週刊 多事走論 バックナンバー 2005年9月号
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2005年 9月 1st Week
2005年9月4日 笠間センチュリーラン参戦

 ツーリングから2週間後、まだまだ自転車に飽きてきた状況から抜けきらないまま笠間を迎え撃つ。結局の所ツーリング車ばかり乗っていたので霞ヶ浦以来ひさびさのロードだ。笠間と再来週の浜松に突撃するマシンGIANT FCR ZERO改はSTIレバー以外はアルテ化し、3速×10速として、タイヤも700×28C→700×23Cに変更し走りを大幅に強化。(マシンだけは・・・)
 気合い十分で眠りについた・・・。しかし、ケータイ目覚ましの設定を間違えていた。平日しか鳴らない設定だ。妙にスッキリと目覚めた。寝不足のはずがおかしい。外は非常に明るい。そう、寝坊である。6:30〜7:30の間に受付なのにもかかわらず、6:30時点でまだ宇都宮の自宅だ。あわてて出発する。昨夜のうちに致命的にならないよう荷物はすべてPRELUDEに積み込み完了している。エンジンをかけて出発。国道123号を飛ばしまくる。そして県道1号も飛ばしまくる。そして7:27会場入り。7:30ギリギリで受け付けと検車完了。
 朝っぱらからバタバタしたが無事参戦。まずはリベルタスの中では最後尾組を引き離してコンビニで朝食を食う。それだけを目指して爆速組に食らいついていく・・・。が、俺の走りが全くさえない。なじめない新しいギア比、何故かずれてるライディングポジション、キレのない体、エネルギー不足も感じる。国道50号を終わる間もなく爆速組にちぎられた。霞ヶ浦より酷い状態である。それでも35km/hぐらいで走り続けたので多少は余裕があるだろう。コンビニに立ち寄り、甘いモノで簡単に飯を済ませる。すると最後尾組も追いついてきた。意外と早かったが補給完了。
 しばらく一緒に走りパンク修理に付き合いスペアチューブも貸したりしつつ走っていくが、再来週を見越した走りとしては25km/h以下と物足りない。ここは俺のペースにすべく前に出る。しかし焦れば焦るほど疲労がたまっていく。もはやロードレーサーとしての機能を果たせていない。サドルの前側のせり上がりヶ気になる。踏む力が駆動力になっていない感がある。今さらこんなことに悩むとは思わなかったが、気になるところは今回の走りで修正する。自転車を止めてサドルの角度を換えてみる。
 多少はポジションが前乗りになったので走りにキレが戻りつつある。まだまだ物足りない感じはあるが…。相変わらず苦悩は続く。そして猛暑と横風にやられつつ進んでいく。ボトルの水も生ぬるいし、汗で抜けたミネラルを補給すべくコンビニに寄る。アクエリアスで補い、また仲間に追いつかれて一緒に走る。というより、しばらくは道も狭く車も多いため抜きどころもない。ほぼ中間地点の第1チェックポイントまで一緒に走る。しかし今回は物足りなさより、俺の足が動いていかない。
 第1チェックポイントで水を補給しバナナを食って糖分を得て多少は生き返った。ライディングポジションに物足りなさを感じつつも少し快調に走り始める。第1チェックポイントである50km過ぎからは笠間センチュリーランの特徴でもある延々と続くアップダウン攻勢が始まる。ここは俺のペースで再来週を見越してきっちり全力出し切って走りたい。再びちぎって走っていく。相変わらずライディングポジションが物足りない感じで走りが伸びない。レーパンの下のトランクスがやや小さめで抵抗として働き始める。サドルによる圧迫感、足の裏の痛み・・・。何かがかみ合っていない。しかしながら、一部の人にはかなわないものの、上り坂の走りではほとんどの参加者を上回るパフォーマンスを見せる。やはり北海道マゾツーリング効果だろうか。そこだけはショボかった今回の走りで唯一光るところである。しかし、もう少しギアを使いこなす必要はある。課題も何となく見えてきた。
 最後の山場の手前で休憩しつつ、ポジションアンマッチの原因を考えてみる。サドルに股間を圧迫され、足の裏が点踏みになって痛みがたまる、これはもしかしてサドルが高すぎるのでは?ということで3mm程度下げてみた。結構、気合いの入った峠で今回から投入のインナーギアを使い…と思ったら割と大した峠でもなく、去年同様センターでも上れてしまいそうな雰囲気だった。やはり再来週の天竜スーパー林道でしか使わなさそうだ。
 国道50号に戻ると、新ポジションが意外とマッチしているのか走りがよくなってきた。やはりリベルタスの爆速組にはまだまだ及ばないものの、行きよりは楽になってきたようだ。最後の芸術の丘もあっさりと登り切り90kmコースを完走。
 寝坊に始まり、「今さら」のポジション修正に苦戦しつつも手応えをつかんで笠間センチュリーラン(ハーフセンチュリー)は終わった。何とか筋肉を寝かさないように2週間足を動かして浜松2連戦を迎えたい。笠間センチュリーランの模様について詳しくはサイクルショップカントウHPで(←怠けすぎコメント)。

