがすばらしい。北海道の海の幸は本当に豊かである。本州に戻ってウニを食べられないほどのうまさだ。鮭のホイル焼きも絶妙の焼き加減でふっくらと柔らかく旨味も残って美味しい。
飯を終えて食器を洗いながら乾燥機が終わるの待つ。その間も少しずつ日記を書き進める。昔は毎晩寝る前に書いていたが今は洗濯の時に何日分かまとめて書き進めて、最後の移動が終わるまでに書き終えるのが現実になってきている。乾燥が終わると23時と遅くなっていた。明日も勝負日だというのに忙しく厳しいものである。 |

ウニイクラの二色丼
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鮭のホイル焼き
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5日目 |
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浜頓別 → 枝幸 → 雄武 |
95.89 km |
2014/08/13 |
勝負の朝だがテントの外は雨が降っている。テントも底が浸水して濡れている。奄美大島へ行く前にテントの防水強化は行ったがワックス状で見た目に剥がれている今となっては効果に疑問だが本当に効果は無い。単なる布と同じ状態で重さが掛かっているところは水が染みこんできている。キャンプとしては、名寄、音威子府に続いて3連敗という状況。本当に鬱陶しいところである。短パンからレーパンに履き替えて荷物を片付ける。雨がしのげるイベント用の舞台のような場所にテントを移して畳む。
テントを畳むと出発しセイコーマートに寄っていく。今日は最低でも95kmを走らないといけないし濡れて出発も遅れて心も折れた俺を前に押してくれるのはホットシェフのおにぎりだけである。コンビニのクオリティを超越している。去年の石狩から稚内までの日本海沿い以上に単調だと思われるオホーツク海沿いにひたすら南下するルートに今日から入る。過去に走ったことのある網走までの5日間に渡って走ることになる。始まりはやはり単調であった。道は直線で右は牧場か山で左は静かなオホーツク海が続いている。雨はやんでいるもののどんよりと曇った空で無に近い境地で走って行く。
今日は雄武(おうむ)までの95kmと厳しい道のりではあるが、風は追い風で順調に南へと進んでいく。結構な先だと思っていた岬のトンネルに差し掛かった。峠を越えることも無くトンネルで処理してくれているので楽だ。昨日の効果が見れるかとライトオンを楽しみにしていたものの照明が明るくて効果は見れる状態では無かった。トンネルを抜けると崖の上から海岸を眺められる展望台があったが、キャンピングカーでキャンプしつつ釣りをしている人が多い。
岬から先は道が海沿いとは言っても海は見える場面の方が少ない。牧場1個分だけ内陸を走り抜いていくようなルートになっている。アップダウンも少なくは無い。95kmという距離は全くの未知の領域では無いがペース配分を考えないと買い出しも出来ないままに大量のナイトランを残して睡眠時間を削られて疲労が蓄積して処理できない状態になりそうである。先のことを考える不安感がよぎる。
枝幸(えさし)の街まで着いたところで、実家に海産物を送るべく店を探す。海沿いの街なので直売所はいっぱいあるが、その選択に決め手が見いだせないまま市街地へと入っていく。港のすぐそばの店で買って送る。枝幸の市街地で昼飯を食べていこうと思ったら店は見つからないまま市街地を出てしまった。5kmほど走れば道の駅なので、そこでも問題無いので走り抜けていく。
また単調な道を進むと道の駅にたどり着いた。大きな船の形をした建物で何か良い物がありそうなオーラが漂っている。海と草原を眺めながら飯は食えるのだが食券制でかなり待たされそうだ。道の駅内で飽きるほど時間をつぶして、ようやく俺の番号が呼び出された。食事を持って席に向かう。長居をする客は少ないので呼び出されればどこかの席は空いている。ホタテ丼とホタテフライにする。ホタテフライを割りしたと卵でとじた丼とホタテフライでどちらもホタテの甘みと磯の香りがして美味しい。オホーツク海のホタテも今後として見逃せないグルメになりそうだ。 |

神威岬の眺め
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北緯45度線を再び南へ
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道の駅 枝幸
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ホタテ丼とホタテフライ
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昼飯を終えて外に出ると雨が降ってきた。出発前にストレッチをしていると雨はやんだ。湿原、草原、牧場、海…変化があるような無いような景色を楽しみながら南へと走っていく。海沿いなので真っ平らでは無くなだらかにアップダウンしながら雄大な景色を楽しめる。95kmを走り抜かないといけないという頭で1日中に渡って集中しているので走りにキレはある。これは追い風の影響だけでは無いだろう。
夕方の17時に雄武の街に近づいてきた。先を急ぎたいところだが、道路を渡って右側に野生の勘が働いた乳製品の店があったので立ち寄る。ソフトクリームとかチーズケーキとかそういうので糖分補給をしたいところだ。ソフトクリームとチーズケーキで迷ったところでチーズケーキを選択した。ケーキにはコーヒーが欲しいところだと思っていたところ「コーヒーにソフトクリームを載せるというパターンもありますがどうします?」と聞かれてそれを選択してしまい、結局はソフトクリームもチーズケーキも両方とも食べていく。ミルクが濃厚で美味しい。チーズケーキもベイクドの割にはしっとりとなめらかで良い。店員さんも美人だ。
