目覚めた朝。夜は明けていないものの空は雲の色ではなかった。晴れ間さえ見れる。しかし、下界である静岡市内の時点で寒い。これは山の上は半端じゃなく寒いだろう。去年の再来か!?
日が昇ってくると空はこれでもかっというほど青い。今までの雨のサイクリング大会が続いた鬱憤を晴らすかのような天気だ。国道1号線を気持ちよく走り抜けて森町へたどり着いたが、寒さは相変わらずである。
人一倍組み立てに時間がかかるランドナー君を組み立てていく。ただの重量部材であるアウターキャリアも全て装着。天気は悪くないが泥よけも装着。軽いランドナーほど野暮なモノはない。旅にでれるスタイルを作って構える。それが必要かどうかは問題ではないのだ。キャリアと泥よけが装備されて初めてランドナーなのだ。 そして開会式。狙うは大会2連覇。気合いを入れて森町へと向かってきた。そして、ついに優勝者が発表された。東で最も遠くから来たのは
去年に続いて今年も栃木県宇都宮市の私と言うことに。賞品として森山焼の花瓶を手にした。去年の西の王者は奈良県ということで栃木と良い勝負だったが、今年の西の王者は岐阜県ということで圧勝だ。
今年も大会のお手伝いをして下さる白鳥和也氏と再会し、見送られながら出発。やや寒空の中、秋の山里といった感じの気持ちの良いコースを走り出す。去年ほど天気の不安は感じない。雨に洗い流された空気のおかげか澄んだ景色に見える。チャリの重さが重さだけに、少しの上り坂でもかなりつらいものがある。ただ距離は短いので気楽と言えば気楽である。 |

ランドナー こんな出で立ちです。 |

杉の美林を抜けていく |
最初の山場は大友家へとあがっていく激坂。去年はディレーラー台座の変形でシフトが決まらずチェーン飛び連発でチェーンが切れた。坂の途中で修理するという憂き目に遭う。今年は順調にインナーの1速に落としたが何故か変速が決まらない。仕方なく1枚残しのインナー2速であがっていく。こんな時のためのローギアだから決まらないというのは困ったモノだ。よくよく考えると
1ヶ月前にワイヤー交換をしたので初期伸びが出始める時期ではあった。トルクをかけたときに落ちるというのは
調整が完全ではないからだろう。去年の反省が生きていない結果だけに何をしてるんだ俺は…という感じでもある。ただ切れることはなく登り切る。
かやぶき屋根の旧家である大友家が最初のチェックポイントとなっている。ここから距離にして1kmほど上ると傾斜は一段落である。しばらくはダム沿いの道を徐々に上っていく。トンネルも続くのでLED5連発ライト2個をONして明るさを確保する。 |

森町 大友家 |
去年はメカトラブルによるタイムロスを取り返すべく必死で走って足きりを逃れる戦いだったが、今年は余裕はある。走りの調子があがらない点以外は順調と言える。金剛院へのヒルクライムの直前は狭い杉林の中の道をくねくねと走っていく。上りなのでテクニカルとは言えないが
これを下りで行かないといけないとなると、かなり面白そうな道である。
いよいよ金剛院へのヒルクライムが始まった。相変わらずスピードは冴えないが
足の動きが続くようになってきた。足を付かずに 結構 いいところまであがっていけるようにはなってきた。復調の兆しか。ここは根性の見せ所である。傾斜がきつくなって押して歩く人が増えてきたところを、ランドナーでぐいぐいと上っていく。決して押して歩かない、諦めて引き返さないをモットーに活動しているプライドだ。
最後の坂を上り終えると、金剛院の建物が見えてきて、その脇の砂利を抜けて奥へ行くとチェックポイントが見えてきた。絶不調といえば絶不調。実力通りといえば実力通りな走りで何とか登り切ったところにとりあえずは喜んでおこう。とにかく、できることからやるというスタンスでいくしかない。タイムは遅いが、この調子で1000mでも2000mでも上っていける走りができればそれでよいわけで
500mUPで使い切ったわけでもないので上出来だ。 |

金剛院への最後の上り坂 |
そろそろ腹も減ってきたので下る。この下りはかなりテクニカルだ。去年は雪も降っていたし、ある程度下ると本格的な雨が降りしきっていた。寒いし路面は滑るし危ない状況。よく下ったなぁと思うほどドライでも結構危なっかしい道である。杉の葉が落ちてズルッと滑りそうな道が続くので轍を狙ってライントレースの精度で下りきる。上りはへっぽこだが下りだけは本気を出すと
仲間と差が付いてしまう。そこは どんな種類の峠をいくつ越えてきたかと 自転車のコーナリングの限界を知ってそこまで使うかの差だろうか。
最後は風が強くなってきたので先頭を交代しながら引っ張り合いになり、気が付いたらちぎり合いになって
35km/h〜40km/h巡航となってきた。ランドナーでそんなスピードを維持できるわけもなく脱落。ゴール手前の饅頭屋への寄り道を先頭に提案しようとしたが饅頭屋の手前で追い越すこともなく、そのままゴールへ。
白鳥和也氏と話しつつ、昼食を受け取り腹を満たす。静岡おでん、おにぎり、暖かい豚汁、浜松コーヒー、自主的にやまめの塩焼き。どれも体にありがたいものだ。浜松珈琲って何のことか不明だがご当地珈琲なんだろうか。確かに浜松にはブラジル人が多いが豆はエクアドル産のようだ。 |