以上、今週の多事走論でした。  管理人:ぐっさん。
2005年 9月 2nd Week
2005年9月11日 サドル交換・ポジションあわせ&走行検証

 やはり、笠間でも今までの最大の課題は顕在化した。尿道が圧迫されて股間の感覚がなくなってしまう危険な症状だ。もはや、「男やめますか? それとも自転車やめますか?」と問いかけられているとしか思えない状況になってきた(それは言い過ぎだ)。冗談はさておき俺の走りを大きく阻害している要因でもある。
 ペダリング時の股間の圧力を考える。ペダリングのアクションで骨盤が左右に揺れる際に、サドルが太く平らなために股関節がサドル上で揺れておらず、サドルの端から面にかけて圧迫しているように思える。ということはサドルを細くして骨盤がサドルの上でスムーズに揺れるようにすることが一つの解決策だ。ただ、そうするとサドルの左右に寄っていた圧力は中央に集まってしまう。そこで、中央の圧力に対してゲルや穴で吸収して対応する。穴の開いているサドルであればその部分の血管は血流を確保できるので股間が麻痺する症状は回避できるのでは・・・。と自分なりの理論を確立して店に行ってみる。
 俺の理想にあったサドルが見つかった。サンマルコ アローヘッドゲルアラウンド。サドルの前部は細く、サドルの上面はゲルで満たされている。そして真ん中には血流を確保するための穴が開いている。これだ。早速発注して週末を待つ。
 土曜日にGIANT FCR ZEROに装着する。悩めば悩むほど前傾、前乗りポジションになってくる。しかしサドルの傾斜の延長がハンドルの下を向いていないと、体が上に反り返った形になって力が入らない。見た目がツーリストの俺らしくもなくレーシーな感じになってしまったが、これ以外に良いポジションはない。何とか日曜日に走りを検証してみる。ポジションを見る限り上半身の負担が懸案という感じである。
 日曜日、決して天気は良いとはいえないが夕方までもつと気象庁は言っている。北海道で12連勝を記録したの晴れ男の俺の運を信じて走り出す。自分でも「今までのFCR ZEROは何だったんだ」と思うほどペダリングがスムーズになった。追い風とはいえようやくロードらしい軽快な走りとなった。20kmも走れば股間は感覚がなくなって1分程度のダンシングをしないと血流が確保されない状態だった今までとは違い、どこまで走っても股間の感覚は無事だ。追い風なのでケイデンスを100程度まであげて35km/hで巡航する。とにかく高回転が長時間維持できなかった今までとは大きく違うパフォーマンスだ。こんなペースで1時間走り続けたところで、鬼怒川沿いの道はいったん途絶えたので引き返す。
 天気予報より3時間も前倒しで雨が降ってきた。渾身の力で漕いで帰る。行きが追い風なので当然帰りは向かい風である。苦しめられるが、新しいサドルとパーツで走りは比較的快調である。そして宇都宮の自宅に戻ってみたが、やはり「快適」の一言につきる。前傾姿勢で乗る人にはおすすめのサドルだ。

以上、今週の多事走論でした。  管理人:ぐっさん。
2005年 9月 3rd Week
2005年 9月16,17,18日 天竜川・浜名湖ツーデイズサイクリングチャレンジ220km 参戦。