今日の目的地まで10km強と迫ったところで最後に元気をもらっていく。3kmほど走って雄武の街で夕飯の買い出しをする。今日は温泉もキャンプ場もある日の出岬なので夕飯は自炊の準備をしていくのが妥当である。スーパーと向いの八百屋を見たが、まずはスーパーで魚介類を買う。ホタテを炊き込みご飯にしてみたいのでさばいて貰う。もちろん刺身も欲しい。ホッキ貝もさばいて貰う。貝を中心にオホーツクの恵みを楽しむ作戦である。そんなことも考えられる余裕を残して今日の目標到達への目処が立った。
スーパーを出ても足にはまだまだ余力がある。相変わらず続く湿原やオホーツク海を眺めながら走っていると遠くの空はオレンジに染まっていく。朝から続いていた曇り空も徐々に晴れ間が出てきたようだ。いくつかの軽いアップダウンを越えていくと、左の日の出岬へと曲がるための分岐と案内看板が見えてきた。ようやく一安心できる状態になってきた。
日の出岬へ向かう途中にある温泉で営業時間を確認したが、またキャンプ場へ行って風呂に入ってキャンプ場へ行くのも面倒になってきたので風呂を済ませてしまうことにした。見下ろせるオホーツク海を楽しみながら温泉へ浸かっていく。
比較的、元気な状態でキャンプ場へ向かう。既に良い感じの平らな場所はテントで埋まっていた。やや傾斜になっているところを見つけてテントを張る目星を付けた。炊事場の横に自転車を置いて荷物を下ろしキャンプの準備をする。すると野菜を洗いに来た若い女性と話が盛り上がってきた。入社2年ほどの若手の方で先輩たちと一緒にキャンプとカラフトマスの釣りに来たのことだ。
テントを張り終えたら夕飯の準備に入る。まずはホタテの貝柱とうろに切り分ける。ホッキ貝はどうさばいて良いのか分からないが、とにかく切ってみる。ホタテのうろの部分は出汁が出るので炊き込みご飯の具として使う。貝柱は基本は刺身で食べて炊き込みご飯は蒸らしの段階で入れて火を通す。まずは米とホタテのうろを入れて塩と醤油で薄く味を付けて飯を炊く。キャンプの炊き込みご飯は薄めに味つけするのがコツだ。失敗したらおかずと一緒に飯を食べれば良いだけのことで、濃くしすぎて失敗したり素材の味をつぶしてしまうのがもったいないのだ。飯を炊きながらホッキ貝でビールを飲む。磯の香りと貝の甘みと複雑な味がたまらない。ホタテもぷりっとした身が甘くて美味しい。
ただ、非常に不安なのは貝の中で食べて良い箇所とダメな箇所があって切り分ける必要があるとしたら明日以降で当たるのが怖い。食材の裁き方というのは系統立った勉強が必要だと思うばかりである。明日の朝日に思いを馳せて眠りについた。 |

曇り空のオホーツク海沿い
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何となく雰囲気を感じる
雄武町のBlue Grass Farm
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ベイクドチーズケーキ
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コーヒーにソフトクリームを
乗せるというパターン
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ホタテとホッキ貝の刺身
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ホタテの炊き込みご飯
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6日目 |
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雄武 → 興部 → 紋別 |
51.73 km |
2014/08/14 |
目覚まし時計で朝の4時半に起きた。かなり肌寒い中でテントから外を見ると東の沖の方の空がオレンジ色に染まり始めている。まだ日の出は迎えていないのだろう。眠い目をこすりながらテントを出て岬の展望台へと歩いて向かう。日の出の名所ということもあり、既に何人かは起きて展望台に立ってカメラを構えている。沖の方にまん丸な太陽というわけにはいかないものの海と雲の間に太陽は見えて海はオレンジ色の帯が出来ていた。かなりの東の海から見る朝日は美しいし荘厳な気持ちにさせてくれる。
気持ちは荘厳だが、今日は走行距離が少なめである。紋別までの40kmほどなので気は抜けてテントで二度寝に入った。今度は思いっきり寝坊して9時に目が覚めた。テントを片付けていると、今日も雨が降ってきて出発は10時半までずれ込んだ。雨が降ったのはテントを畳んでいるときだけで、その後は晴れ間が出てきた。今年はキャンプに天気でケチが付くことが多い年である。
静かな海に囲まれた日の出岬を戻って国道へ進む。興部(おこっぺ)に向けては峠が一つありそうだ。本格的に出てきた太陽に炙られながら坂を上っていく。峠とは言え北海道の海沿いなので傾斜は大したことはない。しかし、メクラアブの襲撃に遭う。久々にハッカ油を足と腕にかけて峠を登っていくが、ここのアブはしつこい。少し気が抜けるとすぐに寄ってくる。数年前から使い始めたアブ寄らずやハッカ油だが北海道のアブには通用していない気がするので新たな対策を考えたいところである。
峠を越えると牧場と海を見下ろす景色と右側には山が見えて変化の富んだ景色になってきた。下りきると興部に着いた。まだ少ししか走っていないが正午になったので昼食にするため道の駅へ向かう。道の駅は昔の駅だったからか列車が保存してある。この辺りはそういう光景は多くSLや列車が置いてあることが多い。5kmほど山奥に行ったところにある牧場での昼食も考えられるが、道の駅のラーメンが美味しそうだ。干し貝柱で出汁を取ったラーメンを食べていく。貝の出汁はスッキリとあっさりとしながらもコクがあって美味しい。ホタテの奥深さを満喫した。デザートのソフトクリームもかなり滑らかで濃厚で美味しい。北海道でも有数の酪農地帯の村とあって、さすがである。 |

雄武 日の出岬からの朝日
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良い出汁が出てるホタテラーメン
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興部のソフトクリーム
巻きが多い |