とりあえずは昼飯。 |
ナガシ氏の会社の先輩たちは午前で終了し、俺たちは去年参戦を見送った午後の田園ポタリングの方にも参戦する。午後はアップダウンは比較的少なく、距離も24kmほど。ここは
いかに寄り道を充実させるかが ゆるいサイクリストとしての腕の見せ所である。スイーツに風景写真に寺社仏閣
とにかく寄り道重視で頑張りたい。
しかしながら、悪く言えば田舎すぎて寄り道スポットも少ない。写真を撮るにも平凡な田園風景である。強いて言えばチェックポイントの駅なんかが
古風で味があるというぐらい。天竜浜名湖鉄道の遠州一宮駅はススキの穂が揺れるし無人駅なのでホームに自転車を入れて一枚の写真を撮る。駅舎の中にそば屋がある。店は閉まっていたが美味そうなオーラを感じる店である。他は途中でスルーしてしまった栗蒸し羊羹、茶産地である森町産と思われる本格的なお茶屋さんの香ばしくさわやかなお茶の香りが気になるぐらいで。来年こそはちゃんと寄り道をしよう。そう心に決めた午後の前半でした。 |

遠州一宮駅 |
ここからは小国神社へと向かっていく。この辺から上り坂が始まった。上りが始まると相対的なペースはみんな速い。体と自転車の重さの差が出てしまう。途中で
でっかい急須が湯飲みにお茶を注いでいる看板のお茶屋があったが 追いつけないために寄り道できずにスルー。
そのまま小国神社で休憩。うっそうとした杉並木の参道を歩いていく。SPDのクリートにジャリジャリ言わせながら。それにしても今日は晴れ着の子供が多い。七五三の時期なのだろうか。俺も今年で30だが
30,50,70では七五三はやらないのかなどとバカなことを言いながら歩いていく。厳かな雰囲気の神社にお参りをし、年甲斐もなくおみくじなんて引いてみる。見事、大吉を引き当てた。ていうか、こんなところで運を使い果たすなよ俺と言いたくなるが、七五三対応と言うことで大吉多めになっているのだろうか。小国神社からキュッと上る坂を越えると、なかなか急で楽しめる下り坂が続く。 |

森町、小国神社 |
ここから森の石松の墓、大洞院へと走っていく。俺たちを除いてビリ集団かと思われる子供たちとイベントサポーターの姿が見えてきた。何とか追い越したところで大洞院のチェックポイントで休憩。そろそろゴールへ向かいたくなってきた俺たちはそそくさと出発した。なぜそんなに急ぐか。ビリと少し時間差を置いてゴール寸前の饅頭屋に寄りたいのだ。スイーツのひとつぐらい見つけないと、寄り道スポットを探すおきらくコースの田園ポタリングに参戦した意味がない。
もうアップダウンはほぼない。森町の街へと下ってきた。田園地帯とお茶屋さんの香り、のんびりとした街。こんなのを楽しみながらゆっくり走るのがサイクルツーリングデイの午後の部を楽しむ極意だろう。ほどほどにペースを上げながら饅頭屋さんを目指していく。 |

最後のチェックポイント・大洞院 |
ようやく最後の信号が見えてきた。さて、買い食い的休憩だ。買って帰るよりは
その場でつつきたいものだ。フロントバッグにしのばせて置いた生茶を取り出し、店内へ。ずばりオススメということで聞くと、一番に「梅ごろも」を勧めてきた。5個入りなので1パック買って
みんなでつつくことに。これがほんのりと梅の香りがして、口溶けのいいこしあんで
生地がモチモチしながらも薄く柔らかく美味い。ちょっと汁気が多くべとべとしやすいのが唯一の難点かな。少し写真が撮りにくかったです。ただ、買って帰るよりその場でつつく買い食い感がツーリング中の食の楽しさというもんであって
醍醐味とも言えます。
最後はほどほどにダッシュしながらゴールを目指します。今回は大会サポートのBianchi乗りの名の知らない兄さんは去年の北遠レギュラーコースで俺が最後に引いていった人。あのころは俺も走りが熱かったよなぁとしみじみと振り返りつつ再起を心に誓う。 |

森町名物 梅ごろも |
無事ゴールのチェックを受けて、午前午後併せて73kmを走り抜いた 森町サイクルツーリングデイは終了。食べ放題のお汁粉で暖まりながら
閉会式と抽選を迎えます。ここまで負けるかというほどじゃんけん大会に負け続けて、最後は
とにかく持って行ってくれの珈琲をもらって片づけます。
白鳥和也氏の車のところでコーヒーをいただいて、いろいろと話をして今日は撤収です。思い残すことは無いですが来年も参戦したいと思います。
大会運営の方々とも顔見知りになってしまい、帰りに掛川のつま恋で温泉に入って、湯上がりにまったりとしていたらブリーフィングや閉会式の司会の人と会いました。是非是非
来季もコンセプトのイベントに参戦して自転車生活を有意義に過ごしたいモノです。2006年
イベント参戦は気持ちよく終わったという感じでした。 |

ゴールで お汁粉 |
ようやく「サイクリング大会の次の日は有休を取れない」のジンクスを脱した俺は静岡で夕食を取り1泊。日曜日は浜松に行って祖父さんの見舞いをして、好天の中で車で帰っていきました。静岡県のサイクリング大会に参戦するのは今年は4回目になりますが、初めて富士山が見えました。 |

富士川SA 富士川楽座から富士山の眺め |