 世間は17,18,19と3連休である。ちょっとHな我が社は19日は稼働日だ。今週は浜松市合併記念で合併前旧12市町村(←ていうか合併しすぎだ!)を走るマゾなサイクリング大会「天竜川・浜名湖ツーデイズ サイクリング チャレンジ220km!」に出場する。Sakura Cycle Touring Club(仮称)のメンバーを引き連れて130km/1100m+90km/200mUPの2日間の走りにチャレンジする。金曜日から休みを取って浜松へ向かおうとしたときに、浜松に住んでいるじいさんが体調悪いので様子を見てきてくれとの連絡が入る。出鼻をくじかれるようだが、爺さんっこの俺としては気が気でない。洗い立ての左ハンドルの北米輸出仕様のPRELUDEをかっ飛ばして浜松へ向かう。首都高以外は空いていて、どんどん進める。夕方には浜松西ICを降りて細江の爺さんのところへ行く。遠隔地の俺たちの不安をかき消すほど元気であった。私情はともかく、浜松市内へと向かう。今回も安い立地最高で居心地もいいサゴーインで宿泊。愛地球博で浜松の宿も若干混み気味なのかメンバー達は同じホテルが確保できなかった。浜松市内でSakuraの会員Yと合流し、学生時代からのお気に入りの居酒屋 映里沙で飲む。とはいえ、明日は早いしコースもハード。23時には寝る。



1日目 北遠レギュラーコース  149.9km

 かなり、よく眠れて4時に目が覚めた。すっとレーパンを履いて出かける。PRELUDEで浜松駅に集合し浜北のグリーンアリーナへ向かう。コンビニで糖分補給用のキットカット小分けパックとVARMゼリーを買い運転しながら朝食のおにぎりを食いながら向かう。受付開始前にはたどり着き順調に出走準備を整える。浜松市長の挨拶やら中日新聞社の誰かの挨拶の後で いよいよ出発。ゼッケン1からの出発を基本にてきとーに10人ずつ出て行く。そして俺の番が来た。一番にゲートを出て、しばらくは俺が先頭を引いていく。当分は信号の度の各駅停車を耐えて、前の集団に追いついたところで引いてもらいつつ、体を温めていく。まずは船明ダムの第1チェックポイントで休憩。ここでは天竜茶が出た。お茶の葉がいいので粉にして入れてもおいしい。さすが静岡県だ。好きです 静岡。
第1CP 船明ダムの天竜茶
 天竜川沿いにアップダウンしながら、徐々に上り始めた。昔、長野方面に自走した時に酷暑の中をランドナーで走った懐かしいルートも含まれつつ、川沿いの裏道に入ったりする楽しいルートだ。アレックスモールトンや山岳コースにノースリーブで来たのを後悔してるサイクリストと話しつつ徐々にあがっていく。天竜川の流れも複雑な地形ときれいな水が美しい。
 この辺から参加者の中にも既にきつそうにしている人たちも出てきた。風向きがやや向かい風なので先頭を交代しつつ30km/h巡航で走っていく。メンバーはロングライド経験も1000m以上のヒルクライム経験も無いので放っておくと緩い上り坂でも34〜35km/hになっていく。そこはペースをマネージメントしながら進む。ここは温存しながら足切りに対して致命的にならない程度にタイムを稼ぎたい。

コースの途中の吊り橋
 体がのってきたところで第2CPに到達。そろそろお腹も空いてきましたというところで、地元のおばさんの手作りのブルーベリージャムとクラッカーが補給食として振る舞われた。これが半端じゃなくおいしい。素材の甘酸っぱさが素直に出ていて舌触りもわずかな歯ごたえも残っている。フレッシュな感じが出ている。最近 美味しんぼを読んでいて食にうるさい俺も満足。ほかのサイクリストや地元のおばあさん達と会話を交わして颯爽と出発。
 ここから上り坂もやや厳しくなってきた。無理せずギアを落として上ってこなす。川も幅が狭くなり水も透明度が増して清流という風情すらただよってきた。人によっては、ほんとにへとへとになりながら坂を上っていく。気温も佐久間らしく上がってきた。