セイコーマートでゴミを捨てて買い物をして紋別へ向かっていく。昨日のハードさを考慮して今日は全体でも50kmほどしかないので残りは25kmほどである。興部からは少しはアップダウンがあるもののほぼ平らに海沿いをトレースした道が続いていく。最も快適で楽なルートである。淡々と走っていると15時過ぎには紋別に入った。また雲が広がり始めているが雨は降らない予報である。ライダーハウスもあったがスルーして市街地へ向かう。まずは道の駅と試しで運用してるという港のキャンプ場へ向かう。海沿いに行けば平らだと思われるのだが、最も海沿いと見られる道がもの凄く坂を上っている。体力を消耗しながら市街地を抜けて港へと降りていく。
まずは、道の駅にある自然科学館へ行く。閉館時間が迫っているので巻きで見学する。オホーツク海の自然や-20度の体験ゾーンがあるが、-20度は仕事で冬の北海道・鷹栖や低温チャンバーでよく体験しているが、遊びで見ると意外と楽しいし新鮮な発見があるものだ。クリオネや北の海の生態系を理解したところで、次はアザラシを見に行く。閉館時間が迫っているので何事も巻きである。タワーの水族館だけは20時まで開いているようなので、アザラシだ。閉館間際なのでショーは全て終わっているが、飼育員のお姉さんが餌をあげていたのでアザラシの面白い動きは見れた。続いて港の防波堤の先に立つタワーへ向かう。EVで迎えにも来てくれるようだが自転車でも行けるようだ。先の方へ向かう道は吹きさらしで少し寒いぐらいの天気である。タワーの上の方へ行くと薄暗くなってきたオホーツク海を眺められる。地下へと降りていくと水族館となっていて外側の窓は港の海底が見える。濁っているし暗いがガラスの近くに魚や蟹やエビもいて見た目には面白い。時々は大物が来るときがあるのだろうか…と期待するが小魚しか来ない。
3つの紋別の見所を一気に見終えたらテントを張りに行く。港のすぐ近くにキャンプ場がある。トイレも水道もきれいでファミリー系のキャンパーが多い。大きなテントの隙間に俺の小さなテントを張ってしまう。ただ、色だけは真っ黄色なので目立つ。でも道からは他のテントの影で見えないので位置は覚えておかないとまずそうだ。テントの中に全ての荷物を放り込んでペグを打って設営は完了した。
風呂と買い物で自炊をしようかと思っているが、少し億劫な気持ちでもある。空荷で軽いランドナーを走らせて市街地へ向かうが、先ほど降りてきた丘の上の道で無くても海沿いに市街地へ戻る道が一本ありそうだ。そのまま海沿いで走っていると坂の上へと導かれた分岐に戻ってきた。もの凄く損した気分である。峠とかだったら燃えるが、こういう無駄な坂は気持ちの疲れを呼ぶだけだ。温泉で日帰り入浴できるホテルは見つけた。しかし旧紋別駅にあたる氷雪の駅へ向かう。ここにも温泉があるようだ。そこに向かう途中の道から何とも楽しそうな提灯の街が見えてきた。居酒屋もいっぱいあるようだ。この時点で俺の中の消えかけていた今夜の自炊欲の炎はふっと消えた。
温泉の隣にスーパーもあったが鮮魚が売り切れ。もはや自炊をする理由は途絶えた気持ちだけでは無くなったようだ。温泉は広くて露天風呂もあって快適かに思えた。入れ墨禁止なのに入れ墨満載の男たちがいっぱい入ってくる。やくざかと思ったらそれぞれ3児の子煩悩パパという感じで、やたら人が良さそうである。
そのまま提灯の街へと進んでいく。もはや引き返す理由もない。良い感じの居酒屋を見つけて入る。ホッケも鮭も何でも美味しい。自炊の楽しさも旅には確かにあるが、地元の美食を居酒屋で頂くのも格別だ。締めはタラコ茶漬けにする。大将が自慢する出汁に特大サイズのタラコがドンッと乗っている。タラコの旨味が茶漬けいっぱいに広がる。出汁でくっきりと象られたような味になる。北海道の居酒屋は本当にすばらしい。
そのまま海沿いの道で坂を上ることなくキャンプ場へ戻る。自転車に鍵をかけてテントで眠りについた。 |

オホーツク海沿いのまっすぐな道
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青空とオホーツク海の眺め
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オホーツク流氷科学センターGIZA
-20℃の世界
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オホーツク流氷科学センターGIZA
流氷の天使 クリオネ
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とっかりセンターのアザラシ
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オホーツクタワー 地下は水族館
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はまなす通り レトロ感と賑わい
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赤ガレイの刺身
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ほっけの干物
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極上品のたらこと出汁もこだわった
たらこ茶漬け
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7日目 |
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紋別 → 湧別 → 三里浜 → 計呂地 |
82.42 km |
2014/08/15 |
昨日が楽だったので体の疲れは取れたような気分である。テントを片付けて荷物をまとめてトイレに行くと料金を支払うためのガチャガチャがあった。有料キャンプ場でも見つかる前に撤収してしまえば張った者勝ちになってしまうが、これからもキャンプ場を維持して欲しいので払っていく。ここは訪問証明書を記念にもらえる。1枚の紙切れだが良い思い出である。この紙を持っていればゴミも無料で全て受け取ってもらえる。捨てるなの一点張りになりがちな昨今で見習って欲しいやり方である。水道には「鮭の解体禁止」と書いてある。何とも北海道らしい注意書きである。