第2CP ブルーベリージャム うまー。
 そして峠の寸前の水窪で10:00だというのに昼食が支給された。おにぎり3個で味噌と山菜をあえた具と他2品だ。味噌のおにぎりがかなりおいしい。今回のサイクリング大会は手作りで地元のおいしいものを味わうというコンセプトにすら思える。若干早い昼ご飯を味わいながらサラサラ流れる川面を見つつ、焼け残った手袋あとが少しでも焼けるよう手を日にさらしながら休憩する。
 若干、お腹いっぱい気味で峠へのアタックを開始する。初っぱなから「うわっきつい」とペースが一気に落ちるSakura Cycling Clubのメンバー達。らしくなってきたぜ!とばかりにグイグイ上っていく俺。でも早々と力尽きた。やはり軽いギアでクルクルと回して上っていくスタイルの方があっている。いわゆるロードレーススタイルではなくツーリングスタイルである。
 あがいてもしょうがないので じっくりとあがっていく。押して歩く参加者が多い中で乗って上っていけるだけレベルは高い。Sakura Cycling Clubのメンバー達の方がペースが早くなってきた。やはり15kg近くある体重の差は大きい。体重別ヒルクライム選手権というのがあればそこそこ良いところに食い込む自信があるのだが…。などと馬鹿なことを考えながらヘアピンカーブと10%程度の坂の連続を耐えていく。
 だが標高が900mを超えたあたりからが、経験の差だろうか俺が前に出たっきり追いつかれる気配が無くなった。まあベテランとして先に上っておいて写真を撮ってやるぐらいの余裕はほしいものだ。山住峠寸前のわき水ポイントで水分を補給し、一足先に峠に到達。3分程度待っているとメンバー達もあがってきた。13:00の足切りより30分以上も余裕を持って峠を越えた。この瞬間 最大の山場は超えて俺たち全員が楽勝に完走できる…と誰もが思った。

山住峠 到達!
 峠から先がダラダラと長く続く坂。天竜スーパー林道の頂上は別ですからと言われてしまい、どこまでも続いていく坂を耐える。そして山の稜線もなくなったころ頂上にたどり着いた。そこで、誰もが通り過ぎようとした自然の展望台に俺は立ち寄った。そこで俺たちが見たものは・・・
 幾重にも重なる南アルプスの山々の稜線が青い空に映えている。どこまでも山脈が続いていく雄大な眺め。1250mの高低差を自力で上ってきた者、その眺めに気付く余裕と勘がある者だけが満喫できる特権である。こういうのを眺めることが峠の最大の醍醐味である。自転車乗りが養った感受性でもって胸に打つながめである。ただ上ることが好きなMというだけではヒルクライマーはやってられない。こんな景色があるから俺はがんばれる。結構急がないといけないさなかだが足は止まった。