今日はどこまで走るかの目標は明確になっていないが最低限で言うとサロマ湖に突き出た岬まで、頑張れれば湧別に戻ってくるところか先まで行きたい。パターン別に考えて40kmまたは60kmまたは80km〜100kmという道のりだ。まずは昨日押しそびれた道の駅のスタンプを押していく。
紋別を出ると道が少し海から離れるから牧草地の向こうに海が見えて北海道の海岸らしい雄大な景色が広がる。しかも追い風で楽々に進んでいく。思えば今年の旅は本当に風向きには恵まれている。勢いに乗って走っていくと、あっという間に湧別にたどり着いた。ここで買い出しなども済ませたい。まずは、少し内陸側に入った道の駅へ向かう。ここも大きな公園のような道の駅である。ややもすれば、日没後からのテント張りなら泊まれてしまいそうでもある。温泉も近くにあるし立地は良い。少し早いが、道の駅で昼飯にする。ここの名物は湧秀牛のステーキだ。蕎麦も名物で今年は「北海道蕎麦の旅」となってる俺としては見逃せないところだったが、ステーキである。焼きたての香ばしい香りが食欲をそそる。さしが入りまくってる高級和牛より噛み応えがしっかりしている。肉の旨味を感じられるところが良い。超高級和牛を頻繁に食う財力がない俺の負け惜しみではないがしっかりした肉の方が好きだ。
昼飯を終えて情報収集をする。最近はケータイで何でも調べられるので便利である。サロマ湖沿いに少し走ると計呂地(けろち)に古いSLの客車を宿にしたライダーハウスがあるようだ。明日以降の行程を考えると、そこまで進んでおく方が理想的である。体力と時間が足りなければ岬のキャンプ場だし、走り切れれば計呂地まで行ってしまいたいところである。
まずは、さらに内陸に入り真夏なのにチューリップ公園に行く。ここに郷土資料館もある。色々と心配になるほど建物が立派である。今やその面影は全くないが鉄道が通っていて湧別は分岐になっている拠点だったようだ。その頃の活気がある様子と開拓の様子が展示されている。当時の家などもリアルに建っていて見応えがある。ただ、旅人が訪れることが少ないこの地にして立派すぎるのが心配である。真夏のチューリップ公園でも数々の花が植えてあって、かなりきれいである。公園のシンボルになっている風車の周りはヒマワリがあって夏らしさがあふれている。おっさん一人で花畑を散策していく。 少しだけ向かい風に耐えながら海へ向かって走って行く。A-COOPもあるし海沿いなら海産物の店もありそうだ。まずはA-COOPで野菜を買っていく。トウモロコシも美味しそうで明日の朝飯のために茹でても良いだろう。夏の北海道では必ず目にするササゲも試しに買っていく。おそらくおひたしにしたら美味しいと思われる。次の海産物に期待して、ここは野菜メインで買い物を済ませていく。港に海産物の店がある。ここでは贅沢に毛ガニを買っていく。ついでに蟹をほじるための専用スプーンも買っていく。俺の充実しすぎている自炊道具がさらに充実してしまった。さて金を払おうかと思ったら、やたら安い。レジの姉ちゃんが打ち間違えて2匹の毛ガニを1匹としていたようだ。「言わなきゃ良かったな」と冗談を言いながら買っていく。買った毛ガニはサイドバッグに入れて自然解凍をする。新聞紙でがちがちにくるんであるので濡れはしないだろう。夕方まで走って解凍すればちょうど良いだろう。 |

キャンプ場の炊事場の注意書き
北海道らしい
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流氷砕氷船 ガリンコ号
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湧秀牛 ステーキ
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旧中湧別駅のラッセル車
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屯田兵歴史博物館
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上湧別チューリップ公園(夏だけど)
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 上湧別チューリップ公園(夏だけど)
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買い物を終えてサロマ湖の岬へ向かう道へと入っていく。広大な畑の真ん中を貫く道を延々と真っ直ぐ走って岬へ入る。片道10km近くも続く。オホーツク海側は見えないものの右にはサロマ湖が見えている。この突き出た岬の幅は1kmもないが湖と海に挟まれている。サロマ湖自体は漁が盛んだし、養殖も盛んなので自然が雄大という感じはここでは無い。しばらく単調な道を走っていくと徐々にホテルや漁業施設の数も増えてきた。岬もだんだん細くなってきているのを実感する。
そして岬の先端にあるキャンプ場にたどり着いた。もの凄くテントが混んでいる。四輪バギーで走り回っているやつもいるし、サーファーのような人も多い。ゆっくりとキャンプを楽しめそうな雰囲気では無い。時間も17時前だし、計呂地まで行けてしまいそうだ。岬の先端へ向かう道はキャンプ場から先は通行止めのようだが途切れているフェンスから中に入って進んでいく。日本では公道走行禁止の50ccではない四輪バギーが爆走している。オホーツク海側の砂浜でも走り回っている。遊びでもこういうものは本州だと買う人は居ないに等しい。北海道らしい遊びでもある。
岬の先端に行くとダートになっていて何かを作っている工事現場である。水の流れはかなり早く大きな音を立ててオホーツク海からサロマ湖へ水が流れ込んでいる。おそらく干潮と満潮で動きは違うのだろう。少し高台になっている展望台から眺めてサロマ湖とオホーツク海を隔てる岬を眺めていく。
さっき走ってきた道を10kmほど戻っていく。徐々に日が傾いてきたので焦りもある。サロマ湖沿いに内陸へと入っていき、ひたすらサロマ湖をトレースするような道を走っていく。湖沿いとは言え全く平らでは無くアップダウンを繰り返していく。内陸側で少し山っぽい地形なので嫌な予感はしていて想定通りである。時々しか左に湖は見えない森の中を抜けていくようなルートを走って行く。日が暮れ気味なので道は暗くなってきた。
やや薄暗い状況で道の駅にたどり着いた。買い物は店が閉まっているので出来ない。スタンプだけは何とか押していく。観覧車などもあり遊園地みたいな道の駅である。もう少し自然志向であって欲しいサロマ湖だけに少し残念な気持ちでもある。道の駅を抜けると湖面付近まで道が下ってきた。もう目的地の計呂地も近いので安心して夕暮れの湖の写真を撮る。夕暮れ時の少し落ち着いた雰囲気の湖は好きな景色である。道の駅を過ぎたら近いかと思ったら、なかなか計呂地交通公園にたどり着かない。湖と道の間か道沿いなので迷い様が無いと思うだけに焦る。通り過ぎてるとか入り口が分からないとかだと致命的である。
すっかり真っ暗になったところで、やっと計呂地交通公園の看板が見えてきた。一安心である。確かにSLと客車があって管理人室と思われる建物もあった。まずは管理人室に行くと、やや世話好きのお爺さんが受付をしてくれた。周りの商店が閉まる時間なので慌ててビールを買いに行ったが、既に閉まった後だった。残念だが仕方がない。
まずは自転車から荷物を一部下ろしてシャワーを浴びる。時間制限のあるコインシャワーだが手際よく浴びて済ませる。体を拭いているとドアをノックしてきた。管理人さんがわざわざビールを1本買ってきてくれた。なんだか申し訳ないようだが、ありがたい。というか宿代が500円でビール1本を買ってもらうと利益がほぼ無い。食品入りのサイドバッグを外して客車の前のテーブルとベンチに持って行く。炊事場もきちんとあるし、飯を食うなら旧 計呂地駅だったので渡り廊下もある。何とも充実した寝床である。 |

三里浜に向かう途中のサロマ湖
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サロマ湖 湾口灯台
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三里浜の先で海と湖が繋がっている
左がオホーツク海、右がサロマ湖
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オホーツク海側の眺め
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夕暮れ時のサロマ湖
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今日はサイクリスト2人、ライダー1人、家族連れ1組という状況だが、俺はマイペースに料理を仕上げていく。まずは毛ガニを剥く。贅沢に2匹買ってきていて1匹は蟹飯にしようとしている。まずは米を研いで水を吸わせつつ蟹の身をほぐしてコッフェルに入れていく。多少はつまみ食いしているが1匹分なので、かなりどっさりと入った感じである。ご飯を炊きつつ蟹をむさぼり食いながらビールを飲む。北海道の夏の飯でこれほど贅沢なものはあるだろうか。しかし、飯に異変が起きている。待てども暮らせども飯が炊きあがらないのだ。要は炊きあがりはふつふつと沸く水の振動が無くなって液体としての水が無くなったところを目安にしているが、いつまで経っても振動が消えない。緩い蟹雑炊状態になったが火を止めた。どうも解凍中の蟹から水分が出てしまったようだ。こういう場合の水分調整はなかなか難しいようだ。しかし蟹の出汁がしっかり出ている蟹飯は本当に美味い。そこの焦げ方が半端ではないが飯自体は蟹の旨味がしっかりしみていて、蟹も旨味がたっぷり残っている。海鮮系炊き込みご飯 まだまだ修行の余地がありそうだ。
続いて、ササゲを湯がいておひたしにする。ついでにトウモロコシも茹でる。トウモロコシだけは取り出して明日の朝食用にキープしておく。ささげは粗く刻んで麺つゆとすりごまをまぶす。豆っぽさと青っぽさがあってお浸しは美味しい。北海道の夏野菜であるササゲの使い方はマスターしたいものだ。蟹が一段落するとライダーが一人来た。俺と同じぐらいの年格好でがたいが良く1000ccぐらいありそうなバイクだ。同じ宿の連中は祭りに行って戻ってきた。景品ももらってるしビールは飲み放題だったようだ。蟹も良かったが、祭りで楽しむのも良かっただろう。遅い時間まで飲みながら話し込んでしまい、片付けは遅くなった。少し高い駅長室の方に泊まっているライダーさんが気を利かせてくれるのがありがたい。そして同い年と思ったライダーは20歳だった。
すっかり遅くなって寝静まったツーリングトレインの中でケータイなどを充電しつつ夜中の1時前に眠りについた。 |

湧別で買ってきた毛ガニ
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毛ガニを炊き込んだかに飯
(ご飯的には失敗だが味は絶品)
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ササゲのおひたし
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8日目 |
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計呂地 → ワッカ原生花園 → キムアネップ岬 |
50.39 km |
2014/08/16 |
昨夜が遅かったのと走りがハードだったので疲れがたまったまま9時に目が覚めた。のんびりと撤収しつつトウモロコシを朝飯に食べる。これが甘くてジューシーで美味しい。やはり北海道のトウモロコシは味が違う。同じ宿の連中を全員見送って最後に出発する。昨日の頑張りで距離のノルマは少なくなった。最短で40kmも走れば終了だ。