天竜スーパー林道からの
南アルプスの眺め
 ここから下りだ!と思っていたが、下っては上る尾根沿いのアップダウンがどこまでも続く。もういい加減にしろと言いたくなるほど続く。峠を下りきったところでの15時の足切りも本当に危なくなるほど続く。ここから下りとは言え35kmあって1時間半も残っていない。俺は少し危機感を覚えつつ、ペースが落ちないように登りは基本的にちぎって下りは先頭を引きながら、コースの状況を常に手信号と声で伝えながらペースをあげて下っていく。調子があがったかと思えばまた上る。そんな感じで第4CPを軽く休憩して通過。相変わらずアップダウンが続く。いよいよ時間がやばい。あと10kmを残して20分。
 秋葉神社の前で車両チェックを受けて、残り15分で8kmの下りだ。コースも狭いし対向車もくる。林道だから道も悪い。ここで俺の判断が働いた。遅い人にあわせると全員で足切りを食らう可能性が高い。心を鬼にしてちぎった。下のバーを握りがちな坂だがあえてブラケットを握って姿勢を高めにして情報収集を的確にこなして無駄なくライントレースして下る方を選ぶ。経験とテクニックと度胸で仲間の姿は遙か後方へ消えた。刻一刻と時間は過ぎていく。そして、下り坂らしい下り坂は終わり、向こうに受付っぽいテントが見えた。今は14:57。俺はセーフだ。とりあえずメンバーを待ってみる。2番手のYさんは14:58。文句なしセーフ。3番手のNさんも14:59。文句なしセーフ。曰わくなしで俺たちは全員足切りを逃れた。
 俺は歓喜にわいた。梅ソーダで疲れをいやして、残りの道のりを走る。また森林の中のアップダウンコースが続く。右に川を見ながら走っていく。足切りを逃れたメンバーの中ではビリになっている。あの調子なら足切りは相当多いはずだ。足切りを逃れただけでも快挙に近い。しかしながら、時間内に完走できないと運営に判断されてしまうとどうなるか分からない。俺たちの後ろについてるアンカー。大会運営っぽい軽トラ。先頭を引く俺にプレッシャーが襲いかかる。とにかく車間を空けないように気をつけつつペースを落とさずに走る。そして、前を走るチャリを抜いた。この時点でアンカーと大会運営のターゲットは俺たちではなくなった…。などと安心していたら、軽トラは地元の電気屋さんだった。このプレッシャーは不発だったのか。同じコースをグルグル周回してるのかと思うほど単調な川沿いの森林道路。
 第4CPで最後のチェックを受けて、お饅頭と緑茶で最後の栄養を補給だ。チョコの甘さも即効性があって良いが、微妙に塩分もあるあんこの甘さもたまらない。しかしながら、ハードな登りにハードな下りそしてハードなMとしかいいようの無い俺… それはさておき、その後もプレッシャーに駈られながら先頭を引いていた疲れが急激に出てきた。腰が痛くなってきた。こんな症状は初めてだ。やはり超前傾ポジションが利いてきたのだろうか。あまりできていない体幹を使って漕ぐポジションというのは厳しかったか。少し背中を休めていく。
 最後の80m UPの坂では、もう俺の足に力はなかった。腰痛をかばいながらの走りもある。踏みしめるたびにふくらはぎに痛みが走る。完全にメンバーからはちぎられる。そして最後の峠を越えて下り坂へ。徐々にペースをあげながら間隔を詰めていく。しばらくは引いてもらいつつ、ペースを保って走っていく。先頭に若干疲れが見えた頃、俺は渾身の踏みで先頭へ立ち、再び引き始める。俺が最初にへばるわけにはいかぬ。そういう覚悟で今回のサイクリング大会に参戦している。俺は10年以上もスポーツサイクリングをするベテランである以上 最後までメンバーを引き続けるエースでありベテランの意地を見せなければならない。気持ちが前を引く。そして徐々にペースがあがり35km/hを超える巡航となった。そして背後に誰もいなくなった…(だめじゃん)

第4CP お饅頭とお茶
あんこがうまい。超うまい。
 やはり調子に乗りすぎたとばかりにペースダウンして巡航。久々にロードレーサーに追いついた。渋滞に巻き込まれながらゆっくりと走る。手信号などを見る限りかなり慣れた感じのBianchのロードに引いてもらいつつ走るが、陸橋の上り坂に入ると俺に道を譲ってくれた。次は俺たちが引いてやらねばならない。残りわずかな天竜・浜北の市内を走り抜けていく。時折、道に迷いつつゴールを目指す。もう日は西に傾いている。最後はとばしまくったせいか、第4CPからわずか1時間ほどで浜北に戻った。
 最後は俺が先頭を引いて戻っていく。25km/hぐらいのペースを維持しながら走っていく。目の前に陸橋が見えてきた。勢いをつけて上るべく31km/hまで加速して、上り坂もダンシングで踏みまくったが誰もついてこない。やはり全員限界が近いのだろう。行きで苦しめられた各駅停車の信号を超えて、いよいよゴールへ。ゴールのゲートをくぐった瞬間、思わず渾身のガッツポーズが出た。150km・1250mUPのハードなコースを完走した。何よりも、こんなハードコースを走ったこともないメンバー全員が文句なしに完走を果たしたことがうれしい。

完走!! (ぶっ倒れてる俺)
 ベテランとして金字塔を打ち立てたような気がする。そんな喜びと達成感がある。そして俺も完走を果たせたという喜びがある。俺がついていながら「足切り」「リタイヤ」「断念」「ギブアップ」「あきらめ」「挫折」そんな言葉は彼らから聞きたくなかった。11年目からの俺の目標は自分の走りだけではない。着実に自転車の世界の裾野を広げていきたい。走りきる喜びを一人でも多くの人に伝えたい。その目標を今回も着実に達成できたと思える。
 足がぷるぷるするMTの運転。スーパー銭湯で風呂に入り、ホテルに荷物を置いてスタミナとタンパク質をゲットするために焼き肉へ。精神的にも栄養的にも満足して明日に備える。体が動けば走りたい。気持ちとしては明日の浜名湖の走りに向いている。俺から自転車を引いたら何が残る。レーサージャージとレーパンと今日の衣類を洗濯・乾燥して眠りにつく。