最初の目的地は道の駅である。ここを起点に展望台までの登山をする。自転車で行く道もあるがダートで14kmも走るので道の駅に自転車を置いて歩く方が楽だろう。糖分補給のおやつとゲータレードを買って道の駅の裏の山へと歩き出す。登山道は整備されていて歩きやすいが人とは全くすれ違うことすら無い。300m近い標高まで歩くので、結構な距離を歩くことになりそうだ。進んでも進んでも終わりは見えてこない。そして不安要素として上を見上げても展望台が雲に隠れて見えない。上ってる間に晴れてくれることを願いつつ踏みしめていく。途中の展望台からの眺めでは近くしか見えてこない。へとへとになりながら山頂の展望台へとたどり着いた。見事に何も見えない。晴れていればサロマ湖が一望できるらしいが、近所しか見えない。登り口の道の駅だけがくっきり見えているが対岸などは全く見えてこない。粘ってみたが見えてくる気配が全く無い。
仕方なく諦めて下っていくほとんどの人は駐車場の方へ歩いて行くが、俺だけは登山道へと向かっていく。車で来れる展望台に歩いて来る人はほとんど居ないだろう。膝はガクガクと大爆笑しながら道の駅へと下ってきた。ここで昼飯を食べていると、空が徐々に晴れてきて展望台が見えてきた。今なら一望できそうである。日頃の行いの悪さが旅の運に表れているのだろうか。サロマ湖のご当地ソングが流れているのを聞きながら準備をして続きの走りへ向かう。このご当地ソングがまた頭に染みついて離れない系統の曲である。
道の駅から先は湖沿いの道は平らになってきた。天気も良く対岸まで見渡せるようになってきた。サロマ湖に突き出たキムアネップ岬のキャンプ場に行ってしまえば終了だが、時間帯はそんなに遅くないので明日の観光スポットを前倒しで回ることにした。オホーツク海とサロマ湖を仕切るワッカ原生花園に行く。明日も岬からオホーツク海までは同じコースを走るが観光だけでも済ませてしまいたいところだ。 向かいつつ買い出しする店は物色しておく。魚も売っているが料理しづらそうな物が多く一人では捌ききれない量で売っている。当然、冷蔵庫などもないので、明日に持ち越せる物もない。イカの醤油漬けぐらいだろうか。それでもご飯にかけて食べるには多すぎる。開店時間だけ確認したら一度スルーしてワッカ原生花園へと向かう。信号待ちしているとバイクがホーンを鳴らして来た。一瞬いらっとしたが、昨夜一緒に泊まっていた大学生だった。再会というのはうれしい物である。 |

計呂地交通公園
客車に宿泊できる
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サロマ湖展望台へ上っていく森の道
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展望台からの眺め
霧で近くしか見えていない
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道の駅サロマのホタテ焼き
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先端へ向かう方は追い風だが戻ってもくるので億劫である。追い風に乗って原生花園に入ると、一気に自然豊かな野原が広がっている景色に変わった。花の季節は既に終わっているが、花から実に変わっているハマナスもなかなか乙なものである。岬の先端まで30km近くあるのだが、5kmほどのところにあるワッカの水までしか行けない。竜宮街道と呼ばれている舗装された遊歩道を追い風に乗って進んでいく。細かいアップダウンはあるものの立体的になっている原生花園が気持ち良い。またオホーツク海とサロマ湖を貫く湾口に着いた。ここも昨日と同じく流れはかなり早くオホーツク海からサロマ湖へ水が流れ込んでいる。ここの湾口も道路でも作ろうとしているのか、やたら立派な橋と工事現場がある。もう少し自然感を出して欲しい湖である。湾口から先はダートになっていて突き当たりにはわき水がある。ただ、水自体はチョロチョロとしか流れていない。海のそばなのに塩っぱくない真水が湧いている不思議な場所である。フル装備のランドナーでオフロードに入ったのは初めてで、先代の700Cより悪路でのスタビリティの高さを見せつけている。スリックタイヤとは言えMTBの規格で重心も低いので安定している。これも700C→26HEのメリットとも言えるだろう。
ワッカの水から先は自然保護のため立ち入り禁止となっている。その割には立派な橋を作ろうとしたりコンセプトが意味不明である。そんな湾口を越えて戻ってくると、広がる原生花園と雲の隙間から天使の梯子が降りてきている景色のマッチングが素晴らしく見とれるほどである。これこそが守るべき自然だと思う。しばらく振り返っては感動してということを繰り返しながら徐々に進んでいく。 サロマ湖沿いの道に戻ったら急いでキャンプ場を目指していく。今日は天気が逆転で晴れてきたので夕日を楽しめそうである。途中にあった海産物直売所は早じまいでギリギリまだ買い物できそうだが断られる。何とも商売っ気がない。何とか先ほどのスーパーに戻って、イカとタコとネギを買っていく。ちょっとしたアイデアが浮かんだのだ。荷物の後ろにネギをぶら下げてキャンプ場へと向かっていく。もの凄い集中力で飛ばしていく。キャンプ場の近くになると湖に突き出た岬には湿原もあり、雄大な景色が広がっている。ようやくサロマ湖の自然感が出てきた。 |

丘から見下ろすサロマ湖
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ようやく晴れて雄大なサロマ湖
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ワッカの水
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ワッカ原生花園 竜宮街道
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サロマ湖-オホーツク海 湾口
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原生花園の向こうに天使の梯子
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花は終わったが実がなるハマナス
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キムアネップ岬に着くと、ちょうど西側は夕日が始まっていた。湖の水平線に沈むということは当然無いのだが、夕日に照らされた湖面が美しい。対岸の山の上で雲の間に赤い太陽があって何とか夕日としての体をなしている。夕方の一息ついたところにくる夕日と湖面の静けさが良い雰囲気を出してくれる。
無料なのにやたらきれいな管理棟で受付を済ませる。ハマナスの茂みで風よけにしてもらいつつテントを張って管理棟のコインシャワーでシャワーを浴びる。シャワーでサッパリしたところで夕飯にする。まずは米を炊く。単なる飯炊きなら失敗はほぼ無い。ニンニクをごま油で揚げ炒めにして、そこにネギを切って炒めて香りを出す。そこにイカの醤油漬けを半分入れてタコも入れる。火を通しすぎない程度に炒める。これでイカの炒め物が完成した。味つけは醤油漬けの醤油だけである。残り半分のイカ醤油漬けとタコは生で食べる。これがご飯に合って美味しい。炒め物もイカが柔らかくなってネギと合ってごま油で香りが立って美味しい。何となく元気の出るおかずである。
我ながら料理のアイデアの冴えに満足しながら食器類を洗う。そろそろ水道の水も冷たくなってくる北海道の夏の終わりを感じる。もしかしたら、明日が最終日で仕事に戻らないといけないかもしれない状況である。やや複雑な気持ちで目覚まし時計を4時半にセットして眠りについた。 |

サロマ湖キムアネップ岬の夕日
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イカとタコとネギの炒め物
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9日目 |
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キムアネップ岬 → 常呂 → 能取湖 → 能取岬 → 網走 |
72.54 km |
2014/08/17 |
ここは朝日も夕日も楽しめる岬として有名だが、朝日は痛恨の寝坊で見逃した。荷物をまとめて出発する。昨日は急いでいてスルーした湿原であるが、湿原と湖と青い空が気持ち良い。森の中を駆け抜けていく道を行きながらサロマ湖沿いを走って行く。今日は朝飯を買ってきていないので途中で食べたいところである。浜佐呂間に戻ったところで朝食を探す。気になった蕎麦屋はあったものの11時まで開かないようだ。諦めて小さな商店でパンを買って食べる。 腹が満たせたところでサロマ湖沿いを海に向かって走って行く。昨日は夕方で閉まっていた直売所で魚とエビを買って弟に送る。姪っ子がトウモロコシが好きなのでトウモロコシを探し続けていたが、良い直売所がないまま最終日かもしれない今日を迎えてしまったので魚介類も良いだろうということで選んでいく。それでも北海道のホッケやサロマ湖の北海しまえびは絶品なので喜ぶだろう。 |

キムアネップ岬付近の湿原
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ルートは昨日の夕方にワッカ原生花園まで行ったのと途中まで同じだ。オホーツク海沿いに出ると少しアップダウンが出てきた。自転車道が整備されているが車道沿いの歩道が広くなっただけで、車道の方が輪留めがないので走りやすい。あっという間に常呂まで走りきった。海岸のバスターミナルでトイレを探していたら海水浴場に出た。静かなオホーツク海とそんなに暑くない海で少ない人数で海水浴している人たちがいる。この活気の無さが北国の北海道らしい。
さっき弟に海産物を送ったら持ち金が無くなってきたので常呂で下ろしていく。もうお盆は終わったので、時間外エラーばかりの三井住友銀行でも下ろせるだろう。探しているときに限って銀行が見つからず、郵便局でトライしてみたら現金が下ろせた。これで一安心である。
常呂にはホタテタワーと呼ばれている展望台があり、上って眺めてみようかと思ったがエレベータも無いという噂なので断腸の思いでスルーしていく。ちょっとした丘を登り切ると前方に能取湖が見えてきた。目の前は山と湖と湖の周りの湿原、オホーツク海が見える雄大な景色である。能取湖に坂を駆け下りるのも気持ちが良い。やはり下界の気持ち良い丘は下りが最高である。
丘を下りきると能取湖畔の道へ出た。ここの自転車道は湖沿いギリギリを通ってくれるので湖の雰囲気を存分に楽しめる。決して広くはない湖だが開放的な景色が心地良い。湖畔には湿原が広がっていて背の低い草と水たまりが円くぽつぽつと空いた小さな湿原とその向こうには青空に照らされた湖が真っ青な湖面を見せている。道が平らで自転車しか来ない道は快適そのものである。時々は倒木があったり木の葉が積もっていたりはするが落ち着いて避ければ問題無いし泥よけ付きのランドナーなら多少の水たまりや落ち葉も何ともない。
夏休みもほぼ終わっている時期なので観光客も旅人もまばらで自然を落ち着いて楽しめる能取湖をゆっくりと周り、最も内陸側に入るとSLが飾ってあり水道もトイレもあるので休憩にする。ここら辺で昼飯にしたいところだが、今日は気分的にセイコマである。携帯で探してみると2kmぐらい行った所にありそうだ。あとはそれがホットシェフであることを願いながら進んでいくのみである。自転車道を離れて車道を走っていくとセイコマはあった。ホットシェフの赤いロゴも付いている。完璧だ。セイコマの前の地べたで弁当をほおばりながら午後の走りに向けて鋭気を養っていく。
昼飯を終えて能取岬に向かうべく能取湖の残り半周を回っていく。ここからはますます人影がまばらな道になっていく。右は山でうっそうとした森が茂っている。左は木々の隙間から湖を見ながら走れる。2車線で快適な道で車も少ないので走りやすい。道も思っていたより平坦で楽である。しばらく楽しんでいると、もの凄いスピードでスポーツタイプの車いすと筋肉隆々の上半身の男に追い越される。一度、サイクリング大会でそういう人を見たことがあるが、鍛えられ方が半端じゃない。大会か何かに出るためのトレーニングか後ろをロードレーサーが付いて走っている。何ともストイックな人だ。 湖は海と接するところになると、また湿原が広がっている。こういう景色は北海道ならではのようで良い。自然のままの海と湖をしばらく眺めていく。 |