2日目 浜名湖レギュラーコース  89.0km

 しっかりと4時に目覚めた。足もさほど重くはない。腰は若干痛い。しかし90km程度の走りなら楽勝だし何とかなるだろう。ぱっぱと片づけてホテルを後にしたが、さっそくN氏からリタイヤの申し出があった。そしてY氏は音沙汰無い。5時に集合できなければ出発と言うことにしていた。2日目は参加は自由としておきたい。あとからN氏のみやはり参加する意向があったが、俺は先に出発して受け付けもすませたい。
 朝日に照らされる浜名湖を横目に渚園に到着。朝日が痛く黄色く俺の目に入る。渚園の駐車場にPRELUDEを止めてロードを引っ張り出して準備をする。向かい側に昨日も居たPEUGEOT 307CCが居た。かっこよすぎる。電動ハードトップを颯爽とあけてロードを取り出してくみ上げていく。何かかっこいい。男のあこがれだ。トランスポーターとは言え乗り物である以上 かっこよくなければならない。それが男の哲学だ。あのギミックと美しいエクステリアとインテリアこそ男のオープンスポーツカーだなんて思いながら、準備完了し受付を済ませた。
 そしてT氏とN社の先輩達も来た。いろいろ話しているとスタンプカードを持ってくるのを忘れている俺が居たりでなかなか落ち着かない。疲れは隠せないようだ。そして、今日も出走する。
 ここまで来たら走り抜くしかない。25km/hぐらいで巡航すれば十分に走れそうな距離だ。2日間で240kmを走り抜いて自転車への愛情と俺のマゾヒストぶりを存分に発揮したい。平地では腰の疲れとの戦いだが、昨日ほど腰を使わなくても走れる。やはり上り坂で体幹を使いすぎたのが原因だろう。ポジションが悪くて腰に痛みが走っているわけではないことを実感し少し満足。
 しばらくはまったりと浜名湖自転車道を走り、昨日の疲れを爆発させないようにペースを保つ。・・・と言いたいところだが、T氏の先輩達は意外と速かった。

いざ、出発(2日目) すげぇテンション低い俺
疲労全開!
 前回は渋滞やら何やらで、結構時間がかかったが今回はあっさりと到着した舘山寺の第1チェックポイントである。昨日は2列でチェックをやっていたのに、今日は1列だ。長い列を作ってチェックを受けるのを待つ。こんなので時間食ってたら走りきれないと愚痴っている爺さんが後ろに居て若干不愉快に思いつつも、何とかチェックを受けたのは15分後ぐらいだろうか。
 トイレでサングラスを洗って、チーズケーキを食って水も水道で補給してさらに出発。次のチェックポイントも細江町なので、かなり近い。さっき、さんざん愚痴っていたお爺さんは何とママチャリで参戦していた。そりゃ時間食わされたら必死になるわ… 若干納得しつつも軽く追い越す。情けないことに彼とはペースを今後同じくしてしまうとは予想だにしなかった。

浜松名物 浜名湖うなぎチーズケーキ
(なんだそりゃ)
 あっさりと細江の第2チェックポイントを通り、1時間に2本ぐらいしか走っていない天竜浜名湖鉄道の踏切にひっかかる運の悪さ(?)を味わいつつも、奥浜名湖沿いの道を快走していく。奥浜名湖のリゾート地を疾走していく。朝っぱらからBBQやってるファミリィやらを横目に見ながらも、青い空に映える青い浜名湖が気持ちいい。この調子なら青いランドナーで来ても良かったかもしれない。
 続いて引佐や猪ノ鼻湖のあたりの細く路面の悪いルートを通るとロードレーサーで俺のチ○×2にくる振動と衝撃がたまらない。いくら自称Mの俺でもこれだけはご勘弁願いたい。あーキ○タマがいてぇ〜と叫んでいると後ろに女性サイクリストが居てセクハラで訴えられそうになるわでピンチが続く。でもまじめな話パンクだけは避けたい。猪ノ鼻湖と浜名湖の境目をわたる橋で新聞のカメラが構えていた。自然とカメラ目線になる俺…。しかしこれが後で…。