湿原が広がる能取湖畔
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能取湖畔に続く自転車道路
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鉄道跡にSL 道東でよく見る光景
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海と繋がる部分からの能取湖
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ここで能取湖から離れて海沿いの道になる。目の前には能取岬が見えてきた。崖の上に草地がある。要するに崖の上まで上り坂と言うことだ。海沿いに崖に向かっていくとトンネルに入る。ようやく新ヘッドライトの威力発揮ということで点灯したら、確かに明るい。ライトのレイアウトを見直した甲斐が十分にあった。上り坂のトンネルはきついのだがライトの明るさに満足しながら駆け抜けた。トンネルを抜けても岬に行く分岐まで上り坂が続いている。目の前にキツネが出てきた。まだ小さいので子供なのだろう。逃げ方も下手で道路と直角に離れていけば良いのに道路沿いに駆け上がっていく。確かに俺を相手に逃げ切ろうと思ったら上り坂を駆け上がるのが最も確実で差が付く。この逃げ方の下手くそなところが奄美大島で見かけたアマミノクロウサギの子供を思い出す。
岬への分岐から少しだけ坂を上ると先端に向けて下り出す。後で上ることを考えたら全く嬉しくない下り坂である。坂の向こうには牧場と草原の緑、草原の馬、灯台の白と黒、広がるオホーツク海の青が見える。その鮮やかな景色は気持ちよく、そこに飛び込んでいくような感覚の下り坂は楽しい。駐車場で自転車を止めて虫除けスプレーを付けてハッカ油を持って草原を歩いて行く。岬をぐるっと回るように歩きながら海を眺める。海側から内陸を眺めても楽しい景色である。灯台や鮭を持ってる漁夫の像で写真を撮りながら景色を楽しむ。岬から湖の方を見ると沈み始めてる西日に照らされた湖と海を眺められる。夕日が沈むまで居ても良いかもしれないが、網走まで走りきらないといけないという現実もある。
景色を楽しんだところで坂を再び上っていく。下りがかなり楽しかったが意外と楽に登り切れた。先ほど岬に曲がってきた分岐を網走方面へと曲がっていく。この先も全くといっても良いほど車とすれ違わない。ちょっと残った坂を上ると道は一気に下り始めた。頼むからもう1回上らないで欲しいと思うほどに下り坂は楽しい。そして長い。低重心の26HEランドナーのドライバビリティを楽しみながら坂を下っていく。北海道にしては珍しい急でぐいぐい曲がる海沿いなのに森の中を駆け下りていくワインディングロードである。三陸を少し思い出すようなルートだ。
坂を下りきるともう目の前には網走の市街地が見えてきた。海沿いをマッタリと走っていくと市街地はどんどん近づいてくる。住宅街を抜けると国道にぶつかる。とにかく市街地と駅の方へ走っていく。そして目の前に網走駅が見えてきた。予約しているホテルも見えてきた。最後の信号を渡って、ついに網走駅に到着である。ある意味、完走を果たした。今年の旅の最低限の目標は果たした。それでも去年は仕事で走りそびれた道を取り戻す…それ以上の旅を出来たと思う。ここまで走行距離は決して易しくない強気の目標設定だったが何とか走り切れた。今後の自信にするのと共にもっと鍛えないとダメだとも思えた。完走した気分に浸りすぎてはいけないが浸ってしまう。仕事がどうなるか次第で終わりだが、結果によっては明日から再び釧路へ向けての旅が始まる。あまり終わった気分を出すのも問題だ。
網走駅で情報収集をしてホテルへ向かう。と言っても交差点を挟んですぐのところである。直近の悩みとしてはコインランドリーだがホテルにあった。まずはチェックインしてシャワーを浴びながら汚れ物を洗おうと思ったら洗濯機は全て使われている。仕方なく先にシャワーだけ浴びる。そしてトイレを使おうとしたらなんと水が流れない。フロントに行くとフロントのお姉さんが直してくれた。
事なきを得て、まずは飲みに行く。いや夕飯を食べに行く。駅から歩いて商店街や飲み屋があるあたりへ出て行く。少しオーラを感じた飲み屋に入る。種類がいっぱいあって少しずつ盛り合わせてくれる焼き魚セットを頼んでみる。山わさびを使った冷や奴や刺身も美味しい。酒も竹筒に入って出てきて風情もある。打ち上げ並の規模で飲む。旅の終わりでは無いことを願い、打ち上げでは無いが気分は打ち上げである。焼き魚は魚の種類によって焼き方を微妙に変えてるのか、全てふっくらとこんがりとして美味しい。アイヌっぽい独特の顔立ちのマスターが得意そうにしている。
締めに網走ちゃんぽんを食べてみる。意外と普通というか豚骨ベースの長崎ちゃんぽんになれている我々には湯麺のような感じである。酔っ払ってホテルまで歩いて戻り、やっと洗濯開始である。乾燥機を回し始めたのも23時半と遅く、1時半に洗濯物を取り込みに行く。へろへろになりながら洗濯を終えて眠りについた。 |

オホーツク海沿い 前方は能取岬
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能取岬灯台
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牧場の向こうに灯台が見える
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このまま待てば能取湖に夕日
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網走駅に到着
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網走 富士の焼き魚セット
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