浜名湖と GIANT FCR ZERO 改
 猪ノ鼻湖を北まで走り抜いたところで、朝9:30。昨日よりひどく早い時間に昼ご飯が支給された。そこにいたゼッケンNo1という栄光の番号を付けたALPSのクロモリフレームの真紅のスポルティーフがかっこいい。是非オーナーと話をして写真を撮らせてもらいたい。こんな素晴らしいセンスのオーナーなら友達になりたい。強く願いながらALPSの自転車の美しい眺めをおかずに飯を食っていたら、いつの間にか出発していた。残念。でもウナギおにぎりがうまい。食い終わると心の底から腹の底から満腹である。ドリンク剤のような瓶に入ってるみかん酢を飲むと、徹夜明けにリゲインを飲んで会社に行く心境である。結構、強いにおいと甘酸っぱい味わい。何かスタミナがついちゃいそうだ。
昼飯。(早すぎだってば)
 チェックポイントを出てみると案内係が誰もいない。こういうところは今回の大会で抜けている。先頭について行ったら、全員薬局の駐車場に行ってしまう笑えるハプニングもあった。ウィダーランドの回し者か!? (笑
 また軽く浜名湖沿いに進んで、いよいよ奥浜名湖オレンジロードへと入っていく。いきなり引佐峠の上り坂が始まった。どうせ高低差もそんなに無いしかっ飛ばしてみる。最初は好調だった。しかし、2/3程度上ったところで足が悲鳴を上げ始めた。全く動かなくなった。やはり昨日の疲労は大きかった。あっさりと全員にちぎられて取り残された。それでも猛暑の中で上り詰めた引佐峠だが眺めはすごい。日向で写真を撮る元気は無いが楽しむ。
 そして緩くも延々と続くアップダウンコースだが、最大の山場を超えてるだけ気分は楽だ。しかし襲いかかってくる上り坂のすべてが俺の足には重い。まあ致し方ないことだ。

奥浜名湖オレンジロード
引佐峠から見下ろす浜名湖
 国民宿舎でしばらく休憩した後、最後の100mUPの坂を上る。ここら辺までくると俺の足もだいぶ生き返ってきた。よくあんな極限の乳酸蓄積状態から復帰したもんだ。コース設定もSだが、俺も真性のMだ。そんな思惑が一致したサイクリング大会に思える。意外と楽に登り切って、下りきれば平地ばかりになる。しかしながら、風向きは南風。ええ、これからは向かい風です。ちょっとだけ気分が重い。
 引佐の第4チェックポイントで休憩。ここはひどい。お饅頭が支給されるがお茶がない。それでも静岡県か。うまい緑茶が出ないなんて静岡県の名折れだ。などと不満を漏らしながら味噌まんじゅうをほおばって、すぐにコンビニ休憩。お茶を買うと思わずアイスを欲してしまい、さらなる糖分補給。さっきのチェックポイントへの不満からか休憩してる参加者が異常に多い。
 コンビニを過ぎると、徹底的に向かい風責めに遭う。ここはロードレーサー乗りの意地で俺が引いていく。25km/hぐらい出すとメンバーとちぎれてしまう。やはり風が強い。メットがずれる。(緩すぎか)
 最後の最後の上り坂をトップで登り切って、なおまた俺が先頭を引いていく。運営の判断で右側の歩道を通行してくださいと言ってるコースもどう見ても左の方が道も良いし安全だ。何か運営がいまいちな浜名湖レギュラーコースである。 いよいよ走りもおおづめである。相変わらず俺が先頭を引いていく。せっかくの集団走行なのでチーム走らしく間隔を詰めて時折順番を変えながら進んでいく。浜名湖花博でできたアーチ型の坂がきつい橋を越えて、いよいよゴールが近づいてきた。ゴールまで1kmもない第5チェックポイントでチェックを受けて、・・・ていうか無理してチェックポイントを設けなくても とつっこみたくなるがとにかくチェックを受けて、すっぽんサブレが支給される。ありがとう雄踏町。
 相変わらずの向かい風の中、橋を渡り渚園へと少しずつ近づいていく。感動のドラマの連続だった240km完走の瞬間も近い。そして渚園へと右折した。ゴールのゲートをくぐった瞬間、やはりガッツポーズが出た。貴重な2枚目の完走証も手に入れた。よくここまで走れたものだ。俺自身のチャレンジの成功もうれしい。

いなさ銘菓 みそまん
頼む 緑茶もセットで出してくれ。

すっぽんサブレー
 なぜか最後に支給されたバナナで不足した糖分を補給して…というよりえれぇ早い時間に昼飯でしかもおにぎり3個だけなので空腹である。地面においたバナナの皮でふつうにこけそうなほど、みんな疲れてしまっている。なぜか俺だけは実は元気だ。最後に、労をねぎらいつつ完走記念写真を撮る。240km完走の喜びを表現したい。ここは体重派サイクリストいやもといパワー派サイクリストとしてのポーズを決めたい。ということで 右の通りに。何かべただし自転車ごと持ち上げてという発想も古くさいが、これしかない。
 T氏と先輩達を見送って、俺とN氏も車で遠州大橋近くの温泉へ行く。車があまりにいっぱい止まっているのでもしかして芋洗いの湯になってしまっているかと思ったが、そうでもなく温泉を満喫。体中に湿布を貼って車に戻る。

浜名湖レギュラーコース完走
そして、240km 完走!!!
 バーミヤンで飯を食いながら俺の自転車哲学を語り、PRELUDEでの長い旅へと進んでいく。東名をかっ飛ばして富士川まで行き、SAへと降りようとしたそのとき、左車線の俺の後ろを走っていたバイクが右車線に出た。そしてウィンカーも出さずに俺の車の5m手前に割り込んでSAへと入っていった。しかも急減速。俺は思わず後ろを見ずにパニックブレーキを踏んだ。何とか追突は免れた。もちろん、俺の怒りは大爆発した。ミスって俺の前に割り込んだならまだ許せる。明らかに俺を無茶な追い越しして大して車間距離の無い前車との間に割り込んできた。ハイビームを照らして車間距離を詰めて俺のすさまじい怒りを表現すべくクラクションを連発した。そして駐輪場まで追いかけて左ハンドルの運転席側の窓を開けてライダーに怒鳴りつける。メットをかぶったまま固まっている馬鹿ライダー。今年は北海道といいホントしょぼいライダーと会うことが多すぎる。あのパニックブレーキは100km/hからなので後続が居たら間違いなくカマを掘られてPRELUDEもロードレーサーも… 下手すると俺の命も大破していたかもしれない。前車の減速はある程度予測済みなので足はアクセルからブレーキに移行し、クラッチはいつでも踏める状態になってギアを4速か3速へ入れれる体勢は構えていた。だから急ブレーキが間に合った。たまたま俺が自動車メーカーの人間でテストドライバーとしての訓練や交通安全の心がけを多少なりとも受けてるからライダー一匹死なずに済んだだけだ。何も考えずに運転してるドライバーならひき殺してるだろう。興奮状態のままだが、閉店間際の富士川楽座で会社への土産を買う。俺がいくら安全運転を心がけても、こんな馬鹿を極めたライダーが居たらかなわない。
 いつものように「馬鹿っぽい車には近づかない」という安全哲学を持って、東名を走っていく。御殿場を過ぎたあたりから渋滞が始まった。ここから横浜町田までの40kmも渋滞が続く。そして明日は仕事だ。ロードレーサーを下ろして自走した方が速いんじゃないかと思うほど混んできた。完全停止している間にちょこちょことコミュニケーション(手段は敢えて言うまい)をとりながら、のんびりと帰る。東名を抜けたのは0:00。首都高を抜けたのは1:00。そして誰もいない東北道を北上して、北関東道へと行き上三川で降りると、俺の体に異常が生じた。すべての道路が上り坂に見える。走り慣れた国道4号線ですらも、上り坂に見える。自宅の前の道も上り坂だ。体のどこに異常があるのか分からないが、疲労からくるものなんだろうか。とにかく眠りにつく。俺の熱い3日間は終わった。 
 こぼれ話があった。俺がカメラ目線をしたあの場所の写真が中日新聞と中日新聞WEBに掲載されて、N氏から3人が1面にカラーで載ったのだ。つまり俺の1台後ろからが新聞一面デビューである。そして240km完走はわずか19人。その栄冠を掴んだ一人となった。新聞だけは ほんと惜しい!!!

以上、今週の多事走論でした。  管理人:ぐっさん。

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